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第1章 覚醒者たち
第6話 眷属になる覚悟
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統制局の簡易審査は、驚くほどあっさり終わった。
「柊澪、天城零の行動パーティへの同行を正式に認める」
端末越しの無機質な声に、澪は目を丸くした。
「え……正式、ですか?」
「現状、天城零は単独管理不能。
同行者がいた方が被害が減るという判断だ」
それは、建前だろう。
だが――
「よろしくお願いします、零さん!」
澪は、両手を前で揃えて深く頭を下げた。
「正式に、パーティメンバーです!」
零は少し照れくさそうに、頷いた。
「こちらこそ。
……生きて帰りましょう」
その言葉が、
まさかこんな意味を持つとは――
この時は、思っていなかった。
◆
討伐対象は、旧地下駐車場に巣食うモンスター。
反応はB寄りのD。
だが、数が多い。
「連携、前よりスムーズですね」
澪が息を整えながら言う。
「澪さんの衝撃制御、精度が上がってます」
「えへへ……零さんが、動きを見てくれるから」
実際、二人の相性は良かった。
零が危険を先読みし、
澪が“溜めた一撃”を確実に当てる。
三体、四体と倒していき、
奥へ進んだ、その時。
――空気が、変わった。
「……下がって」
零が言うより早く、
天井が砕け落ちた。
現れたのは、
異様に細長い四肢を持つモンスター。
「……Dじゃない」
澪が呟く。
「擬装型……A寄りBです!」
判断が、遅れた。
◆
一瞬の隙。
モンスターの影が、澪の背後に回る。
「澪さん!」
零が叫んだ時には――
遅かった。
鋭い腕が、澪の身体を貫いた。
「……っ」
音が、消えた。
血が、床に落ちる。
澪の槍が、力なく転がる。
「……れい、さん……?」
膝から崩れ落ちる澪を、零が抱き止める。
「澪さん! 澪さん!!」
《完全適応》
《即時最適解》
どのスキルも、
“すでに起きた死”を否定できない。
内臓損傷。
失血。
生命反応――急速低下。
(……間に合わない)
零の手が、震えた。
「……嫌だ」
また失う?
昨日まで、隣で笑っていた存在を?
ガチャ画面が、勝手に開く。
だが――
零は、引かなかった。
代わりに。
(……眷族化)
脳裏に、
“使ってはいけない項目”が浮かぶ。
《眷族化》
《警告:不可逆》
《対象の存在構造を書き換えます》
《実行しますか?》
「……ごめん」
澪の耳元で、零は囁いた。
「人間じゃ、いられなくなる」
澪は、かすかに笑った。
「……生きられるなら……」
YES。
◆
世界が、反転した。
澪の身体を、黒と銀の紋様が包む。
心臓の鼓動が、
“別のリズム”に変わる。
砕けた内臓が、
“再構成”されていく。
モンスターが、
本能的に後ずさった。
澪の目が、ゆっくりと開く。
――色が、違った。
澄んだ蒼から、
深い紅へ。
「……零、様」
声が、低く、落ち着いている。
「ご命令を」
零は、息を呑んだ。
「……澪、さん?」
彼女は首を傾げる。
「柊澪。
ですが、今は――」
一歩、前に出る。
「あなたの眷属です」
次の瞬間。
澪は、瞬間移動したかのようにモンスターの背後へ。
衝撃。
否――
“存在圧”だけで、
モンスターが潰れた。
完全消滅。
◆
静寂。
澪は、ゆっくり振り返り、零の前に膝をつく。
「ご無事で……何よりです」
あまりにも、別人だった。
力。
口調。
気配。
だが――
零は、彼女を抱き締めた。
「……生きててくれて、よかった」
澪の肩が、ぴくりと震えた。
「……ありがとうございます」
その瞬間。
拍手の音が、響いた。
「いやぁ、噂以上だ」
二人が振り向く。
そこに立っていたのは――
圧倒的な存在感を放つ、一人の男。
「統制局S級能力者。
コードネーム――《審判》」
男は、零を見て、笑った。
「天城零。
君は――」
一拍置いて。
「人類側に、収まる気はあるか?」
その問いに、
零は答えなかった。
代わりに、
