攻略されていたのは、俺

三冬月マヨ

文字の大きさ
114 / 141
おまけ

危機編・14

しおりを挟む
「…っは…」

 ぽろんと飛び出たそれに、メゴロウが勢い良く喰らい付く。先っちょをペロペロと舐め、はむはむと甘噛みを繰り返す。

「…んん…っ…」

 裏筋に舌を這わせ、やわやわと陰囊を揉まれ、俺はだらしなく口から涎を垂らして喘いでしまう。自分のこんな声なんて恥ずかしいが、メゴロウが喜ぶから、声を抑える事なんてしない。

「あ、あぁ…っ…!」

 やがて陰囊を揉んでいた手が離れ、尻の穴の周りを指でなぞり出せば、頭の中は、早くそこの中に挿れて欲しいと、そのちんこでガンガン突いて欲しいと、それだけになってしまう。
 けど、メゴロウは俺のちんこをしゃぶりながら、家の商会で仕入れたローションを使い、ゆっくりとじっくりと、穴を解して行く。
 じれったいが『…何度も酷い事をして来たから…』とメゴロウは自嘲気味に笑う。
 それは、死んだ俺を抱いた時の事を指していて、気にしなくて良いのにと、何度言っても聞いてくれない。俺は死んでいて、何も感じて無かったんだぞと、しつこく言っても『これは、ケジメですから』と、一歩も譲らない。そんなに真面目でどうするよ、と。また、壊れてしまうんじゃないかと、心配する俺に『その時はケタロウ様がいますから』と、嬉しそうに笑われてしまえば、俺はもう何も言えなかった。
 本当に、お前はどれだけ俺が好きなんだよ?
 俺に夢を見過ぎていないかと、不安になってしまう。
 メゴロウが持つ俺のイメージを壊したらどうしようって。
 だから、ケタロウらしく、乱暴な言葉を崩さないでいる。たまに出てしまうが。けど、そんな俺を見れば、メゴロウは『可愛い』と頬を染める。何かもう、あれだ。"痘痕あばたもエクボ状態"だ。
 …まあ、だからと言ってそれがストレスになっている訳でも無いし、結局、それが無くても、長年使って来た話し方だから、今更改めるのも難しい訳で。…可愛いと言われるのが、悔しい訳では、ない。…多分…。

「ふっ、ん…っ…!」

 なんて余裕ぶっている間に、じっくりとろとろと俺の穴は解されて、熱くて硬いメゴロウのちんこが俺の中にインサートされた。

「…ケ、タロウ様…何か…考えていました…?」

 ゆるりゆらゆらと腰を動かしながら、メゴロウが聞いて来る。

「…ん…っ…、君の事を、ね…考えていたよ…」

 痘痕もエクボ状態から覚めたら、俺の事なんて…って、思ってしまうのは…考え過ぎか?
 ハッピーエンドは約束された様な物だが、だからって、それに胡坐を掻いて良い訳じゃないよな?
 ゲームとは違って、俺達の物語は続いて行くんだから。

「…僕の事を…?」

「…君は…何時まで…私の事を好きで…いてくれるのだろ…っ…!?」

 俺がそう言った途端、ズンッと強くメゴロウはちんこを押し込んで来た。

「…っは…っ…!?」

 いきなりの衝撃に息が詰まり、目の前で火花が散った気がした。

「…ずっと、ですよ…ずっと…どうして…そんな事を言うんですか…」

「…さ、いやくで…な、さけない姿を見せた…だろう…? 幻滅…されたかな…って…」

 先刻までとは違い、仄昏い静かな声と、ハイライトが消えそうな瞳を見てドキリとしたが、思った事は伝えたい。

「そんな事、あるハズがない…情けないケタロウ様も好きです…」

「…ふふ…ありがとう…」

 身体を倒して来たメゴロウの首に腕を回して引き寄せて、近付いて来た唇に口付ける。
 俺も。
 どんなお前でも好きだ。
 お前だから、好きなんだ。

 …痘痕もエクボなのは…俺の方かも知れないな…。

 ふっ、と重ねた唇の隙間から軽く息を吐く様に笑えば、そんな些細な風がくすぐったいのか、メゴロウの唇が開かれたから、そこから舌を挿し入れて、熱いそれに絡める。互いに貪りながら高め合えば、メゴロウの動きも激しくなって行く。ガンガンと気持ちの良い処を突かれて突かれまくって、俺の意識は真っ白に塗り潰されて行った。

