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それからの絆
【二】ぽかぽかの迷推理
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「今日も一日、無事に終わりましたね」
保健室の扉に鍵を掛けながら、僕は一人小さく呟きました。
廊下を歩きながら、窓の外に目をやります。
そこは、もうすっかりと茜色でした。
あれ程の夏の暑さは何処へやらです。
蜩の鳴き声が聞こえなくなってから久しいです。
秋の陽は釣瓶落としと言いますが、本当にそうですね。
さて。今日の夕餉は何に致しましょうか? 秋茄子が出回っていますし、煮浸しにでも致しましょうか? ああ、秋刀魚も良いですね。お味噌汁の具は、油揚げと大根の葉っぱに致しましょうか?
そんな事を考えながら、教員室へと向かいます。保健室の鍵を教員室にあります、鍵箱へと返す為です。
「…おや…」
教員室の扉を開けましたら、そこには倫太郎様と安西さんが居まして、お二人仲良く読書に耽っていました。倫太郎様のお隣の席、菅原先生の場所ですね。そこに安西さんが座ってまして、机には沢山の御本が積まれておりました。安西さんは純文学がお好きとの事でしたが、倫太郎様もそうだとは知りませんでした。
「お二人ともご熱心ですね。読書の秋を正に堪能しているのですね」
そんなお二人の姿が微笑ましく、そう声を掛けましたら。
「うわっ、ゆ、雪緒!?」
「はわっ!! た、高梨先生!?」
何故かお二人は慌てて読んでいました御本を閉じて、立ち上がりました。
「申し訳ございません。集中が切れてしまいましたね。鍵を返しましたら、直ぐに退出致しますので。ですが、もう陽の入りが早くなりましたので、葉山先生はともかく、安西さんは帰宅された方が良いと思いますよ?」
薄暗い道での女の子の一人歩きは危険ですからね。
「お、おう、そうだな! けど、あと少しだけ! 何なら、俺が安西を送って行くし!」
「そうそう! 高梨先生は気にしないで下さい! だから、早くごしゅ…痛っ!!」
どうしたのでしょうか?
まだ、言葉の途中だと思うのですが、倫太郎様が御本を安西さんの口元に押し付けてしまいましたね?
「とっ、とにかくっ! そう云う訳だからっ!! こっちは気にしないで、早く帰って飯を作れ!!」
「そうそう!!」
「あ、はい…。それでは、御機嫌よう」
お二人に頭を下げて、鍵を戻し、僕は教員室を後にしました。更衣室に向かいまして、白衣をしまいます。そして、お弁当箱を包んだ風呂敷を手に、教員用の昇降口へと向かいまして、スリッパから草履に履き替えて外へと出ました。
うぅん…?
一体、どうしたのでしょうか?
何時の間にやらお二人の距離が近付いていますね?
「…あ」
それに気付いた僕の頬が熱くなりました。
そうです。
そうですよね。
倫太郎様は、時々お手紙を貰っていました。
恐らくは、その中の一通に安西さんの物があったのではないでしょうか?
或いは、倫太郎様が取り上げました御本に、挟んでありましたとか?
「…ふわああ~…」
何と云う事でしょう。
浪漫です。
素晴らしい浪漫ではありませんか。
浮ついたお話の無かった倫太郎様でしたが、春が来ましたのですね。
きっと、菅原先生や瑠璃子様の様に、ご卒業を待ってから、本格的にお付き合いとなるのでしょう。
今は倫太郎様からご報告がありませんから、知らぬ振りをしていた方が良いのでしょうね。
「ゆきお!」
ふふっと、頬を綻ばせましたら、校門の方から星様のお声が聞こえて来ました。
「こんばんは、星様。どうされたのですか? 珍しいですね?」
笑顔で手を振りお馬さんの尻尾を揺らしながら、こちらへ走って来ます星様に、僕も軽く手を上げて笑顔で挨拶をしました。
しかし、星様は、その笑顔からは想像も付かない事を口にしたのです。
「おいら家出して来たから、ゆきおの家に泊めて!」
「は、い?」
保健室の扉に鍵を掛けながら、僕は一人小さく呟きました。
廊下を歩きながら、窓の外に目をやります。
そこは、もうすっかりと茜色でした。
あれ程の夏の暑さは何処へやらです。
蜩の鳴き声が聞こえなくなってから久しいです。
秋の陽は釣瓶落としと言いますが、本当にそうですね。
さて。今日の夕餉は何に致しましょうか? 秋茄子が出回っていますし、煮浸しにでも致しましょうか? ああ、秋刀魚も良いですね。お味噌汁の具は、油揚げと大根の葉っぱに致しましょうか?
