とある少年の非行

如月圭

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 バーテンダーとして、店に恥じない仕事をしていると、お客さんから、

 「お店が終わったら、一緒に遊ばない?春君」

 「申し訳ございません。まだ、修行中の身でして、仕事を覚えるほうが先です。お誘いはありがたいのですが、今は、誰とも……。本当に申し訳ございません」

 とニッコリ笑って言えば、

 「きゃあああ!!春君、格好いい!!」

 お客さんは喜んでくれる。そんな事を憶えながら、お客との距離感もわかって来た。笑顔を武器にして、ニッコリ笑って、断わる。大抵の自分目当てのお客は、それで対応出来た。夜の生活にも慣れて来た頃、季節はいつの間にか秋がやって来た。貯金もそこそこ貯まり、お金の稼ぎ方もわかって来た。店長に、

 「お前が店に立つようになってから、客の入りが良い。これはボーナスだ!」

 と二十万円貰った。少しでもお金が貰えれば、嬉しくなる。自分の体を売るより、良い事かも知れない、と思い始めて、過去の自分を消したくなった。相変わらず、お客のデートの誘いはあったが、それは聞き流していた。それがいけなかったのか、とある女性にストーカーされて、最終的には腹を刺された。……店長がだが、幸い命に別状はないが、店長の居ない間の夜は、店の切り盛りをした。そして、昼は、店長の入院先にお見舞いに行った。病室では、元気な店長の姿があり、ホッとした。

 「店長、具合の方はどうですか?」

 「あぁ、大丈夫だ!全治二週間、臓器に損傷がないから、直ぐ退院するさ」

 と笑い飛ばしていた。

 「店長、本当に申し訳ありません」

 「気にするなよ」

 そう微笑んだ店長に、自分は救われた。

 ストーカーの女性は警察に逮捕された。自分が相手にしなかったのが理由らしい、自分勝手だなと思いながら、警察に見つからないように配慮してくれた店長には感謝しかなかった。より一層働こうとしていると、退院した店長から、呼び出しを受けた。

 「店を辞めろ」

 「エッ?」

 「また、店に迷惑を掛けられると不味い。俺の知り合いのBARがある。そこで働け!」

 「わかりました!お世話になりました」

 その年の冬、自分は店長の知り合いのマスターを紹介されて、店長の店を辞めた。
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