烙印を背負う少女を『救』うたった一つの方法

朝我桜(あさがおー)

文字の大きさ
32 / 50
第二章 思わぬ『ライバル』登場で、いよいよ二人の間は急接近!? 浮かび上がる彼女のホントのキモチ!!

第三十二話 ごちゃごちゃ言わずに『ハッキリ』いえばいいのですわ!

しおりを挟む
――カルサイトリコ スパー高原 岩石地帯――


BANG! BANG! BANG!

「大量! 大量! ざっとこんなもんですわね」

 僕、ついてくる必要があったのかな?

 ジェニファーさんの足元には、大量の〈ピーカン・クラブ〉が。

 ざっと20匹ぐらいはいる。

「というか、そんなにいらないと思うんだけど」

「……あら、それもそうですわね」

 やれやれ、弾だって限りがあるのに。

「フー、いいアセかきましたわ。それにしても息ぴったり――あれ、ウィンさんはどこへ」

「あれ、そういえば……」

 いない。

 どこ行っちゃったんだろう。

「まったく、どこに行ってしまわれたのかしら?」

 一人になるなんて危険だ。

「とにかく探しましょう」

「そうですわね」

「クーン! クーン!」

 僕らは一度狩りを中断し、ウィンを探すことに。

 キキがにおいをたどってくれているから、すぐに見つかるだろう。

「でも、本当にアナタたち恋人同士じゃないんですの?」

「ええ、まぁ、そうですね」

 それは間違いないんだけど。

 でも、この状態は、なんて言えばいんだろう。

「キモチだけ伝えて、はぐらかされているっていうのかなぁ?」

 ちょっと言い方悪いか、これは。

「そんな変な状態になってます……ハハハ」

「なんですか。それは、まったくしょうがない人ですわね」

「面目次第もございません」

「いいえ、さっきのはミスターフィル、アナタにではなく、ウィンさんに言ったのです」

 どういうことだろう?

「どうせ自分がいつか死ぬからとか、変なこと考えているんじゃありませんの」

「……そうなんですかね」

 うーん、それをどうにかしようと旅しているんだけどなぁ。

 とはいってもやっぱり色々と不安なのかもしれない。

 気持ちを支えられるものがあればいいんだけど。

 自分が支えになる?

 いやいやいや、はぐらかされていたらなぁ。

 でも――。

「少し押しが足りないんじゃありませんの?」

「やっぱりそうなんですかね」

「そうですわよ」

 ジェニファーさんにため息つかれた。

 確かにはっきりさせていないのは結局、自分の方なのかもしれない。

「ああいう自尊心が足りなくて、近づこうとすればさけて、離れようとすればヤキモチを焼く『こまったちゃん』には「オレが信じる! お前を信じろ!」ぐらい言ってやらないと」

「あはは、どっかで聞いたことのあるようなセリフですね」

 レヴィン兄ぃに似合いそう。

 でも、ほんとそうかも。

「ジェニファーさんって、いつも自信に満ちあふれていますよね。ほんとスゴイと思います」

「そうですわね。我ながら自尊心のかたまりのようだと思っていますわ」

 高飛車なジェニファーさんの言葉。

 でもあんまりイヤミに感じないんだよなぁ。

 ほんと尊敬す――。

「きゃあああああああああああああああああああああああああああっ!」

「ゥワァン! ゥワァン!」

「これはウィンの声!」

「あっちですわ!」

 僕らはさけび声がした方へ、急ぎ向かった!




『SHAAAAAAAAA!』

「ウィン!」

「ウィンさん!」

「フィル! ジェニー!」

 ウィンは〈サポテ・ローパー〉という触手モンスターにつかまっていた。

 逆さづりにされて身動きが取れないみたい。

「ザコ相手に何やってるんですの! 行きますわよフィル!」

「はい!」

 僕は新調したボウナイフをぬいて走った!

 BANG! BANG! BANG!

 ZSS! ZOSCH! ZWWUSCH!!

 BBBSCHHAAAAA!!



 ――そして1分後。

「フぅ……まったく、世話が焼けますわね」

「……ゴメン」

 ジェニファーさんがウィンをたしなめている間。

 自分は〈サポテ・ローパー〉の頭についている実をもぎ取る。

 この身はチョコレート・プリンのような味がして、ウィンの大好物。

 ウィンもかなり落ちこんでいるから、これで元気になってくれればいいんだけど。

「ウィンさん、あなたワザとわたくしとミスターフィルを二人っきりにしましたわね」

 はぁ?

