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攻略されていたのは、俺
【04】
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何で? 何で、突然の巣立ち?
俺、そんなに頼りないって思われた?
たった一回の熱中症で?
いや、眠れないって言ってたぞ?
やっぱり、俺に問題があるのか?
はっきり言ってくれよ。中途半端な優しさなんて、要らないんだよ。それは、逆に人を傷付けるんだぞ。
◇
「喧嘩でもしたのか?」
と、翌日の放課後。花壇と云う名の菜園で黙々と作業をしていたら、生徒会長がやって来た。
昨日の朝と放課後、そして今朝の活動はメゴロウに却下された。そのメゴロウは、隣の花壇で作業をしている。
「…喧嘩なんてしていませんよ」
うん、喧嘩なんてしていない。
弱っちぃ俺に、メゴロウが愛想を尽かしただけだ。
って、泣けて来るな、おい。
「…彼が来てから、常日頃行動を共にしていたのにか? 移動も二人。食事も二人で、君は常に彼に手ずから食べさせていたのに、昨日の朝からそれが無い。どころか二人別々に食べて居る。昼休憩も、彼は中庭の噴水で幾人かの生徒と寛いでいて、君は一人で教室だ」
う。
良く見ているな。
お前、目が幾つあるんだ。
てか、良くそんな暇があるな。
「…交友関係が広がるのは良い事ですよ。何時までも私と二人で居るよりは、その方が学べる事も多いでしょう? 今までがおかしかったんですよ。彼が寂しがるから、共に寝てもいましたし」
うう。
自分で言ってて、何か胸が痛い。
本当に、メゴロウの交友関係が広がるのは良い事なんだ。
ゲームでは、何時も周りに人が居たんだし。
俺だけしか居ない、今のこの世界がおかしいんだ。
「――――――――…は?」
ん?
生徒会長の眼鏡の奥の目が点になったぞ?
俺、何かおかしな事言ったか?
「どうかしましたか?」
「え。あ、いや…そ、そうか…」
いや、何で目を逸らす?
何だ? 何がおかしかったんだ?
「…まあ…早く仲直りをして欲しい処だな。君達が二人で居ないと、どうも落ち着かない。様子を見に来ている生徒達も不安そうだ」
ん?
生徒会長がクイッと顎を動かした方を見れば、何人かの女子生徒と男子生徒達が居て、俺がそっちを見た途端にそそくさと逃げて行った。
「…あれ…?」
「どうした?」
「…ああ、いえ、私の気のせいでしょう…」
その逃げて行く生徒達に紛れて、白い白衣が見えた気がした。まあ、白いから白衣なんだが。って、そうじゃない。白衣…って、ウーゴ教諭だよな? メゴロウの様子を見に来たのか? じゃあ、やっぱり、ウーゴ教諭がメゴロウの相手なのか? 何で、今頃? って…俺とメゴロウが離れたから、か? …それなら…やっぱり、俺がメゴロウの恋路を邪魔してたのか…。…そうか…。…まあ、そうだよな…。…大体俺は死ぬ運命の悪役だし…。…だが、あんな…。…ん? …あんな…って、何だ…?
「大丈夫か? 顔色が悪い」
え?
そんな自分の考えに没頭していたら、生徒会長が俺の前でしゃがみ込み、心配そうに俺の顔を覗き込んで来た。
それに、何故か胸がざわつく。
…何だ、これ…?
…こんな事が、以前にもあった気がする…?
「今日は、ここまでにしましょう。後片付けは僕がやりますから、ケタロウ様は先に生徒会長と帰って下さい。お願いします」
何だか頭が痛くなって来た気がして、額に手をあてたら、隣の花壇からメゴロウがやって来て、そう言った。『お願いします』は、生徒会長を見て言っていたが、俺も含まれている気がした。『邪魔だから、とっとと帰れ』って、言われた気がした。
◇
「鬱陶しい」
寮の部屋に帰って来て開口一番、生徒会長に言われた。
いや、俺を送り届けたんだから、とっとと自分の部屋に帰れよ。
と、思う物の、送って貰った礼はしないとならないだろう。
「お手を煩わせてしまい、申し訳ありません。先日、私が熱中症で倒れたので、どうにも不安でならない様です」
そんな訳で、ソファーに生徒会長を座らせて、クッキーを出して、俺は簡易キッチンでコーヒーを淹れている。今日も気温が高かったから、濃い目に淹れて、後から氷を入れてアイスコーヒーにするつもりだ。
コポコポと落ちるコーヒーを見ながら、離れたと言っても…それでも、メゴロウは俺の為に、コーヒーを淹れてくれたんだよな、なんて思う。昨日の朝も、今朝も、淹れてくれた。明日も淹れてくれるのかな? それは何時まで続くのかな?
「…何時まで…なんて…」
そんなの…長くても、卒業までだろう…。
…俺は…その日に死ぬんだし…。
…死ぬ、のかな? 本当に…。
ずっと、メゴロウと仲良くしていれば、首吊りから逃げられるって思っていたが、それは本当か?
だって、今、こんな風に離れただけで、すげー不安になってる。
これは、首吊りへの不安なのか? それだけなのか?
何か、大事な事を見落としていないか?
何か、大事な事を忘れていないか?
そう、頭の片隅で囁く俺が居る。
「行くぞ」
それが何か解らずに、グッと唇を噛み締めたら、後ろから肩に手を置かれた。
「は?」
何処へ? と、聞き返す間も無く、肩に置かれた生徒会長の手が腕の方へと下りて行く。グッと掴まれて、俺は慌てて声を出した。
「あ、の、コーヒーがまだですが」
「戻って来てから飲む」
はああああ――――――――っ!?
