攻略されていたのは、俺

三冬月マヨ

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攻略されていたのは、俺

【01】※※※※※

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 そこは、真っ白な淡い光に包まれた場所だった。
 けど、雪の様に冷たくは無く。
 靄の様に湿度があって、重く纏わりつくで無く。
 ただ、温かく。
 ただ、柔らかく。
 ただ、穏やかで。
 ただ、慈しむ様に。
 ただ、何処までも、優しい場所だった。

『……そうですね…。…では…その時は…』

 その場所で。
 俺は目の前に在る銀色の光の前で、こうべを垂れて胸に手をあてて跪いていた。

『――――――――?』

『…え? 何故って…』

 銀色の光の問いに俺は軽く目を伏せて、僅かに口元を緩めた。

『…その方が…――――――――でしょう?』

 …何言ってんだ、俺――――――――?

 ◇

 ぐちゅっ、ぐちゃっとした音が、薄暗い室内に響いていた。
 そんな中なのに、それはやけに赤く紅く見えた。

 …おいおい…。

 チョット待テヨ。

 って、片言になってしまうのも仕方が無い。
 だって、俺が見詰める先では、血塗れのメゴロウが泣きながら鋏をザスザスと、に何度も突き立てているんだ。
 え? って何だって?
 俺だよ、俺。
 あ? 俺って誰だって?
 俺って言ったら、俺しか居ないだろう?
 って、俺俺詐欺じゃねーよ!
 ケタロウだよ!
 ウ・ケタロウだ!!
 死んで転生したと思ったら、首吊りまっしぐらな悪役になった俺だよ!!
 何だよ、これ。
 ってか、俺がここに居るのに、何で俺がそこに居るんだ?
 俺の目の前にはベッドがあって。そのベッドヘッドに俺は立って居て。
 そのベッドの上に居る俺は、上半身だけをベッドに乗せて居て。で、その上半身は裸で。ズボンは穿いているけど、股間部分のファスナーは開いていて、俺のちんこがポロンと出ていた。
 そんな俺の脚の間にメゴロウが立って、身体を曲げてザッスザッスと鋏で俺の…まあ…アジの開きじゃないけど…医療ドラマとかで良く見る、御開帳された俺の腹を…何か知らないけど、ずるんっと出された俺の腸を片手で持って、泣きながら…何度も何度も刺していた。

 いや、本当に、何だこれ?
 何で、こんな事になっているんだ?
 ベッドの上に居る俺は、どう贔屓目に見ても生きてなんかいなくて。
 って、じゃあ、今、ここに居る俺は、何だ?

「…ああ…でも…勿体無い…」

 頭に大量のハテナマークを浮かべる俺の前で、メゴロウが小さく暗く呟いて手にしていた鋏を床に落として、俺から身体を離して、徐に制服を脱ぎ出した。

 …何で?

 全裸になったメゴロウは更に、俺のズボンに手を掛けて、それを脱がせて行く。

 ……何で?

「…うん、綺麗…」

 いや? メゴロウさん? ねえ? 跪いて、何処を、ナニを見てうっとりしてくれちゃっていらっしゃるのでしょうか?
 ってか、ねえ? 何で、メゴロウのメゴロウが、ピンッとそれはもう元気にお勃ちになられちゃってるんですか? 立つのはク○ラだよ? メゴゴが勃ったって、俺は泣けば良いのか?
 って、何、足の裏を撫でるの? それ、何のプレイ?

「…うん…次の楽しみにしよ…今は…」

 いや!? 次って何!? お前は俺を笑わせたいのか!?
 俺を笑わせたいなら、お前が笑えよ!
 何て昏い目をしてるんだ? 目のハイライト、何処にやったんだ?

「…見て…ああ…見えないか…ふふ…僕、もう、こんなになっちゃったんだ…」

 いや、見えていますけど!?
 お前、俺がここに居るの気付いてないのか!?

「…だから…慰めて…?」

 いや、脚を開いた時から、そんな気はしていたけど!

『本っ当に、マジでっ、冗談じゃなくてっ、そこの俺のライフはゼロなんだけどっ!?』

 そう叫ぶ俺の声は、音として出ているのかは謎ってか、聞こえていないよな?
 そのままメゴロウは、俺の尻に宛がったちんこをグッと押し込んだ。

 ぎぃやあああああああああっ!!
 痛い痛い痛いーっ!!
 絶対、痛いだろ、それ!?
 前、肉の食べ過ぎで便秘になった時、うんこが出口で止まった時、すっげー苦しかったし、ヤバいと思ったけど、ブツを中途半端に出したままになんて出来ないから踏ん張ったら、ピリッって痛みが走って…うわああああああ!! マジで血ぃ出てるぅ――――――――っ!!

「…ふふ…ふふふ…あ、は…はははははは…っ…!!」

 笑うなよ、馬鹿っ!!
 何で、泣きながら笑っているんだよ!?
 本当に、どうしたんだよ、お前!?
 って、これは何なんだよ!?
 夢か!?
 何時もの夢なのか!?
 
『…あんの、クソ女神…っ…!!』

 俺のメゴロウを虐めるのもいい加減にしろよ――――――――っ!!
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