異世界ざこぴぃ冒険たん

ざこぴぃ。

文字の大きさ
47 / 113
ホンモノと複製

第46話・神の経典

しおりを挟む

―――エルフの森南の湖―――

ゴォォォォォォォォォォォォ……!
パラパラパラパラ……。

 しばらくすると辺りに再び静けさが戻る。そしてにらみ合う、僕と魔物となったカイ。

時雨一文字シグレイチモンジ!」

 魔物カイとの間合いを一瞬で詰め、右腕を切り飛ばす!血しぶきと共に魔物カイの右腕が地面に転がる。

「ほぅ、お前なかなか速いな。だが……グガガガガガガガガ……!」

雄叫びと共に魔物のカイの右腕が再生する。

「アリス、今の見たか?再生したように見えたけど……」
「いやな胸騒ぎはこれか。こやつ神族かもしれぬ」
「神族……」
「ゲヘヘヘヘ。何をしても無駄だ。いくら切った所で再生して甦る。ギャハハハハ!」
「あぁ、ウザい。こんなやつの下でメリダは奴隷としてこき使われたのか。ゲスめ、ゴミ虫め……」
「死ぬ前にお前に教えてやるよ。この大陸の魔王軍四死聖の四人はいずれオレが殺す予定だった。このマサミカ大陸はいずれオレの物。女以外は全員殺してやる。お前らなんぞ……」

くそが……この雑魚……雑魚雑魚……。

「ザコザコザコザコ……あっ」

思っていた声が口に出ていた。次から気を付けよう。

「きさまぁぁぁ!!死ねぇぇぇ!!」

 魔物カイの体から無数の毒針が放たれる。そして口から光線が放たれる!さらに目も光りだした!

「……合体ロボか、お前は」

呆れた顔で僕は右手をかざす。

黒穴ブラックホール!』

 僕が手をかざすと、すごい勢いで黒穴に魔物カイが放った攻撃が全て吸い込まれていく。

「……へ?」
「もういいか?疲れた、お前と遊ぶのに」
「くそっ!魔王殺法電気火花スパーク!!」

辺りに閃光が走り爆発する。

「……だからそれが何だ」

 僕はかわす事も無く全部受けきる。扇風機の中風くらいな感じしかしない。

「アリス。もしかしてだけど、神族を消滅させようとすると再生不可能な大きさとかがあるのか?」
「うむ。2分の1程度ではなかろうか。本体の2分の1を失えば戻らない可能性はあるの」
「そうか……よし。やってみるか」

僕は妖刀時雨を構え、身を低くする。

高速移動ランファースト・改・脱兎ウサギアシ!」

さらに見様見真似、加速剣技……!

「奥義っ!!無双千草ムソウチグサっ!!」

スッ……と僕の周りの時間がゆっくりになる。

「き、消えた……?どこだ……どこへ行きやがった!」

次の瞬間!

『ザシュ!ザシュ!ザシュ!ザシュ!ザシュ!』
「ギャァァァ!ウォ!イテェ!ヤ、ヤメ!ギャァァァ!」
『ザシュ!ザシュ!ザシュ!ザシュ!ザシュ!』
「うぉぉぉぉぉぉぉぉ!!」

魔物カイを切り刻む!!

「ヤ、ヤメ!タ、タスケ……!」
「もういい、だまれ!」
『ザシュ!!!!!!』

 おびただしい鮮血が辺りに飛び散り魔物カイは粉々になり、そして蒸発するように消えていく……同時に、ドクンッ!と副作用の疲労が足にきて倒れ込む。

「はぁはぁはぁ……これでようやくメリダに胸を張れ……る……」

カイの最後を見届け、僕はそのまま倒れ込んだ……。


……
………


―――異次元空間・アリスのお部屋―――


「HI.everyone!」
「誰、得だよ」
「お疲れ、お疲れ。まぁまぁ一杯」
「アリス……おっさん化してきたな……」
「あらあら。ハルトさん、お疲れ様でした。どうぞ」

 きりんが紅茶を淹れてくれる。魔物カイを倒した所までは覚えているが、その後また気を失ったのか。

「そうじゃの。神属性魔法を使った反動じゃな」
「あ。そうだ!アリス、色々聞きたいことがある!魔物――」
「魔物カイは消滅したぞ。レディと避難したエルフ、エルも無事じゃ。ミレーとベリアルが出来とったのは茶化して笑っておいてやったぞ!しっしっしっ!」
「あぁ……う、うん。だいたいわかった。て、あれ?僕が意識がない間は外に出れないんじゃ?」

きりんが窓を指差す。

「それがですね。窓がですね。開くようになりまして……出入りが自由に……おほほ……」
「もう僕は人間卒業ですね……カイの事を合体ロボとか言ったのに、自分も似たような者です……」
「わしも知らんかった。あれって開くんじゃな!しっしっし!ちなみにゼシカとレディが夜這いに来て、かち合って喧嘩しておったぞ!」

ゲラゲラ笑いながら僕に指を差すアリス。

「おのれは……!はぁぁ……」

僕は紅茶を一口飲んで落ち着く。

「そう言えば前から聞きたかったんだが、神の子6人を育てて魔法陣を張るっていうやつ。あれは神様に伝わる言い伝えなのか?」
「うむ、この教典の教えじゃな」

 アリスが大事そうに本を取り出した。かなりの古さを感じる。

「経典の……18ページ目じゃったかの。わしが幼い頃に母上様が良く読んでくれたのじゃ。懐かしいのぉ」
「へぇ、神様の教典か……どれどれ」

 経典が破れない様にそっと18ページ目を開く……。

『ゆうしゃは、わるいまものをたおすために6にんのかみのこをさがしました。だけどみつかりません。そうだ。ぼくがかみのこをつくればいいんだ!ゆうしゃはたびにでて、おんなのこをさがしました』
「……え?これって絵本?ちょっと待て。そんなはずは……」

