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青年期:修行編
魔法の技術
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髪はボサボサ着ている服は泥まみれ、まるで浮浪者ような格好をしているその人物は、前王国喧嘩祭り覇者であり最高位冒険者のエルピス・アルヘオだ。
王国国民が見ればまさかと言いたくなるようなその姿、だが事実は事実でしかなく、実際身なりさえ汚くはなっているがエルピスのその美しさは未だに健在だ。
「お疲れ様エルピス。どうだった?」
足元もふらふらでろくに頭も回っていなさそうなエルピスに対して、ニルは元気いっぱいで聞いてみる。
一日目は中々好調な滑り出して二日目、三日目と中々快適そうに過ごしていたが、四日目の大雨、五日目の龍との遭遇でかなり心身に大きな疲労が残っているようだ。
ニルの問いに対してただゆっくりと頭を振り下ろしたエルピスを見て、ちょっとこれはまずいかなとニルも判断し回復魔法をかける。
心身の疲労まで回復できるものではないが、肉体的にでも回復できればそれで精神も勝手に回復することだろう。
「うーあー……はっ!? まっっじでしんどかった! 二度とあんな事しない本当に!」
予想よりも心身の回復が早く、自分に悪態をつきながらもエルピスは次々に自分に課していた枷を外していく。
まず最初に解放したのは神の称号、いきなり三つも神の称号を解放した事でかなりふらついているが数分もすれば慣れる事だろう。
次に技能、特殊技能の順番で解除していき、最後に神人としての身体機能を解放する。
神人としての身体機能の内のいくつかがエルピスの今の身体状況を不味いと判断したのか、ニルはいきなり汗が吹き出たり戻しそうになっているエルピスの背中を優しくさする。
「ありがと、思ってたより身体に悪いもんたまってたみたいだな。〈回復〉〈清掃〉」
エルピスが魔法名を唱えると先程まで泥に汚れた髪や服が途端に新品のように綺麗になり、気分の悪そうだったエルピスの顔もみるみる血色が良くなっていく。
魔法を使う感覚というのは二日もあれば鈍るものだが、七日も使っていないと魔法をあまり使わないニルから見ても少し魔法を使いづらそうだ。
「次はどうする? 僕が一対一で指導しようか?」
「それは三日後にお願い、神の称号解除してないと話にすら追いつけないや」
「まぁそれもそっか、それならどこ行く? 送るよ?」
「いいのか? ならマギアさんのところまで頼む。魔法の扱いに関して言えばあの人が俺の知る人の中で一番だからな」
エルピスが魔法関連で誰かを褒めるのは珍しいなと思いつつ、ニルは頭の中でマギアという人物がどんな人物だったか思い出す。
少ししてそう言えば城にやけに魔力の高い初老の男性がいたなと思い出し、ニルは狼の姿に変化しながら〈神域〉を使いその場所を探る。
人型はニルにとっては弱体化した姿にしか過ぎない。
先程までのエルピスと同じように、もしかすればそれよりも更にニルは人型である時に弱っているのだ。
「背中のるぞ?」
「どうぞ。僕の毛ふかふかでしょ」
「ああ。ちょっと眠くなってきた」
そう言うが早いがニルの背でエルピスが寝てしまい、ニルは予定していたよりも大幅にゆっくりとマギアの元へと向かう。
道中何度か街道を守る王国の兵士達に会ったが、背中で眠るエルピスの姿を見せれば敵意は消え敬礼をして過ぎ去っていった。
いまのニルは体調三メートル近いので、一般の人間からすれば結構怖いはずだ。
それでも恐怖心を抱かなくなるくらいに信用されている自分の背中の人物のことを思い、さすが僕が惚れている男なだけあるなとニルは思う。
これが逆で世界中の人から嫌われていた場合、それはそれで僕だけがこの人を好きだとニルは思うのだが狂愛を司る彼女にそれを言うのも無粋というものだろう。
「うっわでっかい狼!? ってなんだエルピスさんの関係か。通っていいけどもうちょっと小さくなれないか?」
