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5話
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何度も言っているが、この世界というより、乙女ゲームをプレイしたことはがない。
でも、小説漫画アニメで悪役令嬢というのが流行っていて、姉が見るアニメを傍らで見ていた。
いわゆる主人公のヒロインの恋敵。
ヒロインが平民ということが多いので、貴族の彼女が育ちの違いでいじめたりするというのが、多かった。
まあ、それがいじめではなく、正当な指導というのもあるが。
この二人の態度を見る限り、いじめいじめられの関係ではなさそうだが。
「ヴィオラ、第一王子と仲良かったんだ」
「うん。貴族社会の分からないところとか教えてもらっているんだ。いい友人だよ」
そういうヴィオラの頬はほんのり赤くなっている。
この表情は前世の姉でも見たことある。
恋する乙女の表情だ。
ひとまず、攻略対象という言い方もこの世界で今生きているのにどうかと思うが、第一王子で間違いないようだ。
まあ、他にそういう相手もいるかもしれないから、安心できないけど。
いや、でもヴィオラが逆ハーレム作るとか、マジで考えたくないな。
「またまたそんなこと言って」
「お互いにまんざらでもないのは、見ていて分かるよ」
シェリーとミオンは典型的な恋話ができて、楽しいのかはしゃいでいる。
「もう二人とも!ロゼッタ様に対して、不敬だよ!」
しっかり者なヴィオラが二人を咎める。
「あの人、ロゼッタ様っていうのか」
「そう。ハルト殿下の婚約者なの。お二人って、お似合いよね」
ヴィオラは二人のことを愛おしそうに思い、でもその様子が寂しそうに見えた。
「お待たせいたしました」
「あ、注文したの来たよ。食べよ食べよ」
気を取り直して、食べ始める。
食事が終わった後は、ドレスを取りに服屋に向かう。
三人分のドレスはなかなかに重く、さらに俺という男手が入ったことをいいことに、アクセサリーや厚い魔法の本なども買いに行った。
重いのもあるし、街中を歩いたので疲れたが、久しぶりにヴィオラと過ごす時間が過ごせたので、楽しかった。
買い物が一通り終わり、校門前にいる。
まだ、もう少し話したい俺たちに考慮してくれて、ヴィオラの友人たちは先に寮に戻って、準備している。
「じゃ、ここまでだね」
「悪いな。部屋まで持っていけたら、よかったんだけど」
「私の弟とはいえ、アズは部外者だもん。不法侵入になっちゃう」
「やあ、また奇遇だね」
声をかけてきたのは、ハルト王子。
後ろにはロゼッタも控えている。
「よかった、ドレスも用意できたのか」
「私、冒険者なので、自分の稼ぎでドレスの一着や二着用意できます」
「よかった。断られたときは、どうするかと思ったが、安心したよ」
「ちょっと!」
ヴィオラが冷や汗流しながら、後ろに目配せする。
「確かに婚約者がいながら、他の女性にドレスを贈るのはどうかと思いますね。でも、殿下は優しい方ですから、ドレスのない平民のヴィオラに贈るのは当然ですわね」
おほほ、と笑ってはいる。
よく見るおしゃれな扇子でパタパタさせているし、目元はにっこりしている。
でも、隠れた口元は笑っていないやつだ。
浮気夫を責める妻、みたいな雰囲気がある。
そして、ヴィオラに対しての言葉に、どこかチクチク感がする。
当事者のハルトはともかく、本当に部外者の俺は、女の修羅場に巻き込まれそうで、居心地が悪い。
「用意できたのなら、よかったですわ。でも、言ってくれたら、ヴィオラになら、何着でもお貸ししましたのに」
「そんな!ロゼッタ様のドレスを汚すわけにはいきませんので!」
「そう?まあ、確かに引き裂かれて、回し蹴りでもされたら、困りますからね」
「き、緊急時でもない限り、そんなことしませんよ!」
これは思ったより、ロゼッタ嬢とも交流をしていたのだろうか。
いや、それより。
「ヴィオラ、一体何やったの?」
確かにヴィオラは昔からお転婆なところはあったけど。
「…研修旅行行ったとき、盗賊に襲われて。そいつらを捕まえるときに、動きづらいなと」
ぼそりぼそりつぶやいていく。
「俺、そんなこと聞いてないけど!」
「だって、家族に言ったら、心配かけると思ったから」
そんな泣き言を言っている。
でも、俺は容赦なく、ヴィオラが報連相を怠った罰として、頬を強く引っ張る。
「いひゃいよ」
「このことは俺が帰ったら、すぐ報告するからな」
「やめて!正座何時間されるか分からない!」
「二人って、仲が良いんだね」
そうハルト王子に声をかけられて、この場に他に人がいることを思い出した。
「すみません。身内の見苦しいところをお見せして」
「いや。僕にも兄弟がいるんだが、こんな気のおけないやり取りはしてこなかったから、珍しくてね」
「そうですわね。あなた、弟なんですよね。それなのに、ヴィオラと呼び捨てなんですのね」
「私たち、年が一つしか違わないのもあって、姉、弟って感じがしないんですよね。一緒に暮らしている親友みたいな感じです」
「俺も姉貴って、呼ぼうとしたことあるんですが、お互いしっくりこなかったので、今も名前呼びを続けてます」
