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15話

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 「じゃあ、スコルの目も覚めたことだし、そろそろ朝食にするか。アイちゃん、手伝って」
「…はーい!」
アイリスは涙をぬぐって、立ち上がる。
テーブルの上に、スープ、パン、サラダ、オムレツとソーセージが、次々人数分が運ばれていく。
食事のいい匂いが家中に漂い、その匂いでスコルの体もだんだんと覚醒していく。
スコルは立ち上がって、アイリスとアイザックのいるテーブルへと、ゆっくり歩みを進める。
「もう、立ち上がって大丈夫なの?」
「ああ、心配をかけたな」
「食べれば、元気も出るだろ。昨日準備したから、シンプルなので悪いけど」
「え…」
アイザックの言葉に、スコルは顔を引きつらせる。
「あ、主が作られたのですか?」
「お、おう。そうだけど」
アイザックは何でそんな質問をされたのか分からないので、キョトンとする。
スコルは緊張した面持ちで、ゴクリと息を飲む。
「あ、もしかして苦手なものでもあったか?」
「…そういう訳ではないのですが」
そのとき、ちらりとアイリスの方に視線を向ける。
しかし、アイリスは何で自分を見たか分からないので、不思議そうに首をかしげる。
それを見て、スコルはがーんと、絶望していた。
そして、しぶしぶ席につく。
苦虫をかみつぶしたような顔を抑えきることができなかった。
その後に続いて、アイリスとアイザックも席につく。
アイリスとアイザックが隣り合わせで、向かい側にスコルが座っている。
「んじゃ、いただきます」
「いただきまーす」
「…いただきます」
意気消沈しながらも、二人の後に挨拶を言う。
ぱくっと、一口入れる。
その途端、目をばっと大きく見開く。
そして、ぱくぱくと次々口に入れていく。
「ど、どうしたの?」
「早く食べすぎると、体に悪いぞ」
今までの食事への躊躇から、一転してどんどん食べていくのを、どうしたんだと心配になって、顔をうかがう。
「美味しい…」
「え?」
「美味しいです、主!」
スコルは興奮して、大声を上げる。
アイザックは今までのスコルの雰囲気から、物静かなタイプだと勘違いしていて、こんな大声を出すタイプなのかと驚いている。
アイリスも、一緒に旅をしてきて、こういう一面があることは知っているが、何がスコルの琴線に響いたのか、分からなかった。
確かに、アイザックの料理は美味しい。
そんな美味しい料理を食べたいから、最近はアイリスは台所に立っていない。
酒場でも厨房に立つことはなく、運ぶの専門だ。
(でも私だって、料理振る舞ったことあるのに、そんな驚く?)
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