「なれるけどエルピス落としちゃうからね。外壁まで登ってそっから一足で目的地まで飛ぶから問題ないよ」
「喋れるのかよ…。まぁいいや、そう言う事ならパニックにならないように配慮は頼むぞ」
「任せてよ」
兵士から了承を得たニルは軽く身体を落とし足に力を込めると、城壁の上に降り立つ。
どう頑張っても転移魔法以外では一足で辿り着けない高さなのだが、神獣に近いニルにとってそんな事全く関係がない。
自身に認識阻害魔法をかけてから、ニルは王城の目と鼻の先にある王国国立図書館へと一歩で向かう。
ちょうど広い中庭があったのでそこに着地したニルは、テラス席で本を山積みにしながら紅茶を飲む老人を見つけ背中にいるエルピスを下す。
「ほらエルピス起きて、着いたよ」
「おおなんじゃ誰かと思えばエルピス殿じゃないか、何かごようかね?」
「ん…っ。ふぁぁっ、眠いーーってマギアさん! 失礼しました!」
「いやいや構わんよ身なりは綺麗じゃがどうやら何かしておったようじゃし、疲れておるのじゃろう?」
「ええまあ多少は。そんなことより僕に魔法の秘術を教えてください!」
寝ぼけている自分を無理やり起こすために手で頬を叩き意識を引き締め直したエルピスは、自分より遥か上にいるマギアにお願いする。
そんなエルピスの願いに対してマギアは否定の色を見せるでもなく是非にと肯定するわけでもなく、ただただまるで豆鉄砲でも食らったような顔でエルピスの事を眺めていた。
「いやいや、まぁ言いたいことはあるがそこにいてはなんじゃ、ここまで上がって来なさいな」
「ーーそれでは失礼して」
「いきなり横に現れるな驚くじゃろう。まぁ座れ茶くらい出そう」
「ありがとうございます」
マギアに出されたお茶を飲みながらも、エルピスはお願いしに来たと言う雰囲気は崩さない。
いままで幾人もマギアに弟子入りを志願して来た魔法使いはいたし、かなり厳しくはあるが試練をクリアすれば弟子もかなりとって来た。
いまの宮廷魔術師などがまさにそうで、宮廷魔術師の内の三分の一はマギアの元弟子だ。
だから弟子を取ること自体は別に何の問題もないのだが、相手がマギアにとっては少々以外、というかおかしいとまで言っても差し支えないだろう。
マギアにエルピスに教えられることなど一つもない、超高度な魔法操作技術と証明不可能な魔法の使用、魔法の原理すらも破壊する魔法の使用に底の見えない魔力。
そのどれもが魔法使い達の悲願であり、それこそまるで神のような力を持つエルピスに対してマギアが何かを教えるなどむしろ恐れ多いとすら言える。
普段ならば遠回しに断るが、エルピスはそれでは引いてくれなさそうだと雰囲気を見て察知したマギアは、とりあえずエルピスに理由を聞いてみることにした。
「それでじゃが、何故ワシに教えを乞いに来たのじゃ? 力も技術も魔力量も全てお主の方が上じゃ。先程の転移魔法などどうやったか聞きたいほどじゃよ」
転移魔法は普通空間の指定、魔力の定着、自身の魔素化、転移の四段階で構成される。
だがいまエルピスが行っていたのは、その前三つを飛ばして一段階目から転移。
それが何故できるのかとか先日学会で発表されていた内容に矛盾が生じたなとか浮かんでくる頭の中の言葉を整理して、マギアはそれに対するエルピスの答えを待つ。
「それに着いては後ほど。確かに魔力量などは私の方がマギアさんより上かもしれません、ですが私が覚えたいのはそういう基礎的なものではなく魔法の応用。真に戦闘に使える魔法術式を伝授してほしいのです」
「ほう、なるほどな。そうなってくると話は変わる、このワシの経験を教わりに来たと、そういうことじゃったらな」
「もちろんマギアさんの働きに対する報酬は用意しております」
「わしのこの生きてきた時間を甘くみるなよ若人。そう安い報酬でわしの経験を買えると思うな」
数多の状況に対応できるマギアの魔法力と言っても差し支えのないその経験が欲しいのならば、それに対しての正当な報酬を用意するべきだ。
もちろんそれを理解していないエルピスではなく、そう言われると思って既に何を渡すか考えてあった。
