異世界に来たけど、どうする?

ほうれん草オバケ

文字の大きさ
52 / 55

51話 パーティー 1

しおりを挟む
 結局あれこれ考えた結果、何も纏まらずそのままパーティーの時間になってしまった。

「ふぅ…… 、疲れた……」

 前回のパーティーはヒルダの護衛としての参加だった為、基本はヒルダの後ろに居るだけで良かったのだが今回は客人として、しかもヒルダの命を助けたとかやらのせいで貴族やら富豪やらが話し掛けてくる。
 中にはヒルダ辺りなんかと繋がりが欲しいのか娘はどうか? 等と薦めてくる始末、あまりにもキツかったのでタクト辺りに丸投げした。タクトの恨めしい目が最後まで俺に向いていたけど、まぁ、後で謝ろう。

 飲み物と料理を持ち外でゆっくりとする、室内は若い人達が多かったが外は落ち着いた感じの大人が主な感じだった。

「やっと、落ち着いて食べれる……」

 美味い料理を食べていると時折中から「流石勇者様ですー!」なんて言う若い子達の黄色い声が聞こえてくる、恐らくタクトは苦笑やらしてユミ辺りが無言で圧力を掛けてるんだろう。

 平和だなー、と呑気に料理を食べていると目の前に誰かが止まった。上を向き顔を見ると若い男で何処かで見た顔だった、誰だったかなー? と思い出していると男はそんな俺の様子が気に入らないのか苛ついた様子で俺に話し掛けてくる。

「前回のパーティー振りだな」
「え? あ、はぁ…… そっすね」

 んー、この声聞いたことがあるなぁ…… 、後ちょっとで出てきそうなんだが…… 。

「…… まさか俺の事を覚えていないのか?」
「あ、あははは…… 」
「貴様ァ……!」

 貴様? 、貴様…… あっ! 

「おもしろ伯爵!」
「違うわ!」
「いや~、久しぶり元気だった?」

 肩に手を回しながら聞くと伯爵は手を払い除けこちらを睨む。

「俺は貴様の友達か! それに俺の名前はグリム・ゾールだ、覚えておけ!」
「グリムね、わかった」
「~っ!」
「友達が出来て良かったですわね、グリム」

 お嬢様言葉が聞こえそちらに視線を向けると何とーーー。

「き………… 、……… ル」
「ん? 何だ?」

 隣でボソッと何かを言ってるのが心配なのかグリムが俺に問い掛ける。

「金髪ドリルゥゥゥ…… !」
「痛い痛い、ーーっ何なんだいったい!?」

 ついテンションが上がりグリムの背中をバンバン叩きながら喜んでしまった、ごめんよグリム。

「どうかしまして?」
「~~っ !」
「痛い痛いっ!」

 お嬢様口調まで来た! 後は高飛車まで来たら完璧だ。

「その……」
「はい、どうかしまして?」
「良い、縦巻きですね」

 アアアア! 違うだろ、初対面の人に言う言葉じゃねぇぇ!
 恐る恐る金髪の娘を見ると嬉しそうな顔で鼻息を荒くしていた。

「わかりますの!?」
「えぇ!? あ、はいィ……」
「あぁ…… 、この髪の良さを分かってくれる御方は貴方が初めてですわ!」
「ワカリマストモ」

 まさかこの選択が当たりだとは思わなかった、隣のグリムも驚いている。

「嬉しそうだな……」
「ええ、嬉しいですわ! 誰も私の髪型に触れて下さらないですもの、そして初めてその事に触れてくださった方はこの髪を素晴らしいーーー「分かった! 悪かったから!」……そうですの……」

 グリムは疲れた様に溜め息を吐き俺に金髪ドリル娘を紹介する。

「…… 彼女はフラン、俺と同じ伯爵位の者だ」
「あ、申し遅れました。フラン・ベレットと申しますわ」

 彼女はそう言い綺麗な礼をする、ゆらゆらと揺れるドリル…… 見事。

「えっと、コウタです宜しく。…… 二人は仲が良いみたいだけど?」
「えぇ、グリムとは幼なじみですの」
「へー、じゃあグリムの小さい頃の話とかも?」
「勿論、恥ずかしい話からドジをした話まで何でも」
「話さんでいいわ! てか、ドジった話は恥ずかしい話と一緒だろ!」
「ぷりぷりすんなよグリム~」
「そうですわよ、失敗は誰にでも有りますわグリム」
「わざわざ話すことでも無いだろ!?」

 顔を真っ赤にして声を張り上げるグリム、それを上品に笑いながら更なる追い討ちをするフラン。
 中々に面白い人達だ、やがて疲れはてたグリムがフランに問い掛ける。

「はぁ…… フランお前何でここに来たんだよ」
「勇者様達には挨拶はしたわよ? ここに来たのは暇になって辺りを見渡したら貴方とコウタさんがいたものですから」
「俺に用が? えっと…… フランさん?」
「ふふ、グリムと同じ様な感じでよろしいですわよコウタ?」
「おぉう、よろしくフラン…… ?」
「話は済んだか」
「あら? 嫉妬してるのグリム」
「しとらんわ!」

 


「本当か? お前がねぇ……」
「まぁ、大変だったよ」
「凄いですわね、あのユリアから逃げられるなんて」
「ユリアって言うのか、あの魔族」

 歳が近かったお陰か最初の髪型を褒めたお陰かフランとはそのまま仲良くなり三人で中庭を散歩しながら魔族との事を話していた。

「俺も報告書を見たが、本当にお前が?」
「俺じゃないユリアだよ、あいつ魔力がたくさんあるからって目茶苦茶に撃って来やがって……」
「あれだけの惨状を造り出した奴を相手に時間稼ぎの後に逃げるか…… 、信じられんな」
「そこまで酷かったですの?」
「調査に来ていた騎士や冒険者のほとんどがこれは死んだと思ったらしい」
「運が良かったんだよ、運がーーー ん?」

 歩いていると草木の陰から物音が聞こえた。

「どうかしまして?」
「いや、あそこから音が」
「誰かいるのか?」

 ま、まさか!?

