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攻略していたのは、僕
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それを思い出したのは、何回目の巻き戻りの時だったかな…。自分がした事が信じられなくて、認めたくなくて…苦しくて…泣きながら…胃の中の物を全部吐き出したっけ…。
…忘れていたのなら、そのままで良かったのに…。
優しかったアニキ。でも、変わってしまったアニキ。
あの人のせいで。
あの女のせいで。
変わってしまった。
…ケタロウ様…。
ぐいっと肩に額を押し付けて軽く擦ってみても、ケタロウ様は起きない。
…眠りが深いんだね…。
それは、僕が傍に居ても安心してるって事?
それは、僕が傍に居ても迷惑じゃないって事?
今のケタロウ様は、僕に惹かれてくれている?
それとも…今は惹かれていても…アニキみたいに変わってしまう? ケタロウ様が、誰か女の人を好きになったら、僕は要らないって…そうなる? 優しいケタロウ様がそうなるだなんて思いたくないけど…アニキは変わってしまった…。
ケタロウ様が言った『運命』は、僕が望む『運命』…『時間』と同じ?
「…ケタロウ様…」
そっと身体を起こして、張りがあるけど柔らかい頬に、唇を押し付ける。
…あったかい…。
そして、薄く開いている唇にも、押し付ける。
…僕は…ケタロウ様とこうしたいけど…ケタロウ様はどうなんだろう?
口では、言葉では何とでも言える。
それが、本心かどうかなんて、本人にしか解らない。
何度も何度も、それを知らされて来た。
僕に甘える様に、僕を助ける様に擦り寄って来て…今度こそは…って、期待する僕を何度も何度も絶望へと落として来た。
何度も何度も。
それでも、もしかしたらって。
それでも、今度こそはって。
今回のこの時間は、今度こそ僕が望む時間なのかも知れない。
でも、違うかも知れない。
期待させて。
期待させて。
また、突き落とされるのかも知れない。
「…ケタロウ様…」
…変わらないで…。
…僕を…捨てないで…。
…僕を…裏切らないで…。
…お願い…。
…もう…本当は…疲れちゃったんだ…。
…ううん…。
…もう、ずっと前から…。
…だから…忘れていた…。…忘れたフリをしていたアニキの事を…。
……………たすけて…―――――――――。
もう一度唇を合わせてから、僕はケタロウ様の腕を掴んで目を閉じた。
◇
「やあ、おはよう。良く眠れたかい?」
何だか、とても優しい声が聞こえた気がして目を開けたら、目が潰れるぐらいの爽やかな笑顔を浮かべたケタロウ様が居て、慌てた僕は飛び跳ねてベッドから落ちた。
朝から、何て心臓に悪いんだろう。一瞬、心臓が止まった気がする。
ケタロウ様が起きる前に、部屋に戻ろうと思っていたのに…っ…!
ごめんなさいって謝る僕に、ケタロウ様は変わらず優しく笑いながら、一人寝が寂しいのなら、何時でもおいでって、手を差し伸べてくれた。
うう、無理ぃ…っ…!!
こんなの、期待するなって言われても、期待しまくっちゃうよ!!
今のケタロウ様は、違う意味で酷い人だ。こんなに僕をドキドキさせて、期待させて…。
…ねえ…? …本当に、期待しちゃうよ? 後で違うって言っても…駄目だよ…?
――――――本当に、今のこの時間は…僕が待っていた時間なのかも知れない。
皆の名前を覚えたいって言って、ケタロウ様に頼んでクラス名簿を見せて貰ったけど、デシコさんの名前は無かったし、移動教室の時や合同授業、お昼の時に、他の皆を探したけれど、誰も見つける事は出来なかった。一学年上の生徒会長と、来年入学してくるロリリさんは、まだ、見ていないから、決め付けるのは早いけど。
でも。
今の段階で出逢っていた…深い関りのあった人は、誰も居ない。
あ、紫は居るけど。
でも、ケタロウ様の断罪には関わっていなかった筈だから、これは除外かな? …僕への嫌がらせが、ケタロウ様のせいにされたけど…今回は恥を掻かせていないし…大丈夫だよね…?
