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おまけ
危機編・01
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ピッチュピッチュとした、可愛らしい小鳥の囀りが聴こえて来る。
僅かに開けられた窓に掛かるカーテンは、真っ白なレースの物だ。
まだ、ひんやりとした風が、その開いた隙間から入り込み、微かにカーテンを揺らしていた。
「すみませんでした!」
そして、春の柔らかで麗らかな陽射しが入り込む室内…寝室のベッドの横で、全裸のメゴロウが土下座していた。
「ああ、うん…私も悪いんだけどね…。けどね、今日は、大学部の下見に行くと話していたよね?」
そんな申し訳無さそうなメゴロウの声を聞きながら、横になっていた身体を起こして、ベッドヘッドに背中を預ける俺も全裸だったりする。
…あー…腰が重怠い…。
無事(?)に俺が死んで、やり直したあの春から時が過ぎ、俺達は高等部を卒業して四月から大学部へと通う事になった。
高等部を卒業した俺達は、大学部の寮へと移り、そこでも当然の様にメゴロウと同室だ。入学前からでも入寮出来るのは、本当に有難い。
で、昨日までの一週間の間、俺達は俺の実家へと帰っていた。二人で帰るのは初めてでは無い。最後に舞い戻ったあの春から、長期休みの度に、俺はメゴロウと一緒に実家に帰っている。本当なら、メゴロウの実家にも行きたい…帰らせてやりたい処だが、キヤクから『災厄が何時起こるか解りませんので、出来るだけ王都に居て下さい』と、頭を下げられたので、メゴロウの実家へは行けずにいる。メゴロウに言った通りに、それが片付くまでは、王都を離れる事は無理だな。
うん、メゴロウと再会して早々(教室で押し倒されて、あれやこれやされた後にな!)に、メゴロウがキヤクに俺が自分の運命の人だと話した。そうしたら、速攻で王宮に拉致られて、王様と謁見と来たもんだ。酷い。
何度もしつこく確認を取って来る王様にキレそうになった処で、アレが降臨した。
そう、ポンコツ親父女神こと、ガディシス様だ。
無駄にキラキラとしたエフェクトを撒き散らしながら。
夢で逢った時以上に圧倒的な神秘さに荘厳さに、流石の俺もポンコツとか親父とかは口に出来なかった。心の中では言ったけどな。
親父女神の口から、間違い無く俺がメゴロウの運命だと言われれば、その場にいた誰もが俺に『どうか未来を』と、頭を下げて来たもんだから、卒倒しそうになった。前世の記憶がなければ、しれっと流せただろうが、一般庶民だった俺にそんな事が出来る筈も無い。とにかく、内心冷や汗をだらだらと流しながら『どうか頭を上げて下さい』と言うのが精一杯だった。
そんなこんなで、俺とメゴロウは公認の仲となった訳だ。
ちょっと、遠い目をしちゃったけどな。
とは言え、それを知るのは、限られた者達だけだ。
生徒会長にうっかり話してしまったが、時間が巻き戻った事でそれは無事に消えた。
うん、王宮での事を思い出すと胃が痛くなるから止めよう。
さて。
メゴロウだが、両親にも、スチャンを始めとした家の使用人にも、とても気に入られて可愛がられている。ちょっとムカつくが、メゴロウの兄…いや、今は俺の義兄でもあるが、ニキタにも。あいつ、俺がメゴロウに『あ~ん』をしようとすると、直ぐに割り込んで来るんだよな。いや、メゴロウから、女に狂うまでは、優しくて面倒見の良い兄だったって聞いていたけどさ。ここまでだったのかよ!? って、ちょっと引いてしまった。まあ、けど、メゴロウが嬉しそうだから良いんだけどさ。良かったなと思いながらも、もやっとしてしまうのは勘弁な。
まあ、実家へ帰ると、メゴロウと二人きりって訳には行かなくて。
部屋は俺と同じだが…来るんだよ…奴が…そう、ニキタが。
『寮に戻れば二人きりなんだから、良いだろ!』
って、メゴロウを連れて行くんだよ…。
ちょっと…ちょおっと良い雰囲気になった処で、狙った様に乱入して来るんだよ…。あいつ、ドアに張り付いているのか? なあ、ブラコン過ぎないか? どうして、そうなった?
そんなこんなで、実家へ帰ると、まあ、そのなんだ。エッチな事が出来ない訳だ。
で、寮へ戻って来たら、その出来なかった分、燃え上ったりする訳だ。
下見があるから、本当は一昨日戻る筈だった。だったのに、ニキタがもう一日! って、メゴロウに泣きついて…困ったメゴロウに上目遣いで見られてしまったら、駄目だなんて言える筈も無く。
で、昨日の昼過ぎに戻って来て…しまくった。やりまくった。夜になって腹が減った処で、止めた。…止めたんだよ…けど、栄養をたっぷりと補給したメゴロウは…。
『あ、明日があるから…今夜は…もう、一度だけ、ね?』
キスの合間にメゴロウの頬を撫でながら言えば、メゴロウは元気に『はい!』って、頷いた。うん、頷いたんだよな? それなのに、気が付いたら朝ってどう云う事だ? お前の残弾は幾つあるんだ? 流石、エロゲの主人公だよ、畜生っ!!