俺、そんなに頼りないって思われた?
たった一回の熱中症で?
いや、眠れないって言ってたぞ?
やっぱり、俺に問題があるのか?
はっきり言ってくれよ。中途半端な優しさなんて、要らないんだよ。それは、逆に人を傷付けるんだぞ。
◇
「喧嘩でもしたのか?」
と、翌日の放課後。花壇と云う名の菜園で黙々と作業をしていたら、生徒会長がやって来た。
昨日の朝と放課後、そして今朝の活動はメゴロウに却下された。そのメゴロウは、隣の花壇で作業をしている。
「…喧嘩なんてしていませんよ」
うん、喧嘩なんてしていない。
弱っちぃ俺に、メゴロウが愛想を尽かしただけだ。
って、泣けて来るな、おい。
「…彼が来てから、常日頃行動を共にしていたのにか? 移動も二人。食事も二人で、君は常に彼に手ずから食べさせていたのに、昨日の朝からそれが無い。どころか二人別々に食べて居る。昼休憩も、彼は中庭の噴水で幾人かの生徒と寛いでいて、君は一人で教室だ」
う。
良く見ているな。
お前、目が幾つあるんだ。
てか、良くそんな暇があるな。
「…交友関係が広がるのは良い事ですよ。何時までも私と二人で居るよりは、その方が学べる事も多いでしょう? 今までがおかしかったんですよ。彼が寂しがるから、共に寝てもいましたし」
うう。
自分で言ってて、何か胸が痛い。
本当に、メゴロウの交友関係が広がるのは良い事なんだ。
ゲームでは、何時も周りに人が居たんだし。
俺だけしか居ない、今のこの世界がおかしいんだ。
「――――――――…は?」
ん?
生徒会長の眼鏡の奥の目が点になったぞ?
俺、何かおかしな事言ったか?
「どうかしましたか?」
「え。あ、いや…そ、そうか…」
いや、何で目を逸らす?
何だ? 何がおかしかったんだ?
「…まあ…早く仲直りをして欲しい処だな。君達が二人で居ないと、どうも落ち着かない。様子を見に来ている生徒達も不安そうだ」
ん?
生徒会長がクイッと顎を動かした方を見れば、何人かの女子生徒と男子生徒達が居て、俺がそっちを見た途端にそそくさと逃げて行った。
「…あれ…?」
「どうした?」
「…ああ、いえ、私の気のせいでしょう…」
その逃げて行く生徒達に紛れて、白い白衣が見えた気がした。まあ、白いから白衣なんだが。って、そうじゃない。白衣…って、ウーゴ教諭だよな? メゴロウの様子を見に来たのか? じゃあ、やっぱり、ウーゴ教諭がメゴロウの相手なのか? 何で、今頃? って…俺とメゴロウが離れたから、か? …それなら…やっぱり、俺がメゴロウの恋路を邪魔してたのか…。…そうか…。…まあ、そうだよな…。…大体俺は死ぬ運命の悪役だし…。…だが、あんな…。…ん? …あんな…って、何だ…?
「大丈夫か? 顔色が悪い」
え?
そんな自分の考えに没頭していたら、生徒会長が俺の前でしゃがみ込み、心配そうに俺の顔を覗き込んで来た。
それに、何故か胸がざわつく。
…何だ、これ…?
…こんな事が、以前にもあった気がする…?
「今日は、ここまでにしましょう。後片付けは僕がやりますから、ケタロウ様は先に生徒会長と帰って下さい。お願いします」
何だか頭が痛くなって来た気がして、額に手をあてたら、隣の花壇からメゴロウがやって来て、そう言った。『お願いします』は、生徒会長を見て言っていたが、俺も含まれている気がした。『邪魔だから、とっとと帰れ』って、言われた気がした。
◇
「鬱陶しい」
寮の部屋に帰って来て開口一番、生徒会長に言われた。
いや、俺を送り届けたんだから、とっとと自分の部屋に帰れよ。
と、思う物の、送って貰った礼はしないとならないだろう。
「お手を煩わせてしまい、申し訳ありません。先日、私が熱中症で倒れたので、どうにも不安でならない様です」
そんな訳で、ソファーに生徒会長を座らせて、クッキーを出して、俺は簡易キッチンでコーヒーを淹れている。今日も気温が高かったから、濃い目に淹れて、後から氷を入れてアイスコーヒーにするつもりだ。
コポコポと落ちるコーヒーを見ながら、離れたと言っても…それでも、メゴロウは俺の為に、コーヒーを淹れてくれたんだよな、なんて思う。昨日の朝も、今朝も、淹れてくれた。明日も淹れてくれるのかな? それは何時まで続くのかな?
「…何時まで…なんて…」
そんなの…長くても、卒業までだろう…。
…俺は…その日に死ぬんだし…。
…死ぬ、のかな? 本当に…。
ずっと、メゴロウと仲良くしていれば、首吊りから逃げられるって思っていたが、それは本当か?
だって、今、こんな風に離れただけで、すげー不安になってる。
これは、首吊りへの不安なのか? それだけなのか?
何か、大事な事を見落としていないか?
何か、大事な事を忘れていないか?
そう、頭の片隅で囁く俺が居る。
「行くぞ」
それが何か解らずに、グッと唇を噛み締めたら、後ろから肩に手を置かれた。
「は?」
何処へ? と、聞き返す間も無く、肩に置かれた生徒会長の手が腕の方へと下りて行く。グッと掴まれて、俺は慌てて声を出した。
「あ、の、コーヒーがまだですが」
「戻って来てから飲む」
はああああ――――――――っ!?
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