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15.縛ってもいいでしょうか?
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舞踏会場は、多くの貴族達で賑わっていた。私は、ローガンの腕に手を添えて、舞踏会場へ入っていった。
会場に入ると、周囲の貴族達が私達を見て驚いた表情を浮かべ口々に言う。
「ローガン様!」
「その娘は誰ですか?」
「マキシアム王がお呼びです」
「キャー。どうして私じゃないの?」
デジャブかな。以前の夜会と同じように、ローガンはとても注目されているらしい。周囲の貴族達の騒めきに包まれながら、ローガンに手を引かれ私は前へ足を進めた。
舞踏会場の王座には、王と王妃が座っていた。私達は、王座へ向かって歩いて行った。
「父上。紹介します。婚約者のミーナ・レガリア侯爵令嬢です」
ローガンの声に合わせて私はカーテンシーをした。
国王が、私に声をかけてきた。
「ミーナ・レガリア?初めて聞く名だな。其方は…リリアンナ嬢によく似ている」
「初めまして。私はリリアンナの娘です」
眉間に皺を寄せ、無数の宝石を身に着けたナリミア王妃が私を睨みつけて言った。
「そんなはずないでしょ。リリアンナは、あの時死んだはずです。アナリリスを殺した後、自殺を図ったのよ。確かに死体は見つからなかったわ。でも、あり得ない。リリアンナに娘がいるなんて」
ナリミア王妃は、会場の左を睨みつけた。私は気になりナリミア王妃の視線の先を見る。
そこには、金髪の派手な中年の女性が、沢山の貴族夫人と共に談笑していた。
「王妃よ。リリアンナ・レガリア侯爵令嬢の冤罪については話をしたはずだ。彼女はアナリリスを殺していない」
「いいえ、犯人はリリアンナよ。何年も前にはっきりした事なのに。後になって、覆そうとするなんて。本当は私を疑っているのでしょう。王として夫として貴方は私を信じなければならないのに。それに今更、タリム王子がいるのに、ローガンを城に呼び戻すなんて、王妃である私の意見をどうして聞き入れてくれないのですか」
ナリミア王妃は、甲高い声で、王へ向かって早口で、捲し立ててきた。
ローガンが、遮るように言う。
「父上。俺はミーナと結婚します。認めてくださいますよね」
「ああ、すまなかった。ローガン。認めよう。ミーナと言ったか。リリアンナは美しく優しい娘だった。アナリリスはずっとリリアンナの事を気にかけていたよ。幸せになってくれ」
眉間に深い皺を刻み、黒髪に混じった白髪の王は、ミーナを見てすまなさそうに言った。
(王は、深い悲しみを抱いている?母の死に関係がないかもしれない。)
ミーナは、ローガンと共に、踵を返し王座から離れた。
段を降りた瞬間、私は急にぶつかった。
ビシャ!