それは魔法使いならば誰も逆らえない金言、火に魅入られる虫と同じくそれから逃げる事は魔法使いである以上不可能だ。
「もちろんです。報酬はマギアさんがいままで考えてきた全ての魔法の実現、僕の魔法操作技術ならば例え机上の空論だろうと実現させることが可能です」
「なるほどな、さすがイロアスの息子。良いものを題材として持ってくる」
魔法使いにとっていままで自分が考えてきた魔法を全て実現できるとなれば、それはなによりも嬉しいことだ。
そのために禁術に手を出して帰らなくなった魔法使いが一体過去に何人いたか、それを自身の経験を教えただけで全て実現してくれるという。
普通の魔法使いが言っただけならば何を戯言をと思うが、目の前の少年ーーいや青年が言うのであれば信用しできる。
ここに来た時は小さかったが、この数年で随分と大きくなったなと思いつつマギアはエルピスに対して手を差し出す。
それは交渉成立の証、マギアとしては人生初の対等な契約だ。
「ありがとうございます! それでは早速!」
「こらこら急ぐな、疲れておるじゃろう一先ず休んでそれからやるぞ。わしの方も準備せんといかんでな」
「確かにそうですね、では失礼します」
再び転移魔法で何処かへと消えていくエルピスを見送って、マギアは久しぶりに胸ポケットから日記帳を取り出し過去の自分が考えた魔法術式を全て紙に書き写していく。
それと一緒に伝書鳩を使いある人物に手紙を送り、手を止めることなく書き進めていくのだった。
/
二時間ほどの睡眠時間を貰ったエルピスは、万全の態勢でマギアの館へと向かっていた。
彼の家の敷地内には魔法の効果をかなり抑制する魔法陣が描かれており、戦術級程度までならば使用しても何とか周囲には被害が出ないよう作られている。
メイドに道案内をされながら屋敷の奥へと進んでいくと、先ほどまでと同じように本を読んでいるマギアが居た。
「よう来たなエルピス。早速で悪いが早く庭に出よう、使いたい魔法はここにリストアップしておいた」
「分かりました…って多い!」
マギアは机に置いていた紙の束をエルピスに渡すと、早々に庭へと出ていく。
エルピスも胸ポケットから杖を取り出しその後に続いていくと、マギアがいきなりこちらに向き直り杖を向ける。
一瞬何をしたいのか理解できなかったエルピスだが、少しして自分もマギアに向けて杖を構えて臨戦態勢に入っていく。
結局はマギアもアルと同じで実戦形式で覚えるのが一番だと思うっているタイプのようで、臨戦態勢に入りつつも渡された紙の内容を全て暗記して試合に臨む。
「ルールは特になし、負けと思った方の負けじゃ」
「それじゃ始めますか」
エルピスがまるで指揮者のように杖を振るうと、それだけで背後に無数の魔法陣が現れる。
その全てから多種多様な属性の魔法が放たれると、マギアはそれを目視してから転移魔法を使い空へと逃げた。
手数と魔法を放つ速度に関して言えば、マギアよりも圧倒的にエルピスの方が上。
それならばと無駄玉を撃たせ隙を作らせたマギアは、エルピスに向かって矢のような魔法をいくつか放つ。
「ちょっと遅いですね」
「それで良いんじゃよ」
目視でそれらの矢を全て避け切ったエルピスだったが、マギアの言葉に違和感を感じてその場から即座に移動する。
その瞬間放たれた矢の内の何本かがいきなり爆発し、土煙を上げながらエルピスの視界を奪っていく。
厄介な魔法を使ってくるなと思いつつ、これならば自分もすぐに真似できそうだと見様見真似で同じ魔法をマギアへと向かってはなってみる。
「さすがに食らわんよっと」
「なるほど、酸素ごと消して爆発をそもそも起こさせないわけですか」
「そういう事じゃ。参考になったのなら良かったよ」
会話しながらも何度も魔法を放ってみるが、思っていたほど上手くはいかない。
攻める技術があると言うことはそれに対処できる技術もあると言うことで、放った魔法の尽くが避けられたり相殺されたエルピスはそれならばと紙に書いてあった術式を自らの魔法に取り入れてみる。
「ん? 気配が変わったな、なんじゃそれは」
「紙に書いてあったのを使ってみたんですよ、僕も安全は保証できないのでお気をつけて」