「逢い引き……」
「まぁ…… !」
「アホか」

 こうしてはいられない、もしかしたらあの陰では男女の聖なる儀式が行われてるかもしれん!

 俺は気配を消し音のした方へと行く、何故かグリムとフランも着いてきた。

「何だ気になるのか……」
「しゅ、淑女として後々の為に……」
「お、お前らが失礼の無いように「ムッツリ」何だと……!?」
「静かに」
「静かになさい」
「理不尽だ……」

 物音は本当に静かな物で気付けたのも偶然だ、そして物音に近付きゆっくりと見るとーーー。

「な、に……?」
「どうした……? 、っ!?」
「え、何ですの…… これは」

 見張りをしてたであろう衛兵数人が草むらに黒一色の服装の三人組に隠されてる場面だった。

 これじゃまるで…… 。

 突然の事に頭が回らなかったのかフランが思わず声を出してしまう。

「暗殺者?」

 その声と共に三人組の視線は俺達に向いたーーー。
しおりを挟む
感想 4

あなたにおすすめの小説

妻からの手紙~18年の後悔を添えて~

Mio
ファンタジー
妻から手紙が来た。 妻が死んで18年目の今日。 息子の誕生日。 「お誕生日おめでとう、ルカ!愛してるわ。エミリア・シェラード」 息子は…17年前に死んだ。 手紙はもう一通あった。 俺はその手紙を読んで、一生分の後悔をした。 ------------------------------

敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています

藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。 結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。 聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。 侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。 ※全11話 2万字程度の話です。

弁えすぎた令嬢

ねこまんまときみどりのことり
ファンタジー
 元公爵令嬢のコロネ・ワッサンモフは、今は市井の食堂の2階に住む平民暮らしをしている。彼女が父親を亡くしてからの爵位は、叔父(父親の弟)が管理してくれていた。  彼女には亡き父親の決めた婚約者がいたのだが、叔父の娘が彼を好きだと言う。  彼女は思った。 (今の公爵は叔父なのだから、その娘がこの家を継ぐ方が良いのではないか)と。  今後は彼らの世話にならず、一人で生きていくことにしよう。そんな気持ちで家を出たコロネだった。  小説家になろうさん、カクヨムさんにも載せています。

〈完結〉遅効性の毒

ごろごろみかん。
ファンタジー
「結婚されても、私は傍にいます。彼が、望むなら」 悲恋に酔う彼女に私は笑った。 そんなに私の立場が欲しいなら譲ってあげる。

帰国した王子の受難

ユウキ
恋愛
庶子である第二王子は、立場や情勢やら諸々を鑑みて早々に隣国へと無期限遊学に出た。そうして年月が経ち、そろそろ兄(第一王子)が立太子する頃かと、感慨深く想っていた頃に突然届いた帰還命令。 取り急ぎ舞い戻った祖国で見たのは、修羅場であった。

クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?

青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。 最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。 普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた? しかも弱いからと森に捨てられた。 いやちょっとまてよ? 皆さん勘違いしてません? これはあいの不思議な日常を書いた物語である。 本編完結しました! 相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです! 1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…

覚悟は良いですか、お父様? ―虐げられた娘はお家乗っ取りを企んだ婿の父とその愛人の娘である異母妹をまとめて追い出す―

Erin
恋愛
【完結済・全3話】伯爵令嬢のカメリアは母が死んだ直後に、父が屋敷に連れ込んだ愛人とその子に虐げられていた。その挙句、カメリアが十六歳の成人後に継ぐ予定の伯爵家から追い出し、伯爵家の血を一滴も引かない異母妹に継がせると言い出す。後を継がないカメリアには嗜虐趣味のある男に嫁がられることになった。絶対に父たちの言いなりになりたくないカメリアは家を出て復讐することにした。7/6に最終話投稿予定。

老聖女の政略結婚

那珂田かな
ファンタジー
エルダリス前国王の長女として生まれ、半世紀ものあいだ「聖女」として太陽神ソレイユに仕えてきたセラ。 六十歳となり、ついに若き姪へと聖女の座を譲り、静かな余生を送るはずだった。 しかし式典後、甥である皇太子から持ち込まれたのは――二十歳の隣国王との政略結婚の話。 相手は内乱終結直後のカルディア王、エドモンド。王家の威信回復と政権安定のため、彼には強力な後ろ盾が必要だという。 子も産めない年齢の自分がなぜ王妃に? 迷いと不安、そして少しの笑いを胸に、セラは決断する。 穏やかな余生か、嵐の老後か―― 四十歳差の政略婚から始まる、波乱の日々が幕を開ける。

処理中です...