旦那様と僕~それから~

三冬月マヨ

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それぞれの絆

【旦】雪旦那と紫緖【完】

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 雪緒ゆきおの手が、雪緒が己の意思で、俺の腰を撫で、腹を撫で、そそり勃つそれを撫でる。
 もう一方の腰を掴んでいた手は、俺の尻に回り、やんわりと揉みしだきながら、繋がった縁へと伸び、弧を描く様に指の腹で撫で回す。

「…ぐぅ…っ…!!」

 誰だ! 雪緒にこんな事を教えた奴はっ!?
 俺か!?
 俺なのか!?
 俺は、雪緒にこんな事をした覚えはないぞっ!?
 それとも、あれか!?
 雪緒は、こうされたかったとでも言うのか!?

「…ゆ…かり様…」

 混乱状態から落ち着いたのか、荒い息の中から、雪緒が俺の名を呼ぶ。
 何故だか、余裕がある様に感じるのは、俺の気のせいなのだろうか? 
 そして。
 何故か、俺が追い詰められている様な気がするのは、やはり、気のせいなのだろうか?

「…申し訳、ござ、いません…ゆかり様…」

「がは…っ…!?」

 何だ? 何故、謝る?

 そう思った瞬間に、下から突き上げられた。

 雪緒の手に気を取られていたせいか、その衝撃に背中を仰け反らせてしまう。

「…ぐ…っ、あ…っ…!」

「…も、しわけ…ですが…その…苦し…くて…っ…」

 ズッ、ズッ、と雪緒が腰を上下させる度に、俺の口から、何とも言えない声が上がる。
 俺の性器を弄っていた手も、尻に回し、落とさない様にと、しっかりと喰い込ませている。

「がっ! ぐっ! ぅおっ!?」

「ゆ、かりさま…ふ…っ…!」

 やられっぱなしで堪るかと、俺も腰を上下させたり、回したりする。
 が。

「ぐぁっ! かは…っ…!」

 …この声はどうにかならんのか…。
 雪緒は、こんな声を出したりはしない。

「ふっ、ふぇ…っ…! ゆ、ふぇ…っ…!!」

 そう、雪緒は何時も、こんな声だ。
 幾ら中身が俺だとは云え、雪緒の口から、こんな苦しそうな呻き声なぞ出させてなるものか。
 誰だ。
 平素とは違う、雪緒の声が聞けると思ったのは。

「…ふ…ふえ…」

 …声とは…言葉とは、意識をしすぎると、平たくなるものなのだな…。

「ふぇっ!?」

 俺と比べて、雪緒の声は感情が豊かだ…。

「ぐ…ふ、ふえふえふえ…」

「ふぇ、ふぇ、ふぇえ~っ!?」

 俺は何処か遠くを見ながら、雪緒はひたすら俺の声に戸惑いながらも、互いに昇り詰めて行った。
 白く弾けてゆく意識の中で、俺は、これが夢であったら良いなと思った。

 ◇

「…う…ぅん…」

 もぞもぞと、隣で動く気配がして、俺は目を覚ました。

「…ゆき、お?」

 …喉が渇いて、ざらついていた。
 昨夜、あれだけ声を出せば当然かと、喉に手をやって気付く。
 長いが節くれ立った、この指は。

「…俺の手だ…」

 声も、掠れてはいるが、間違い無く俺の物だ。

「…戻ったのか…」

「…うぅ…」

「…雪緒?」

 そうだ。
 何やら苦しそうな声が聞こえて、俺は目を覚ましたのだ。

「雪緒? どうした?」

 身体を起こして、膨らんだ布団を捲れば、そこには、裸のままで、小さく丸まって腹を押さえている雪緒が居た。

「…も、し訳ございません…。…お、なかが…痛いのですが…その…起き上がれ…ふぇっ!?」

 雪緒が言い終わるより早く、俺はその身体を抱き上げ、裸のまま、厠へと走った。

「はっ、ひっ、そ、そんな、ゆ、揺らされ…っ…!!」

「すまんっ! 堪えてくれっ!!」

 そうだ。
 昨夜は、ほとほとに疲れ果ててしまい、何もせずに寝てしまったのだった。
 受ける側の、身体への負担の大きさを知る事が出来たのは良いが、これでは駄目だろう…っ…!!

「風呂を沸かして来る!!」

 雪緒を厠へと残し、俺は慌てて風呂場へと走る。あ、いや、その前に、茶の間を暖めるべきか? いや、俺達の着物を用意するのが先か? いや、五十嵐司令へ連絡か? いや、連絡は後だ! そんな事をしたら、間違い無く五十嵐司令は解らんが、天野達が…嵐がやって来る! 雪緒を休ませてやらんと! 茶の間に飛び込んで、ストーブに火を着けて、次に部屋へ行き、毛布を掴み、再び茶の間へ行き、放り投げ、俺は風呂場へと急いだ。
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