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第12話「悲劇の歯車は揃った」
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レトスア皇国 皇居内地下壕
「陸軍としては開戦から1ヶ月以上たった現在我が軍は劣勢、開戦時程ではないものの前線では撤退する部隊が後を絶えません。ですので一時的に所定の位置まで後退させ部隊の休息、再編成をする方針です。それが出来次第、現在作戦立案中の大規模攻勢作戦を発動予定です。」
「次は我々海軍が…開戦からは小規模な海戦しか起きておりません。また、我々海軍は敵主力艦含む艦隊が出てこない限り我々も主力艦含む艦隊は出さない方針です。」
皇居内の地下壕で開かれている御前会議。
天皇、閣僚、陸海軍首脳が集まる会議であるが、陸海軍の戦況等の報告から始まった。
「で、どうなのだ?それで勝てるのか?後退するとして国民は?置き去りか?戦争ではあるが軍の愚策のせいで国民が苦しむなどあってはならないのだぞ。」
メウゼ天皇の発言に陸海軍の人間は少々青ざめる。
10年以上前から陸海軍の仮想敵国はインス国であった。
勿論スルバ王国への警戒も怠ってはいなかったし要塞建設なども、してはいた。
それがスルバ王国と戦争になってみたらこのザマだ。
スルバ王国を甘く見ていた陸軍ら相次ぐ撤退で海軍に笑われ屈辱でしかない。
「後退に関しては国民は本土に疎開させるつもりです。ただ、その際町村の水路と道路等は破壊させて頂きます。
そして開戦前より開発が進められていた新兵器と新型の野砲、歩兵銃、機関銃ですが、予算を増やし開発を早めます。また、新兵器は既に試作車両の設計図も出来上がっており量産の準備も進めておりますので、試験を通過次第量産を開始します。」
「私達政府としてはインス国を仲介とした講和条約締結を視野に入れつつ陸海軍の兵器開発への予算の増額しました。」
「講和条約締結は早いのでは?このまま条約を締結すると我が国は不利な条件になるのでは?陸軍のせいで我が国が不利な条約を締結するとは…陸軍はどう責任を取るのか。
海軍内で出ている海軍陸戦隊構想…あれが実現すれば海軍のみで海沿いにあるスルバ王国の王都を陥落させるのは容易い。」
ただでさえピリついた空気が海軍の発言で陸軍に火がついた。
「開戦以来損害を恐れ艦隊を動かさない海軍さんは流石に言う事が違いますなぁ…そんなに自信が有るのでしたら陸軍から1~2個歩兵師団でも貸し出しますよ?勿論王都落とせますよね?」
「何を言っているのか。王都陥落なんぞ我々海軍がその力をもってして王都に砲弾の雨を降らせ瓦礫しかない所を歩兵に歩かせ占領するだけで終わる。
まあ、野砲や砲兵の育成に大して力を入れなかった陸軍さんには無理でしょうがね。流石に陸軍の見る目は違いますな。」
「何?陸軍内で新型野砲開発の際、技術協力を要請したのにそれを拒否したのは貴様ら海軍ではないか!そこまで言うなら大陸のバド町に軍艦を持っていって艦砲射撃すれば良い!あそこは今も守備隊が必死に戦っている!」
「話を聞けばとある要塞では砲撃をされただけで撤退したらしいな。そんな弱い兵を育てるからそこまでやられているんだ。海軍であれば最後の一兵まで戦い抜くぞ?」
「おい、今我々陸軍の兵士を馬鹿にしたのか?海軍なんぞ浮かんでいるだけで動いてすらないじゃないか。」
「いい加減止めないか!今は戦争中、それも劣勢なのだぞ!?それなのに貴様ら陸海軍は子供みたいな喧嘩をいつまでもしおって!内地に居て明日が保障された貴様らが今も前線で戦い明日が分からん兵士を使って喧嘩など片腹痛いわ!!!」