「自分の考えたものに殺されてたら世話ないわい」
不適に笑うマギアを見てこれなら大丈夫そうだと判断し、エルピスは止めていた魔法を放う。
見た目は先ほどまでと同じ矢のような形をした属性弾、だがそれは先ほどまでと同じように転移したマギアに対して逃さないと追尾していった。
自動追尾はこれまで誰も実用化能段階まで上げることができず、エルピスも手動でできるので考えすらしていなかったが意識を傾ける必要がないので楽で良い。
その分魔法発動のリソースは大幅に食うが、エルピスならばそれも別に気にならない程度だ。
「ーーっ厄介じゃなこれは! 捌いている内に次の次のと飛んでこられたらそれだけで手いっぱいじゃ」
これに爆破も混ぜればかなりの効果が期待できそうだなと思いつつ、エルピスは二つ目の魔法を起動する。
二つ目は魔法の上に魔法を重ねる重ね掛け、複合魔法はいくつか作ったし放ったこともあるが、魔法に魔法を重ねたことは一度もない。
魔法構築段階にいくつか次の魔法用のリソースを作り、放ってから加速や属性変化、効果上昇などの魔法を重ね掛けしていく。
一つ一つにかける労力が半端ではないので、実戦で使うとしたらもっと高価力な魔法につけないと少々割りに合わない感じはする。
そう思っていた矢先に足元に魔力の反応が現れ、攻めの手を緩めないように気を使いながらエルピスは上空へと飛ぶ。
その瞬間氷が足元から現れ、エルピスの足元で固まり大きな柱となる。
「危ないじゃないですか、使えたんですね重ね掛け」
「戦闘時間が増えた場合のみじゃがな。できればこれで決まって欲しかったんじゃが、どうやらこういう系は効かんようじゃな」
もしエルピスが魔神としていまこの場に立っていなかったら、おそらくはこの攻撃をくらっていたことだろう。
隠蔽系の魔法をかける事が効果的なのは理解できたので、それも駆使しつつエルピスはいくつかの魔法を発動する。
それから約一時間ほど。
魔法の戦闘としては尋常ではないほど長い戦闘時間を経て、エルピス達の戦いは終わる。
理由はマギアの魔力切れだ。
「はーっ疲れたわい。老体に鞭打って頑張ってみたが、どうじゃ、学ぶものはあったか?」
「ええ、かなりいろいろと学ばせていただきました」
「そうかそれなら良かった、わしが教えられるのはここまでじゃな。後は別の奴に教えてもらった方がいいじゃろう」
「ありがとうございましたマギアさん」
「アウローラを頼んだぞ、姪孫の子の顔も見たいからの。これを持っていけ、別になくともあやつなら教えてくれるじゃろうが、こちらの方が話が早いじゃろうからな」
「それでは改めて、ありがとうございましたマギアさん」
中庭で倒れるマギアに礼をしてから、エルピスはマギアに手渡された手紙を手に王宮へと向かう。
目指すは剣の師匠の元、最近ろくに喋っていなかったと思い出しながらエルピスはアルの元へと向かうのだった。
王国国民が見ればまさかと言いたくなるようなその姿、だが事実は事実でしかなく、実際身なりさえ汚くはなっているがエルピスのその美しさは未だに健在だ。
「お疲れ様エルピス。どうだった?」
足元もふらふらでろくに頭も回っていなさそうなエルピスに対して、ニルは元気いっぱいで聞いてみる。
一日目は中々好調な滑り出して二日目、三日目と中々快適そうに過ごしていたが、四日目の大雨、五日目の龍との遭遇でかなり心身に大きな疲労が残っているようだ。
ニルの問いに対してただゆっくりと頭を振り下ろしたエルピスを見て、ちょっとこれはまずいかなとニルも判断し回復魔法をかける。
心身の疲労まで回復できるものではないが、肉体的にでも回復できればそれで精神も勝手に回復することだろう。
「うーあー……はっ!? まっっじでしんどかった! 二度とあんな事しない本当に!」
予想よりも心身の回復が早く、自分に悪態をつきながらもエルピスは次々に自分に課していた枷を外していく。
まず最初に解放したのは神の称号、いきなり三つも神の称号を解放した事でかなりふらついているが数分もすれば慣れる事だろう。
次に技能、特殊技能の順番で解除していき、最後に神人としての身体機能を解放する。
