山ちゃんと私

ひゃくえんらいた

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山ちゃんと私と喧嘩

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 校庭の笑い声を背中に、私は山ちゃんと生垣に息を潜めしゃがみ、囁き合っていた。

「俺がおとりになる、その間にお前が蹴れ」
「しっかり引きつけてよ?」

 「誰に言ってんだ」と山ちゃんが生垣から飛び出して、鬼がまんまと山ちゃんを追いかけた直後、私は缶に向かって駆け出す。

「いけ!」

 山ちゃんの声が響いた瞬間、靴紐くつひもにつまずいて、私は転んだ。
 昼休みの終わりを告げるチャイムが響く。
 みんなが掃除に向かう中、私は解けた靴紐を見ながら、悔しさに唇をきゅっと噛んだ。

「ちゃんと結べよな」

 見れば山ちゃんが、呆れ顔で私をじとりと見ていた。

「仕方ないじゃん!」

 ムカついて山ちゃんを睨んだら、ムっとした山ちゃんに睨み返された。 

「てか、お前のせいで負けたし」
「……っはぁ!?」

 カッとなって、自分が思ってた以上に大きな声が出てしまった。

「もう、山ちゃんとは遊ばない!」

 目が熱くなって、溢れそうになった涙をすすり、私は駆け出した。
 悔しさに喉が熱くなり、胸が締まる。
 そこから放課後まで、私と山ちゃんは口をきかなかった。
 家に帰ろうと黙って教室を出ると、山ちゃんが私の後ろからついて来た。

「新しいゲーム買ったんだけどさ、絶対お前が好きなやつだぜ」

 後ろから聞こえる声に、答えてやるもんか、と私は口を引き結ぶ。

「じゃ、じゃあさ。あの石やろうか? 前に小川で見つけたやつ、お前欲しがってたし」

 山ちゃんの声はだんだんと小さくなっていって、ちょっとだけ可哀想かも、と心が揺らぐ。

「お前がいないとつまんねぇよ」

 最後はボソリと言った山ちゃんに、思わずニヤけそうになるのを、頬を膨らませて抑え込んだ。

「それだけ!?」

 私はわざと怒った声で言う。

「……ごめん」

 それを聞いてすぐ、山ちゃんを振り返り私は口角をぐっと引き上げた。

「ねぇ、なんのゲーム買ったの!?」

 ずっと重かった胸の空気は、からっと軽くなっていた。
 珍しくしょぼくれていた山ちゃんの表情も、だんだんと目線が上がっていく。

「ランドセル置いたら俺んちな」
「あ、石もくれるんだよね?」
「え? やんねぇよ?」
「はぁ!? なにそれ、またケンカする!?」

 山ちゃんはちょっとハっとした。だけど私がニヤニヤしてるのを見て、ほっとした顔をする。
 それから目が合って、私達は同時にニっと笑い合うと、山ちゃんは私のランドセルを軽く小突いた。

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