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始まりの章
それでも生者は進んでく
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ーー*片桐茶待*ーー
あの慌ただしい奇跡のような日から数日。
翔楼の唯一の肉親である祖母、送際日和さんの願いもあって、俺と楓は翔楼の葬式に出席した。
親戚も友人も少なかった翔楼の最後を、少しでも多くの人に見送って欲しかったのだろう。
案の定、両手で数えられる程度の人数しか、葬式には現れなかった。
まぁ翔楼自身、病気であることを隠していたわけだし、翔楼を知っている奴らも、アイツが死んじまったなんて事実は知る由もない。
そうして葬式は滞りなく終わり、俺たちは日常へと戻った。
まさか一年に、二度も友人を見送る羽目になるとは…。
いや…あの日を入れれば三度か…。
人生…本当になにが起こるかわかったもんじゃないな…。
「じゃあね。茶待」
向日葵に会いに来ていた楓は、そう言うと荷物を手にして立ち上がった。
「送ってくよ」
「いいよ、そんなに時間かからないし」
「そうか?なら気をつけて帰れよ」
「うん」
ガチャリと、扉の奥に楓が消えた瞬間、隣にいた向日葵がわざとらしく溜息をついた。
「ハァ…」
「なんだよ…」
「イエ…ナンデモ…。ハァァァァァアアアアア!」
誰がどう見たって、言いたいことがある様子。
と言っても少し前から、楓がいなくなると、向日葵はずっとこんな感じだ。
痺れを切らした俺は、しかめ面を作って尋ねた。
「だからなんだよ。言いたいことがあるならハッキリ言えって」
「ハァ…。ジャアコノ際ダカラ聞キマスガ、オ前ハ楓トノ関係ヲ、進展サセルツモリハアルノデスカ?」
「…………」
「楓ハオ前ガ思ッテイルヨリ、鈍感ナ娘デハアリマセンヨ」
「わかってるよ…」
あの日、俺がみんなを欺いていた理由が楓のためだと露呈して、彼女にどんな気持ちを抱いているかは、おおよそバレていることだろう。
それでも普段通りを装って、俺は楓に接している。
この関係を壊したくないというのもあるが、本音を言うと、俺がビビって前に踏み出せずにいるだけだ。
「ハァァァァァァアアアアアア!」
「だからその溜息やめろって…」
向日葵は大げさな息を吐き終えるや、ギラリと鋭い真剣な眼差しを俺に向けた。
「イイデスカ?オ前モ楓モスッカリ忘レテイル様デスガ、オ前タチハ大学生、本来ナラバ就活ニ勤シンデイル時期デショウ」
「やけに詳しいな」
「未来カラ聞イテイマシタノデ。彼女ハ、就活トイウザバイバルカラ逃レルコトガデキテ、トテモ安堵シテイマシタ…。ソレヨリモ、コノ意味ガワカッテイルノデスカ?」
「どういうことだよ」
「コウシテ楓ガ会イニ来テクレル時間ガ、ナクナッテシマウトイウコトデス」
「それも…わかってるよ」
俺は力なく相づちを打った。
「ケッ…。ナンダ、タダノ意気地ナシデシタカ」
返す言葉も見つからず、俺は現実から逃げるように床に寝転がった。
心ではわかっていても、この関係を変える勇気はない。
俺はガタイが良いだけの、ただのチキン野郎なんだよ。
「コノオ茶ッ葉ガアアアア!」
突然、鼓膜を叩くような大声量に、俺は驚いて飛びあがった。
「うわビックリした!なんなんだよ急に!ってか小童が!みたいに言うな!」
「オ黙リナサイ!オ前ハ未来ト翔楼カラ、何モ学バナカッタノデスカ!?」
今は亡き友人たちの名を出され、俺は言葉に詰まった。
「人生ハ何ガ起コレカワカラナイ。ダカラコソ彼女タチハ、理想ノ結末ニ辿リ着コウト懸命ニ生キ続ケタ。オ前ト、ソンナ彼女タチノ違イガワカリマスカ?…ソレハ、進ミ続ケタコトデスヨ」
そんなこと、言われなくてもわかってる。誰よりも近くで見てきたんだから。
俺と違ってアイツらには行動力があった。間違っても、躓いても、へこたれずに進み続ける不屈の精神を持っていた。