 ◇

「…ナンデヤネン…」

 翌日、大学部の温室内で俺は遠い目をして、そう呟いていた。
 隣に立つメゴロウも遠い目…いや、無だ。虚無の目をしていた。
 何でって、俺達の目の前には、毛むくじゃらの先輩とゴンべ王子が立っていて、そんな二人の後ろ…ガラスの向こう側には、10トンダンプサイズの、白い毛玉がうようよと動いて居たからだ。

「…何で…?」

 何がどうしてこうなったっ!?
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

魔界最強に転生した社畜は、イケメン王子に奪い合われることになりました

タタミ
BL
ブラック企業に務める社畜・佐藤流嘉。 クリスマスも残業確定の非リア人生は、トラックの激突により突然終了する。 死後目覚めると、目の前で見目麗しい天使が微笑んでいた。 「ここは天国ではなく魔界です」 天使に会えたと喜んだのもつかの間、そこは天国などではなく魔法が当たり前にある世界・魔界だと知らされる。そして流嘉は、魔界に君臨する最強の支配者『至上様』に転生していたのだった。 「至上様、私に接吻を」 「あっ。ああ、接吻か……って、接吻!?なんだそれ、まさかキスですか!?」 何が起こっているのかわからないうちに、流嘉の前に現れたのは美しい4人の王子。この4王子にキスをして、結婚相手を選ばなければならないと言われて──!?

【完結】愛されたかった僕の人生

Kanade
BL
✯オメガバース 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜 お見合いから一年半の交際を経て、結婚(番婚)をして3年。 今日も《夫》は帰らない。 《夫》には僕以外の『番』がいる。 ねぇ、どうしてなの? 一目惚れだって言ったじゃない。 愛してるって言ってくれたじゃないか。 ねぇ、僕はもう要らないの…? 独りで過ごす『発情期』は辛いよ…。

【完結】悪役令息の従者に転職しました

  *  ゆるゆ
BL
暗殺者なのに無様な失敗で死にそうになった俺をたすけてくれたのは、BLゲームで、どのルートでも殺されて悲惨な最期を迎える悪役令息でした。 依頼人には死んだことにして、悪役令息の従者に転職しました。 皆でしあわせになるために、あるじと一緒にがんばるよ! 透夜×ロロァのお話です。 本編完結、『もふもふ獣人転生』に遊びにゆく舞踏会編、完結しました! 時々おまけを更新するかもです。 『悪役令息を改めたら皆の様子がおかしいです?』のカイの師匠も 『悪役令息の伴侶(予定)に転生しました』のトマの師匠も、このお話の主人公、透夜です!(笑) 大陸中に、かっこいー激つよ従僕たちを輸出して、悪役令息たちをたすける透夜(笑) 名前が  *   ゆるゆ  になりましたー! 中身はいっしょなので(笑)これからもどうぞよろしくお願い致しますー!

俺、転生したら社畜メンタルのまま超絶イケメンになってた件~転生したのに、恋愛難易度はなぜかハードモード

中岡 始
BL
ブラック企業の激務で過労死した40歳の社畜・藤堂悠真。 目を覚ますと、高校2年生の自分に転生していた。 しかも、鏡に映ったのは芸能人レベルの超絶イケメン。 転入初日から女子たちに囲まれ、学園中の話題の的に。 だが、社畜思考が抜けず**「これはマーケティング施策か?」**と疑うばかり。 そして、モテすぎて業務過多状態に陥る。 弁当争奪戦、放課後のデート攻勢…悠真の平穏は完全に崩壊。 そんな中、唯一冷静な男・藤崎颯斗の存在に救われる。 颯斗はやたらと落ち着いていて、悠真をさりげなくフォローする。 「お前といると、楽だ」 次第に悠真の中で、彼の存在が大きくなっていき――。 「お前、俺から逃げるな」 颯斗の言葉に、悠真の心は大きく揺れ動く。 転生×学園ラブコメ×じわじわ迫る恋。 これは、悠真が「本当に選ぶべきもの」を見つける物語。 続編『元社畜の俺、大学生になってまたモテすぎてるけど、今度は恋人がいるので無理です』 かつてブラック企業で心を擦り減らし、過労死した元社畜の男・藤堂悠真は、 転生した高校時代を経て、無事に大学生になった―― 恋人である藤崎颯斗と共に。 だが、大学という“自由すぎる”世界は、ふたりの関係を少しずつ揺らがせていく。 「付き合ってるけど、誰にも言っていない」 その選択が、予想以上のすれ違いを生んでいった。 モテ地獄の再来、空気を読み続ける日々、 そして自分で自分を苦しめていた“頑張る癖”。 甘えたくても甘えられない―― そんな悠真の隣で、颯斗はずっと静かに手を差し伸べ続ける。 過去に縛られていた悠真が、未来を見つめ直すまでの じれ甘・再構築・すれ違いと回復のキャンパス・ラブストーリー。 今度こそ、言葉にする。 「好きだよ」って、ちゃんと。

推しの完璧超人お兄様になっちゃった

紫 もくれん
BL
『君の心臓にたどりつけたら』というゲーム。体が弱くて一生の大半をベットの上で過ごした僕が命を賭けてやり込んだゲーム。 そのクラウス・フォン・シルヴェスターという推しの大好きな完璧超人兄貴に成り代わってしまった。 ずっと好きで好きでたまらなかった推し。その推しに好かれるためならなんだってできるよ。 そんなBLゲーム世界で生きる僕のお話。

お前らの目は節穴か?BLゲーム主人公の従者になりました!

MEIKO
BL
 本編完結しています。お直し中。第12回BL大賞奨励賞いただきました。  僕、エリオット・アノーは伯爵家嫡男の身分を隠して公爵家令息のジュリアス・エドモアの従者をしている。事の発端は十歳の時…家族から虐げられていた僕は、我慢の限界で田舎の領地から家を出て来た。もう二度と戻る事はないと己の身分を捨て、心機一転王都へやって来たものの、現実は厳しく死にかける僕。薄汚い格好でフラフラと彷徨っている所を救ってくれたのが完璧貴公子ジュリアスだ。だけど初めて会った時、不思議な感覚を覚える。えっ、このジュリアスって人…会ったことなかったっけ?その瞬間突然閃く!  「ここって…もしかして、BLゲームの世界じゃない?おまけに僕の最愛の推し〜ジュリアス様!」  知らぬ間にBLゲームの中の名も無き登場人物に転生してしまっていた僕は、命の恩人である坊ちゃまを幸せにしようと奔走する。そして大好きなゲームのイベントも近くで楽しんじゃうもんね〜ワックワク!  だけど何で…全然シナリオ通りじゃないんですけど。坊ちゃまってば、僕のこと大好き過ぎない?  ※貴族的表現を使っていますが、別の世界です。ですのでそれにのっとっていない事がありますがご了承下さい。

【完結】悪役令息の伴侶(予定)に転生しました

  *  ゆるゆ
BL
攻略対象しか見えてない悪役令息の伴侶(予定)なんか、こっちからお断りだ! って思ったのに……! 前世の記憶がよみがえり、反省しました。 BLゲームの世界で、推しに逢うために頑張りはじめた、名前も顔も身長もないモブの快進撃が始まる──! といいな!(笑) 本編完結、恋愛ルート、トマといっしょに里帰り編、完結しました! おまけのお話を時々更新しています。 きーちゃんと皆の動画をつくりました! もしよかったら、お話と一緒に楽しんでくださったら、とてもうれしいです。 インスタ @yuruyu0 絵もあがります Youtube @BL小説動画 プロフのwebサイトから両方に飛べるので、もしよかったら! 本編以降のお話、恋愛ルートも、おまけのお話の更新も、アルファポリスさまだけですー! 名前が  *   ゆるゆ  になりましたー! 中身はいっしょなので(笑)これからもどうぞよろしくお願い致しますー!

妹を救うためにヒロインを口説いたら、王子に求愛されました。

藤原遊
BL
乙女ゲームの悪役令息に転生したアラン。 妹リリィが「悪役令嬢として断罪される」未来を変えるため、 彼は決意する――ヒロインを先に口説けば、妹は破滅しない、と。 だがその“奇行”を見ていた王太子シリウスが、 なぜかアラン本人に興味を持ち始める。 「君は、なぜそこまで必死なんだ?」 「妹のためです!」 ……噛み合わないはずの会話が、少しずつ心を動かしていく。 妹は完璧令嬢、でも内心は隠れ腐女子。 ヒロインは巻き込まれて腐女子覚醒。 そして王子と悪役令息は、誰も知らない“仮面の恋”へ――。 断罪回避から始まる勘違い転生BL×宮廷ラブストーリー。 誰も不幸にならない、偽りと真実のハッピーエンド。

処理中です...