そんな事を考えながら、教員室へと向かいます。保健室の鍵を教員室にあります、鍵箱へと返す為です。
「…おや…」
教員室の扉を開けましたら、そこには倫太郎様と安西さんが居まして、お二人仲良く読書に耽っていました。倫太郎様のお隣の席、菅原先生の場所ですね。そこに安西さんが座ってまして、机には沢山の御本が積まれておりました。安西さんは純文学がお好きとの事でしたが、倫太郎様もそうだとは知りませんでした。
「お二人ともご熱心ですね。読書の秋を正に堪能しているのですね」
そんなお二人の姿が微笑ましく、そう声を掛けましたら。
「うわっ、ゆ、雪緒!?」
「はわっ!! た、高梨先生!?」
何故かお二人は慌てて読んでいました御本を閉じて、立ち上がりました。
「申し訳ございません。集中が切れてしまいましたね。鍵を返しましたら、直ぐに退出致しますので。ですが、もう陽の入りが早くなりましたので、葉山先生はともかく、安西さんは帰宅された方が良いと思いますよ?」
薄暗い道での女の子の一人歩きは危険ですからね。
「お、おう、そうだな! けど、あと少しだけ! 何なら、俺が安西を送って行くし!」
「そうそう! 高梨先生は気にしないで下さい! だから、早くごしゅ…痛っ!!」
どうしたのでしょうか?
まだ、言葉の途中だと思うのですが、倫太郎様が御本を安西さんの口元に押し付けてしまいましたね?
「とっ、とにかくっ! そう云う訳だからっ!! こっちは気にしないで、早く帰って飯を作れ!!」
「そうそう!!」
「あ、はい…。それでは、御機嫌よう」
お二人に頭を下げて、鍵を戻し、僕は教員室を後にしました。更衣室に向かいまして、白衣をしまいます。そして、お弁当箱を包んだ風呂敷を手に、教員用の昇降口へと向かいまして、スリッパから草履に履き替えて外へと出ました。
うぅん…?
一体、どうしたのでしょうか?
何時の間にやらお二人の距離が近付いていますね?
「…あ」
それに気付いた僕の頬が熱くなりました。
そうです。
そうですよね。
倫太郎様は、時々お手紙を貰っていました。
恐らくは、その中の一通に安西さんの物があったのではないでしょうか?
或いは、倫太郎様が取り上げました御本に、挟んでありましたとか?
「…ふわああ~…」
何と云う事でしょう。
浪漫です。
素晴らしい浪漫ではありませんか。
浮ついたお話の無かった倫太郎様でしたが、春が来ましたのですね。
きっと、菅原先生や瑠璃子様の様に、ご卒業を待ってから、本格的にお付き合いとなるのでしょう。
今は倫太郎様からご報告がありませんから、知らぬ振りをしていた方が良いのでしょうね。
「ゆきお!」
ふふっと、頬を綻ばせましたら、校門の方から星様のお声が聞こえて来ました。
「こんばんは、星様。どうされたのですか? 珍しいですね?」
笑顔で手を振りお馬さんの尻尾を揺らしながら、こちらへ走って来ます星様に、僕も軽く手を上げて笑顔で挨拶をしました。
しかし、星様は、その笑顔からは想像も付かない事を口にしたのです。
「おいら家出して来たから、ゆきおの家に泊めて!」
「は、い?」
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