矢は的を射る

三冬月マヨ

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それが、幸せ

15.心配したのに

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 ヒクヒクと誘う様に息をするそこに、亀の子を押し付けた俺は息を飲んで、まだ着ていたスウェットに手を掛けて脱ぎ捨てた。

「…あっちぃ…」

 エアコン入れてねーのに、あちー。
 スウェットの下には何も着てなかったから、素肌を少しだけひんやりとした空気が触れるけど、それでも熱い。
 先生のそこも、俺のチンコも、吐く息も、掴んだ脚も、何もかもが熱い。
 グッと腰を進めれば、亀の子が嬉しそうに喰い付いて、もっと、もっとと強請る。

「…っ…!」

 先生が息を飲んで、身体を強張らせるのが解った。
 熱で蕩けそうな瞳に浮かぶのは、涙。
 先生の額には、玉の様な汗が滲んでいた。

「…キツ、い…のか…?」

 ぬっ、ぬっ、って挿入はいって行きたそうな亀の子を堪えて、先生を見下ろす。

「…んぁ…あ…ぁ…つ、らく無いと言えば…嘘に…なる、が…亀頭さえ…過ぎれば…」

 祈祷? 祈るのか? 何に?

 思わず首を傾げた俺に、先生はふっと口元を緩めた。

「…その、まま…来てくれ…」

 薄っすらと目を開けて懇願する先生の姿に、クラクラする。額から流れる汗と目尻から零れる涙と、赤く熱を持った顔に身体に、俺の身体も引き摺られてどんどん熱くなってく。
 みっちみちに広がったそこが苦しそうで、本当に、このままれて大丈夫なのかと思うけど…。

 …挿入ってたもんな、松重まつしげ先生の…。
 …それに、その為の慣らしの筈だし…。
 …でも、切れたら、うんこの度に痛いんだろうな…風呂だって…。

「…ほ、まれ…っ…!」

「…うっ、ん!」

 悩む俺を叱責する様な先生の声に、唇を噛んでググッと腰に力を入れて、亀の子に熱い肉を喰わせる。
 
 …熱い…。
 熱い…先生が…先生の中が…俺のチンコを…俺を…溶かしてしまいそうだ…。
 
「…挿入った…」

 ぬぷんと、亀の子と竿が少し挿入って、俺は一息吐く。

「…ん…っ…」

 亀の子は、まだまだ奥に行きたそうだけど、中で蠢く肉がそれを押さえ付けていた。

「…ま、とば…」

 見下ろす先生は、荒い息を吐きながら眉を寄せていて、とても辛そうだ。
 あんあんヤってる羽間はざまと松重先生しか知らねーけど、あの二人も、挿れる時はキツいのか? …想像つかねーけど…。

「…す、まん…」

 辛いのを我慢してるせいか、睨む様な先生の赤く染まった目に、ドックンッて心臓が跳ねた。

「や…っべー…」

 先生の中で、亀の子が喜んでるのが解る。
 そんくらい、先生がやべー。
 汗と涙と赤い顔と熱い身体と。
 大人の色気っての?
 とにかく、やべー。

「…っ…!? な、んか…大きく…なって、ない、か…って…!!」

 言いながら、先生の顔がぶわって更に赤くなったと思ったら、先生はまた両手で口を押さえた。

「何だよ? 声、聞かせろよ」

「…う…いや…」

 目を泳がせる先生に、俺は畳み掛ける。

「…フダンシ的な事か? 俺が気にしねーのは、解ったんだろ? 言えよ」

 ちょっときつい言い方だったかも知んねーけど、強気で行かないと、先生言わねーかも。

「う…あ…しょ…小説で良く目にする言葉だなって…っ…!! それを自分が言う日が…こんな親父の口から出るなんて…穴があったら入りたい…っ…!!」

 だから、何で両手で顔を隠すんだよ?

