異世界転移した少女は、黒髪ゆえ虐げられるも、王子に愛され復讐する~プラネット・ロンダリング~

百葉

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 牢に入れられて2か月たった。
 ナナはエドの近況を教えてくれる。
 まだ手掛かりがつかめず王都に戻ってこられないようだ。
 ナナの所には時々エドから手紙が届いて、ナナはその内容を私に教えてくれていた。

 私は時たま取り調べを受けて、「どこから来た」「両親は」など聞かれた。
 黙っていると怒鳴られるので本当のことを言うと、また怒鳴られた。
 この国のことを知らない私は作り話もできないので、聞かれたら本当のことを話すことにした。

 私を見に来る人はいなくなった。見物したい人は皆、見終わったようだ。

 神殿にいた時、私はひたすらひもじくて、どんどん痩せていった。
 エドと旅を始めてから食事は改善され、健康的になってきた。
 神殿にいた頃に比べたら元気なはずなのに、最近体調が悪い。
 心当たりがあったけど、今はまだ誰にも言わない方がいいと判断した。



 半年経ったころ、ナナは食事を差し入れる時、1通の手紙を持ってきた。
 私はこちらの文字が分からない。いつもならナナは手紙を持ってこず、内容を教えてくれるのになぜ?
 
「エリナ様、今回の手紙の内容は悪い報せです。聞きますか?」
「エドに何かあったの?」
 私は頭が真っ白になって、声はかすれていた。

「エド様ではありませんが、エリナ様が御世話になった方です」
 クレアとウォーレン?私は頷いた。

『エリナ、落ち着いて聞いて欲しい。クレアとウォーレンが亡くなった。火事だ。二人は村の者たちから迫害を受けていた。村の者たちの行動がエスカレートし、誰かが家に火をつけた。犯人はまだ分かっていない。村の者たちは口を閉ざしている。私が絶対に犯人を捕まえ、二人の無念を晴らすよ。最後に話した時、二人は私たちの結婚を知って祝福してくれた。いい人たちだったのに、悔しいよ』

 私は初めて悔しくて、苦しくて、悲しくて泣いた。

 どんなにひどい言葉を投げつけられても、大変な仕事をさせられても、寒くてもひもじくても、泣くもんかって頑張って来た。
 でもクレアとウォーレンの死が苦しくて我慢できない。

 二人が村人から迫害されていたなら、それは間違いなく私のせいだ。
 あんないい人達が迫害を受ける理由は私以外にない。

 私が神殿から消えて、石を投げる相手がいなくなった村人たちは、クレアとウォーレンに標的を定めたのだろう。
 村を出る日、私はエドの馬に乗って二人の家に行った。
 それが見られていてのだろう。

 ウォーレンは私に会いに来るとき、いつも警戒していた。
 それなのに私はあんな目立つ行動をとった。
 二人が大切だからこそ、私は二人にお礼を言いに行くべきではなかった。
 クレアのお腹には赤ちゃんもいたのに。
  私は自分の行動を後悔した。


 私はハッとして顔を上げ、ナナを見た。
「エドは?エドも迫害を受けているの?」

 ナナは暗い顔で俯いた。
「エド様が悪魔に洗脳されたとして、王位継承権をはく奪すべきだという声が上がっています。ですが、大丈夫です。エド様はお強いですから」

 ナナは最後には自分に言い聞かせるように、私を慰めるように明るい表情をした。

 エドも私と関わったことで、不幸になってしまうの?
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