メウゼ天皇は目に少し涙を浮かべながら叫んでいた。
メウゼは皇国初の女性天皇であった。
初の女性天皇の皇位継承に議論が重ねられたがそれでも反対が多かった中、皇位継承した彼女は国民との関わりを増やす事を望んだ。
時には謎の病気が流行している村にまで行こうとして止められた事もある。
その為、次第に国民からも多大な支持を得るようになった。
今の彼女にとって国民は近い存在であり1番守りたい存在だった。
そんな彼女の前で繰り広げられた国と国民を護るはずの陸海軍の喧嘩。
遂には前線で戦う兵士まで使いだした喧嘩をもう見たくなかったし聞きたくなかったのだ。
バド町攻略部隊本部
「エネール中将、駄目です!エウーロ准将の部隊と連絡が取れません!」
通信兵は先程から正面から攻撃していたエウーロ准将との通信が途絶えた事で忙しくしていた。
「…クソ!今すぐに全部隊へ戻れと伝えろ!それと予備部隊は正面へ入れ。今すぐにだ!」
「エネール中将!!」
「次は何だ!?」
「敵バド町守備隊本部から一時休戦したいとの申し出が…」
「何ィィイ!?!?」
驚いたのはエネールだけでは無い。本部に居た全員が衝撃を隠せなかった。
バド町守備隊本部
「大本営からです。輸送船でこの町に居る部隊と民間人全員本土に撤退しろと。輸送船は2日後に到着するとの事です。それと撤退時に水路と道路と港を徹底的に破壊しろとの事です…」
「は!?そんな無茶を言われても……」
バド町守備隊本部内はちょっとした騒ぎになっていた。
そして次の通信兵の言葉に本部にいる全員が衝撃を隠せなかった。
「いや、それが…海軍が軍艦を出すそうです。それも戦艦を…」
「はぁぁぁあ!?」
急な大本営からの指示と海軍が来ると言う2つは師団長どころかハガンの思考回路をもおかしくした。
「これ…どうするんです?敵と一時休戦しますか?」
「今日はもう夜が近い。明日の朝頃に交渉しよう……」
ハガンの提案に師団長は頷き通信兵へ敵に打電するよう言った。
こうして翌日の朝頃に開戦以来初の休戦が結ばれる事になる。
「陸軍としては開戦から1ヶ月以上たった現在我が軍は劣勢、開戦時程ではないものの前線では撤退する部隊が後を絶えません。ですので一時的に所定の位置まで後退させ部隊の休息、再編成をする方針です。それが出来次第、現在作戦立案中の大規模攻勢作戦を発動予定です。」
「次は我々海軍が…開戦からは小規模な海戦しか起きておりません。また、我々海軍は敵主力艦含む艦隊が出てこない限り我々も主力艦含む艦隊は出さない方針です。」
皇居内の地下壕で開かれている御前会議。
天皇、閣僚、陸海軍首脳が集まる会議であるが、陸海軍の戦況等の報告から始まった。
「で、どうなのだ?それで勝てるのか?後退するとして国民は?置き去りか?戦争ではあるが軍の愚策のせいで国民が苦しむなどあってはならないのだぞ。」
メウゼ天皇の発言に陸海軍の人間は少々青ざめる。
10年以上前から陸海軍の仮想敵国はインス国であった。
勿論スルバ王国への警戒も怠ってはいなかったし要塞建設なども、してはいた。
それがスルバ王国と戦争になってみたらこのザマだ。
スルバ王国を甘く見ていた陸軍ら相次ぐ撤退で海軍に笑われ屈辱でしかない。
「後退に関しては国民は本土に疎開させるつもりです。ただ、その際町村の水路と道路等は破壊させて頂きます。
そして開戦前より開発が進められていた新兵器と新型の野砲、歩兵銃、機関銃ですが、予算を増やし開発を早めます。また、新兵器は既に試作車両の設計図も出来上がっており量産の準備も進めておりますので、試験を通過次第量産を開始します。」
「私達政府としてはインス国を仲介とした講和条約締結を視野に入れつつ陸海軍の兵器開発への予算の増額しました。」
