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村を出ると4名の騎乗した男性が合流し、私たちは王都、そして王宮を目指した。
王宮までは1月の旅になる。
4名とエドの5名が、今回王宮から派遣された部隊で、5人は気心の知れた仲のようだ。
エドたちは黒髪の少女の話を聞き、すぐに王都を出発したそうだ。
道々伝え聞く話から、エドは私が春の女神ではないかと考え、私を見て自分の考えが正しかったと確信したらしい。
私はと言えば、自分がそんな大それた存在だとは信じられない。
ただ村を出て2日目から、あたり一面が雪景色に変わった。
あの村の周辺だけに春が訪れたというエドの話は、本当だったのだ。
「なぁ、エリナ、結婚しないか。好きなんだ」
エドは馬に乗りながら、毎日私に言う。
私はどう答えたらいいのか分からず、無視してしまうか、話題を変えてしまうかだった。
でも今日は自分の思っていることを伝えてみようと思った。
「私はずっと虐げられ、心が凍っていたし、寂しかったのよ。だから甘い言葉を言われれば嬉しいと思ってしまう。でももしそれが軽口なら言わないでほしい。後になって『まさか本気にしたのか?』なんて言われたら立ち直れないから」
私は手綱を握るエドの手に、自分の手を重ねた。
「軽口の訳がないだろう。本当に好きなんだ。結婚してくれ」
エドは馬を止め、私を抱きしめ耳元で言った。
「でも付き合ってもいないのに?」
「お互いに好きなら結婚する。そうだろう?」
「そうなの?」
「そうだ」
私は馬を下り少し歩いた。エドも私の後をついてくる。
私は振り返り、エドを見上げた。
「私は寂しい。だから結婚して、あなたがずっと一緒にいてくれるなら、今すぐ結婚したい。でもそれは寂しさを埋めるために、あなたを利用しているのかもしれない。愛じゃないかもしれない。それでもいい?」
「それのどこがいけないのか分からない。ずっと一緒にいるし、エリナを守る。じゃあ、決まりだな」
エドは私を馬に乗せ走らせた。
少し走ったところで、4人が待っていた。
本当は次の街で今夜宿泊する予定だったけど、1つ前の街で、私とエドは市庁舎に向かった。
そこで私とエドは結婚を届け出た。
私はエドにこの国の言語で『エリナ』という文字を教えてもらい、自分の名前を自分で書いた。
その夜は2人で同じ部屋に泊まった。
王宮までは1月の旅になる。
4名とエドの5名が、今回王宮から派遣された部隊で、5人は気心の知れた仲のようだ。
エドたちは黒髪の少女の話を聞き、すぐに王都を出発したそうだ。
道々伝え聞く話から、エドは私が春の女神ではないかと考え、私を見て自分の考えが正しかったと確信したらしい。
私はと言えば、自分がそんな大それた存在だとは信じられない。
ただ村を出て2日目から、あたり一面が雪景色に変わった。
あの村の周辺だけに春が訪れたというエドの話は、本当だったのだ。
「なぁ、エリナ、結婚しないか。好きなんだ」
エドは馬に乗りながら、毎日私に言う。
私はどう答えたらいいのか分からず、無視してしまうか、話題を変えてしまうかだった。
でも今日は自分の思っていることを伝えてみようと思った。
「私はずっと虐げられ、心が凍っていたし、寂しかったのよ。だから甘い言葉を言われれば嬉しいと思ってしまう。でももしそれが軽口なら言わないでほしい。後になって『まさか本気にしたのか?』なんて言われたら立ち直れないから」
私は手綱を握るエドの手に、自分の手を重ねた。
「軽口の訳がないだろう。本当に好きなんだ。結婚してくれ」
エドは馬を止め、私を抱きしめ耳元で言った。
「でも付き合ってもいないのに?」
「お互いに好きなら結婚する。そうだろう?」
「そうなの?」
「そうだ」
私は馬を下り少し歩いた。エドも私の後をついてくる。
私は振り返り、エドを見上げた。
「私は寂しい。だから結婚して、あなたがずっと一緒にいてくれるなら、今すぐ結婚したい。でもそれは寂しさを埋めるために、あなたを利用しているのかもしれない。愛じゃないかもしれない。それでもいい?」
「それのどこがいけないのか分からない。ずっと一緒にいるし、エリナを守る。じゃあ、決まりだな」
エドは私を馬に乗せ走らせた。
少し走ったところで、4人が待っていた。
本当は次の街で今夜宿泊する予定だったけど、1つ前の街で、私とエドは市庁舎に向かった。
そこで私とエドは結婚を届け出た。
私はエドにこの国の言語で『エリナ』という文字を教えてもらい、自分の名前を自分で書いた。
その夜は2人で同じ部屋に泊まった。
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