対して俺は、裏方で姑息に動いていただけで、本人に直接、思いを伝える勇気も持ち合わせていない。
それに俺はもう、ひとつの選択とその結果で満足しちまっているんだ。
こういうところが、俺とアイツらとの差なんだろうな。
「オ前モヨク考エナサイ。人生ハ、オ前ガ思ッテイル以上ニ、アットイウ間ナノデスカラ」
ガミガミと不貞腐れ、言いたいことだけ言い終えると、向日葵は顔を床につけてスヤスヤと寛ぎ始めた。
さすが、想像を絶する時間を生きているだけあって、俺なんかとは言葉の重みが段違いだ。説得力しかない言葉に、ただただ耳が痛い。
人生はあっという間…。その通りだと思う。
実際、翔楼と日野ッチ、そして楓との楽しかった大学生活は、すでに終盤に差し掛かっている。
思い返してみると、馬翔楼に振り回され、日野ッチに振り回され、いろいろ忙しない日々でもあったよな。
まぁ、その日々の中であれこれ画策して、掻き回した俺が言うのもなんだが、それでもみんなと過ごした日々は本当に楽しかったんだ。
「人生はあっという間か……」
改めて口にした言葉が、痛いほど胸に突き刺さる。
翔楼もそれがわかっていたから、日野ッチのために、大きな決断を迷いなくできたのかもしれない。
人生は何が起こるかわからない、だからこそ、行動を起こすのは早いに越したことはない。
俺もその一歩を、踏み出さなきゃいけないときが来たのかもしれない。
「オヤ?何処カ出カケルノデスカ?」
玄関に向かい、靴に手をかけたところで、向日葵が背後から声をかけてきた。
「ああ、ちょっとコンビニにな」
「ソウデスカ。デシタラ氷菓ヲ所望シマス」
「あいよ。月見饅頭でいいのか?」
「ハイ、季節限定ノ『サツマイモバター』デオ願イシマス」
注文が多いいな家の猫は…。
やれやれ…。
「ヤレヤレ…」
俺の心の声と、向日葵の小さな嘆息がハモったところで、俺は呆れたように向日葵を見る。
こっちの言葉だっつの…。
靴を履き終え、玄関のドアノブに手をかける。
「じゃあ、行ってくる」
そう言って扉を抜け、俺は歩き出した。
その歩幅は徐々に大きく、一歩を踏み出すごとに、速く軽快な足取りを無意識に作っていた。
逸る気持ちがそうさせたのか、あるいはそれは覚悟の現れだったのかもしれない。
気づけば俺は、向かうべき場所へと疾走していた。
人生。
多くの人は、それを選択肢のある無数に枝分かれした一方通行の道だと言うが、俺はこう考える。
俺たちは、見えない薄氷の上に立っているのだと。
ある者は俺のように、いつ崩れるかわからない不安定な薄氷の足場を、安全を見極めながら慎重に進んでいく。
危険を顧みずに、全力で走り抜けていく者もいだろう。
丈夫な足場に辿り着いたなら、足を休めるのもいい。
だけど人の温もりで、薄氷は少しずつ溶けてしまうんだ。
それが二人なら尚のこと、その上、重みでヒビ割れてしまうかもしれない。外的要因で薄氷が沈んでしまう可能性だってある。
だから、ずっとは立ち止まっていられない。
いつかは覚悟を決めて、歩き出さなきゃいけないんだ。
ある時は蹴落としあい、ある時は譲り、ある時は共に進む。
そんな予測不能の人生を、俺たちはこれからも送っていくんだ。
右へ左へ、駆け抜けた道の先で彼女を見つけた。
「楓!」
「茶待?」
楓は振り返って、俺とのスピーディーな再会に驚いた。
「どうしたの?そんなに慌てて…」
その呆気にとられたような表情に、俺の心臓は爆発する勢いで鼓動で鼓動を始めた。
いざ覚悟を決めたと言っても、予行演習はナシ、ぶっつけ本番。
さらに本人を前にして、ハードルが一気に高くなったように感じた。
大丈夫だ…落ち着け…。
俺は決意を胸に、楓の顔を見つめる。
二人の友人から人生の難しさを学んだ。
平等に不平等な理不尽の中で、己が願いを叶えんと、懸命に足掻く命の尊さを。
あの満足な結末に、俺もたどり着きたい。
そのためには進むしかないんだ。
だから俺も──、
「楓、俺…楓のことが!」
俺もそんな先達者たちを見習って、なけなしの勇気を振り絞ってみようと思う。