神人としての身体機能の内のいくつかがエルピスの今の身体状況を不味いと判断したのか、ニルはいきなり汗が吹き出たり戻しそうになっているエルピスの背中を優しくさする。
「ありがと、思ってたより身体に悪いもんたまってたみたいだな。〈回復〉〈清掃〉」
エルピスが魔法名を唱えると先程まで泥に汚れた髪や服が途端に新品のように綺麗になり、気分の悪そうだったエルピスの顔もみるみる血色が良くなっていく。
魔法を使う感覚というのは二日もあれば鈍るものだが、七日も使っていないと魔法をあまり使わないニルから見ても少し魔法を使いづらそうだ。
「次はどうする? 僕が一対一で指導しようか?」
「それは三日後にお願い、神の称号解除してないと話にすら追いつけないや」
「まぁそれもそっか、それならどこ行く? 送るよ?」
「いいのか? ならマギアさんのところまで頼む。魔法の扱いに関して言えばあの人が俺の知る人の中で一番だからな」
エルピスが魔法関連で誰かを褒めるのは珍しいなと思いつつ、ニルは頭の中でマギアという人物がどんな人物だったか思い出す。
少ししてそう言えば城にやけに魔力の高い初老の男性がいたなと思い出し、ニルは狼の姿に変化しながら〈神域〉を使いその場所を探る。
人型はニルにとっては弱体化した姿にしか過ぎない。
先程までのエルピスと同じように、もしかすればそれよりも更にニルは人型である時に弱っているのだ。
「背中のるぞ?」
「どうぞ。僕の毛ふかふかでしょ」
「ああ。ちょっと眠くなってきた」
そう言うが早いがニルの背でエルピスが寝てしまい、ニルは予定していたよりも大幅にゆっくりとマギアの元へと向かう。
道中何度か街道を守る王国の兵士達に会ったが、背中で眠るエルピスの姿を見せれば敵意は消え敬礼をして過ぎ去っていった。
いまのニルは体調三メートル近いので、一般の人間からすれば結構怖いはずだ。
それでも恐怖心を抱かなくなるくらいに信用されている自分の背中の人物のことを思い、さすが僕が惚れている男なだけあるなとニルは思う。
これが逆で世界中の人から嫌われていた場合、それはそれで僕だけがこの人を好きだとニルは思うのだが狂愛を司る彼女にそれを言うのも無粋というものだろう。
「うっわでっかい狼!? ってなんだエルピスさんの関係か。通っていいけどもうちょっと小さくなれないか?」
「なれるけどエルピス落としちゃうからね。外壁まで登ってそっから一足で目的地まで飛ぶから問題ないよ」
「喋れるのかよ…。まぁいいや、そう言う事ならパニックにならないように配慮は頼むぞ」
「任せてよ」
兵士から了承を得たニルは軽く身体を落とし足に力を込めると、城壁の上に降り立つ。
どう頑張っても転移魔法以外では一足で辿り着けない高さなのだが、神獣に近いニルにとってそんな事全く関係がない。
自身に認識阻害魔法をかけてから、ニルは王城の目と鼻の先にある王国国立図書館へと一歩で向かう。
ちょうど広い中庭があったのでそこに着地したニルは、テラス席で本を山積みにしながら紅茶を飲む老人を見つけ背中にいるエルピスを下す。
「ほらエルピス起きて、着いたよ」
「おおなんじゃ誰かと思えばエルピス殿じゃないか、何かごようかね?」
「ん…っ。ふぁぁっ、眠いーーってマギアさん! 失礼しました!」
「いやいや構わんよ身なりは綺麗じゃがどうやら何かしておったようじゃし、疲れておるのじゃろう?」
「ええまあ多少は。そんなことより僕に魔法の秘術を教えてください!」
寝ぼけている自分を無理やり起こすために手で頬を叩き意識を引き締め直したエルピスは、自分より遥か上にいるマギアにお願いする。
そんなエルピスの願いに対してマギアは否定の色を見せるでもなく是非にと肯定するわけでもなく、ただただまるで豆鉄砲でも食らったような顔でエルピスの事を眺めていた。
「いやいや、まぁ言いたいことはあるがそこにいてはなんじゃ、ここまで上がって来なさいな」
「ーーそれでは失礼して」
「いきなり横に現れるな驚くじゃろう。まぁ座れ茶くらい出そう」
「ありがとうございます」
