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攻略されていたのは、俺?
【02】
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その頭を打った拍子に、前世の記憶がドドッと流れ込んで来た。
一瞬だった。
走馬灯って、こんな感じなんだろうな。
てか、前世で死ぬ時に走馬灯流れたかな?
てか、俺、どうやって死んだの?
寿命? 病気? お約束の交通事故?
まあ、そんな事は今はどうでも良い。
今はとにかく、この下半身丸出しの状態を何とかしないと。
幸い教卓の陰で、俺のブツは見えてはいない。
目撃したのは、教師とメゴロウだけだ。教師が男性で良かった。女性だったら悲鳴を上げていたかも知れないからな。
「だ、大丈夫か…?」
教師のキョ・ウシが目を泳がせながら、床に倒れる俺とメゴロウを見る。教室内には俺とメゴロウを心配する声が上がっている。
「大丈夫です。彼も緊張していたのでしょう。脚がもつれて転んでしまった様です。上手く抱き留められなくてすまなかったね」
何か歯が浮きそうだが仕方が無い。ケタロウは、こんな話し方なんだよ。長年使って来た話し言葉だ。意識する間も無く、するすると出て行く。
俺の下げたズボンを掴んで離さず、膝に顔を埋めたままで動かないメゴロウの肩を、上半身を起こしてポンと軽く叩けば、メゴロウは恐る恐る顔を上げた。その目は赤く潤んでいて、思わず庇護欲をそそられてしまう。
「起き上がれるかい?」
そう言って、努めて優しく笑えば、メゴロウはこくりと頷いて、俺のズボンから手を離してゆっくりと立ち上がった。
その隙に俺はズボンとパンツを引っ張り上げる。
いや、本当に何でこんなに綺麗に脱げたんだ?
どこぞのラッキースケベもびっくりだぞ。
ベルト緩かったのか? 穴、一つ詰めるか?
「情けない処を見せてしまったね。私も緊張していた様だ。私は、ウ・ケタロウ。ケタロウと呼んでくれ。これから、同じ学び舎で互いに切磋琢磨して行く仲間だ。気楽にしてくれ」
ズボンを穿いて立ち上がって、俺は改めてメゴロウに右手を差し出した。
まあ、思い出した切っ掛けはアレだけど、思い出せて良かった。
思い出さなければ、俺は恥を掻かされたと根に持って、更にネチネチと虐めていた事だろう。
虐め、駄目、絶対。
だって、それの報復が死。それも絞首刑ってどんだけだよ。
何で中世の魔女狩りみた…いや、魔女狩りは火炙りだったか?
生きながら焼かれるよりは良いのか?
いや、良く無い。
実際に見た事は無いが、上からも下からも、色んな物を出すんだろ? ゲーム画面では、モザイク掛かっていたけど、リアルで経験したくは無い。
そんな苦しいの絶対に嫌だ。
死ぬんなら、眠る様に楽に死にたい。
それより以前に、死にたくない。
前世でどんな風に死んだかは知らないが、俺は人生を全うしたいと思っている。
こう思うって事は、きっと前世では無念の死を遂げた筈だ。
だから、俺はメゴロウと仲良くする。
メゴロウと仲良くすれば、俺は無事に卒業出来る筈だ。前世で読んだラノベは、大体そんな感じだった。悪役は、悪役らしい事をしなければ、死なない。そうしたら、更に学を積むなり、社会に出るなりなんなりする。で、可愛い嫁さんを迎えるんだ。子供は一人? いや、一姫二太郎って言うから二人かな。どちらも可愛い嫁さん似でさ、俺はきっと毎日デレデレしちゃうんだろうな。
「…あ、はい…。セ・メゴロウです。宜しくお願いします、ケタロウさん」
ぎこちなく握り返された手に、俺は小さく苦笑するしか無かった。
伏し目がちに、僅かに顔を赤くして答える姿はゲームと同じだったから。
ごめんよ、俺はお前を虐めたりしないから、安心してくれ。
これから、それを証明して行くからな。
◇
「はっ、ふっ、はふはふっ!?」
…いや…落ち着け、少年…。
俺はチキンドリアを食べる手を止めて、目の前で繰り広げられる光景に呆気に取られていた。
今、俺達…俺とメゴロウは学園の食堂に居る。学園に通う者ならば、無料で利用出来る優れものだ。
俺がメゴロウと親交を深める為に誘ったのだ。
クラス委員だし、メゴロウも断る事はしなかった。
それは、朝のお詫びなのかも知れないが。
この学園内にある食堂はビュッフェスタイルで、自分で好きな物を取って来る物だ。出来立てを注文する事も出来る。
で、俺は熱々のドリアを食べたかったから、ドリアを注文し、後は適当にサラダとスープを手にテーブルに着き、メゴロウが来るのを待っていた。いたんだが。俺の前に現れたメゴロウはトレイを二つ手に持って現れた。それぞれのトレイには、料理の盛られた皿が二段に重ねられている。
…ああ…そう言えば、痩せの大食いって設定だった気がする…。
しかし、メゴロウもドリアを注文していた。
運ばれて来た二つのドリアを見た時は思わず、まじまじとメゴロウとドリアを見比べてしまった。
俺より小さいくせに、本当に何処に入るんだ?
「ああ、ほら、落ち着いて。そんなに慌てて食べなくても、逃げたりはしないから。ほら、そんなに好きなら私のドリアも食べるかい?」
何か小さい子供に言い聞かせてるみたいだなと思いながら、空いている左手でドリアの器を指差せば。
「はい!」
と、メゴロウは俺が右手に持つスプーンに、ぱくりと食いついた。
…何で?
