皇国戦記

SHOUKICHI

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第10話「悲劇の始まり」

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7月22日 バド町守備隊司令部

「砲撃止まりました。
西側の守備に就いている第1大隊から敵歩兵部隊の前進を確認との報告。更に北側の第3大隊からは敵歩兵部隊と敵騎兵部隊の前進を確認との報告が入ってます。」

「暫くは様子を見る。報告は直ぐに入れるようにしておけ。後、待機している部隊の内、第56、第57小隊をこことここに待機させておけ。偽装して隠れるようにも指示しておけ。」

地図を使い指示を送る第7師団師団長。司令部は張りつめた空気で支配されていた。



「俺達はここで待機との指示だ。それと、班ごとに山に隠れる。位置はこの辺りの適当な所に隠れろとのことだ。急いで穴掘って隠れるぞ。ほら、急げ急げ」

タースは小隊長からの指示通りに班員を動かしていく。
それからのハイトらのは各々偽装を施していく。



バド町守備隊司令部


「第1大隊は敵の攻撃を凌ぎました、損害は皆無です。第3大隊は現在戦闘中、ですが数の違いもあり少々押され気味です。」

「第2大隊の一部を支援に向かわせろ。今はそれだけしか出来ない。」

ハガンの報告を受け師団長は指示を送る。この後、このような事が1日中続いた。

「今のところ第1大隊の損害は軽微、第2大隊の損害は無し、問題の第3大隊ですが、1割程の損害があります。」

「もう夜だからな。とりあえず夜襲に警戒、第56、57小隊はそのまま待機だ。」

22日の戦闘では断続的に敵の襲撃があり特に第3大隊は集中的に攻撃され1割程の損害を受けた。また、夜襲は無く、兵士はある程度の睡眠を取ることが出来た。


ーーーーーーーーーーーーーーーーー

7月23日  バド町守備隊司令部


「敵来ました!」
「何処にだ!?」

通信兵が叫ぶと間髪入れずハガンが反応する。
それに対する返答は司令部を凍りつかせた。

「北です!第3大隊です!!」

「敵部隊の規模はどのくらいだ?」

「第3大隊からは続報入りません!こちらからの呼び掛けにも答えず!」

ハガンの問いに答える通信兵、司令部の空気が更に凍りつく。
(また我々は戦に負けるのか…)
第7師団の兵士は大半がそう思いだし士気が下がりつつあった。

「どうしますか?師団長?」

「もう少し持つとは思ったんだがな…しょうがない。第1、2、3大隊を所定の位置まで後退させろ!第56、57小隊は戦闘用意!」

ハガンは焦った様な声で問うと師団長は各部隊に指示を出していく。



「おい!総員戦闘用意だ!」

小隊長が叫ぶと森の所々で金属音や草同士が擦れる音が鳴り出した。


「あの、タース兵長。
俺達は何するんですか?」

横に居るタースに聞くハイトだが、タースの返答に耳を疑った。

「あ、すまん忘れてた。今から作戦伝えるから班員は聞け。
良いか?」

するとタースは話し出したが遠くから銃声が聞こえてきてくる。

「第1、2、3大隊が後退してくる。その内の第3大隊を追ってきた敵を第57小隊と挟撃、撃破する。それが作戦だってさ。ちなみに射撃は許可が出てからだ。許可が出るまで絶対に撃つなよ?」

「普通忘れますか?そんなの?まあ良いんですけど……それより来たみたいですね。」

ハイトらに聞こえる銃声が大きくなってきていた。
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