世界最強はガチャで引いた――無限排出スキルで現代を救え

羽蟲蛇 響太郎

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プロローグ

――世界は、ガチャで壊れた。

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世界が壊れ始めた日、人々はそれを「災害」だと思っていた。

地下鉄構内に現れた異形。
高速道路を踏み潰す巨大な影。
夜空に浮かぶ、現実離れした魔法陣。

ニュースは混乱し、政府は沈黙し、
やがて人々は一つの言葉を使い始める。

――モンスター。

そしてもう一つ。
ごく一部の人間が、常識を超えた力を手に入れていることも。

「能力者」

誰が、いつ、どうやって選ばれるのか。
その答えを知る者はいない。

……少なくとも、その時の俺は、何も知らなかった。



天城零は、ごく普通の高校生だった。

部活もそこそこ、成績も平均。
特別な才能も、夢もない。
ただ、今日も無事に家へ帰る――はずだった。

路地裏に足を踏み入れた瞬間、
空気が“歪んだ”。

鼻を突く腐臭。
コンクリートを引き裂く音。
影の奥から現れたのは、人の形を真似ただけの化け物だった。

四肢は歪み、目は多すぎ、
口元からは黒い涎が垂れている。

――逃げろ。

頭では理解していた。
だが、足が動かなかった。

化け物が一歩、こちらへ踏み出す。
距離は五メートル。
次の瞬間には、俺は――

「……死ぬのか」

そう思った瞬間。

世界が、止まった。



視界が暗転し、
無機質な“画面”が脳裏に浮かび上がる。

《適合者を確認》
《天城 零》
《能力付与システム――起動》

意味が分からない。
だが、思考より先に“選択肢”が表示された。

――【能力ガチャ】を引きますか?

YES / NO

考える暇など、なかった。

YESを選んだ瞬間、
耳鳴りと共に、無数の光が弾ける。

《レアリティ:???》
《スキル抽選中……》

次の瞬間、
信じられない文字列が並んだ。

《獲得スキル》
・完全適応
・能力複製
・成長無限化
・確率操作(極)
・概念耐性

……多すぎる。

いや、それ以前に――

《能力ガチャ:再使用可能》
《使用制限:なし》
《クールタイム:なし》

「……は?」

一つだけじゃない。
何度でも、引ける。
しかも制限なし。

理解した瞬間、背筋が凍った。

これは――
能力じゃない。システムだ。

人間一人に与えていい代物じゃない。



時間が再び動き出す。

目の前のモンスターが、俺に襲いかかる――
その瞬間。

俺は“無意識に”、もう一度ガチャを引いていた。

次の刹那、
化け物は音もなく、消滅した。

跡形もなく。

静まり返る路地裏で、
俺は自分の手を見つめる。

震えていた。

恐怖か、興奮か、
それとも――世界を壊せる力を手に入れた実感か。

脳裏に、最後の表示が浮かぶ。

《ようこそ》
《あなたは“史上最強候補”です》

……候補?

零は、ゆっくりと笑った。

「冗談じゃない」

この力を引いた以上、
もう“普通”には戻れない。

これは、偶然か。
それとも、選ばれたのか。

答えはまだ分からない。

だが一つだけ、確信していた。

――世界は、このガチャで変わる。

そして、
それを引いたのは、俺だ。
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