澪――眷属となった少女が、静かに零の隣に立つ。
物語は、
もう“普通の現代バトル”ではなかった。
「柊澪、天城零の行動パーティへの同行を正式に認める」
端末越しの無機質な声に、澪は目を丸くした。
「え……正式、ですか?」
「現状、天城零は単独管理不能。
同行者がいた方が被害が減るという判断だ」
それは、建前だろう。
だが――
「よろしくお願いします、零さん!」
澪は、両手を前で揃えて深く頭を下げた。
「正式に、パーティメンバーです!」
零は少し照れくさそうに、頷いた。
「こちらこそ。
……生きて帰りましょう」
その言葉が、
まさかこんな意味を持つとは――
この時は、思っていなかった。
◆
討伐対象は、旧地下駐車場に巣食うモンスター。
反応はB寄りのD。
だが、数が多い。
「連携、前よりスムーズですね」
澪が息を整えながら言う。
「澪さんの衝撃制御、精度が上がってます」
「えへへ……零さんが、動きを見てくれるから」
実際、二人の相性は良かった。
零が危険を先読みし、
澪が“溜めた一撃”を確実に当てる。
三体、四体と倒していき、
奥へ進んだ、その時。
――空気が、変わった。
「……下がって」
零が言うより早く、
天井が砕け落ちた。
現れたのは、
異様に細長い四肢を持つモンスター。
「……Dじゃない」
澪が呟く。
「擬装型……A寄りBです!」
判断が、遅れた。
◆
一瞬の隙。
モンスターの影が、澪の背後に回る。
「澪さん!」
零が叫んだ時には――
遅かった。
鋭い腕が、澪の身体を貫いた。
「……っ」
音が、消えた。
血が、床に落ちる。
澪の槍が、力なく転がる。
「……れい、さん……?」
膝から崩れ落ちる澪を、零が抱き止める。
「澪さん! 澪さん!!」
《完全適応》
《即時最適解》
どのスキルも、
“すでに起きた死”を否定できない。
内臓損傷。
失血。
生命反応――急速低下。
(……間に合わない)
零の手が、震えた。
「……嫌だ」
また失う?
昨日まで、隣で笑っていた存在を?
ガチャ画面が、勝手に開く。
だが――
零は、引かなかった。
代わりに。
(……眷族化)
脳裏に、
“使ってはいけない項目”が浮かぶ。
《眷族化》
《警告:不可逆》
《対象の存在構造を書き換えます》
《実行しますか?》
「……ごめん」
澪の耳元で、零は囁いた。
「人間じゃ、いられなくなる」
澪は、かすかに笑った。
「……生きられるなら……」
YES。
◆
世界が、反転した。
澪の身体を、黒と銀の紋様が包む。
心臓の鼓動が、
“別のリズム”に変わる。
砕けた内臓が、
“再構成”されていく。
モンスターが、
本能的に後ずさった。
澪の目が、ゆっくりと開く。
――色が、違った。
澄んだ蒼から、
深い紅へ。
「……零、様」
声が、低く、落ち着いている。
「ご命令を」
零は、息を呑んだ。
「……澪、さん?」
彼女は首を傾げる。
「柊澪。
ですが、今は――」
一歩、前に出る。
「あなたの眷属です」
次の瞬間。
澪は、瞬間移動したかのようにモンスターの背後へ。
衝撃。
否――
“存在圧”だけで、
モンスターが潰れた。
完全消滅。
◆
静寂。
澪は、ゆっくり振り返り、零の前に膝をつく。
「ご無事で……何よりです」
あまりにも、別人だった。
力。
口調。
気配。
だが――
零は、彼女を抱き締めた。
「……生きててくれて、よかった」
澪の肩が、ぴくりと震えた。
「……ありがとうございます」
その瞬間。
拍手の音が、響いた。
「いやぁ、噂以上だ」
二人が振り向く。
そこに立っていたのは――
圧倒的な存在感を放つ、一人の男。
「統制局S級能力者。
コードネーム――《審判》」
男は、零を見て、笑った。
「天城零。
君は――」
一拍置いて。
「人類側に、収まる気はあるか?」
その問いに、
零は答えなかった。
代わりに、
澪――眷属となった少女が、静かに零の隣に立つ。
物語は、
もう“普通の現代バトル”ではなかった。
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