とある少年の非行

如月圭

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 マスターの店に住み込みで月三十五万円で働くことになった。BAR“ソレイユ”は常連の客のほとんどが、年配の方が多かった。店内は、落ち着く内装で、十席のカウンターバーがあった。マスターに色々新しいカクテルの作り方を教わった。マスターは自分に、

 「君の本名と本当の年は?」

 「朝岡シキ、十四歳です」

 「まだ、中学生だったのか、それはいけない!家に帰らなくても良いから、学校には行きなさい!勉強は大事だよ。」

 そう言われて、昼は学校に行った。中二の一月、初めて行った中学校には、子供しか居なかった。話の合う友人は居ない。それよりも、学業を疎かにして来た、ツケが回ってきた。国語以外、全く分からなかった。これじゃあ、駄目だと、保健室登校をして、中一からの勉強を先生に教えてもらい、後は学校の近くの図書館で、教科書と問題集を解きながら、BARの開店時間まで勉強をした。

 BARは夜七時開店で、会社帰りのサラリーマンやOL、大学生が“春”の噂を聞きつけて新規としてのお客が増えた。マスターは、店のルールに、バーテンダーとお客の恋愛は禁止という項目を入れた。常連さん達は、良いも悪いも味の感想を言ってくる。自分が否定された気がして、マスターに全てのカクテルの作り方を教えてもらい、一からカクテルの作り方を憶え直した。

 相変わらず保健室登校で、先生から勉強を教えてもらう毎日、気がつけば春を迎えていた。中学三年の春、眼が悪くなり、黒縁眼鏡をかける。前髪が伸びてきたので、外見は陰キャだった。背も百八十センチを超えていた。ようやく三年生の周囲と同じ学力になると、保健室登校を辞めて、クラスへ登校するようになる。周りが子供しか居ない環境が憂鬱でクラスでは本ばかり読んでいた。

 そんな毎日が終わりを告げたのは夏の頃、受験生になり、マスターが、

 「家に帰りなさい」

 と言われた。

 「俺は用済みですか?」

 そう聞くと、マスターは、

 「今は勉強を頑張りなさい。春君、BARの方は、受験が終わったら、またおいで」

 「わかりました」

 そう言って、約二年半の家出生活は幕を閉じた。家に帰れば、実母が泣きながら、

 「どこへ行っていたの?心配したのよ!」

 と言われたが、無視をした。弟も、不審者を見るような目付きで、自分を見定めようとした。それが不快だった。近くの寮制もある、学校を見つけて、その学校に狙いを定めて、志望校の書かれた進路用紙を出した。“月桂学館”それが、自分の第一志望校。そうして、勉強に明け暮れて、迎えた受験。推薦入試を受けて、見事に通った。

 マスターにそれを報告すると、その日から、バイトとして、雇ってもらった。四月二日の誕生日を迎えて、原付バイクの免許も取り、貯めたお金で原付バイクも買った。そうして、新しい生活は始まった。





これで、この話は終わりです。ここまでお付き合いくださり、ありがとうございました。

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