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攻略していたのは、僕
【02】
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「…あ、れ…?」
目が覚めたら、見知った天井が見えた。ここは、僕の部屋だ。ブルーベリー畑に居た筈なのに…? ああ、なんだ、やっぱり夢だったんだ。良かった。
「…メゴロウ!?」
そう思った僕の耳に、母さんの慌てた様な声が飛び込んで来た。
「…母さん…?」
顔を動かして横を見れば、勉強机の椅子を持って来たんだろう。その椅子に腰掛けた母さんが座っていた。もの凄く疲れた顔をしている。朝の作業後かな?
「良かった、お前、畑で倒れていたんだよ! 痣だらけで…っ…!」
「…え…」
あれ…夢じゃ無かった…?
「メゴロウが起きたのか!?」
部屋のドアが乱暴に開けられて父さんが入って来た。その後ろに、黒いスーツを着た男の人の姿が見える。
え、誰?
「お目覚めになられましたか? ご子息と会話をしても良いですか?」
「あ、はい! メゴロウ、起きて着替え」
その人が父さんにそう聞けば、父さんは慌てて僕がいるベッドの傍まで来た。
「ああ、そのままで結構です」
そんな父さんを、男の人が軽く手を挙げて止めた。
「…え…な、に…?」
ベッドの上で身体を起こしたら、母さんが肩にカーディガンを掛けてくれた。ついでに立ててくれた枕に、僕は背中を預ける。ズキッとした痛みが全身に走って、眉を顰めてしまった。
…どうして、こんなに身体が痛いんだっけ…?
「辛ければ、横になっていて下さい。二日間も目を覚まさなかったと聞いています。君の××の行方は依然として知れず…」
…××…って、何…? それより…二日間…? そんなに寝ていた…?
「もう、あいつとは親でも子でも無い! 出て行ってくれてせいせいしたよ!!」
…あいつ…? …親子…? なに…?
「あなた!!」
「…二人きりにさせて戴けませんか?」
話しが出来ないと思ったのか、男の人が低い声で言えば、母さんが父さんの背中を押しながら部屋から出て行った。部屋に残ったのは、僕と謎の黒服の男の人だけ。って、この人は誰なんだろう?
「失礼するね」
そう言って、彼は母さんが座っていた椅子に腰を下ろした。
「突然の事で驚くなと言うのは無理だと思いますが、どうか話を聞いて下さい」
「は、い…?」
「…実は…――――――――」
彼が話した内容は、本当にとんでもない物だった。
一昨日、女神ガディシス様からの天啓をガディシス教の大神官が受けて、それを国王陛下へと報告。
近い未来、この国に未曽有の危機が訪れる。
その災厄はこの国だけに留まらず、やがては世界を覆う物になる。
それを救えるのは力を持つ者。
それは、一人の少年と、その少年が情を贈った者だけ。
情を交わす度に、絆を深める度に、少年の力は強くなり、また、新たな力も生まれる。
その少年と、その少年の相手となり得る者は…――――――――。
…頭が痛い…。
僕は両手で頭を抱えてしまった。
笑い飛ばす事が出来たら、本当にどれだけ良かっただろう。
でも、出来なかった。
だって、それは僕も夢でガディシス様に言われた事と同じだったから。
――――――――…見つけた…――――――――。
そう、透き通る様な声で言われた。
心を撫でる様に、ゆっくりと優しい声で、その話をされた。
夢だと思っていたのに、こんな風に話を聞かされたら、夢では無かったと思うしかない。現実なんだって。今、本当に起こっている事なんだって。
「…けど、僕に特別な力なんてないのに…」
「今は未だ小さいけれど、情を交わす事で発現し、また変化すると聞いています。セ・メゴロウ様、何時か来る災厄の為に、どうかその力を世界の為に…」
ぽつりと呟いた僕の言葉に、椅子に座っていた男が立ち上がり、そして、その横で片膝を付いて頭を下げて来た。
「ええっ!?」
年上の、それも身分も僕より上の人に、そんな事をされた僕は目を白黒させてしまう。
「ガディシス様が選ばれた方々は、偶然にも皆、王立学園に集っております。セ・メゴロウ様をお迎えする準備は整っています。お身体の具合が宜しくなり次第、学園へ…」
「いや、頭を上げて下さい…っ…!!」
「いいえ。このワ・キヤク。セ・メゴロウ様が頷かれるまで、ここを動きません」
「や、あの、だって…っ…!!」
だって、だって、ガディシス様は言ったんだ。情を交わすって? って、聞いた僕に、ガディシス様は顔を両手で覆って言ったんだ。
『…性行為…セックスの事です…』
って。
「…学園の食堂も…寮での食事も…お金は掛かりません。…食べ放題です」
「行きます!!」
目が覚めたら、見知った天井が見えた。ここは、僕の部屋だ。ブルーベリー畑に居た筈なのに…? ああ、なんだ、やっぱり夢だったんだ。良かった。
「…メゴロウ!?」
そう思った僕の耳に、母さんの慌てた様な声が飛び込んで来た。
「…母さん…?」
顔を動かして横を見れば、勉強机の椅子を持って来たんだろう。その椅子に腰掛けた母さんが座っていた。もの凄く疲れた顔をしている。朝の作業後かな?