「あっ」
「ごめんなさい。」
私の目の前には長い金髪のロザリー公爵令嬢が、空のグラスを持ったまま申し訳なさそうに立っていた。
「ドレスを汚してしまったわ。こちらにいらして、控室へ行きましょう」
前回逢った時は、娼館の特別室の鑑賞会だった。あの時のロザリーを思い出して、笑みを浮かべながら、彼女に言った。
「ええ、ありがとう。ローガン。少し離れるわね」
「待って、ミーナ。俺も一緒にいくから」
私が、ローガンから離れた瞬間、彼は沢山の貴族令嬢に囲まれた。
「ローガン様。婚約しただなんて嘘ですわよね」
「その女はルーナ・ギブソンではないでしょ?」
「私にもまだチャンスがありますよね」
私は、ローガンを置いてロザリーの手を取り、会場の外へ向かった。
「離せ!近寄るな!潰すぞ」
ローガンが後ろで何かを言っている声が聞こえてきた。
舞踏会場から出て、ロザリーに手を引かれながら廊下を進み、個室へ入る。
ロザリーは、私の手を握りしめたまま、ドアを急いで閉めた。
私は、彼女に話しかけた。
「ロザリー公爵令嬢。連れてきてくれてありがとうございます。あの、実は私貴方のファンなの。一つ聞いてもいいですか?」
「え?ファン?」
「ええ、あの、悪気はなかったのよ。偶然見てしまって。以前の夜会の時や、早朝の園庭で激しいプレイ。あの時使っていた鞭って痛くないの?見た事がない物だったけれど」
「まあ、貴方も興味があるの?あの鞭は特注品なの。痛みを感じながら肌を傷つけないようにベニバラって動物の皮で作らせているわ。それに縄にも仕掛けがあって絹を織り込んだ布を複雑に編み込んで作らせたの。強度と肌触りを重視しているのよ。よかったら、差し上げるわ」
ロザリーは、スカートの裾を上げ、ガーターベルトに固定されていた縄を私に渡してきた。
「すごいわ。こんなに拘っているなんて。さすが、M嬢だわ。」
「M嬢?。まあ、ほめ過ぎよ。でも嬉しいわ。私の事を分かってくれて。あの、ミーナ?お願いがあるのだけど、貴方が身に着けている星形のネックレスをいただけないかしら。特注品の道具を全部貴方に上げるわ。それが嫌なら言い値で買い取るから」
「え?この古いネックレス?これは、母の形見なの。常に身に着けるように言われているから、ごめんなさい。これだけは渡せないわ」
「そうよね。じゃあ、仕方ないかしら」
「え?」
ロザリーは、私を急に睨みつけてきて、襲い掛かってきた。
「だったら、貴方から奪うしかない。渡しなさい。それがどうしても必要なの」
長い金髪が波打ち、シルクの輝くドレスの裾が宙に舞う。広い襟元から見える鎖骨は色気があり、赤くふっくらとした唇は濡れ艶めいている。
(積極的なM嬢も、芸術的だわ)
私はそう思った。
「ああ、掴まないで!」
私は、襲い掛かってきたロザリー公爵令嬢の細い手首を、掴み捻り上げた。
「ああーーー」
悶える声も一級品だ。
片手の手首をひねり上げ、対側の手も掴みあげ、彼女の体の後ろに回す。
身に着けていた黒のドレスのベルトを取り、手首を強く固定した。
「待って。神宝を私に渡して、はあ、はあ」
確か、以前見たプレイでは足も固定していたようだった。
「えっと。こうだったかしら」
私は、ロザリーの足首を掴み、太ももにつけ、彼女から渡された特注品の縄で固定する。
「ああ、お願い。止めて」
「なかなか難しいわね。プロS男には、やっぱりかなわないわ」
反対の足首も太ももに固定した。
見事なM字開脚を強要された金髪美女が、涙目で悔しそうに私を見てくる。