「…なあ、俺って的場の推しなんだろ? その俺が、気にしねーって、親父なんかとか言うの無しつったのに、まだ言うのか?」

「う…っ…」

「俺なんかとかも、無し、な? 俺は、その的場が好きなんだから」

「ううう…推しがイケメン過ぎる…」

 顔から手を離した先生の手がベッドに落ちる前に、俺はその手を取った。

「…もう、何も隠させねー」

「え」

 パチクリと目を開く先生の手を引いて、俺は自分の手を重ねて指を絡めた。

「ほら、そっちの手も」

「あ、お…こ…」

 先生の左手を取って、俺は右手もまた同じ様に絡めて、口をパクパクさせてる先生に言う。

「今度は何だよ?」

「こっ、恋人繋ぎっ!!」

「フダンシはそう呼ぶのか? 勉強になるな…なあ…もう少し…竿も…全部…挿れて良いか?」

 恋人繋ぎのせいか、先生の中がぬんぬん喜んで、俺の亀の子を揉んでて堪らない。このままじっとしてるなんて無理だ。

「あ、ああ…」

 コクリと喉を上下させて先生が頷いたから、俺はゆっくりと腰を進める。
 ぎゅうぎゅうと締め付けてくるのが苦しいけど、先生はもっと苦しいのかも。握る手の力が凄い。でも、止めろとは言われねーし、俺も止められない。
 ちょっとずつだけど、進む毎に俺の額から汗が流れる。ぽたりぽたりと流れて、先生の身体に落ちて行く。
 先生の額に浮かぶ汗も流れて、ぽたりぽたりと布団に染みを作って行った。

「…挿入った…」

 全部…玉が先生のケツにあたってて、これ以上は行けない。

「…ん…」

 俺の呟きに、先生が頷いた。

「大丈夫か? って聞いたら駄目なんだっけ…駄目、か?」

「ぷっ。大丈夫…とは言い切れないが…駄目では…ない、な…少し…馴染むまで…待てる…か?」

 俺の言葉に先生は軽く噴き出して、そう言った。

「ん…」

 正直、このままガンガン突いて揺さぶりたいけど我慢だ。…何処まで我慢出来るかは知らねーけど…。下手に動いて切れ痔とかにさせたくねーし。

「あ」

 そう考えて、俺は一つの可能性に気が付いた。

「…穂稀ほまれ?」

「あ、いや…」

 俺の呟きを拾った先生が不思議そうに呼ぶけど、今度は俺が視線を泳がせた。

「どう、した? 気になる事が…あるなら…言ってくれ…」

 う…。
 間違ってたら恥ずかしいし嫌だけど、不安な顔をする先生を無視出来ない。
 から、俺は腹を括って言った。

「…腸ってさ…ウィンナーの皮だよな? 動いて破けたりしねー?」

「ぶはっ!!」
 
 真面目に。
 本当に真面目に先生の心配をしたのに、先生は思い切り噴き出して、身体を捩らせて笑い出した。

「ちょ、ま、とば…っ…!」

 やべーっ!!
 マジ、やべーっ!!

「笑うなって…っ…!!」

 先生が笑うから、腹が景気良く動いて。
 それは、当然、中の肉も元気に活動している訳で。
 ぎゅんぎゅんチンコは揉まれ、締め付けられ…とにかく、気持ち良くてヤバいんだってっ!! 亀の子の口が開く!!

「いや、しかし…っ…!」

 先生の笑いは治まらない。
 先生が笑うから、腹の動きも止まらない。
 他人ひとの手じゃねーけど、自分以外の誰かの熱に包まれるのって、すげー気持ち良い。
 けど。
 それは、多分、こんなんじゃない。
 これは違う。
 違う、そうじゃないって、頭の中で誰かの歌が鳴り響く。

「…っ…ホント…やべーんだって…っ…!!」

 マジで口開く五秒前なんだってっ!!

「ああ…俺も…わら…過ぎて…やば…っ…」

 それなのに、先生はまだ笑うっ!!
 そんなにツボったんなら、また言うから、今は笑い止んでくれよっ!!
 初心者なんだよ、俺はっ!! 爆発すんだろっ!!

「そっちのやべーじゃねーっ!! 笑って腹筋鍛えようとすん…っ…――――――――あ…」

 認めたくないけど…出た…亀の子が我慢出来なくて…口から吐き出しやがった…。

「…穂希…? ………あ……? …あ、あぁ…」

 気まずそうに目を逸らすな――――――――っ!!
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