聖女認定を剥奪されたら本当の幸せを掴むことが出来ました

長尾 隆生

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「あれは何かしら?」

 半日ほど馬が潰れそうになる速度で走り続けた私は、向かう先から奇妙な一団がこちらに向かってくるのを発見しました。
 すっかり日も暮れた草原にかなりの数の黒い影がうごめいていました。

「まさか……アンデッド?」

 その動きは戦場で見たアンデッドそのものではないですか。
 後に知ったことでしたが、死霊の王軍は途中で取り込んだ新たなアンデッドを王都以外へも進軍させていたらしく、その中の一軍が私がこれから目指す予定だった地に進軍していたのです。

「あれは王と王子。それと……ティアラ!?」

 暗闇のせいでわかりにくかったものの、まだアンデッド化して間もないのか、彼ら彼女らの顔は崩れても腐ってもいなかった。
 そのおかげで私にははっきりとその顔を認識することが出来たのです。

 私たちを追放し、民を見捨てた者の末路。
 それは神の与えし罰なのか。

 私は心の中で天の神に感謝の祈りを捧げます。

「アンデッドを浄化するのは聖女の役目。これは殺人ではありませんよね神よ」

 私は知らぬ間に口元に笑みが浮かんでくるのを止められませんでした。

「全ての不浄なる者よ!」

 両手を天にかざし私は最上級の光魔法を唱え始めます。
 ゆっくりとですが、私の両手の間にまばゆい光の球が作り出されていきます。

「全て塵と化し消え去るべし!!!」

 そう。
 不浄な貴方たちを私がこの世から消し去ってあげましょう。
 その行く先は天ではないかもしれませんが、私の知ったことではありません。
 それは神のみぞ知ること。

 私の作り上げた光は、一直線にアンデッドたちがうごめくその場所の中心に放たれました。
 そして次の瞬間には辺り一面に猛烈な光が満ちると、その光の中でアンデッドたちが塵と化していきます。

「さようならティアラ。貴方のおかげで私は願いを叶えることが出来たの。感謝してるわ」

 私はそう呟いてその場を後にし、王都への帰路につきました。
 王やティアラの遺品は、後でレオン先生に頼んで回収してもらうことにしましょう。
 それまでに野盗なりに奪われたとしても、今はもう必要のないものですしね。

「さぁ、これからレオン先生の国王就任のお手伝いと、国の立て直しを頑張らないといけません」

 私はそう自分自身に言い聞かせ、新たな未来に向かって馬を歩ませるのでした。


~Fin~



****お 礼  と  お 願 い*****


読了ありがとうございました。
途中投稿ミスで間違って完結にしてしまいすみませんでした。
これにて本当の完結です。

感想など頂けましたら幸いです。


あと現在[次世代ファンタジーカップ]にて下記作品で参加しておりますので応援よろしくおねがいします。

「異世界召喚されたけど無能扱いされて追放されたのでチートアイテム【ミストルティン】を使って辺境を開拓しようと思います」
https://www.alphapolis.co.jp/novel/409404883/365622638
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感想 3

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みんなの感想(3件)

月華
2022.05.01 月華

溺愛はどこ??というか愛は愛でも師弟愛・・・・恋愛ではないような・・・

解除
sachi
2022.05.01 sachi

話が途中で、ざまぁも、ハッピーエンドも無いのですが、これで終わりですか?

2022.05.01 長尾 隆生

すみません。
間違って完結設定になってしまっていたようです。

全11話で本日中に完結予定です。

解除
さ
2022.04.30

お話がすごく中途半端ですがこれで終わりなのでしょうか?
それとも間違えて完結にしてしまったのでしょうか?

2022.05.01 長尾 隆生

すみません。
間違って完結設定になってしまっていたようです。

全11話で本日中に完結予定です。

解除

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