僕は目をこすり、もう1度18ページ目を開く。

『ゆうしゃはわるいまものをたおすために6にんのかみのこをさがしました。だけど……』

 そこには勇者の挿絵が描かれている。そして後から色鉛筆でヒゲとか、眼鏡とか、色々描き足されていた……。

「絵本じゃねぇかっ!?」
「どうじゃ、そこに書いてあるだろう」
「アリス……たぶんこれは作り話……」

頭がまっ白になる。

「え?作り話……?」

 僕とアリスときりんが顔を見合わせ、首を横に傾ける。
 落ち着け僕。そもそもこれが教典だとしてもだ。
『ゆうしゃはわるいまものをたおすために6にんのかみのこをさがしました』て言うことは、神の子を6人探すのが先なのでは……。

「アリスっ!」
「はひっ!?」

僕の呼びかけにビクッとするアリス。

「もしかしてだけど……アリス、プリン、レディ、ベリアル、ミレーて神の血筋の子だから既に5人いるんじゃないのか?」
「……え。どういう事なのじゃ?」
「あぁ!なるほどですわね」

きりんには意味がわかったみたいだ。

「だか……ら――」

言いかけて、急に意識が飛んだ。


……
………

―――エルフの里宿舎―――

「ここは……?」

体が重い。いつもの神族魔法の反動か?

「!?」

 ゼシカとレディとエルが絡まって、僕に乗っている。何があったかは知らないが、色々と丸出しだっ!ありがとう神様!

『チュンチュン、チュンチュン……!』

 外から小鳥の声がする。今日はすごく良い1日になりそうだ!
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

おじさん、女子高生になる

一宮 沙耶
大衆娯楽
だれからも振り向いてもらえないおじさん。 それが女子高生に向けて若返っていく。 そして政治闘争に巻き込まれていく。 その結末は?

女神の白刃

玉椿 沢
ファンタジー
 どこかの世界の、いつかの時代。  その世界の戦争は、ある遺跡群から出現した剣により、大きく姿を変えた。  女の身体を鞘とする剣は、魔力を収束、発振する兵器。  剣は瞬く間に戦を大戦へ進歩させた。数々の大戦を経た世界は、権威を西の皇帝が、権力を東の大帝が握る世になり、終息した。  大戦より数年後、まだ治まったとはいえない世界で、未だ剣士は剣を求め、奪い合っていた。  魔物が出ようと、町も村も知った事かと剣を求める愚かな世界で、赤茶けた大地を畑や町に、煤けた顔を笑顔に変えたいという脳天気な一団が現れる。  *表紙絵は五月七日ヤマネコさん(@yamanekolynx_2)の作品です*

天才天然天使様こと『三天美女』の汐崎真凜に勝手に婚姻届を出され、いつの間にか天使の旦那になったのだが...。【動画投稿】

田中又雄
恋愛
18の誕生日を迎えたその翌日のこと。 俺は分籍届を出すべく役所に来ていた...のだが。 「えっと...結論から申し上げますと...こちらの手続きは不要ですね」「...え?どういうことですか?」「昨日、婚姻届を出されているので親御様とは別の戸籍が作られていますので...」「...はい?」 そうやら俺は知らないうちに結婚していたようだった。 「あの...相手の人の名前は?」 「...汐崎真凛様...という方ですね」 その名前には心当たりがあった。 天才的な頭脳、マイペースで天然な性格、天使のような見た目から『三天美女』なんて呼ばれているうちの高校のアイドル的存在。 こうして俺は天使との-1日婚がスタートしたのだった。

わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...

MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。 ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。 さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか? そのほかに外伝も綴りました。

【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。

三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎ 長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!? しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。 ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。 といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。 とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない! フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

春の雨はあたたかいー家出JKがオッサンの嫁になって女子大生になるまでのお話

登夢
恋愛
春の雨の夜に出会った訳あり家出JKと真面目な独身サラリーマンの1年間の同居生活を綴ったラブストーリーです。私は家出JKで春の雨の日の夜に駅前にいたところオッサンに拾われて家に連れ帰ってもらった。家出の訳を聞いたオッサンは、自分と同じに境遇に同情して私を同居させてくれた。同居の代わりに私は家事を引き受けることにしたが、真面目なオッサンは私を抱こうとしなかった。18歳になったときオッサンにプロポーズされる。

大和型戦艦、異世界に転移する。

焼飯学生
ファンタジー
第二次世界大戦が起きなかった世界。大日本帝国は仮想敵国を定め、軍事力を中心に強化を行っていた。ある日、大日本帝国海軍は、大和型戦艦四隻による大規模な演習と言う名目で、太平洋沖合にて、演習を行うことに決定。大和、武蔵、信濃、紀伊の四隻は、横須賀海軍基地で補給したのち出港。しかし、移動の途中で濃霧が発生し、レーダーやソナーが使えなくなり、更に信濃と紀伊とは通信が途絶してしまう。孤立した大和と武蔵は濃霧を突き進み、太平洋にはないはずの、未知の島に辿り着いた。 ※ この作品は私が書きたいと思い、書き進めている作品です。文章がおかしかったり、不明瞭な点、あるいは不快な思いをさせてしまう可能性がございます。できる限りそのような事態が起こらないよう気をつけていますが、何卒ご了承賜りますよう、お願い申し上げます。

処理中です...