前世の記憶が戻って、ヴィオラが主人公だと知っても、俺のヴィオラに対する思いとか絆は変わらない。
家族以上に家族だ。
でも、小説漫画アニメで悪役令嬢というのが流行っていて、姉が見るアニメを傍らで見ていた。
いわゆる主人公のヒロインの恋敵。
ヒロインが平民ということが多いので、貴族の彼女が育ちの違いでいじめたりするというのが、多かった。
まあ、それがいじめではなく、正当な指導というのもあるが。
この二人の態度を見る限り、いじめいじめられの関係ではなさそうだが。
「ヴィオラ、第一王子と仲良かったんだ」
「うん。貴族社会の分からないところとか教えてもらっているんだ。いい友人だよ」
そういうヴィオラの頬はほんのり赤くなっている。
この表情は前世の姉でも見たことある。
恋する乙女の表情だ。
ひとまず、攻略対象という言い方もこの世界で今生きているのにどうかと思うが、第一王子で間違いないようだ。
まあ、他にそういう相手もいるかもしれないから、安心できないけど。
いや、でもヴィオラが逆ハーレム作るとか、マジで考えたくないな。
「またまたそんなこと言って」
「お互いにまんざらでもないのは、見ていて分かるよ」
シェリーとミオンは典型的な恋話ができて、楽しいのかはしゃいでいる。
「もう二人とも!ロゼッタ様に対して、不敬だよ!」
しっかり者なヴィオラが二人を咎める。
「あの人、ロゼッタ様っていうのか」
「そう。ハルト殿下の婚約者なの。お二人って、お似合いよね」
ヴィオラは二人のことを愛おしそうに思い、でもその様子が寂しそうに見えた。
「お待たせいたしました」
「あ、注文したの来たよ。食べよ食べよ」
気を取り直して、食べ始める。
食事が終わった後は、ドレスを取りに服屋に向かう。
三人分のドレスはなかなかに重く、さらに俺という男手が入ったことをいいことに、アクセサリーや厚い魔法の本なども買いに行った。
重いのもあるし、街中を歩いたので疲れたが、久しぶりにヴィオラと過ごす時間が過ごせたので、楽しかった。
買い物が一通り終わり、校門前にいる。
まだ、もう少し話したい俺たちに考慮してくれて、ヴィオラの友人たちは先に寮に戻って、準備している。
「じゃ、ここまでだね」
「悪いな。部屋まで持っていけたら、よかったんだけど」
「私の弟とはいえ、アズは部外者だもん。不法侵入になっちゃう」
「やあ、また奇遇だね」
声をかけてきたのは、ハルト王子。
後ろにはロゼッタも控えている。
「よかった、ドレスも用意できたのか」
「私、冒険者なので、自分の稼ぎでドレスの一着や二着用意できます」
「よかった。断られたときは、どうするかと思ったが、安心したよ」
「ちょっと!」
ヴィオラが冷や汗流しながら、後ろに目配せする。
「確かに婚約者がいながら、他の女性にドレスを贈るのはどうかと思いますね。でも、殿下は優しい方ですから、ドレスのない平民のヴィオラに贈るのは当然ですわね」
おほほ、と笑ってはいる。
よく見るおしゃれな扇子でパタパタさせているし、目元はにっこりしている。
でも、隠れた口元は笑っていないやつだ。
浮気夫を責める妻、みたいな雰囲気がある。
そして、ヴィオラに対しての言葉に、どこかチクチク感がする。
当事者のハルトはともかく、本当に部外者の俺は、女の修羅場に巻き込まれそうで、居心地が悪い。
「用意できたのなら、よかったですわ。でも、言ってくれたら、ヴィオラになら、何着でもお貸ししましたのに」
「そんな!ロゼッタ様のドレスを汚すわけにはいきませんので!」
「そう?まあ、確かに引き裂かれて、回し蹴りでもされたら、困りますからね」
「き、緊急時でもない限り、そんなことしませんよ!」
これは思ったより、ロゼッタ嬢とも交流をしていたのだろうか。
いや、それより。
「ヴィオラ、一体何やったの?」
確かにヴィオラは昔からお転婆なところはあったけど。
「…研修旅行行ったとき、盗賊に襲われて。そいつらを捕まえるときに、動きづらいなと」
ぼそりぼそりつぶやいていく。
「俺、そんなこと聞いてないけど!」
「だって、家族に言ったら、心配かけると思ったから」
そんな泣き言を言っている。
でも、俺は容赦なく、ヴィオラが報連相を怠った罰として、頬を強く引っ張る。
「いひゃいよ」
「このことは俺が帰ったら、すぐ報告するからな」
「やめて!正座何時間されるか分からない!」
「二人って、仲が良いんだね」
そうハルト王子に声をかけられて、この場に他に人がいることを思い出した。
「すみません。身内の見苦しいところをお見せして」
「いや。僕にも兄弟がいるんだが、こんな気のおけないやり取りはしてこなかったから、珍しくてね」
「そうですわね。あなた、弟なんですよね。それなのに、ヴィオラと呼び捨てなんですのね」
「私たち、年が一つしか違わないのもあって、姉、弟って感じがしないんですよね。一緒に暮らしている親友みたいな感じです」
「俺も姉貴って、呼ぼうとしたことあるんですが、お互いしっくりこなかったので、今も名前呼びを続けてます」
前世の記憶が戻って、ヴィオラが主人公だと知っても、俺のヴィオラに対する思いとか絆は変わらない。
家族以上に家族だ。
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