マギアに出されたお茶を飲みながらも、エルピスはお願いしに来たと言う雰囲気は崩さない。
いままで幾人もマギアに弟子入りを志願して来た魔法使いはいたし、かなり厳しくはあるが試練をクリアすれば弟子もかなりとって来た。
いまの宮廷魔術師などがまさにそうで、宮廷魔術師の内の三分の一はマギアの元弟子だ。
だから弟子を取ること自体は別に何の問題もないのだが、相手がマギアにとっては少々以外、というかおかしいとまで言っても差し支えないだろう。
マギアにエルピスに教えられることなど一つもない、超高度な魔法操作技術と証明不可能な魔法の使用、魔法の原理すらも破壊する魔法の使用に底の見えない魔力。
そのどれもが魔法使い達の悲願であり、それこそまるで神のような力を持つエルピスに対してマギアが何かを教えるなどむしろ恐れ多いとすら言える。
普段ならば遠回しに断るが、エルピスはそれでは引いてくれなさそうだと雰囲気を見て察知したマギアは、とりあえずエルピスに理由を聞いてみることにした。
「それでじゃが、何故ワシに教えを乞いに来たのじゃ? 力も技術も魔力量も全てお主の方が上じゃ。先程の転移魔法などどうやったか聞きたいほどじゃよ」
転移魔法は普通空間の指定、魔力の定着、自身の魔素化、転移の四段階で構成される。
だがいまエルピスが行っていたのは、その前三つを飛ばして一段階目から転移。
それが何故できるのかとか先日学会で発表されていた内容に矛盾が生じたなとか浮かんでくる頭の中の言葉を整理して、マギアはそれに対するエルピスの答えを待つ。
「それに着いては後ほど。確かに魔力量などは私の方がマギアさんより上かもしれません、ですが私が覚えたいのはそういう基礎的なものではなく魔法の応用。真に戦闘に使える魔法術式を伝授してほしいのです」
「ほう、なるほどな。そうなってくると話は変わる、このワシの経験を教わりに来たと、そういうことじゃったらな」
「もちろんマギアさんの働きに対する報酬は用意しております」
「わしのこの生きてきた時間を甘くみるなよ若人。そう安い報酬でわしの経験を買えると思うな」
数多の状況に対応できるマギアの魔法力と言っても差し支えのないその経験が欲しいのならば、それに対しての正当な報酬を用意するべきだ。
もちろんそれを理解していないエルピスではなく、そう言われると思って既に何を渡すか考えてあった。
それは魔法使いならば誰も逆らえない金言、火に魅入られる虫と同じくそれから逃げる事は魔法使いである以上不可能だ。
「もちろんです。報酬はマギアさんがいままで考えてきた全ての魔法の実現、僕の魔法操作技術ならば例え机上の空論だろうと実現させることが可能です」
「なるほどな、さすがイロアスの息子。良いものを題材として持ってくる」
魔法使いにとっていままで自分が考えてきた魔法を全て実現できるとなれば、それはなによりも嬉しいことだ。
そのために禁術に手を出して帰らなくなった魔法使いが一体過去に何人いたか、それを自身の経験を教えただけで全て実現してくれるという。
普通の魔法使いが言っただけならば何を戯言をと思うが、目の前の少年ーーいや青年が言うのであれば信用しできる。
ここに来た時は小さかったが、この数年で随分と大きくなったなと思いつつマギアはエルピスに対して手を差し出す。
それは交渉成立の証、マギアとしては人生初の対等な契約だ。
「ありがとうございます! それでは早速!」
「こらこら急ぐな、疲れておるじゃろう一先ず休んでそれからやるぞ。わしの方も準備せんといかんでな」
「確かにそうですね、では失礼します」
再び転移魔法で何処かへと消えていくエルピスを見送って、マギアは久しぶりに胸ポケットから日記帳を取り出し過去の自分が考えた魔法術式を全て紙に書き写していく。
それと一緒に伝書鳩を使いある人物に手紙を送り、手を止めることなく書き進めていくのだった。
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二時間ほどの睡眠時間を貰ったエルピスは、万全の態勢でマギアの館へと向かっていた。
