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攻略されていたのは、俺?
【03】
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これは一体何だ?
俺が指差したドリアの器を持って行けと、そう云う意味で言ったのに、何でメゴロウは俺が持つスプーンに食いついたんだ? 身を乗り出してまで。
あ。
冷めてたからか?
そうか、そうだな。
熱い熱いって、はふはふしてたからな。
全く、何処のお子ちゃまだよ。
こいつ、こんなんでヒロインと上手くやっていけるのか?
お兄さんは心配だよ。
「あ、す、すみません、つい…っ…!」
周囲から『可愛い』とか『梅のくせに』とか、そんな声が聞こえて来るのに気付いたのだろう。咀嚼し終えたメゴロウが椅子から浮かせていた身体を戻して、しおしおと俯いてしまった。
おい!
可愛いは良いとして、梅とか関係ないだろ!?
学園は、身分とか関係なく平等にって謳っているだろうが。
これでメゴロウがダメージ負ったら俺のせいになるだろ!?
そしたら、俺が死ぬだろうが!!
全く、冗談じゃない。松竹梅なんてクソ食らえだ。だから、向こうの世界では、それが衰退していったんだろうな。
「ほら、顔を上げて。周りの言葉は気にしなくて良い。何処にでも、何かを言わずに居られない輩は居るものさ。私は君と仲良くしたいと思っている。…迷惑かい?」
空になったスプーンに新たにドリアを乗せて、笑顔でメゴロウの口元へと差し出せば、また食堂内がざわついた。
いちいちざわつかないでくれ。
ゲームでの俺の外面が良いのは周知の事実だろ?
皆にバレない様に、陰からコソコソと、或いは人を使ってケタロウはメゴロウを陰湿に虐めていた。
だから、俺がメゴロウを虐めているってのが、なかなか表面化しなくて、卒業の日まで掛かったんだよな。まあ、メゴロウも誰かにそれを言う事は無かったから、仕方が無いっちゃあ、仕方が無いんだが。それが、何でバレたかって? それはヒロインの功績だな。メゴロウが何も言わずとも、彼女はそれを察して人知れず動くんだ。うん、ヒロインってそうだよな、うんうん、と、テレビ画面の前で何度も頷いたよ。
「め、迷惑だなんて…嬉しいです…」
顔を赤くしながらそう言って、俺が差し出したスプーンからドリアを食べるメゴロウは、本当に可愛くて、思わず頭を撫で撫でしたくなった。
本当に、こんな子を虐めるなんて最低だな、ケタロウは。って、俺だけど。いや、このゲームのシナリオライターか? メゴロウの可愛らしさや、健気さを引き立てる為に必要だったのか? まあ、確かにプレイする度に『ケタロウの野郎~! それに比べて主人公は』って思っていたからなあ。仕方が無い、必要悪だったんだろう。…って考えたらケタロウも可哀想な奴なんだな。クラスの中心だったし、誰からの信頼も厚かった…んだよな? まあ、表面上はかも知れないけど。けど、それは段々メゴロウにシフトチェンジしていって、で、虐めに更に熱が入って、かあ…。それで絞首刑は…うん、あんまりだと思う、いや、あんまりだ。
「ありがとう、私も嬉しいよ」
あんな未来なんて真っ平ごめんだ。
だから、仲良くやって行こうな、メゴロウ!
そんな想いを乗せてにっこりと微笑めば、メゴロウは更に顔を赤くしてコクコクと頷いた。
◇
「…わあ…」
昼食を食べ終えた俺とメゴロウは、学園の中庭に出ていた。
いや、もう、メゴロウの食いっぷりを見ているだけで胸焼けが…。
ゲームでは、あんなシーン無かったからな…。まあ、そりゃそうか。平凡顔の主人公の大食いハンター絵なんて、誰も見たくは無いよな。見るなら、ヒロインの食いっぷりだろう。
「…ん…?」
中庭にある噴水を見てはしゃぐメゴロウの姿に、俺はある事を思い出した。
…これ、ヒロインの一人と出会う場面だった筈…。
ついつい調子に乗って食べ過ぎたメゴロウが、重い腹を抱えながら散歩していた処に、何故かヒロインが体当たりして来て、そのままの勢いで噴水の側にいたメゴロウを道連れに、その中へとダイブすると云う、何がどうしてそうなったとツッコんだ出会いだ。
そう『なんでやねん!』と、ツッコんで直ぐに、濡れた髪だとか、ブレザーの下の白いブラウスが濡れて肌に張り付いて、また透けていて、ピンク色のブラジャーが薄っすらと見えている一枚絵に『おほっ♡』と、なったヤツだ。
主人公が噴水の中で尻餅をついて、その脚の上にヒロインが跨っていて、互いに水で濡れた目で見つめ合っていると云う、とても美味しい絵だった。
そう、今の俺達の様に。
気が付いたら、水で濡れて肌に張り付くワイシャツを気持ち悪く思いながら、噴水の中で俺は、俺の足に跨がるメゴロウと、濡れた目で見つめ合っていた。
…何で?
