3 / 113
終わりと始まり
第2話・魔法と鋳造
しおりを挟む―――西の洞窟―――
転生初日に逃げ込んだ洞窟を拠点とし、数日が経った。
「せいっ!!やぁ!!とぅ!!」
僕はアリスに言われるままに剣の稽古をした。
たまたま逃げ込んだ洞窟だったが、水もあり、少し離れた場所には木の実もなっている。
洞窟内には剣や斧が落ちており、過去にこの周辺で戦闘が行われた跡の様にも思えた。その剣を使い、アリスに教えてもらいながら魔物を狩っていく。
「あらかた周囲の下級な魔物は狩れるようになったの。次はちょっと魔法の練習でもしてみるかの」
「魔法って誰にでも使えるものなのか?」
「うむ。適正はそれぞれあるが、人間では生まれながらに魔力を持つ者は魔法を操れるが、元々魔力のないものは生涯魔法は使えん。また光や闇といった自分の得意な属性や召喚魔法もある。適正が合えば高度な魔法も使用可能じゃ」
魔力……属性に召喚か。いや適正がなければそもそも魔法は使えないということか……。
「案ずるな。そなたには魔力適正が備わっている。わしがこの世界に転生させる時にちぃと、体をいじっておいたからの」
「心を読むな、体もいじるな」と色々思う所もあったが、考えても何も変わらないので、とりあえずアリスの言う通りにすることにした。
「魔力とは肉体ではなく、魂の生命力みたいなものだと思え。魔力が尽きると気を失う。使い切ると命の危険もあり得る。そして魂の生命力が強ければ強いほど強大な魔力を得られる」
「肉体にはまったく依存しないのか?」
「うむ。依存するのは魂と適正能力。あと魔法の習得に必要な知識じゃな。肉体と魔力は別物だと思うがよい」
「なるほど」
つまりは肉体が子供であっても、魂、すなわち生命力が強大ならそこそこ強い魔法は使える。だが、そもそも習得した魔法しか使えない、ということか。
「それではやってみるかの。心の中で魔法をイメージして魔力を膨らませ放つ。光の柱を使ってみよ」
「わかった……」
僕は心の中で光の柱をイメージした。光の柱、光の柱、光の……そして……放つ!!!
「光の柱!!」
し――――――ん……
「……え。何も起きない?」
「まぁ最初は皆、こんな感じで練習をしていく、ということじゃな。次は詠唱をしてからとするかの。時間はかかるが発動はできるじゃろ。詠唱とはイメージを言葉で表すことじゃ。最初は無詠唱で使えるほど簡単にはゆかぬ」
「は、ははは……そうだよね。いきなりは無理だよね。しかも詠唱あるんなら先に教え……」
その時だった!!
ピカッッ!!!!!ズッドォォォォォォォォォォンッッ!!!!
近くの山頂で閃光が走り、巨大な光の柱があたりを包む!!
パラパラパラ……
「へ?」
「へ?」
僕とアリスは目が点になる。しかも走った閃光が……その……あれだ。曲線というか、その……胸の形というか……うん。あれは胸の形だったな。
「は?」
「は?」
……顔を見合わせ、沈黙が流れる。
「貴様!魔法をイメージしてる時に胸の想像をしたなっ!!!この変態めっ!この変態!アリスちょぉぉっっぷ!!!」
べしっ!!
「いってぇぇぇぇ!」
「ふん!……しかし無詠唱でこの威力とは恐れ入った。そなたは剣より、魔法に長けているのかもしれんの。一度、魔力鑑定をすればはっきりするのじゃが……」
今の光の柱で山の周辺にいた魔物を一掃した様だ。
この世界の不思議な所はたくさんある。倒した魔物のアイテムや硬貨が自動的に入手できること。また離れていても入手可能だ。倒してすぐであれば素材として魔物をアイテムボックスに収納も可能。まるでゲームの中のようだ。
「ハルトよ。眉間に力を入れ意識を集中させてみよ」
「こうか?」
意識を向けると何もない空間に、通貨、魔法、アイテム、固有スキルなどの表示がある。さっきの光の柱で魔物をけっこう倒したのか。アイテムがいっぱいになってる。
「アリス。アイテムがたくさん入るカバンみたいなのも存在するのか?」
「うむ。アイテムBOXだな。魔物を狩ると時々、BOXの素材がドロップする。それを鋳造すると作れるぞ」
「鋳造?」
「要は2つの物から1つの物を作る合体魔法じゃ。習得可能じゃから、あとでやってみるがいい」
…
……
………
――1ヶ月後。
アリスに教えてもらい、魔法の習得をし、魔力制御も覚え、アイテムや通貨も持てるだけ持った。僕なりにかなり成長した気分だ。
これで!!……ふと、気付く。これで……これで?僕はどうするんだ?
