ヒロインの弟な俺が攻略対象と入れ替わった件

sanana

文字の大きさ
7 / 7

6話

しおりを挟む
 「俺、そろそろ宿に戻るな。ヴィオラも、準備あるんだろ」
よく見るパーティーって、だいたい夜にやっていたのを覚えている。
実際のドレスを着るような女性の準備がどれだけかかるか分からないが、メイクだってしないといけないだろう。
「君はこの後、どうするんだ?」
「俺は今日は宿戻って、明日の列車で帰ります」
「え、もう帰るの!?」
ヴィオラは驚いて、大声を上げる。
耳の近くで叫んだので、耳が痛い。
「この前まで学生だった農家の息子に何泊もする余裕あるか!」
「王都の宿って、やはり高いですものね」
「ロゼッタはよく知っているね」
「殿下も王になるんですから、それくらい把握してくださいませ」
まあ、王子様が自分でお金払って、泊まることなんて、そうそうないだろうな。
泊まるにしても、俺なんかが一生かかっても払えないであろう高級な宿だろうし。
それでも、ちゃんとロゼッタ嬢は勉強しているんだな。
よく見るようなわがままで勉強サボっているような悪役令嬢ではないのか。
「しかし、せっかく王都に来たのに、あまり楽しめないのは勿体ないな」
「まあ、ヴィオラに会うという目的は果たせましたから」
まだ安心はできないが、ここまで他の攻略対象にエンカウントしていないから、攻略しているのはこの王子様だけと思っていいかもしれない。
まあ、婚約者とも一緒に過ごしているから、攻略すらしていない友情エンドというやつかもしれないが。
「そうだ。君もパーティーに参加してはどうかな?」
「は?」
いきなりこの王子様は何を言っているんだろうか。
「殿下、学校の部外者をパーティーに招くのはいかがなものでしょう」
ロゼッタ嬢がそのことを咎めてくれた。
この人、もしかしたらけっこうな常識人かもしれない。
「学園のほとんどの生徒が参加するんだ。給仕の手が多くても、困らないだろう」
「それはそうかもしれませんが」
あ、給仕としてってことか。
確かに、ただ参加するだけよりはいい気もするが。
「その日分の給料はもちろん出るし、パーティーの食事も人の目がないところなら、食べてもいいし」
それは、少し魅力的かもしれない。
宿代が思ったより高かったから、今日の夕食から明日にかけて、ろくなもの食べられないと思っていたけど。
「でも、アズにそんな経験ないし」
「あ、それはここまで来るお金稼ぐのに、友達の飲食店でお手伝いがてら働かせてもらったから」
「そうなの?」
それに、前世でも動画配信以外のバイトもやっていたし。
「まあ、貴族相手の対応の仕方はさすがに分からないけど」
「それは、仕事前に指導してくれる人がいるんだ。それに、君は一つ下とはいえ、同年代なんだから、気負うことはない」
そうは言っても、貴族はプライド高そうだしな。
ハルト王子みたいな柔軟な態度珍しいだろ。
まあ、宿に帰っても、食べることができないなら、特に何もすることないからな。
今回、言葉に甘えさせていただくか。
「じゃあ、よろしくお願いします」
「そうか!それなら、会場に案内するよ!」
ハルト王子に促されて、会場へと向かって行った。
しおりを挟む
感想 0

この作品の感想を投稿する

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

【本編完結】伯爵令嬢に転生して命拾いしたけどお嬢様に興味ありません!

ななのん
恋愛
早川梅乃、享年25才。お祭りの日に通り魔に刺されて死亡…したはずだった。死後の世界と思いしや目が覚めたらシルキア伯爵の一人娘、クリスティナに転生!きらきら~もふわふわ~もまったく興味がなく本ばかり読んでいるクリスティナだが幼い頃のお茶会での暴走で王子に気に入られ婚約者候補にされてしまう。つまらない生活ということ以外は伯爵令嬢として不自由ない毎日を送っていたが、シルキア家に養女が来た時からクリスティナの知らぬところで運命が動き出す。気がついた時には退学処分、伯爵家追放、婚約者候補からの除外…―― それでもクリスティナはやっと人生が楽しくなってきた!と前を向いて生きていく。 ※本編完結してます。たまに番外編などを更新してます。

婚約破棄された翌日、兄が王太子を廃嫡させました

由香
ファンタジー
婚約破棄の場で「悪役令嬢」と断罪された伯爵令嬢エミリア。 彼女は何も言わずにその場を去った。 ――それが、王太子の終わりだった。 翌日、王国を揺るがす不正が次々と暴かれる。 裏で糸を引いていたのは、エミリアの兄。 王国最強の権力者であり、妹至上主義の男だった。 「妹を泣かせた代償は、すべて払ってもらう」 ざまぁは、静かに、そして確実に進んでいく。

悪役令嬢だったので、身の振り方を考えたい。

しぎ
恋愛
カーティア・メラーニはある日、自分が悪役令嬢であることに気づいた。 断罪イベントまではあと数ヶ月、ヒロインへのざまぁ返しを計画…せずに、カーティアは大好きな読書を楽しみながら、修道院のパンフレットを取り寄せるのだった。悪役令嬢としての日々をカーティアがのんびり過ごしていると、不仲だったはずの婚約者との距離がだんだんおかしくなってきて…。

悪役令嬢に転生しましたが、全部諦めて弟を愛でることにしました

下菊みこと
恋愛
悪役令嬢に転生したものの、知識チートとかないし回避方法も思いつかないため全部諦めて弟を愛でることにしたら…何故か教養を身につけてしまったお話。 なお理由は悪役令嬢の「脳」と「身体」のスペックが前世と違いめちゃくちゃ高いため。 超ご都合主義のハッピーエンド。 誰も不幸にならない大団円です。 少しでも楽しんでいただければ幸いです。 小説家になろう様でも投稿しています。

十三回目の人生でようやく自分が悪役令嬢ポジと気づいたので、もう殿下の邪魔はしませんから構わないで下さい!

翠玉 結
恋愛
公爵令嬢である私、エリーザは挙式前夜の式典で命を落とした。 「貴様とは、婚約破棄する」と残酷な事を突きつける婚約者、王太子殿下クラウド様の手によって。 そしてそれが一度ではなく、何度も繰り返していることに気が付いたのは〖十三回目〗の人生。 死んだ理由…それは、毎回悪役令嬢というポジションで立ち振る舞い、殿下の恋路を邪魔していたいたからだった。 どう頑張ろうと、殿下からの愛を受け取ることなく死ぬ。 その結末をが分かっているならもう二度と同じ過ちは繰り返さない! そして死なない!! そう思って殿下と関わらないようにしていたのに、 何故か前の記憶とは違って、まさかのご執心で溺愛ルートまっしぐらで?! 「殿下!私、死にたくありません!」 ✼••┈┈┈┈••✼••┈┈┈┈••✼ ※他サイトより転載した作品です。

バッドエンド予定の悪役令嬢が溺愛ルートを選んでみたら、お兄様に愛されすぎて脇役から主役になりました

美咲アリス
恋愛
目が覚めたら公爵令嬢だった!?貴族に生まれ変わったのはいいけれど、美形兄に殺されるバッドエンドの悪役令嬢なんて絶対困る!!死にたくないなら冷酷非道な兄のヴィクトルと仲良くしなきゃいけないのにヴィクトルは氷のように冷たい男で⋯⋯。「どうしたらいいの?」果たして私の運命は?

私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。

MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。

処理中です...