彼の家の敷地内には魔法の効果をかなり抑制する魔法陣が描かれており、戦術級程度までならば使用しても何とか周囲には被害が出ないよう作られている。
メイドに道案内をされながら屋敷の奥へと進んでいくと、先ほどまでと同じように本を読んでいるマギアが居た。
「よう来たなエルピス。早速で悪いが早く庭に出よう、使いたい魔法はここにリストアップしておいた」
「分かりました…って多い!」
マギアは机に置いていた紙の束をエルピスに渡すと、早々に庭へと出ていく。
エルピスも胸ポケットから杖を取り出しその後に続いていくと、マギアがいきなりこちらに向き直り杖を向ける。
一瞬何をしたいのか理解できなかったエルピスだが、少しして自分もマギアに向けて杖を構えて臨戦態勢に入っていく。
結局はマギアもアルと同じで実戦形式で覚えるのが一番だと思うっているタイプのようで、臨戦態勢に入りつつも渡された紙の内容を全て暗記して試合に臨む。
「ルールは特になし、負けと思った方の負けじゃ」
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エルピスがまるで指揮者のように杖を振るうと、それだけで背後に無数の魔法陣が現れる。
その全てから多種多様な属性の魔法が放たれると、マギアはそれを目視してから転移魔法を使い空へと逃げた。
手数と魔法を放つ速度に関して言えば、マギアよりも圧倒的にエルピスの方が上。
それならばと無駄玉を撃たせ隙を作らせたマギアは、エルピスに向かって矢のような魔法をいくつか放つ。
「ちょっと遅いですね」
「それで良いんじゃよ」
目視でそれらの矢を全て避け切ったエルピスだったが、マギアの言葉に違和感を感じてその場から即座に移動する。
その瞬間放たれた矢の内の何本かがいきなり爆発し、土煙を上げながらエルピスの視界を奪っていく。
厄介な魔法を使ってくるなと思いつつ、これならば自分もすぐに真似できそうだと見様見真似で同じ魔法をマギアへと向かってはなってみる。
「さすがに食らわんよっと」
「なるほど、酸素ごと消して爆発をそもそも起こさせないわけですか」
「そういう事じゃ。参考になったのなら良かったよ」
会話しながらも何度も魔法を放ってみるが、思っていたほど上手くはいかない。
攻める技術があると言うことはそれに対処できる技術もあると言うことで、放った魔法の尽くが避けられたり相殺されたエルピスはそれならばと紙に書いてあった術式を自らの魔法に取り入れてみる。
「ん? 気配が変わったな、なんじゃそれは」
「紙に書いてあったのを使ってみたんですよ、僕も安全は保証できないのでお気をつけて」
「自分の考えたものに殺されてたら世話ないわい」
不適に笑うマギアを見てこれなら大丈夫そうだと判断し、エルピスは止めていた魔法を放う。
見た目は先ほどまでと同じ矢のような形をした属性弾、だがそれは先ほどまでと同じように転移したマギアに対して逃さないと追尾していった。
自動追尾はこれまで誰も実用化能段階まで上げることができず、エルピスも手動でできるので考えすらしていなかったが意識を傾ける必要がないので楽で良い。
その分魔法発動のリソースは大幅に食うが、エルピスならばそれも別に気にならない程度だ。
「ーーっ厄介じゃなこれは! 捌いている内に次の次のと飛んでこられたらそれだけで手いっぱいじゃ」
これに爆破も混ぜればかなりの効果が期待できそうだなと思いつつ、エルピスは二つ目の魔法を起動する。
二つ目は魔法の上に魔法を重ねる重ね掛け、複合魔法はいくつか作ったし放ったこともあるが、魔法に魔法を重ねたことは一度もない。
魔法構築段階にいくつか次の魔法用のリソースを作り、放ってから加速や属性変化、効果上昇などの魔法を重ね掛けしていく。
一つ一つにかける労力が半端ではないので、実戦で使うとしたらもっと高価力な魔法につけないと少々割りに合わない感じはする。
そう思っていた矢先に足元に魔力の反応が現れ、攻めの手を緩めないように気を使いながらエルピスは上空へと飛ぶ。
その瞬間氷が足元から現れ、エルピスの足元で固まり大きな柱となる。