転んでもいいだ。
そうなっても、きっとそれは──
──大きな一歩になるはずだから…。
あの慌ただしい奇跡のような日から数日。
翔楼の唯一の肉親である祖母、送際日和さんの願いもあって、俺と楓は翔楼の葬式に出席した。
親戚も友人も少なかった翔楼の最後を、少しでも多くの人に見送って欲しかったのだろう。
案の定、両手で数えられる程度の人数しか、葬式には現れなかった。
まぁ翔楼自身、病気であることを隠していたわけだし、翔楼を知っている奴らも、アイツが死んじまったなんて事実は知る由もない。
そうして葬式は滞りなく終わり、俺たちは日常へと戻った。
まさか一年に、二度も友人を見送る羽目になるとは…。
いや…あの日を入れれば三度か…。
人生…本当になにが起こるかわかったもんじゃないな…。
「じゃあね。茶待」
向日葵に会いに来ていた楓は、そう言うと荷物を手にして立ち上がった。
「送ってくよ」
「いいよ、そんなに時間かからないし」
「そうか?なら気をつけて帰れよ」
「うん」
ガチャリと、扉の奥に楓が消えた瞬間、隣にいた向日葵がわざとらしく溜息をついた。
「ハァ…」
「なんだよ…」
「イエ…ナンデモ…。ハァァァァァアアアアア!」
誰がどう見たって、言いたいことがある様子。
と言っても少し前から、楓がいなくなると、向日葵はずっとこんな感じだ。
痺れを切らした俺は、しかめ面を作って尋ねた。
「だからなんだよ。言いたいことがあるならハッキリ言えって」
「ハァ…。ジャアコノ際ダカラ聞キマスガ、オ前ハ楓トノ関係ヲ、進展サセルツモリハアルノデスカ?」
「…………」
「楓ハオ前ガ思ッテイルヨリ、鈍感ナ娘デハアリマセンヨ」
「わかってるよ…」
あの日、俺がみんなを欺いていた理由が楓のためだと露呈して、彼女にどんな気持ちを抱いているかは、おおよそバレていることだろう。
それでも普段通りを装って、俺は楓に接している。
この関係を壊したくないというのもあるが、本音を言うと、俺がビビって前に踏み出せずにいるだけだ。
「ハァァァァァァアアアアアア!」
「だからその溜息やめろって…」
向日葵は大げさな息を吐き終えるや、ギラリと鋭い真剣な眼差しを俺に向けた。
「イイデスカ?オ前モ楓モスッカリ忘レテイル様デスガ、オ前タチハ大学生、本来ナラバ就活ニ勤シンデイル時期デショウ」
「やけに詳しいな」
「未来カラ聞イテイマシタノデ。彼女ハ、就活トイウザバイバルカラ逃レルコトガデキテ、トテモ安堵シテイマシタ…。ソレヨリモ、コノ意味ガワカッテイルノデスカ?」
「どういうことだよ」
「コウシテ楓ガ会イニ来テクレル時間ガ、ナクナッテシマウトイウコトデス」
「それも…わかってるよ」
俺は力なく相づちを打った。
「ケッ…。ナンダ、タダノ意気地ナシデシタカ」
返す言葉も見つからず、俺は現実から逃げるように床に寝転がった。
心ではわかっていても、この関係を変える勇気はない。
俺はガタイが良いだけの、ただのチキン野郎なんだよ。
「コノオ茶ッ葉ガアアアア!」
突然、鼓膜を叩くような大声量に、俺は驚いて飛びあがった。
「うわビックリした!なんなんだよ急に!ってか小童が!みたいに言うな!」
「オ黙リナサイ!オ前ハ未来ト翔楼カラ、何モ学バナカッタノデスカ!?」
今は亡き友人たちの名を出され、俺は言葉に詰まった。
「人生ハ何ガ起コレカワカラナイ。ダカラコソ彼女タチハ、理想ノ結末ニ辿リ着コウト懸命ニ生キ続ケタ。オ前ト、ソンナ彼女タチノ違イガワカリマスカ?…ソレハ、進ミ続ケタコトデスヨ」
そんなこと、言われなくてもわかってる。誰よりも近くで見てきたんだから。
俺と違ってアイツらには行動力があった。間違っても、躓いても、へこたれずに進み続ける不屈の精神を持っていた。
対して俺は、裏方で姑息に動いていただけで、本人に直接、思いを伝える勇気も持ち合わせていない。
それに俺はもう、ひとつの選択とその結果で満足しちまっているんだ。
こういうところが、俺とアイツらとの差なんだろうな。