「えっ! どうしてわかったの!?」

 ごめん、えっと、どういうこと?

「やっぱり……ほんとバカですわね」

「ちょっとまって、全然意味がわからないんだけど! どういうこと?」

 ウィン……。

 いまにも泣きそうなくらい、ツライ顔して。

 何かあったのか?

「……二人を……くっつけようとしました。ごめんなさい」

「……ハァ……まぁ、そんなところでしょうね」

 うんざりした顔されても。

 よくわからないんだけど?

「ようはこういうことですわ」

 話はこうだ。

 まず、昨日ウィンはジェニファーさんが僕に好意を持っているとカンチガイした。

 どこでそう思ったのかは、この際置いておこう。

 それで、一晩悩んで。

 どうせ死ぬ自分より、ジェニファーさんの方がいいだろうと考えたらしい。

 さっきやけに元気なかったり積極的だったのもそのせいだと思う。

「うぅ……グス……」

 ……ウィン泣いちゃった。

「ハァァァァッァ~~~……」

 ジェニファーさんのため息、すごく重々しい。

「ごちゃごちゃ言わずにどうしたいかハッキリ言えばいいじゃありませんか! 何をためらっているんですの!」

 ビクッ! っとウィンの肩がはねあがると――。

「……アタシだって、ずっといっしょにいたいよ」

「いればいいのですわ」

「……みんなと、フィルと、ずっと楽しくすごしたいよ」

「すごせばいいのですわ」

「ジェニファーさんの言う通りだよ。それをかなえるために旅をしているんじゃないか」

「……うぅ……」

 うずくまってしまったウィンに自分はそっと寄りそった。

 ほんと不器用なんだから。

「……ハァ……そもそも、どうしてあなたのお母さまは、お父さまといっしょになったんですの?」

「え? どうしてって……」

「死ぬと分かっていて、どうしてレヴィンさん、それにアナタを産んだんです?」

「それは……」

「まずはそれを知って――っ!!!?」

「ゥワァン! ゥワァン! ゥゥゥゥーッ!!」

 なんだ?

 ジェニファーさん、声を失っている。

 キキもうなっている。

 それになんだかカゲってきて。

 上を見上げると――。

『PUUUUUUUUUUUUUUUUUUDDDDDDDDDIIIIINNG……』

 ぁ…………。

 なんと孤立丘ビュートの後ろから、特大のプリン状のモンスターが現れた!


しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

『白い結婚だったので、勝手に離婚しました。何か問題あります?』

夢窓(ゆめまど)
恋愛
「――離婚届、受理されました。お疲れさまでした」 教会の事務官がそう言ったとき、私は心の底からこう思った。 ああ、これでようやく三年分の無視に終止符を打てるわ。 王命による“形式結婚”。 夫の顔も知らず、手紙もなし、戦地から帰ってきたという噂すらない。 だから、はい、離婚。勝手に。 白い結婚だったので、勝手に離婚しました。 何か問題あります?

【完結】転生7年!ぼっち脱出して王宮ライフ満喫してたら王国の動乱に巻き込まれた少女戦記 〜愛でたいアイカは救国の姫になる

三矢さくら
ファンタジー
【完結しました】異世界からの召喚に応じて6歳児に転生したアイカは、護ってくれる結界に逆に閉じ込められた結果、山奥でサバイバル生活を始める。 こんなはずじゃなかった! 異世界の山奥で過ごすこと7年。ようやく結界が解けて、山を下りたアイカは王都ヴィアナで【天衣無縫の無頼姫】の異名をとる第3王女リティアと出会う。 珍しい物好きの王女に気に入られたアイカは、なんと侍女に取り立てられて王宮に! やっと始まった異世界生活は、美男美女ぞろいの王宮生活! 右を見ても左を見ても「愛でたい」美人に美少女! 美男子に美少年ばかり! アイカとリティア、まだまだ幼い侍女と王女が数奇な運命をたどる異世界王宮ファンタジー戦記。

