世界最強はガチャで引いた――無限排出スキルで現代を救え

羽蟲蛇 響太郎

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第1章 覚醒者たち

第6話 眷属になる覚悟

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統制局の簡易審査は、驚くほどあっさり終わった。

「柊澪、天城零の行動パーティへの同行を正式に認める」

端末越しの無機質な声に、澪は目を丸くした。

「え……正式、ですか?」

「現状、天城零は単独管理不能。
 同行者がいた方が被害が減るという判断だ」

それは、建前だろう。

だが――

「よろしくお願いします、零さん!」

澪は、両手を前で揃えて深く頭を下げた。

「正式に、パーティメンバーです!」

零は少し照れくさそうに、頷いた。

「こちらこそ。
 ……生きて帰りましょう」

その言葉が、
まさかこんな意味を持つとは――
この時は、思っていなかった。



討伐対象は、旧地下駐車場に巣食うモンスター。

反応はB寄りのD。
だが、数が多い。

「連携、前よりスムーズですね」

澪が息を整えながら言う。

「澪さんの衝撃制御、精度が上がってます」

「えへへ……零さんが、動きを見てくれるから」

実際、二人の相性は良かった。

零が危険を先読みし、
澪が“溜めた一撃”を確実に当てる。

三体、四体と倒していき、
奥へ進んだ、その時。

――空気が、変わった。

「……下がって」

零が言うより早く、
天井が砕け落ちた。

現れたのは、
異様に細長い四肢を持つモンスター。

「……Dじゃない」

澪が呟く。

「擬装型……A寄りBです!」

判断が、遅れた。



一瞬の隙。

モンスターの影が、澪の背後に回る。

「澪さん!」

零が叫んだ時には――

遅かった。

鋭い腕が、澪の身体を貫いた。

「……っ」

音が、消えた。

血が、床に落ちる。

澪の槍が、力なく転がる。

「……れい、さん……?」

膝から崩れ落ちる澪を、零が抱き止める。

「澪さん! 澪さん!!」

《完全適応》
《即時最適解》

どのスキルも、
“すでに起きた死”を否定できない。

内臓損傷。
失血。
生命反応――急速低下。

(……間に合わない)

零の手が、震えた。

「……嫌だ」

また失う?

昨日まで、隣で笑っていた存在を?

ガチャ画面が、勝手に開く。

だが――
零は、引かなかった。

代わりに。

(……眷族化)

脳裏に、
“使ってはいけない項目”が浮かぶ。

《眷族化》
《警告:不可逆》
《対象の存在構造を書き換えます》
《実行しますか?》

「……ごめん」

澪の耳元で、零は囁いた。

「人間じゃ、いられなくなる」

澪は、かすかに笑った。

「……生きられるなら……」

YES。



世界が、反転した。

澪の身体を、黒と銀の紋様が包む。

心臓の鼓動が、
“別のリズム”に変わる。

砕けた内臓が、
“再構成”されていく。

モンスターが、
本能的に後ずさった。

澪の目が、ゆっくりと開く。

――色が、違った。

澄んだ蒼から、
深い紅へ。

「……零、様」

声が、低く、落ち着いている。

「ご命令を」

零は、息を呑んだ。

「……澪、さん?」

彼女は首を傾げる。

「柊澪。
 ですが、今は――」

一歩、前に出る。

「あなたの眷属です」

次の瞬間。

澪は、瞬間移動したかのようにモンスターの背後へ。

衝撃。

否――

“存在圧”だけで、
モンスターが潰れた。

完全消滅。



静寂。

澪は、ゆっくり振り返り、零の前に膝をつく。

「ご無事で……何よりです」

あまりにも、別人だった。

力。
口調。
気配。

だが――

零は、彼女を抱き締めた。

「……生きててくれて、よかった」

澪の肩が、ぴくりと震えた。

「……ありがとうございます」

その瞬間。

拍手の音が、響いた。

「いやぁ、噂以上だ」

二人が振り向く。

そこに立っていたのは――
圧倒的な存在感を放つ、一人の男。

「統制局S級能力者。
 コードネーム――《審判》」

男は、零を見て、笑った。

「天城零。
 君は――」

一拍置いて。

「人類側に、収まる気はあるか?」

その問いに、
零は答えなかった。

代わりに、
澪――眷属となった少女が、静かに零の隣に立つ。

物語は、
もう“普通の現代バトル”ではなかった。
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