皇国戦記

SHOUKICHI

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第6話「砲撃」

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7月20日 11:30 サド要塞

「敵の砲撃くるかもしれないから、地下に退避するぞ」
「あ、了解です」

地下は兵士で溢れかえっていたが何とか全員が退避した。

それから少したった頃、再び王国陸軍によるサド要塞攻略が開始された。

サド要塞内  サド要塞守備隊司令部

「第5地区の一部地下通路が崩落!損害不明!」
「救助急げ!詳細分かり次第報告しろ!」
「了解!衛生兵と工兵を現場へ急行させます」

砲撃を受け揺れている要塞内、損害報告が相次いでいた。

「セルカさん、そちらの方とこの負傷者を救護所へ連れていって。それからは軍医の指示に従いなさい」
「はい!」

崩落現場で救助に当たる衛生部隊の隊長はセルカに負傷し、片腕が切断された兵士を救護所へつれていくかよう指示を出し、セルカはもう一人と担架で負傷者を救護所へと連れていく。

「軍医。こちらの方を!」
「ん?駄目だ。片腕が無いじゃないか。軽傷で戦える者を最優先で治療する。今は重傷者に手はつけられんし人手が足りん。お前も手伝え」

セルカは連れてきた負傷者を軍医に診るよう促すが軍医から返ってきた返答は平時であれば常軌を逸した様なものだった。
基本的に戦争中、特に戦闘中は軽傷の戦える者を優先して治療する。重傷等で戦えない者は後
回しになる。戦闘中ではそれが普通になる。なってしまう。
セルカも教育隊でそれも習っている。
だが、いきなり死にそうな人間を、まして仲間を放置しろと言われ「はい、分かりました」と言えるほど彼女は冷酷ではない。

「え、でも、あの…治療しないと!」
「もう…良いから……行っておいで、ありがとう」

軍医を説得しようとしだすセルカに対し負傷した兵士はまだ血が止まっていない腕を見ながらも軍医に従うように言う。

「……ごめんなさい。ごめんなさい。ごめんなさい」
「良いよ…謝らなくて。それ…より他の…仲間を…助けてやっ…てくれ」
「本当にごめんなさい……モルヒネ…注射しますから。ごめんなさい」

何度も謝るセルカに対して彼は少し笑みを浮かべ慰める。
そんな彼に今のセルカが出来る事はモルヒネを注射し痛みを抑える事しか出来なかった。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
同日 15:30 サド要塞付近 王国陸軍サド要塞攻略部隊司令部

「砲撃を止めさせろ。突撃部隊は突撃用意だ」

エネールは3時間に及んだ砲撃を止めさせ突撃を敢行させる為、部隊へ用意を指示する。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーー
同日 15:35 サド要塞守備隊司令部

「砲撃が…止まった?直ぐに収容した兵をもど…」
「大変です!砲撃によって大半の出入口が塞がれています!」

砲撃はサド要塞を地下通路と地下施設を残し徹底的に破壊していた。
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