はー…と、長い息を俺は吐き出す。
「…流されてしまった私が悪いか…。今日は、下見は諦めよう。キャンセルの連絡を入れて、もう一度下見の許可を申し込もう」
うん。入寮しているとは云え、まだ入学はしていない俺達は部外者だ。だから、大学部の下見には許可を貰う必要がある。面倒だが、決まりなのだから仕方が無い。
「ケタロウ様の身体の時間を戻します!」
前髪を軽く掻き上げて苦笑する俺に、メゴロウはいともあっさりと言ってくれた。
僅かに開けられた窓に掛かるカーテンは、真っ白なレースの物だ。
まだ、ひんやりとした風が、その開いた隙間から入り込み、微かにカーテンを揺らしていた。
「すみませんでした!」
そして、春の柔らかで麗らかな陽射しが入り込む室内…寝室のベッドの横で、全裸のメゴロウが土下座していた。
「ああ、うん…私も悪いんだけどね…。けどね、今日は、大学部の下見に行くと話していたよね?」
そんな申し訳無さそうなメゴロウの声を聞きながら、横になっていた身体を起こして、ベッドヘッドに背中を預ける俺も全裸だったりする。
…あー…腰が重怠い…。
無事(?)に俺が死んで、やり直したあの春から時が過ぎ、俺達は高等部を卒業して四月から大学部へと通う事になった。
高等部を卒業した俺達は、大学部の寮へと移り、そこでも当然の様にメゴロウと同室だ。入学前からでも入寮出来るのは、本当に有難い。
で、昨日までの一週間の間、俺達は俺の実家へと帰っていた。二人で帰るのは初めてでは無い。最後に舞い戻ったあの春から、長期休みの度に、俺はメゴロウと一緒に実家に帰っている。本当なら、メゴロウの実家にも行きたい…帰らせてやりたい処だが、キヤクから『災厄が何時起こるか解りませんので、出来るだけ王都に居て下さい』と、頭を下げられたので、メゴロウの実家へは行けずにいる。メゴロウに言った通りに、それが片付くまでは、王都を離れる事は無理だな。
うん、メゴロウと再会して早々(教室で押し倒されて、あれやこれやされた後にな!)に、メゴロウがキヤクに俺が自分の運命の人だと話した。そうしたら、速攻で王宮に拉致られて、王様と謁見と来たもんだ。酷い。
何度もしつこく確認を取って来る王様にキレそうになった処で、アレが降臨した。
そう、ポンコツ親父女神こと、ガディシス様だ。
無駄にキラキラとしたエフェクトを撒き散らしながら。
夢で逢った時以上に圧倒的な神秘さに荘厳さに、流石の俺もポンコツとか親父とかは口に出来なかった。心の中では言ったけどな。
親父女神の口から、間違い無く俺がメゴロウの運命だと言われれば、その場にいた誰もが俺に『どうか未来を』と、頭を下げて来たもんだから、卒倒しそうになった。前世の記憶がなければ、しれっと流せただろうが、一般庶民だった俺にそんな事が出来る筈も無い。とにかく、内心冷や汗をだらだらと流しながら『どうか頭を上げて下さい』と言うのが精一杯だった。
そんなこんなで、俺とメゴロウは公認の仲となった訳だ。
ちょっと、遠い目をしちゃったけどな。
とは言え、それを知るのは、限られた者達だけだ。
生徒会長にうっかり話してしまったが、時間が巻き戻った事でそれは無事に消えた。
うん、王宮での事を思い出すと胃が痛くなるから止めよう。
さて。
メゴロウだが、両親にも、スチャンを始めとした家の使用人にも、とても気に入られて可愛がられている。ちょっとムカつくが、メゴロウの兄…いや、今は俺の義兄でもあるが、ニキタにも。あいつ、俺がメゴロウに『あ~ん』をしようとすると、直ぐに割り込んで来るんだよな。いや、メゴロウから、女に狂うまでは、優しくて面倒見の良い兄だったって聞いていたけどさ。ここまでだったのかよ!? って、ちょっと引いてしまった。まあ、けど、メゴロウが嬉しそうだから良いんだけどさ。良かったなと思いながらも、もやっとしてしまうのは勘弁な。
まあ、実家へ帰ると、メゴロウと二人きりって訳には行かなくて。
部屋は俺と同じだが…来るんだよ…奴が…そう、ニキタが。
『寮に戻れば二人きりなんだから、良いだろ!』
って、メゴロウを連れて行くんだよ…。
ちょっと…ちょおっと良い雰囲気になった処で、狙った様に乱入して来るんだよ…。あいつ、ドアに張り付いているのか? なあ、ブラコン過ぎないか? どうして、そうなった?
そんなこんなで、実家へ帰ると、まあ、そのなんだ。エッチな事が出来ない訳だ。
で、寮へ戻って来たら、その出来なかった分、燃え上ったりする訳だ。
下見があるから、本当は一昨日戻る筈だった。だったのに、ニキタがもう一日! って、メゴロウに泣きついて…困ったメゴロウに上目遣いで見られてしまったら、駄目だなんて言える筈も無く。
で、昨日の昼過ぎに戻って来て…しまくった。やりまくった。夜になって腹が減った処で、止めた。…止めたんだよ…けど、栄養をたっぷりと補給したメゴロウは…。
『あ、明日があるから…今夜は…もう、一度だけ、ね?』
キスの合間にメゴロウの頬を撫でながら言えば、メゴロウは元気に『はい!』って、頷いた。うん、頷いたんだよな? それなのに、気が付いたら朝ってどう云う事だ? お前の残弾は幾つあるんだ? 流石、エロゲの主人公だよ、畜生っ!!
はー…と、長い息を俺は吐き出す。
「…流されてしまった私が悪いか…。今日は、下見は諦めよう。キャンセルの連絡を入れて、もう一度下見の許可を申し込もう」
うん。入寮しているとは云え、まだ入学はしていない俺達は部外者だ。だから、大学部の下見には許可を貰う必要がある。面倒だが、決まりなのだから仕方が無い。
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