親友の秘密

最高の友達

 「そんなことあるわけないだろ！」
 目の前にいるやつは俺の実話をはっきりとした口調で「ない」と言い切った。

  今、俺は中学の友達である岡本にカラオケ屋で起こったことをもしもの話としてはなしている最中だ。

 岡本は俺の親友と言える存在だ。中学卒業後は神奈川の有名男子校に通っている。岡本本人は共学校に通いたかったようだが、JKを連呼していた息子を心配した両親がほとんど強制的に男子校に入学させたそうだ。

 そんな岡本だが俺とは小学三年生からの仲だ。俺はこいつといる時が一番楽しくて、輝いているとおもう。
 
「岡本、お前ならどうするんだ？」
とりあえず聞いてみる
 「何が？」
 「仲良くなった友達が実は女だったら」
  「俺だったら…とりあえず証拠みせろって言って グヘへ」
 うん、岡本が変わってなくて安心した。

 少し沈黙が訪れたが岡本は急に真面目な顔になって
 「お前だったら、俺は…きっと…気まずさを隠しながらもいつも通りの接し方をするんだろうな」
 と言った。

 正直意外だったこいつが俺のことをこれほど理解しているとは思っていなかったからだ。

 少し山川の件があってから動揺していたがこいつに会って、こいつがいてくれてよかったと思っている。まあ、基本変なやつなんだが。

 「まあ、お前なりに頑張れや」
 たとえ話と言っておいたのだが、こいつは本当にあったことだと察したのだろうか？本当にこいつは最高の友達だ。

 こいつといつも一緒だった中学時代を思い返し、もう戻れないんだなと思うと後悔となんだか叫びながら外を走りたい気持ちになった。
 
 外は大雨なのだが。