「良かった、お前、畑で倒れていたんだよ! 痣だらけで…っ…!」
「…え…」
あれ…夢じゃ無かった…?
「メゴロウが起きたのか!?」
部屋のドアが乱暴に開けられて父さんが入って来た。その後ろに、黒いスーツを着た男の人の姿が見える。
え、誰?
「お目覚めになられましたか? ご子息と会話をしても良いですか?」
「あ、はい! メゴロウ、起きて着替え」
その人が父さんにそう聞けば、父さんは慌てて僕がいるベッドの傍まで来た。
「ああ、そのままで結構です」
そんな父さんを、男の人が軽く手を挙げて止めた。
「…え…な、に…?」
ベッドの上で身体を起こしたら、母さんが肩にカーディガンを掛けてくれた。ついでに立ててくれた枕に、僕は背中を預ける。ズキッとした痛みが全身に走って、眉を顰めてしまった。
…どうして、こんなに身体が痛いんだっけ…?
「辛ければ、横になっていて下さい。二日間も目を覚まさなかったと聞いています。君の××の行方は依然として知れず…」
…××…って、何…? それより…二日間…? そんなに寝ていた…?
「もう、あいつとは親でも子でも無い! 出て行ってくれてせいせいしたよ!!」
…あいつ…? …親子…? なに…?
「あなた!!」
「…二人きりにさせて戴けませんか?」
話しが出来ないと思ったのか、男の人が低い声で言えば、母さんが父さんの背中を押しながら部屋から出て行った。部屋に残ったのは、僕と謎の黒服の男の人だけ。って、この人は誰なんだろう?
「失礼するね」
そう言って、彼は母さんが座っていた椅子に腰を下ろした。
「突然の事で驚くなと言うのは無理だと思いますが、どうか話を聞いて下さい」
「は、い…?」
「…実は…――――――――」
彼が話した内容は、本当にとんでもない物だった。
一昨日、女神ガディシス様からの天啓をガディシス教の大神官が受けて、それを国王陛下へと報告。
近い未来、この国に未曽有の危機が訪れる。
その災厄はこの国だけに留まらず、やがては世界を覆う物になる。
それを救えるのは力を持つ者。
それは、一人の少年と、その少年が情を贈った者だけ。
情を交わす度に、絆を深める度に、少年の力は強くなり、また、新たな力も生まれる。
その少年と、その少年の相手となり得る者は…――――――――。
…頭が痛い…。
僕は両手で頭を抱えてしまった。
笑い飛ばす事が出来たら、本当にどれだけ良かっただろう。
でも、出来なかった。
だって、それは僕も夢でガディシス様に言われた事と同じだったから。
――――――――…見つけた…――――――――。
そう、透き通る様な声で言われた。
心を撫でる様に、ゆっくりと優しい声で、その話をされた。
夢だと思っていたのに、こんな風に話を聞かされたら、夢では無かったと思うしかない。現実なんだって。今、本当に起こっている事なんだって。
「…けど、僕に特別な力なんてないのに…」
「今は未だ小さいけれど、情を交わす事で発現し、また変化すると聞いています。セ・メゴロウ様、何時か来る災厄の為に、どうかその力を世界の為に…」
ぽつりと呟いた僕の言葉に、椅子に座っていた男が立ち上がり、そして、その横で片膝を付いて頭を下げて来た。
「ええっ!?」
年上の、それも身分も僕より上の人に、そんな事をされた僕は目を白黒させてしまう。
「ガディシス様が選ばれた方々は、偶然にも皆、王立学園に集っております。セ・メゴロウ様をお迎えする準備は整っています。お身体の具合が宜しくなり次第、学園へ…」
「いや、頭を上げて下さい…っ…!!」
「いいえ。このワ・キヤク。セ・メゴロウ様が頷かれるまで、ここを動きません」
「や、あの、だって…っ…!!」
だって、だって、ガディシス様は言ったんだ。情を交わすって? って、聞いた僕に、ガディシス様は顔を両手で覆って言ったんだ。
『…性行為…セックスの事です…』
って。
「…学園の食堂も…寮での食事も…お金は掛かりません。…食べ放題です」
「行きます!!」
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