一瞬だった。
走馬灯って、こんな感じなんだろうな。
てか、前世で死ぬ時に走馬灯流れたかな?
てか、俺、どうやって死んだの?
寿命? 病気? お約束の交通事故?
まあ、そんな事は今はどうでも良い。
今はとにかく、この下半身丸出しの状態を何とかしないと。
幸い教卓の陰で、俺のブツは見えてはいない。
目撃したのは、教師とメゴロウだけだ。教師が男性で良かった。女性だったら悲鳴を上げていたかも知れないからな。
「だ、大丈夫か…?」
教師のキョ・ウシが目を泳がせながら、床に倒れる俺とメゴロウを見る。教室内には俺とメゴロウを心配する声が上がっている。
「大丈夫です。彼も緊張していたのでしょう。脚がもつれて転んでしまった様です。上手く抱き留められなくてすまなかったね」
何か歯が浮きそうだが仕方が無い。ケタロウは、こんな話し方なんだよ。長年使って来た話し言葉だ。意識する間も無く、するすると出て行く。
俺の下げたズボンを掴んで離さず、膝に顔を埋めたままで動かないメゴロウの肩を、上半身を起こしてポンと軽く叩けば、メゴロウは恐る恐る顔を上げた。その目は赤く潤んでいて、思わず庇護欲をそそられてしまう。
「起き上がれるかい?」
そう言って、努めて優しく笑えば、メゴロウはこくりと頷いて、俺のズボンから手を離してゆっくりと立ち上がった。
その隙に俺はズボンとパンツを引っ張り上げる。
いや、本当に何でこんなに綺麗に脱げたんだ?
どこぞのラッキースケベもびっくりだぞ。
ベルト緩かったのか? 穴、一つ詰めるか?
「情けない処を見せてしまったね。私も緊張していた様だ。私は、ウ・ケタロウ。ケタロウと呼んでくれ。これから、同じ学び舎で互いに切磋琢磨して行く仲間だ。気楽にしてくれ」
ズボンを穿いて立ち上がって、俺は改めてメゴロウに右手を差し出した。
まあ、思い出した切っ掛けはアレだけど、思い出せて良かった。
思い出さなければ、俺は恥を掻かされたと根に持って、更にネチネチと虐めていた事だろう。
虐め、駄目、絶対。
だって、それの報復が死。それも絞首刑ってどんだけだよ。
何で中世の魔女狩りみた…いや、魔女狩りは火炙りだったか?
生きながら焼かれるよりは良いのか?
いや、良く無い。
実際に見た事は無いが、上からも下からも、色んな物を出すんだろ? ゲーム画面では、モザイク掛かっていたけど、リアルで経験したくは無い。
そんな苦しいの絶対に嫌だ。
死ぬんなら、眠る様に楽に死にたい。
それより以前に、死にたくない。
前世でどんな風に死んだかは知らないが、俺は人生を全うしたいと思っている。
こう思うって事は、きっと前世では無念の死を遂げた筈だ。
だから、俺はメゴロウと仲良くする。
メゴロウと仲良くすれば、俺は無事に卒業出来る筈だ。前世で読んだラノベは、大体そんな感じだった。悪役は、悪役らしい事をしなければ、死なない。そうしたら、更に学を積むなり、社会に出るなりなんなりする。で、可愛い嫁さんを迎えるんだ。子供は一人? いや、一姫二太郎って言うから二人かな。どちらも可愛い嫁さん似でさ、俺はきっと毎日デレデレしちゃうんだろうな。
「…あ、はい…。セ・メゴロウです。宜しくお願いします、ケタロウさん」
ぎこちなく握り返された手に、俺は小さく苦笑するしか無かった。
伏し目がちに、僅かに顔を赤くして答える姿はゲームと同じだったから。
ごめんよ、俺はお前を虐めたりしないから、安心してくれ。
これから、それを証明して行くからな。
◇
「はっ、ふっ、はふはふっ!?」
…いや…落ち着け、少年…。
俺はチキンドリアを食べる手を止めて、目の前で繰り広げられる光景に呆気に取られていた。
今、俺達…俺とメゴロウは学園の食堂に居る。学園に通う者ならば、無料で利用出来る優れものだ。
俺がメゴロウと親交を深める為に誘ったのだ。
クラス委員だし、メゴロウも断る事はしなかった。
それは、朝のお詫びなのかも知れないが。
この学園内にある食堂はビュッフェスタイルで、自分で好きな物を取って来る物だ。出来立てを注文する事も出来る。
で、俺は熱々のドリアを食べたかったから、ドリアを注文し、後は適当にサラダとスープを手にテーブルに着き、メゴロウが来るのを待っていた。いたんだが。俺の前に現れたメゴロウはトレイを二つ手に持って現れた。それぞれのトレイには、料理の盛られた皿が二段に重ねられている。
…ああ…そう言えば、痩せの大食いって設定だった気がする…。
しかし、メゴロウもドリアを注文していた。
運ばれて来た二つのドリアを見た時は思わず、まじまじとメゴロウとドリアを見比べてしまった。
俺より小さいくせに、本当に何処に入るんだ?
「ああ、ほら、落ち着いて。そんなに慌てて食べなくても、逃げたりはしないから。ほら、そんなに好きなら私のドリアも食べるかい?」
何か小さい子供に言い聞かせてるみたいだなと思いながら、空いている左手でドリアの器を指差せば。
「はい!」
と、メゴロウは俺が右手に持つスプーンに、ぱくりと食いついた。
…何で?
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