「危ないじゃないですか、使えたんですね重ね掛け」
「戦闘時間が増えた場合のみじゃがな。できればこれで決まって欲しかったんじゃが、どうやらこういう系は効かんようじゃな」
もしエルピスが魔神としていまこの場に立っていなかったら、おそらくはこの攻撃をくらっていたことだろう。
隠蔽系の魔法をかける事が効果的なのは理解できたので、それも駆使しつつエルピスはいくつかの魔法を発動する。
それから約一時間ほど。
魔法の戦闘としては尋常ではないほど長い戦闘時間を経て、エルピス達の戦いは終わる。
理由はマギアの魔力切れだ。
「はーっ疲れたわい。老体に鞭打って頑張ってみたが、どうじゃ、学ぶものはあったか?」
「ええ、かなりいろいろと学ばせていただきました」
「そうかそれなら良かった、わしが教えられるのはここまでじゃな。後は別の奴に教えてもらった方がいいじゃろう」
「ありがとうございましたマギアさん」
「アウローラを頼んだぞ、姪孫の子の顔も見たいからの。これを持っていけ、別になくともあやつなら教えてくれるじゃろうが、こちらの方が話が早いじゃろうからな」
「それでは改めて、ありがとうございましたマギアさん」
中庭で倒れるマギアに礼をしてから、エルピスはマギアに手渡された手紙を手に王宮へと向かう。
目指すは剣の師匠の元、最近ろくに喋っていなかったと思い出しながらエルピスはアルの元へと向かうのだった。
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様々な英霊達の人生を追体験した凡愚な皇子は自身の無能さを痛感する。
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海と交易で栄えた国を支える貴族家のひとつに、
強くて聡明な父と、優しくて活動的な母の間に生まれ育った少年がいた。
母親似に育った賢く可愛らしい少年は優秀で、将来が楽しみだと言われていたが、
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倒した魔物が消えるのは、僕だけのスキルらしいです
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日常のなんでもないタイミングで右眼の色だけ変わってしまうという特異体質のディールは、魔物に止めを刺すだけで魔物の死骸を消してしまえる能力を持っていた。世間では魔物を消せるのは聖女の魔滅魔法のみ。聖女に疎まれてパーティを追い出され、今度は魔滅魔法の使えない聖女とパーティを組むことに。瞳の力は魔物を消すだけではないことを知る頃には、ディールは世界の命運に巻き込まれていた。
散々利用されてから勇者パーティーを追い出された…が、元勇者パーティーは僕の本当の能力を知らない。
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僕こと…ディスト・ランゼウスは、経験値を倍増させてパーティーの成長を急成長させるスキルを持っていた。
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遂には、役立たずは不要と言って僕を追い出したのだった。
……とまぁ、ここまでは良くある話。
僕が抜けた勇者ディランとパーティーメンバー達は、その後も活躍し続けていき…
遂には、大魔王ドゥルガディスが収める魔大陸を攻略すると言う話になっていた。
「おやおや…もう魔大陸に上陸すると言う話になったのか、ならば…そろそろ僕の本来のスキルを発動するとしますか!」
それから数日後に、ディランとパーティーメンバー達が魔大陸に侵攻し始めたという話を聞いた。
なので、それと同時に…僕の本来のスキルを発動すると…?
2月11日にHOTランキング男性向けで1位になりました。
皆様お陰です、有り難う御座います。
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