なにかが、物足りない。
「なんだろ。色気かな?」
私は彼女の胸元のドレスを、無理やり下ろし、胸が出た状態で、残った縄を使って、体を縛り上げた。
「ううう、ご主人様以外に、こんな辱めを受けるなんて。」
「あっ。ジンの事ね。そういえば彼はどうしたの。いつも一緒じゃないの?」
ロザリーは私を睨みつけて言った。
「貴方のせいよ!貴方を見つけて彼が仲間を呼びに行ったの。お願い。神宝を渡して。それがないと、彼はもう私の所へ戻ってこないかもしれない」
「ええ?神宝。もう、神宝プレイはいいわ。なんだか厄介な響きだし。SMは鑑賞する方が私に合っているから」
「違うの!あなたの胸にある星型のネックレスの事よ。それが神宝なの。ジンがずっと探していたミンティア王国の秘宝よ」
全身縛られ、M字開脚し、胸を顕わになった金髪美女が涙目で、私に伝えてくる光景は、なんだかドキドキする。
私は、立ち上がり彼女を思いっきり見下しながら頷いた。
「やっぱり貴方は最高のM嬢だわ。」
舞踏会場の音楽と、騒めきがかすかに聞こえてくる。さすがにちょっとやり過ぎたような気がして、大人しくなったロザリーの縄を解き、私は話を聞く事にした。
ロザリーは、手首だけを縛られたままソファに座り、私に伝えてきた。
「ジンは、40年前に滅んだミンティア国の残党なの。国を復興するために神宝とミンティア王族の生き残りを探しに王都に来ていたのよ」
「ミンティア王国ね。なんだか聞いた事がある気がするけど、私には関係ないと思うわ。母からそんな国の事一度も聞いた事がないもの」
「神宝は、守護の古代魔術が込められているらしいの。ミンティア王族の血に反応して魔術が発動するって聞いたわ。ずっと国を守ってきたのですって」
「だったら、ミンティア王国が滅びたのは変じゃない?」
「神宝と王族の生き残りをマキシアム国が奪ったから、滅びたそうよ。地震や火山の噴火、洪水すべての災害を、ずっと古代魔術が防いできたのに」
「なるほど。でも、やっぱり違うと思うわ。この古ぼけたネックレスにそんな力があるなんて信じられないもの。それに私の母は高級娼婦だったのよ。その、ミンティア王国の姫がどうして娼婦になるのよ」
「娼婦?じゃあ貴方の父親は誰なの?」
「それは、私も分からないの。ずっと探しているのだけど、見つからなくて」
「貴方の銀髪、私の父の若い頃とそっくりの色をしているわ。屋敷の肖像画で見たの。私がもし銀髪だったなら父は、私を連れて行ってくれたかもって思って」
「銀髪?グロッサー公爵が?確か宰相の」
「ええ、そう。母と父は仲が悪くて、何年も別居しているの。一時期は私が悪いのかもと思って自分を責めた事もあったけど、ジンに出会ってから私は救われたわ。お願い。その神宝を頂戴。それさえあれば、ジンはきっと私を連れていってくれるはずよ。彼と別れたくないの」
「う、うーん。貴方達、最高のカップルでしょ。ジンから別れを告げられたの?」
「いいえ、でも」
「だったら、きっと彼は貴方と別れるつもりなんてないわ。貴方ほど素晴らしいM嬢はいないもの。神宝が無くても、ミンティア王国が滅びても関係ないと思うわ。自信を持って。貴方自身がジンを繋ぎ留めればいいじゃない。私もできるだけ協力するから」
「そうかしら。私にできるかしら」
「大丈夫よ。アンナ姉さんも貴方達カップルの事は太鼓判を押していたから。もし公爵家を追い出されたら、アンナ姉さんの所へ行って、特別室に泊めてくれるはずだわ。貴方達ならいつでも使わせて貰えるから。それに、マキベリー商会長は私の親戚なの。私の名前を出せば便宜を図ってくれるはずよ」
「私。ジンに伝えてみる。ずっと私のご主人様でいてくれるか聞いてみるわ。ミーナ。ありがとう。なんだか勇気が出た気がする」
「ううん。いいのよ。ふふふ。時々あの特別室を使ってね。ジンにもよろしく伝えて。」
私は、ロザリーと一緒に笑い合った。
身だしなみを整え、彼女の腕の縄を解いて、舞踏会場へ戻る事にした。
舞踏会場へ戻ると、ローガンが私をすぐに見つけ近づいてきた。
隣に立ったローガンは、私の腰に手を回し、耳元で囁いてくる。
「遅かったね。ミーナ。なにかあった?」
「ちょっといろいろロザリーと話し込んでしまったの。憧れのM嬢と仲良くなれて、とてもうれしいわ」
「M嬢?」
ロザリーは、ジンを探しに行くのか舞踏会場の外へ向かって歩いて行っていた。
彼女の姿を目で追っていると、大声でロザリーを呼び止める声が会場に響き渡った。
「止まれ!ロザリー・グロッサー」
会場に入ると、周囲の貴族達が私達を見て驚いた表情を浮かべ口々に言う。
「ローガン様!」
「その娘は誰ですか?」
「マキシアム王がお呼びです」
「キャー。どうして私じゃないの?」
デジャブかな。以前の夜会と同じように、ローガンはとても注目されているらしい。周囲の貴族達の騒めきに包まれながら、ローガンに手を引かれ私は前へ足を進めた。
舞踏会場の王座には、王と王妃が座っていた。私達は、王座へ向かって歩いて行った。
「父上。紹介します。婚約者のミーナ・レガリア侯爵令嬢です」
ローガンの声に合わせて私はカーテンシーをした。
国王が、私に声をかけてきた。
「ミーナ・レガリア?初めて聞く名だな。其方は…リリアンナ嬢によく似ている」
「初めまして。私はリリアンナの娘です」
眉間に皺を寄せ、無数の宝石を身に着けたナリミア王妃が私を睨みつけて言った。
「そんなはずないでしょ。リリアンナは、あの時死んだはずです。アナリリスを殺した後、自殺を図ったのよ。確かに死体は見つからなかったわ。でも、あり得ない。リリアンナに娘がいるなんて」
ナリミア王妃は、会場の左を睨みつけた。私は気になりナリミア王妃の視線の先を見る。
そこには、金髪の派手な中年の女性が、沢山の貴族夫人と共に談笑していた。
「王妃よ。リリアンナ・レガリア侯爵令嬢の冤罪については話をしたはずだ。彼女はアナリリスを殺していない」
「いいえ、犯人はリリアンナよ。何年も前にはっきりした事なのに。後になって、覆そうとするなんて。本当は私を疑っているのでしょう。王として夫として貴方は私を信じなければならないのに。それに今更、タリム王子がいるのに、ローガンを城に呼び戻すなんて、王妃である私の意見をどうして聞き入れてくれないのですか」
ナリミア王妃は、甲高い声で、王へ向かって早口で、捲し立ててきた。
ローガンが、遮るように言う。
「父上。俺はミーナと結婚します。認めてくださいますよね」
「ああ、すまなかった。ローガン。認めよう。ミーナと言ったか。リリアンナは美しく優しい娘だった。アナリリスはずっとリリアンナの事を気にかけていたよ。幸せになってくれ」
眉間に深い皺を刻み、黒髪に混じった白髪の王は、ミーナを見てすまなさそうに言った。
(王は、深い悲しみを抱いている?母の死に関係がないかもしれない。)
ミーナは、ローガンと共に、踵を返し王座から離れた。
段を降りた瞬間、私は急にぶつかった。
ビシャ!
「あっ」
「ごめんなさい。」
私の目の前には長い金髪のロザリー公爵令嬢が、空のグラスを持ったまま申し訳なさそうに立っていた。
「ドレスを汚してしまったわ。こちらにいらして、控室へ行きましょう」
前回逢った時は、娼館の特別室の鑑賞会だった。あの時のロザリーを思い出して、笑みを浮かべながら、彼女に言った。
「ええ、ありがとう。ローガン。少し離れるわね」
「待って、ミーナ。俺も一緒にいくから」
私が、ローガンから離れた瞬間、彼は沢山の貴族令嬢に囲まれた。
「ローガン様。婚約しただなんて嘘ですわよね」
「その女はルーナ・ギブソンではないでしょ?」
「私にもまだチャンスがありますよね」
私は、ローガンを置いてロザリーの手を取り、会場の外へ向かった。
「離せ!近寄るな!潰すぞ」
ローガンが後ろで何かを言っている声が聞こえてきた。
舞踏会場から出て、ロザリーに手を引かれながら廊下を進み、個室へ入る。
ロザリーは、私の手を握りしめたまま、ドアを急いで閉めた。
私は、彼女に話しかけた。
「ロザリー公爵令嬢。連れてきてくれてありがとうございます。あの、実は私貴方のファンなの。一つ聞いてもいいですか?」
「え?ファン?」
「ええ、あの、悪気はなかったのよ。偶然見てしまって。以前の夜会の時や、早朝の園庭で激しいプレイ。あの時使っていた鞭って痛くないの?見た事がない物だったけれど」
「まあ、貴方も興味があるの?あの鞭は特注品なの。痛みを感じながら肌を傷つけないようにベニバラって動物の皮で作らせているわ。それに縄にも仕掛けがあって絹を織り込んだ布を複雑に編み込んで作らせたの。強度と肌触りを重視しているのよ。よかったら、差し上げるわ」
ロザリーは、スカートの裾を上げ、ガーターベルトに固定されていた縄を私に渡してきた。
「すごいわ。こんなに拘っているなんて。さすが、M嬢だわ。」
「M嬢?。まあ、ほめ過ぎよ。でも嬉しいわ。私の事を分かってくれて。あの、ミーナ?お願いがあるのだけど、貴方が身に着けている星形のネックレスをいただけないかしら。特注品の道具を全部貴方に上げるわ。それが嫌なら言い値で買い取るから」
「え?この古いネックレス?これは、母の形見なの。常に身に着けるように言われているから、ごめんなさい。これだけは渡せないわ」
「そうよね。じゃあ、仕方ないかしら」
「え?」
ロザリーは、私を急に睨みつけてきて、襲い掛かってきた。
「だったら、貴方から奪うしかない。渡しなさい。それがどうしても必要なの」
長い金髪が波打ち、シルクの輝くドレスの裾が宙に舞う。広い襟元から見える鎖骨は色気があり、赤くふっくらとした唇は濡れ艶めいている。
(積極的なM嬢も、芸術的だわ)
私はそう思った。
「ああ、掴まないで!」
私は、襲い掛かってきたロザリー公爵令嬢の細い手首を、掴み捻り上げた。
「ああーーー」
悶える声も一級品だ。
片手の手首をひねり上げ、対側の手も掴みあげ、彼女の体の後ろに回す。
身に着けていた黒のドレスのベルトを取り、手首を強く固定した。
「待って。神宝を私に渡して、はあ、はあ」
確か、以前見たプレイでは足も固定していたようだった。
「えっと。こうだったかしら」
私は、ロザリーの足首を掴み、太ももにつけ、彼女から渡された特注品の縄で固定する。
「ああ、お願い。止めて」
「なかなか難しいわね。プロS男には、やっぱりかなわないわ」
反対の足首も太ももに固定した。
見事なM字開脚を強要された金髪美女が、涙目で悔しそうに私を見てくる。
なにかが、物足りない。
「なんだろ。色気かな?」
私は彼女の胸元のドレスを、無理やり下ろし、胸が出た状態で、残った縄を使って、体を縛り上げた。
「ううう、ご主人様以外に、こんな辱めを受けるなんて。」
「あっ。ジンの事ね。そういえば彼はどうしたの。いつも一緒じゃないの?」
ロザリーは私を睨みつけて言った。
「貴方のせいよ!貴方を見つけて彼が仲間を呼びに行ったの。お願い。神宝を渡して。それがないと、彼はもう私の所へ戻ってこないかもしれない」
