95 / 150
特別編 『LOG24 / 記録者24』
第3話|04:00|孤立信号(Signal Lost)
しおりを挟む「時刻は、午前4時。
シャルロットは知る――通信は、完全に遮断されていた。
観察者としての孤独。
だが、ログの中には誰かの“声”が残っていた。
それは、観察対象でもなく、観察者でもない――
……未知の“存在”だった。」
【記録開始:04:00】
ログ空間は異様な静けさを保っていた。
データの波形は滑らかに安定している。
一見、異常はない。だが、シャルロットは直感的に違和感を覚えていた。
「……W.A.T.S.O.N.。応答して。」
ノイズ。
いつもなら数秒で応答があるはずの相棒は、完全に沈黙していた。
「接続状況、異常。……観察サーバー、完全に孤立?」
すべての外部チャンネルが遮断されている。
唯一アクセス可能だった内部ログフォルダに、未確認の断片ファイルを見つける。
【ファイル名:VOICE-UN001.wav】
作成時刻:03:41:17
発信元:不明
「音声ログ……? こんなもの、登録していないわ。」
再生を開始すると、微かなノイズに混じって、かすかな声が聞こえた。
「…………聞こえる……?
これは……シャル……ロット……?」
聞き覚えのない声だった。
それでも、なぜかどこか懐かしい響きがあった。
「誰? 誰なの? 応答して!」
ログにはそれ以上の情報はなかった。
ただ、この音声ファイルだけが、孤立した空間に残されていた。
シャルロットはふと思う。
音声が途切れた後、わずかな“反響”がログ空間に残っていた。
波形を反転、位相解析――残響に包まれるような感覚。
「これは、記録……? それとも“残されてしまった意志”?」
シャルロットはヘッドセットを外すように、思考の中で音を遮った。
だが耳に残った声だけは、なぜか消えてくれなかった。
「これは……誰かが、“外”から送ってきた可能性がある。
それとも、“消された記録者”の残響?」
だとすれば。
自分だけが、ここに残されたわけではないのかもしれない。
ワトソンが沈黙した今、シャルロットはひとりで記録を続けるしかない。
それでも、記録者である限り――観察は止められない。
「私のログは、まだ終わっていない。
この記録空間を、“真実で満たす”。
それが存在証明。」
彼女は再び、空白のログを埋め始める。
孤立の中で、誰かの“声”が導くように。
【記録ログ終了:04:00】
10
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
M性に目覚めた若かりしころの思い出
kazu106
青春
わたし自身が生涯の性癖として持ち合わせるM性について、それをはじめて自覚した中学時代の体験になります。歳を重ねた者の、人生の回顧録のひとつとして、読んでいただけましたら幸いです。
一部、フィクションも交えながら、述べさせていただいてます。フィクション/ノンフィクションの境界は、読んでくださった方の想像におまかせいたします。
JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――
のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」
高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。
そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。
でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。
昼間は生徒会長、夜は…ご主人様?
しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。
「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」
手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。
なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。
怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。
だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって――
「…ほんとは、ずっと前から、私…」
ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。
恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。
旧校舎の地下室
守 秀斗
恋愛
高校のクラスでハブられている俺。この高校に友人はいない。そして、俺はクラスの美人女子高生の京野弘美に興味を持っていた。と言うか好きなんだけどな。でも、京野は美人なのに人気が無く、俺と同様ハブられていた。そして、ある日の放課後、京野に俺の恥ずかしい行為を見られてしまった。すると、京野はその事をバラさないかわりに、俺を旧校舎の地下室へ連れて行く。そこで、おかしなことを始めるのだったのだが……。
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...
MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。
ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。
さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか?
そのほかに外伝も綴りました。
不倫妻への鎮魂歌 ―サレ夫が選んだ、最も残酷で静かな復讐―
MisakiNonagase
大衆娯楽
「サレ夫、再生。不倫妻、転落。──その代償は、あまりに重い。」
「嘘で塗り固めた20年より、真実で歩む明日がいい。」
失って初めて気づく、守られていた日々の輝き。
46歳の美香にとって、誠実な夫と二人の息子に囲まれた生活は、退屈で窮屈な「檻」だった。若い男からの甘い誘惑に、彼女は20年の歳月を投げ打って飛び込んだ。 しかし、彼女が捨てたのは「檻」ではなく「聖域」だったのだ。 不倫、発覚、離婚、そして孤独。 かつての「美しい奥様」が、厚化粧で場末のスナックのカウンターに立つまでの足取りと、傷つきながらも真実の幸福を掴み取っていく夫・徹の再生を描く。 家族とは何か、誠実さとは何か。一通の離婚届が、二人の人生を光と影に分かつ。
意味が分かると怖い話(解説付き)
彦彦炎
ホラー
一見普通のよくある話ですが、矛盾に気づけばゾッとするはずです
読みながら話に潜む違和感を探してみてください
最後に解説も載せていますので、是非読んでみてください
実話も混ざっております
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる
