異世界転移した少女は、黒髪ゆえ虐げられるも、王子に愛され復讐する~プラネット・ロンダリング~

百葉

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 連れていかれたのは、鉄格子で囲まれているものの、寝心地の良いベッドの用意された明るい部屋だった。
 私が神殿で与えられていた部屋に比べたら、何倍も過ごしやすい。


 夜、エドが牢にやって来た。
 私たちは鉄格子の前で対面した。

「大丈夫か?」
 エドは頬を腫らしている。王に殴られたところだ。

「私は大丈夫。ここは神殿の部屋に比べたらずっと過ごしやすい。心配しないで。それよりエドは大丈夫なの?」
 私は頬を指さした。

「このくらい、どうってことない」
 エドは笑った。
「男前が台無しね」
 私も明るく言った。

「エリナが春の女神だと証明して、必ずここから出す。そのために明日からまた、ミルトン村に行ってくる。しばらく留守にするけど待っていてくれ。ずっと一緒にいて守ると約束したのに、ごめん。思ってた以上に頭の固い奴らばかりだったみたいだ。もしかしたら辛いことをまた経験するかもしれないけど、ナナだけは信じてくれ。ナナの持ってくるものは食べて大丈夫だ。他の者が持ってくるものは、食べない方がいいかもしれない」
 
 エドは悔しそうな、悲痛な表情を浮かべた。

 心細さを隠し、私は頷いた。


 翌日から、私の牢にはたくさんの人がやって来た。
 不吉な黒髪の女を安全な場所から見物するには、牢はもってこいだったようで、私は動物園の動物のように鉄格子の外から見物された。

 大体が、「不吉」「醜い」「汚らわしい」と言い、汚物を見るような目で私を見た。
 中には泣きながら「エド様が悪魔に洗脳された」と言っている女の子もいた。
 エドはモテるみたいだ。

 朝食も昼食も差し入れられたものは食べず、昨夜エドが持ってきてくれたパンとハムを食べた。
 夕食の時、食事を持ってきた女性は私に食事を手渡す時、「ナナです」と小声で言った。
 優しそうな中年の女性だった。

「ナナさん、もしかしてエドはすごい人なの?」
 今日の見物人たちは、「殿下を洗脳した悪魔」と私を罵っていた。
 気になった私はナナさんに聞いてみた。

「私のことは、ナナと。エドワード様は第二王子です。軍に所属し近衛の小隊長に任じられています」
 ナナさんは小声で言うと、エプロンの中から追加の食料を渡し、去っていった。


 独りで夕食を取りながら、私はエドのことを考えていた。
 エドは最初からこうなることを予想していて、私を守るために結婚してくれたのだろう。

 ここが牢だとは思えない快適な部屋なのも、私が王子の妻だからというなら納得できる。
 エドが私を全力で守ろうとしてくれているのを感じた。
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