よくある話だが、元の世界に帰るとか?魔王を倒すとか?そういう設定の元、修行をしたり、目的を果たすために頑張るとかじゃないのか。
「なぁ、アリス。僕はこの世界で何をしたらいいんだ?」
「今さらなんじゃ。子作りと言ったではないか」
「は?」
ぽかーんとする僕を、アリスは冷ややかな目で見ている。
「子作り、ていう魔法とか、何かの暗号とかか?」
「何を言っておる。子供を作るのじゃ、わしのために。転生した日に教えたではないか」
……何て言うか、あれだ。ウメコのくだりで聞いてなかったやつだ。という事は、今までの修行は何だったんだ!!と思うが時すでに遅し。最初にちゃんと聞いとくべきだった。ここに来てようやく目的を知った僕だった……。
13
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
女神の白刃
玉椿 沢
ファンタジー
どこかの世界の、いつかの時代。
その世界の戦争は、ある遺跡群から出現した剣により、大きく姿を変えた。
女の身体を鞘とする剣は、魔力を収束、発振する兵器。
剣は瞬く間に戦を大戦へ進歩させた。数々の大戦を経た世界は、権威を西の皇帝が、権力を東の大帝が握る世になり、終息した。
大戦より数年後、まだ治まったとはいえない世界で、未だ剣士は剣を求め、奪い合っていた。
魔物が出ようと、町も村も知った事かと剣を求める愚かな世界で、赤茶けた大地を畑や町に、煤けた顔を笑顔に変えたいという脳天気な一団が現れる。
*表紙絵は五月七日ヤマネコさん(@yamanekolynx_2)の作品です*
天才天然天使様こと『三天美女』の汐崎真凜に勝手に婚姻届を出され、いつの間にか天使の旦那になったのだが...。【動画投稿】
田中又雄
恋愛
18の誕生日を迎えたその翌日のこと。
俺は分籍届を出すべく役所に来ていた...のだが。
「えっと...結論から申し上げますと...こちらの手続きは不要ですね」「...え?どういうことですか?」「昨日、婚姻届を出されているので親御様とは別の戸籍が作られていますので...」「...はい?」
そうやら俺は知らないうちに結婚していたようだった。
「あの...相手の人の名前は?」
「...汐崎真凛様...という方ですね」
その名前には心当たりがあった。
天才的な頭脳、マイペースで天然な性格、天使のような見た目から『三天美女』なんて呼ばれているうちの高校のアイドル的存在。
こうして俺は天使との-1日婚がスタートしたのだった。
わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...
MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。
ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。
さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか?
そのほかに外伝も綴りました。
【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。
三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎
長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!?
しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。
ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。
といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。
とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない!
フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!
春の雨はあたたかいー家出JKがオッサンの嫁になって女子大生になるまでのお話
登夢
恋愛
春の雨の夜に出会った訳あり家出JKと真面目な独身サラリーマンの1年間の同居生活を綴ったラブストーリーです。私は家出JKで春の雨の日の夜に駅前にいたところオッサンに拾われて家に連れ帰ってもらった。家出の訳を聞いたオッサンは、自分と同じに境遇に同情して私を同居させてくれた。同居の代わりに私は家事を引き受けることにしたが、真面目なオッサンは私を抱こうとしなかった。18歳になったときオッサンにプロポーズされる。
大和型戦艦、異世界に転移する。
焼飯学生
ファンタジー
第二次世界大戦が起きなかった世界。大日本帝国は仮想敵国を定め、軍事力を中心に強化を行っていた。ある日、大日本帝国海軍は、大和型戦艦四隻による大規模な演習と言う名目で、太平洋沖合にて、演習を行うことに決定。大和、武蔵、信濃、紀伊の四隻は、横須賀海軍基地で補給したのち出港。しかし、移動の途中で濃霧が発生し、レーダーやソナーが使えなくなり、更に信濃と紀伊とは通信が途絶してしまう。孤立した大和と武蔵は濃霧を突き進み、太平洋にはないはずの、未知の島に辿り着いた。
※ この作品は私が書きたいと思い、書き進めている作品です。文章がおかしかったり、不明瞭な点、あるいは不快な思いをさせてしまう可能性がございます。できる限りそのような事態が起こらないよう気をつけていますが、何卒ご了承賜りますよう、お願い申し上げます。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる