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3話
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「やっと戻ってきた」
アイザックの生まれ育った村、ロベ村。
勇者パーティーから追放及び解散したあと、数週間かけて、戻ってきた。
村から出たのは1年以上前ではあるが、行きと違い、道すがらのモンスターを倒すのには、さほど時間はかからなかった。
勇者の力は下がってきてはいるはずなのに、不思議に思った。
しかし、魔王城付近といわゆる始まりの村と言われるロベ村付近の魔物のレベルは桁違いなので、まだ中堅レベルくらいなら倒せるのだろうと納得した。
また、ロベ村から出るときにいくらかお金はもらったものの、村から出たことはなかったため、慎重に使いなさいと言われ、最初の頃は馬車ではなく、徒歩で向かっていた。
魔物狩りで安定した報酬が出てから、馬車を使うようになった。
魔王討伐の報奨金が出たため、馬車で通ることが困難な道以外は馬車を使って、帰ったことも早く帰ることができた理由の一つであったのだろう。
報奨金はもらったが、村に帰るのに荷物が多かったので、いくらか売っていった。
食べ物をお土産にしようかとも考えたが、どれくらいの日数がかかるか分からず、マジックボックスは魔法使いのガーネットしか使えなかったので、せめて日持ちする薬だけを持って帰った。
武器もいくつか持っていたが、今手元にあるのは、背中にかけている剣一本。
これは、この村から出るときから、持ち続けている。
(まあ、村に着いたら、この剣も返さないといけないね)
丸太で作られた簡易的な門の代わり。
そこをくぐる前から、家々が並んでいるのが見える。
日がもう暮れている時間帯に帰ってきており、だいたいの人が家に入っていた。
煙突から煙と、家からは空腹を誘う匂いが漂っていて、もう夕食支度を終わらせて、これから食べ始めようとしているところが多い。
真ん中の一本道をまっすぐ歩いていく。
その突き当たりに、他の家と同じく丸太で作られているが、一際大きい建物が見えてくる。
ここは、役所、ギルド、酒場そして、村長の自宅も兼ね備えており、夜になると、自宅に食事がないか、単純に仲間と騒ぎたい冒険者たちが集まってくる。
村を出る前はまだ成人しておらず、酒場には食事くらいしかしたことなく、家族と騒ぐ大人たちを眺めていた。
顔と足が見える扉をぎいっと開く。
前と変わらず、騒がしく戻ってきたんだなと感じる。
人一人入ってきたことなど全く気づく様子がない。
「あれ、アイザック?」
ウェートレスの一人がちらっと視線を向ける。
外から来る人があまりいないロベ村ではだいたいが顔なじみである。
その言葉でいったん騒がしさがやみ、アイザックに視線が集まった。
「お前、アイザックじゃねえか!」
「一体いつ帰ってきたんだよ!」
「魔王討伐お疲れさん」
村のアイザックより年上の大人たちが一斉に集まってくる。
しばらく、アイザックたち以外に子供がいない時代があったので、彼らは大人から可愛いがられていた。
「せっかくアイザックが戻ってきたんだ。今宵は宴だあ!」
「ごめん。今日は帰ったばかりで疲れているんだ。明日以降でもいい?」
「なんでえ。つまんねえな」
「まあ、ちゃんとした宴やるなら準備がいるよな」
「村中の食べ物かき集めようぜ」
渦中のアイザックを話の輪に入れず、盛り上がっていく大人たち。
「アイちゃん…?」
そうつぶやく声にアイザックは振り返る。
その女性は他の女性陣と同じウェートレスの制服を着ていた。
「ただいま、アイくん」
アイザックの生まれ育った村、ロベ村。
勇者パーティーから追放及び解散したあと、数週間かけて、戻ってきた。
村から出たのは1年以上前ではあるが、行きと違い、道すがらのモンスターを倒すのには、さほど時間はかからなかった。
勇者の力は下がってきてはいるはずなのに、不思議に思った。
しかし、魔王城付近といわゆる始まりの村と言われるロベ村付近の魔物のレベルは桁違いなので、まだ中堅レベルくらいなら倒せるのだろうと納得した。
また、ロベ村から出るときにいくらかお金はもらったものの、村から出たことはなかったため、慎重に使いなさいと言われ、最初の頃は馬車ではなく、徒歩で向かっていた。
魔物狩りで安定した報酬が出てから、馬車を使うようになった。
魔王討伐の報奨金が出たため、馬車で通ることが困難な道以外は馬車を使って、帰ったことも早く帰ることができた理由の一つであったのだろう。
報奨金はもらったが、村に帰るのに荷物が多かったので、いくらか売っていった。
食べ物をお土産にしようかとも考えたが、どれくらいの日数がかかるか分からず、マジックボックスは魔法使いのガーネットしか使えなかったので、せめて日持ちする薬だけを持って帰った。
武器もいくつか持っていたが、今手元にあるのは、背中にかけている剣一本。
これは、この村から出るときから、持ち続けている。
(まあ、村に着いたら、この剣も返さないといけないね)
丸太で作られた簡易的な門の代わり。
そこをくぐる前から、家々が並んでいるのが見える。
日がもう暮れている時間帯に帰ってきており、だいたいの人が家に入っていた。
煙突から煙と、家からは空腹を誘う匂いが漂っていて、もう夕食支度を終わらせて、これから食べ始めようとしているところが多い。
真ん中の一本道をまっすぐ歩いていく。
その突き当たりに、他の家と同じく丸太で作られているが、一際大きい建物が見えてくる。
ここは、役所、ギルド、酒場そして、村長の自宅も兼ね備えており、夜になると、自宅に食事がないか、単純に仲間と騒ぎたい冒険者たちが集まってくる。
村を出る前はまだ成人しておらず、酒場には食事くらいしかしたことなく、家族と騒ぐ大人たちを眺めていた。
顔と足が見える扉をぎいっと開く。
前と変わらず、騒がしく戻ってきたんだなと感じる。
人一人入ってきたことなど全く気づく様子がない。
「あれ、アイザック?」
ウェートレスの一人がちらっと視線を向ける。
外から来る人があまりいないロベ村ではだいたいが顔なじみである。
その言葉でいったん騒がしさがやみ、アイザックに視線が集まった。
「お前、アイザックじゃねえか!」
「一体いつ帰ってきたんだよ!」
「魔王討伐お疲れさん」
村のアイザックより年上の大人たちが一斉に集まってくる。
しばらく、アイザックたち以外に子供がいない時代があったので、彼らは大人から可愛いがられていた。
「せっかくアイザックが戻ってきたんだ。今宵は宴だあ!」
「ごめん。今日は帰ったばかりで疲れているんだ。明日以降でもいい?」
「なんでえ。つまんねえな」
「まあ、ちゃんとした宴やるなら準備がいるよな」
「村中の食べ物かき集めようぜ」
渦中のアイザックを話の輪に入れず、盛り上がっていく大人たち。
「アイちゃん…?」
そうつぶやく声にアイザックは振り返る。
その女性は他の女性陣と同じウェートレスの制服を着ていた。
「ただいま、アイくん」
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