山ちゃんと私

ひゃくえんらいた

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山ちゃんと私と夜の公園

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 しこたま遊んだ帰り道、私は前を歩く山ちゃんの石の入ったポケットを睨みながら歩いていた。
 小川で見つけた綺麗な石は、じゃんけんで山ちゃんの物となったのである。
 私は西日に照らされ伸びて来た山ちゃんの影をこっそり踏みつける。
 と、山ちゃんが急にくるりと振り返り、私はびくりと肩を揺らした。
 慌てて見つめた山ちゃんは、陰影のついた顔でにやりと笑う。

「今日、夕飯の後に秘密基地来れるか?」

 私はその言葉に、ぎょっとした。

「あの噂、知らないの!?」
「知ってるぜ、最近夜の公園に――」

 夜、真っ暗な公園で「幽霊出るって!」と私はビビりながら叫んでいた。

「俺が一緒だし、平気だろ」

 懐中電灯を持って前を歩く山ちゃんは、大人っぽくあっけらかんと言う。

「わ、私だって信じてないし!」

 自分ばっかり子供みたいで悔しくて、思わずそう返した。
 山ちゃんはそのままコンクリート山を通り過ぎ、砂場の方へと歩き出す。
 遠くでカサっと音がして、私は思わず震えた。
 なるべく周囲を見ないように、山ちゃんの背中ばっかりじっと見て歩いていると、ふいに山ちゃんが立ち止まり、懐中電灯を砂場に振った。

「なに、どうしたの?」
「ん? 別に」

 振り返った山ちゃんの目が、何か企んでいるみたいにきらりと光る。
 私は一瞬迷ってから、山ちゃんの服のすそをぐいっと引っぱった。

「言ってよ山ちゃん」

 何かあったら怖いけど、何かあるのに自分だけ知らない方が、もっと怖い。
 複雑な顔の私を見て、山ちゃんの口の端が上がった。

「何があっても二人いれば平気、だよな?」

 そう言った山ちゃんの迫力に、思わず息を呑む。
 だけど山ちゃんの目に信じるって見えて、だったら私も山ちゃんを信じなきゃって、そう思ったら、山ちゃんの方へと自然と目線が上がっていた。

「あったりまえでしょ、山ちゃんこそ逃げないでよ」

 山ちゃんは「誰に言ってんだ?」とにっと笑うと、心なしか大股で砂場へと歩き出した。
 今度はその横に並んで、私も一緒に砂場へ向かう。
 砂場には、人の手のような何かがあった。それが突然、ゆらりと動く。
 私の心臓は跳ね上がった。
 そしてついに、懐中電灯がそれを照らし出した。

「なんだ、ゴム手袋じゃん!」

 私は心底ほっとして、山ちゃんを見る。

「お前なら来ると思った」
「えぇ、なにそれ」
「なんだかんだ、お前って勇気あるだろ?」

 にっと笑った山ちゃんに、私は少しだけ驚いて目を大きく開く。
 だけどすぐに山ちゃんの肩を小突くと、二人顔を見合わせて笑った。


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