俺が指差したドリアの器を持って行けと、そう云う意味で言ったのに、何でメゴロウは俺が持つスプーンに食いついたんだ? 身を乗り出してまで。
あ。
冷めてたからか?
そうか、そうだな。
熱い熱いって、はふはふしてたからな。
全く、何処のお子ちゃまだよ。
こいつ、こんなんでヒロインと上手くやっていけるのか?
お兄さんは心配だよ。
「あ、す、すみません、つい…っ…!」
周囲から『可愛い』とか『梅のくせに』とか、そんな声が聞こえて来るのに気付いたのだろう。咀嚼し終えたメゴロウが椅子から浮かせていた身体を戻して、しおしおと俯いてしまった。
おい!
可愛いは良いとして、梅とか関係ないだろ!?
学園は、身分とか関係なく平等にって謳っているだろうが。
これでメゴロウがダメージ負ったら俺のせいになるだろ!?
そしたら、俺が死ぬだろうが!!
全く、冗談じゃない。松竹梅なんてクソ食らえだ。だから、向こうの世界では、それが衰退していったんだろうな。
「ほら、顔を上げて。周りの言葉は気にしなくて良い。何処にでも、何かを言わずに居られない輩は居るものさ。私は君と仲良くしたいと思っている。…迷惑かい?」
空になったスプーンに新たにドリアを乗せて、笑顔でメゴロウの口元へと差し出せば、また食堂内がざわついた。
いちいちざわつかないでくれ。
ゲームでの俺の外面が良いのは周知の事実だろ?
皆にバレない様に、陰からコソコソと、或いは人を使ってケタロウはメゴロウを陰湿に虐めていた。
だから、俺がメゴロウを虐めているってのが、なかなか表面化しなくて、卒業の日まで掛かったんだよな。まあ、メゴロウも誰かにそれを言う事は無かったから、仕方が無いっちゃあ、仕方が無いんだが。それが、何でバレたかって? それはヒロインの功績だな。メゴロウが何も言わずとも、彼女はそれを察して人知れず動くんだ。うん、ヒロインってそうだよな、うんうん、と、テレビ画面の前で何度も頷いたよ。
「め、迷惑だなんて…嬉しいです…」
顔を赤くしながらそう言って、俺が差し出したスプーンからドリアを食べるメゴロウは、本当に可愛くて、思わず頭を撫で撫でしたくなった。
本当に、こんな子を虐めるなんて最低だな、ケタロウは。って、俺だけど。いや、このゲームのシナリオライターか? メゴロウの可愛らしさや、健気さを引き立てる為に必要だったのか? まあ、確かにプレイする度に『ケタロウの野郎~! それに比べて主人公は』って思っていたからなあ。仕方が無い、必要悪だったんだろう。…って考えたらケタロウも可哀想な奴なんだな。クラスの中心だったし、誰からの信頼も厚かった…んだよな? まあ、表面上はかも知れないけど。けど、それは段々メゴロウにシフトチェンジしていって、で、虐めに更に熱が入って、かあ…。それで絞首刑は…うん、あんまりだと思う、いや、あんまりだ。
「ありがとう、私も嬉しいよ」
あんな未来なんて真っ平ごめんだ。
だから、仲良くやって行こうな、メゴロウ!
そんな想いを乗せてにっこりと微笑めば、メゴロウは更に顔を赤くしてコクコクと頷いた。
◇
「…わあ…」
昼食を食べ終えた俺とメゴロウは、学園の中庭に出ていた。
いや、もう、メゴロウの食いっぷりを見ているだけで胸焼けが…。
ゲームでは、あんなシーン無かったからな…。まあ、そりゃそうか。平凡顔の主人公の大食いハンター絵なんて、誰も見たくは無いよな。見るなら、ヒロインの食いっぷりだろう。
「…ん…?」
中庭にある噴水を見てはしゃぐメゴロウの姿に、俺はある事を思い出した。
…これ、ヒロインの一人と出会う場面だった筈…。
ついつい調子に乗って食べ過ぎたメゴロウが、重い腹を抱えながら散歩していた処に、何故かヒロインが体当たりして来て、そのままの勢いで噴水の側にいたメゴロウを道連れに、その中へとダイブすると云う、何がどうしてそうなったとツッコんだ出会いだ。
そう『なんでやねん!』と、ツッコんで直ぐに、濡れた髪だとか、ブレザーの下の白いブラウスが濡れて肌に張り付いて、また透けていて、ピンク色のブラジャーが薄っすらと見えている一枚絵に『おほっ♡』と、なったヤツだ。
主人公が噴水の中で尻餅をついて、その脚の上にヒロインが跨っていて、互いに水で濡れた目で見つめ合っていると云う、とても美味しい絵だった。
そう、今の俺達の様に。
気が付いたら、水で濡れて肌に張り付くワイシャツを気持ち悪く思いながら、噴水の中で俺は、俺の足に跨がるメゴロウと、濡れた目で見つめ合っていた。
…何で?
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