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山ちゃんと私と秘密
しおりを挟む校庭の笑い声が遠く聞こえる中、ポケットの電子ゲームを握りバクバクしてたら、「何してんの?」と山ちゃんに呼ばれた。
振り向けば、不満そうな顔の山ちゃんが、親指で校庭を指差しながら立っていた。
「私は、今日はいいや」
「は? 缶蹴りの続き、お前がいないとつまんないじゃん」
手を引かれ、私はすこしムっとする。
「今日はだめなの!」
「なんでだよ?」
「いいでしょ、どいて!」
あわててトイレにかけ込んで、靴ひもでコケそうになる。
(馬鹿にされたくないし、没収されたら終わりだもん!)
トイレの個室で存分に電子ゲームをいじってから教室に戻ると、山ちゃんが待っていた。
「遅かったな」
「まっ、まだいたの!?」
思わず声が裏返りそうになる。
「悪いか?」
山ちゃんはポケットに視線を向けた。
私はハっとして、ポケットを手で隠す。
「何隠してんの?」
「何も隠してないって! 睨まないでよ!」
チャイムが鳴って、山ちゃんは渋々席に着いた。
隣でずっと、山ちゃんはむすっと黙り込んでいる。チラリとみたら目が合って、ドキッとしてポケットを握ると、胸がぎゅと締まった。
「おい」
呼ばれ、びくっとする。
山ちゃんは企んだ目で私を見ると、自分のポケットに私の手を持って行った。
そこにあった感触に私は驚いて目を見開き、山ちゃんはにやりと笑う。
「山ちゃんっ、もしかして」
一人で隠していた時より、私はワクワクしていた。
急いで周囲をうかがって、誰も見ていないか確認する。
山ちゃんとアイコンタクトをしてから、私はごくりと息を呑み、二人一緒に、ポケットから電子ゲームを見せ合うように取り出した。
「隠してた」
小声で言った山ちゃんのポケットには、私のより高い電子ゲームが入っていた。
可笑しくなって笑いそうになるのを必死で堪えて、私は山ちゃんを見る。
「同罪だし、ずるいじゃん!」
言って小突くと、山ちゃんはニヤリ。
「バレねぇように隠さないとな」
私たちは先生をこっそり見て、くすっと顔を見合わせた。
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