これは、本当に期待しても良いのかも知れない。
ケタロウ様が生きる時間なんだって。
僕と生きる時間なんだって。
それなら…。
…本当にそうなら…。
寂しいのって聞いた僕に『そうなのかもね』って、儚げに笑った、隣で眠るこの人を癒やしてあげたい…。
慰めてあげたい。
僕が居るよって、教えてあげたい。
一人じゃないって。
孤独じゃないって。
教えたい…。
…僕を…知って欲しい…。
…忘れていたのなら、そのままで良かったのに…。
優しかったアニキ。でも、変わってしまったアニキ。
あの人のせいで。
あの女のせいで。
変わってしまった。
…ケタロウ様…。
ぐいっと肩に額を押し付けて軽く擦ってみても、ケタロウ様は起きない。
…眠りが深いんだね…。
それは、僕が傍に居ても安心してるって事?
それは、僕が傍に居ても迷惑じゃないって事?
今のケタロウ様は、僕に惹かれてくれている?
それとも…今は惹かれていても…アニキみたいに変わってしまう? ケタロウ様が、誰か女の人を好きになったら、僕は要らないって…そうなる? 優しいケタロウ様がそうなるだなんて思いたくないけど…アニキは変わってしまった…。
ケタロウ様が言った『運命』は、僕が望む『運命』…『時間』と同じ?
「…ケタロウ様…」
そっと身体を起こして、張りがあるけど柔らかい頬に、唇を押し付ける。
…あったかい…。
そして、薄く開いている唇にも、押し付ける。
…僕は…ケタロウ様とこうしたいけど…ケタロウ様はどうなんだろう?
口では、言葉では何とでも言える。
それが、本心かどうかなんて、本人にしか解らない。
何度も何度も、それを知らされて来た。
僕に甘える様に、僕を助ける様に擦り寄って来て…今度こそは…って、期待する僕を何度も何度も絶望へと落として来た。
何度も何度も。
それでも、もしかしたらって。
それでも、今度こそはって。
今回のこの時間は、今度こそ僕が望む時間なのかも知れない。
でも、違うかも知れない。
期待させて。
期待させて。
また、突き落とされるのかも知れない。
「…ケタロウ様…」
…変わらないで…。
…僕を…捨てないで…。
…僕を…裏切らないで…。
…お願い…。
…もう…本当は…疲れちゃったんだ…。
…ううん…。
…もう、ずっと前から…。
…だから…忘れていた…。…忘れたフリをしていたアニキの事を…。
……………たすけて…―――――――――。
もう一度唇を合わせてから、僕はケタロウ様の腕を掴んで目を閉じた。
◇
「やあ、おはよう。良く眠れたかい?」
何だか、とても優しい声が聞こえた気がして目を開けたら、目が潰れるぐらいの爽やかな笑顔を浮かべたケタロウ様が居て、慌てた僕は飛び跳ねてベッドから落ちた。
朝から、何て心臓に悪いんだろう。一瞬、心臓が止まった気がする。
ケタロウ様が起きる前に、部屋に戻ろうと思っていたのに…っ…!
ごめんなさいって謝る僕に、ケタロウ様は変わらず優しく笑いながら、一人寝が寂しいのなら、何時でもおいでって、手を差し伸べてくれた。
うう、無理ぃ…っ…!!
こんなの、期待するなって言われても、期待しまくっちゃうよ!!
今のケタロウ様は、違う意味で酷い人だ。こんなに僕をドキドキさせて、期待させて…。
…ねえ…? …本当に、期待しちゃうよ? 後で違うって言っても…駄目だよ…?
――――――本当に、今のこの時間は…僕が待っていた時間なのかも知れない。
皆の名前を覚えたいって言って、ケタロウ様に頼んでクラス名簿を見せて貰ったけど、デシコさんの名前は無かったし、移動教室の時や合同授業、お昼の時に、他の皆を探したけれど、誰も見つける事は出来なかった。一学年上の生徒会長と、来年入学してくるロリリさんは、まだ、見ていないから、決め付けるのは早いけど。
でも。
今の段階で出逢っていた…深い関りのあった人は、誰も居ない。
あ、紫は居るけど。
でも、ケタロウ様の断罪には関わっていなかった筈だから、これは除外かな? …僕への嫌がらせが、ケタロウ様のせいにされたけど…今回は恥を掻かせていないし…大丈夫だよね…?
これは、本当に期待しても良いのかも知れない。
ケタロウ様が生きる時間なんだって。
僕と生きる時間なんだって。
それなら…。
…本当にそうなら…。
寂しいのって聞いた僕に『そうなのかもね』って、儚げに笑った、隣で眠るこの人を癒やしてあげたい…。
慰めてあげたい。
僕が居るよって、教えてあげたい。
一人じゃないって。
孤独じゃないって。
教えたい…。
…僕を…知って欲しい…。
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