「ええ?神宝。もう、神宝プレイはいいわ。なんだか厄介な響きだし。SMは鑑賞する方が私に合っているから」
「違うの!あなたの胸にある星型のネックレスの事よ。それが神宝なの。ジンがずっと探していたミンティア王国の秘宝よ」
全身縛られ、M字開脚し、胸を顕わになった金髪美女が涙目で、私に伝えてくる光景は、なんだかドキドキする。
私は、立ち上がり彼女を思いっきり見下しながら頷いた。
「やっぱり貴方は最高のM嬢だわ。」
舞踏会場の音楽と、騒めきがかすかに聞こえてくる。さすがにちょっとやり過ぎたような気がして、大人しくなったロザリーの縄を解き、私は話を聞く事にした。
ロザリーは、手首だけを縛られたままソファに座り、私に伝えてきた。
「ジンは、40年前に滅んだミンティア国の残党なの。国を復興するために神宝とミンティア王族の生き残りを探しに王都に来ていたのよ」
「ミンティア王国ね。なんだか聞いた事がある気がするけど、私には関係ないと思うわ。母からそんな国の事一度も聞いた事がないもの」
「神宝は、守護の古代魔術が込められているらしいの。ミンティア王族の血に反応して魔術が発動するって聞いたわ。ずっと国を守ってきたのですって」
「だったら、ミンティア王国が滅びたのは変じゃない?」
「神宝と王族の生き残りをマキシアム国が奪ったから、滅びたそうよ。地震や火山の噴火、洪水すべての災害を、ずっと古代魔術が防いできたのに」
「なるほど。でも、やっぱり違うと思うわ。この古ぼけたネックレスにそんな力があるなんて信じられないもの。それに私の母は高級娼婦だったのよ。その、ミンティア王国の姫がどうして娼婦になるのよ」
「娼婦?じゃあ貴方の父親は誰なの?」
「それは、私も分からないの。ずっと探しているのだけど、見つからなくて」
「貴方の銀髪、私の父の若い頃とそっくりの色をしているわ。屋敷の肖像画で見たの。私がもし銀髪だったなら父は、私を連れて行ってくれたかもって思って」
「銀髪?グロッサー公爵が?確か宰相の」
「ええ、そう。母と父は仲が悪くて、何年も別居しているの。一時期は私が悪いのかもと思って自分を責めた事もあったけど、ジンに出会ってから私は救われたわ。お願い。その神宝を頂戴。それさえあれば、ジンはきっと私を連れていってくれるはずよ。彼と別れたくないの」
「う、うーん。貴方達、最高のカップルでしょ。ジンから別れを告げられたの?」
「いいえ、でも」
「だったら、きっと彼は貴方と別れるつもりなんてないわ。貴方ほど素晴らしいM嬢はいないもの。神宝が無くても、ミンティア王国が滅びても関係ないと思うわ。自信を持って。貴方自身がジンを繋ぎ留めればいいじゃない。私もできるだけ協力するから」
「そうかしら。私にできるかしら」
「大丈夫よ。アンナ姉さんも貴方達カップルの事は太鼓判を押していたから。もし公爵家を追い出されたら、アンナ姉さんの所へ行って、特別室に泊めてくれるはずだわ。貴方達ならいつでも使わせて貰えるから。それに、マキベリー商会長は私の親戚なの。私の名前を出せば便宜を図ってくれるはずよ」
「私。ジンに伝えてみる。ずっと私のご主人様でいてくれるか聞いてみるわ。ミーナ。ありがとう。なんだか勇気が出た気がする」
「ううん。いいのよ。ふふふ。時々あの特別室を使ってね。ジンにもよろしく伝えて。」
私は、ロザリーと一緒に笑い合った。
身だしなみを整え、彼女の腕の縄を解いて、舞踏会場へ戻る事にした。
舞踏会場へ戻ると、ローガンが私をすぐに見つけ近づいてきた。
隣に立ったローガンは、私の腰に手を回し、耳元で囁いてくる。
「遅かったね。ミーナ。なにかあった?」
「ちょっといろいろロザリーと話し込んでしまったの。憧れのM嬢と仲良くなれて、とてもうれしいわ」
「M嬢?」
ロザリーは、ジンを探しに行くのか舞踏会場の外へ向かって歩いて行っていた。
彼女の姿を目で追っていると、大声でロザリーを呼び止める声が会場に響き渡った。
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