とある少年の非行

如月圭

文字の大きさ
7 / 8

6

 バーテンダーとして、店に恥じない仕事をしていると、お客さんから、

 「お店が終わったら、一緒に遊ばない?春君」

 「申し訳ございません。まだ、修行中の身でして、仕事を覚えるほうが先です。お誘いはありがたいのですが、今は、誰とも……。本当に申し訳ございません」

 とニッコリ笑って言えば、

 「きゃあああ!!春君、格好いい!!」

 お客さんは喜んでくれる。そんな事を憶えながら、お客との距離感もわかって来た。笑顔を武器にして、ニッコリ笑って、断わる。大抵の自分目当てのお客は、それで対応出来た。夜の生活にも慣れて来た頃、季節はいつの間にか秋がやって来た。貯金もそこそこ貯まり、お金の稼ぎ方もわかって来た。店長に、

 「お前が店に立つようになってから、客の入りが良い。これはボーナスだ!」

 と二十万円貰った。少しでもお金が貰えれば、嬉しくなる。自分の体を売るより、良い事かも知れない、と思い始めて、過去の自分を消したくなった。相変わらず、お客のデートの誘いはあったが、それは聞き流していた。それがいけなかったのか、とある女性にストーカーされて、最終的には腹を刺された。……店長がだが、幸い命に別状はないが、店長の居ない間の夜は、店の切り盛りをした。そして、昼は、店長の入院先にお見舞いに行った。病室では、元気な店長の姿があり、ホッとした。

 「店長、具合の方はどうですか?」

 「あぁ、大丈夫だ!全治二週間、臓器に損傷がないから、直ぐ退院するさ」

 と笑い飛ばしていた。

 「店長、本当に申し訳ありません」

 「気にするなよ」

 そう微笑んだ店長に、自分は救われた。

 ストーカーの女性は警察に逮捕された。自分が相手にしなかったのが理由らしい、自分勝手だなと思いながら、警察に見つからないように配慮してくれた店長には感謝しかなかった。より一層働こうとしていると、退院した店長から、呼び出しを受けた。

 「店を辞めろ」

 「エッ?」

 「また、店に迷惑を掛けられると不味い。俺の知り合いのBARがある。そこで働け!」

 「わかりました!お世話になりました」

 その年の冬、自分は店長の知り合いのマスターを紹介されて、店長の店を辞めた。

あなたにおすすめの小説

夫婦交換

山田森湖
恋愛
好奇心から始まった一週間の“夫婦交換”。そこで出会った新鮮なときめき

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

キサラギムツキ
BL
長い間アプローチし続け恋人同士になれたのはよかったが…………… 攻め視点から最後受け視点。 残酷な描写があります。気になる方はお気をつけください。

邪神の祭壇へ無垢な筋肉を生贄として捧ぐ

BL
世間に秘された名門男子校・平坂学園体育科 空手の名選手であった高尾雄一は、新任教師として赴任する 高潔な人格と鋼のように鍛えられた肉体 それは、学園にとって最高の生贄の候補に他ならなかった 至高の筋肉を持つ、精神を削られ意志をなくした青年を太古の神に捧げるため、“水”、“風”、“土”の信奉者達が暗躍する 意志をなくし筋肉の操り人形と化した“デク” 消える教師 山奥の男子校で繰り広げられるダークファンタジー

吊るされた少年は惨めな絶頂を繰り返す

五月雨時雨
BL
ブログに掲載した短編です。

上司、快楽に沈むまで

赤林檎
BL
完璧な男――それが、営業部課長・**榊(さかき)**の社内での評判だった。 冷静沈着、部下にも厳しい。私生活の噂すら立たないほどの隙のなさ。 だが、その“完璧”が崩れる日がくるとは、誰も想像していなかった。 入社三年目の篠原は、榊の直属の部下。 真面目だが強気で、どこか挑発的な笑みを浮かべる青年。 ある夜、取引先とのトラブル対応で二人だけが残ったオフィスで、 篠原は上司に向かって、いつもの穏やかな口調を崩した。「……そんな顔、部下には見せないんですね」 疲労で僅かに緩んだ榊の表情。 その弱さを見逃さず、篠原はデスク越しに距離を詰める。 「強がらなくていいですよ。俺の前では、もう」 指先が榊のネクタイを掴む。 引き寄せられた瞬間、榊の理性は音を立てて崩れた。 拒むことも、許すこともできないまま、 彼は“部下”の手によって、ひとつずつ乱されていく。 言葉で支配され、触れられるたびに、自分の知らなかった感情と快楽を知る。それは、上司としての誇りを壊すほどに甘く、逃れられないほどに深い。 だが、篠原の視線の奥に宿るのは、ただの欲望ではなかった。 そこには、ずっと榊だけを見つめ続けてきた、静かな執着がある。 「俺、前から思ってたんです。  あなたが誰かに“支配される”ところ、きっと綺麗だろうなって」 支配する側だったはずの男が、 支配されることで初めて“生きている”と感じてしまう――。 上司と部下、立場も理性も、すべてが絡み合うオフィスの夜。 秘密の扉を開けた榊は、もう戻れない。 快楽に溺れるその瞬間まで、彼を待つのは破滅か、それとも救いか。 ――これは、ひとりの上司が“愛”という名の支配に沈んでいく物語。

BL団地妻-恥じらい新妻、絶頂淫具の罠-

おととななな
BL
タイトル通りです。 楽しんでいただけたら幸いです。

久々に幼なじみの家に遊びに行ったら、寝ている間に…

しゅうじつ
BL
俺の隣の家に住んでいる有沢は幼なじみだ。 高校に入ってからは、学校で話したり遊んだりするくらいの仲だったが、今日数人の友達と彼の家に遊びに行くことになった。 数年ぶりの幼なじみの家を懐かしんでいる中、いつの間にか友人たちは帰っており、幼なじみと2人きりに。 そこで俺は彼の部屋であるものを見つけてしまい、部屋に来た有沢に咄嗟に寝たフリをするが…