「オ前モヨク考エナサイ。人生ハ、オ前ガ思ッテイル以上ニ、アットイウ間ナノデスカラ」
ガミガミと不貞腐れ、言いたいことだけ言い終えると、向日葵は顔を床につけてスヤスヤと寛ぎ始めた。
さすが、想像を絶する時間を生きているだけあって、俺なんかとは言葉の重みが段違いだ。説得力しかない言葉に、ただただ耳が痛い。
人生はあっという間…。その通りだと思う。
実際、翔楼と日野ッチ、そして楓との楽しかった大学生活は、すでに終盤に差し掛かっている。
思い返してみると、馬翔楼に振り回され、日野ッチに振り回され、いろいろ忙しない日々でもあったよな。
まぁ、その日々の中であれこれ画策して、掻き回した俺が言うのもなんだが、それでもみんなと過ごした日々は本当に楽しかったんだ。
「人生はあっという間か……」
改めて口にした言葉が、痛いほど胸に突き刺さる。
翔楼もそれがわかっていたから、日野ッチのために、大きな決断を迷いなくできたのかもしれない。
人生は何が起こるかわからない、だからこそ、行動を起こすのは早いに越したことはない。
俺もその一歩を、踏み出さなきゃいけないときが来たのかもしれない。
「オヤ?何処カ出カケルノデスカ?」
玄関に向かい、靴に手をかけたところで、向日葵が背後から声をかけてきた。
「ああ、ちょっとコンビニにな」
「ソウデスカ。デシタラ氷菓ヲ所望シマス」
「あいよ。月見饅頭でいいのか?」
「ハイ、季節限定ノ『サツマイモバター』デオ願イシマス」
注文が多いいな家の猫は…。
やれやれ…。
「ヤレヤレ…」
俺の心の声と、向日葵の小さな嘆息がハモったところで、俺は呆れたように向日葵を見る。
こっちの言葉だっつの…。
靴を履き終え、玄関のドアノブに手をかける。
「じゃあ、行ってくる」
そう言って扉を抜け、俺は歩き出した。
その歩幅は徐々に大きく、一歩を踏み出すごとに、速く軽快な足取りを無意識に作っていた。
逸る気持ちがそうさせたのか、あるいはそれは覚悟の現れだったのかもしれない。
気づけば俺は、向かうべき場所へと疾走していた。
人生。
多くの人は、それを選択肢のある無数に枝分かれした一方通行の道だと言うが、俺はこう考える。
俺たちは、見えない薄氷の上に立っているのだと。
ある者は俺のように、いつ崩れるかわからない不安定な薄氷の足場を、安全を見極めながら慎重に進んでいく。
危険を顧みずに、全力で走り抜けていく者もいだろう。
丈夫な足場に辿り着いたなら、足を休めるのもいい。
だけど人の温もりで、薄氷は少しずつ溶けてしまうんだ。
それが二人なら尚のこと、その上、重みでヒビ割れてしまうかもしれない。外的要因で薄氷が沈んでしまう可能性だってある。
だから、ずっとは立ち止まっていられない。
いつかは覚悟を決めて、歩き出さなきゃいけないんだ。
ある時は蹴落としあい、ある時は譲り、ある時は共に進む。
そんな予測不能の人生を、俺たちはこれからも送っていくんだ。
右へ左へ、駆け抜けた道の先で彼女を見つけた。
「楓!」
「茶待?」
楓は振り返って、俺とのスピーディーな再会に驚いた。
「どうしたの?そんなに慌てて…」
その呆気にとられたような表情に、俺の心臓は爆発する勢いで鼓動で鼓動を始めた。
いざ覚悟を決めたと言っても、予行演習はナシ、ぶっつけ本番。
さらに本人を前にして、ハードルが一気に高くなったように感じた。
大丈夫だ…落ち着け…。
俺は決意を胸に、楓の顔を見つめる。
二人の友人から人生の難しさを学んだ。
平等に不平等な理不尽の中で、己が願いを叶えんと、懸命に足掻く命の尊さを。
あの満足な結末に、俺もたどり着きたい。
そのためには進むしかないんだ。
だから俺も──、
「楓、俺…楓のことが!」
俺もそんな先達者たちを見習って、なけなしの勇気を振り絞ってみようと思う。
転んでもいいだ。
そうなっても、きっとそれは──
──大きな一歩になるはずだから…。
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