霊感専門相談所くじら特殊サービス

緒沢タラ

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第一話 シロイオリ

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 翌朝、東棟のツインルームから離れへとやってきた星、芳桐と合流し、用意された朝食を食べ終わる頃、支配人が部屋を訪ねてきた。
「できれば、手紙と一緒に、信政とシノを弔ってやってください」
 建物はただの蔵では無かったこと、そしてその歴史と経緯を説明して、霊障の原因とそれらはもう浄化したことを伝えた権堂は、言って、星が大槌家から預かってきた信政の手紙を支配人へと差し出した。
 それへ、複雑な表情で視線を落とす支配人へ
「手紙に残っていた信政の思念はシノと一緒に浄化させたので、この手紙自体にはもう何も残っていません。ですがまぁ、あまりに強い想いが籠もっていた物なので、そのままにしておくのも気掛かりでしょう。焼くなりするのが良いとは思います。もし普通に焼却処分するのが気になるのであれば、お焚き上げをしてもらうと良いでしょう」
 言った権堂に、支配人は束を受け取り、分かりましたと数度頷く。
「こちらの手紙と一緒に、お二人の無念を弔う碑を建てて供養することにします」
 支配人の言葉に、権堂も頷いて返した。


 依頼完了のサインを貰い、ホテルを後にした一行は、一路帰京の途についていた。
「にしても、どうして呼び出す鍵が性行為だったんでしょう。そこの辺りの関連性が非常に気になります。完全に気配を消していた怨念が出て来てしまう程のトリガー・・・。しかも恋人同士ではない先生と長洲くんの行為でも適用されるんですよね」
 ボックスの向かい合わせの席で、首を捻ってブツブツと言った星に、理久は顔を真っ赤に染めた。
「し、してない! フリだけ! 未遂だからっ!」
 異議を口にするが、そんな反論はさらっとスルーし、星は権堂へ問いかける。
「そういう行為を見る事で、信政への想いを思い出して、幸せそうな恋人同士に嫉妬したとか、羨ましかったとか、そういう事でしょうか・・・。先生はどう思われますか?」
 それに、しばし考えるように中空を見上げた権堂はだが
「さぁなぁ」
 言って、車窓に広がる青々とした田園風景へ視線をやった。
「ただまぁ、信政への想いとか嫉妬やら羨望って言うよりは、恨みの気持ちじゃねぇか? 何せ、無防備な背中を刺されそうになったからな」
 権堂の言葉に、「ええ!?」と声を上げた星は、驚きの表情のまま理久を見た。
「な、長洲くん・・・、未遂って、そういう意味で?」
「なんでそこだけ拾うの!?」
 慌てて否定した理久に、星はふふふといたずらっぽい笑みを浮かべる。
「寝首を掻こうとしていたって事か」
 そんな二人を見ていた芳桐が静かな声で言うのに
「そうかもな」
 権堂は頷いて返す。
「そんな訳で芳桐。さっき理久も言ってたが、あくまでもフリ・・だ。仕事の為に仕方なくだ。圭佑に報告すんなら、そこのところは違えるなよ」
 念を押して言うのに、興味なさそうに平らな目で権堂を見た芳桐は、一言「分かった」とだけ答える。そうして、チラリと視線をやった権堂の横。理久が権堂とは反対側へ僅かに俯き、こっそりと息を吐くのに目を眇めた。
「どっちが難儀なんだか」
 ボソリと呟いた芳桐は、チラリと自分の横で、タブレットへ何やら今回得た成果をまとめている幼馴染へ視線をやり、はぁと溜息を零した。

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