世界最強はガチャで引いた――無限排出スキルで現代を救え

羽蟲蛇 響太郎

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第1章 覚醒者たち

第7話 魔神の誕生を、世界は知った

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地下駐車場に残るのは、破壊の痕跡と、異様な静けさだけだった。

モンスターは完全に消滅し、
その中心に立つのは――天城零と、彼の隣に控える“眷属”。

柊澪は、静かに零の半歩後ろに立っていた。

姿は同じ。
だが、雰囲気が違う。

呼吸は乱れず、視線は鋭く、
何より――零を見る目が、明確に“主を見るそれ”だった。

「……澪、さん」

零が呼ぶと、彼女はすぐに振り向く。

「はい、零様」

その呼び方に、胸が締め付けられる。

「……体は、大丈夫ですか?」

澪は一瞬、考える素振りを見せた後、微笑んだ。

「問題ありません。
 痛みも、恐怖も……処理済みです」

その言い方が、あまりにも冷静で。

零は、思わず視線を逸らした。

(……俺は、何をした)

生かすための選択だった。
だが、確実に“戻れない場所”へ踏み込んだ。



「いやぁ……これはまた、厄介なものを見た」

拍手と共に、低い声が響く。

二人の前に立つ男――
統制局S級能力者、《審判》。

近くにいるだけで、
空気が重くなる。

能力を使っていない。
それなのに、圧倒される。

「まずは礼を言おう」

審判は零に向かって言った。

「市街地での被害を最小限に抑えた。
 あのモンスター、放置していれば数百人は死んでいた」

「……偶然です」

零は答える。

「結果は結果だ」

審判は視線を澪に移した。

「そして――
 彼女が噂の“眷属第一号”か」

澪は一歩前に出ようとするが、
零が小さく首を振る。

澪は即座に止まり、再び半歩後ろへ戻った。

その一連の動きに、
審判は目を細めた。

「……見事な忠誠だ」

「彼女は、人です」

零の声が、少し強くなる。

「俺の道具じゃない」

「だが、眷属だ」

審判は淡々と告げる。

「君が死ねば、彼女も死ぬ。
 君が堕ちれば、彼女も堕ちる」

零は、否定できなかった。

沈黙。

その間に、
澪が静かに口を開く。

「零様」

「……澪さん?」

「私は、選びました」

彼女の声は、穏やかだった。

「生きることを。
 そして、あなたの隣に立つことを」

その目に、迷いはない。

「それが、眷属であることなら……
 私は、それを誇りに思います」

零は、言葉を失った。

審判は、小さく笑う。

「……いい答えだ」



「天城零」

審判は、真っ直ぐに零を見る。

「君は危険だ。
 だが同時に、必要でもある」

「……管理するつもりですか?」

「出来ると思うか?」

即答だった。

「S級を三人集めても、
 君を“完全に”止める保証はない」

その事実が、重くのしかかる。

「だから、提案だ」

審判は一歩近づく。

「君は、まだ人類側だ。
 少なくとも――今は」

零は、ゆっくり息を吐く。

「魔人や神が、動きますか」

「もう、動いている」

審判は言った。

「君が“眷族化”を使った瞬間、
 世界の位相が一段、ズレた」

その言葉と同時に――



――遠く、別の場所。

血と闇に満ちた玉座の間。

一人の魔人が、ゆっくりと目を開く。

「……この感覚」

空間が、軋む。

「間違いない」

魔人は、愉快そうに笑った。

「“魔神”が、生まれた」

周囲の魔人たちが、ざわめく。

「人か?」

「神か?」

「いいや」

玉座の主は、舌なめずりをする。

「もっと厄介だ」

「――ガチャで力を引く、異物」

その名は、まだ知られていない。

だが、魔人は確信していた。

「狩るか。
 それとも、迎え入れるか」

夜空を見上げ、呟く。

「……楽しくなってきた」



地下駐車場へと、意識が戻る。

審判は、踵を返した。

「しばらくは、自由に動け」

「……監視は?」

「当然する」

審判は、振り返らずに言う。

「だが、忘れるな」

最後に、はっきりと。

「君が守るべきは、
 “世界”じゃない」

「――隣に立つ、その一人だ」

審判の姿が消える。

静寂の中、
零は澪を見る。

「……後悔、してませんか」

澪は、少しだけ微笑んだ。

「していません」

そして、静かに続ける。

「私は、あなたが堕ちないように、
 隣にいますから」

その言葉に、
零は覚悟を決めた。

(……世界が敵になるなら)

(俺は――)

ガチャの音が、
心の奥で、静かに回り始める。

魔神の誕生は、
もう隠せない。

物語は、
人・魔人・神――
すべてを巻き込み、次の段階へ進んでいく。
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