「講和条約締結は早いのでは?このまま条約を締結すると我が国は不利な条件になるのでは?陸軍のせいで我が国が不利な条約を締結するとは…陸軍はどう責任を取るのか。
海軍内で出ている海軍陸戦隊構想…あれが実現すれば海軍のみで海沿いにあるスルバ王国の王都を陥落させるのは容易い。」
ただでさえピリついた空気が海軍の発言で陸軍に火がついた。
「開戦以来損害を恐れ艦隊を動かさない海軍さんは流石に言う事が違いますなぁ…そんなに自信が有るのでしたら陸軍から1~2個歩兵師団でも貸し出しますよ?勿論王都落とせますよね?」
「何を言っているのか。王都陥落なんぞ我々海軍がその力をもってして王都に砲弾の雨を降らせ瓦礫しかない所を歩兵に歩かせ占領するだけで終わる。
まあ、野砲や砲兵の育成に大して力を入れなかった陸軍さんには無理でしょうがね。流石に陸軍の見る目は違いますな。」
「何?陸軍内で新型野砲開発の際、技術協力を要請したのにそれを拒否したのは貴様ら海軍ではないか!そこまで言うなら大陸のバド町に軍艦を持っていって艦砲射撃すれば良い!あそこは今も守備隊が必死に戦っている!」
「話を聞けばとある要塞では砲撃をされただけで撤退したらしいな。そんな弱い兵を育てるからそこまでやられているんだ。海軍であれば最後の一兵まで戦い抜くぞ?」
「おい、今我々陸軍の兵士を馬鹿にしたのか?海軍なんぞ浮かんでいるだけで動いてすらないじゃないか。」
「いい加減止めないか!今は戦争中、それも劣勢なのだぞ!?それなのに貴様ら陸海軍は子供みたいな喧嘩をいつまでもしおって!内地に居て明日が保障された貴様らが今も前線で戦い明日が分からん兵士を使って喧嘩など片腹痛いわ!!!」
メウゼ天皇は目に少し涙を浮かべながら叫んでいた。
メウゼは皇国初の女性天皇であった。
初の女性天皇の皇位継承に議論が重ねられたがそれでも反対が多かった中、皇位継承した彼女は国民との関わりを増やす事を望んだ。
時には謎の病気が流行している村にまで行こうとして止められた事もある。
その為、次第に国民からも多大な支持を得るようになった。
今の彼女にとって国民は近い存在であり1番守りたい存在だった。
そんな彼女の前で繰り広げられた国と国民を護るはずの陸海軍の喧嘩。
遂には前線で戦う兵士まで使いだした喧嘩をもう見たくなかったし聞きたくなかったのだ。
バド町攻略部隊本部
「エネール中将、駄目です!エウーロ准将の部隊と連絡が取れません!」
通信兵は先程から正面から攻撃していたエウーロ准将との通信が途絶えた事で忙しくしていた。
「…クソ!今すぐに全部隊へ戻れと伝えろ!それと予備部隊は正面へ入れ。今すぐにだ!」
「エネール中将!!」
「次は何だ!?」
「敵バド町守備隊本部から一時休戦したいとの申し出が…」
「何ィィイ!?!?」
驚いたのはエネールだけでは無い。本部に居た全員が衝撃を隠せなかった。
バド町守備隊本部
「大本営からです。輸送船でこの町に居る部隊と民間人全員本土に撤退しろと。輸送船は2日後に到着するとの事です。それと撤退時に水路と道路と港を徹底的に破壊しろとの事です…」
「は!?そんな無茶を言われても……」
バド町守備隊本部内はちょっとした騒ぎになっていた。
そして次の通信兵の言葉に本部にいる全員が衝撃を隠せなかった。
「いや、それが…海軍が軍艦を出すそうです。それも戦艦を…」
「はぁぁぁあ!?」
急な大本営からの指示と海軍が来ると言う2つは師団長どころかハガンの思考回路をもおかしくした。
「これ…どうするんです?敵と一時休戦しますか?」
「今日はもう夜が近い。明日の朝頃に交渉しよう……」
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