企業再生のプロ、倒産寸前の貧乏伯爵に転生する 

namisan
ファンタジー
数々の倒産寸前の企業を立て直してきた敏腕コンサルタントの男は、過労の末に命を落とし、異世界で目を覚ます。  転生先は、帝国北部の辺境にあるアインハルト伯爵家の若き当主、アレク。  しかし、そこは「帝国の重荷」と蔑まれる、借金まみれで領民が飢える極貧領地だった。  凍える屋敷、迫りくる借金取り、絶望する家臣たち。  詰みかけた状況の中で、アレクは独自のユニーク魔法【構造解析(アナライズ)】に目覚める。  それは、物体の構造のみならず、組織の欠陥や魔法術式の不備さえも見抜き、再構築(クラフト)するチート能力だった。  「問題ない。この程度の赤字、前世の案件に比べれば可愛いものだ」  前世の経営知識と規格外の魔法で、アレクは領地の大改革に乗り出す。  痩せた土地を改良し、特産品を生み出し、隣国の経済さえも掌握していくアレク。  そんな彼の手腕に惹かれ、集まってくるのは一癖も二癖もある高貴な美女たち。 これは、底辺から這い上がった若き伯爵が、最強の布陣で自領を帝国一の都市へと発展させ、栄華を極める物語。

転生貴族の領地経営〜現代日本の知識で異世界を豊かにする

ファンタジー
ローラシア王国の北のエルラント辺境伯家には天才的な少年、リーゼンしかしその少年は現代日本から転生してきた転生者だった。 リーゼンが洗礼をしたさい、圧倒的な量の加護やスキルが与えられた。その力を見込んだ父の辺境伯は12歳のリーゼンを辺境伯家の領地の北を治める代官とした。 これはそんなリーゼンが異世界の領地を経営し、豊かにしていく物語である。

【第一部完結】転生99回目のエルフと転生1回目の少女は、のんびり暮らしたい!

DAI
ファンタジー
【第一部完結!】 99回のさよならを越えた、究極の『ただいま』 99回転生した最強エルフは、のんびり暮らしたいだけなのに――なぜか家族が増えていく。 99回も転生したエルフの魔法使いフィーネは、 もう世界を救うことにも、英雄になることにも飽きていた。 今世の望みはただひとつ。 ――森の奥の丸太小屋で、静かにのんびり暮らすこと。 しかしその願いは、 **前世が日本人の少女・リリィ(12歳)**を拾ったことで、あっさり崩れ去る。 女神の力を秘めた転生少女、 水竜の神・ハク、 精霊神アイリス、 訳ありの戦士たち、 さらには―― 猫だと思って連れ帰ったら王女だった少女まで加わり、 丸太小屋はいつの間にか“大所帯”に!? 一方その裏で、 魔神教は「女神の魂」と「特別な血」を狙い、 世界を揺るがす陰謀を進めていた。 のんびり暮らしたいだけなのに、 なぜか神々と魔王と魔神教に囲まれていくエルフ。 「……面倒くさい」 そう呟きながらも、 大切な家族を守るためなら―― 99回分の経験と最強の魔法で、容赦はしない。 これは、 最強だけど戦いたくないエルフと、 転生1回目の少女、 そして増え続ける“家族”が紡ぐ、 癒しと激闘の異世界スローライフファンタジー。

ジャングリラ~悪魔に屠られ魔王転生。死の森を楽園に変える物語~

とんがり頭のカモノハシ
ファンタジー
「別の世界から勇者を召喚する卑怯な手口」に業を煮やした堕天使・ルシファーにより、異世界へ魔王として転生させられた大学生・左丹龍之介。 先代・魔王が勇者により討伐されて100年――。 龍之介が見たものは、人魔戦争に敗れた魔族が、辺境の森で厳しい生活を余儀なくされている姿だった。 魔族の生活向上を目指し、龍之介は元魔王軍の四天王、悪魔公のリリス、フェンリルのロキア、妖狐の緋魅狐、古代龍のアモンを次々に配下に収めていく。 バラバラだった魔族を再び一つにした龍之介は、転生前の知識と異世界の人間の暮らしを参考に、森の中へ楽園を作るべく奔走するのだが……

神々の愛し子って何したらいいの?とりあえずのんびり過ごします

夜明シスカ
ファンタジー
アリュールという世界の中にある一国。 アール国で国の端っこの海に面した田舎領地に神々の寵愛を受けし者として生を受けた子。 いわゆる"神々の愛し子"というもの。 神々の寵愛を受けているというからには、大事にしましょうね。 そういうことだ。 そう、大事にしていれば国も繁栄するだけ。 簡単でしょう? えぇ、なんなら周りも巻き込んでみーんな幸せになりませんか?? −−−−−− 新連載始まりました。 私としては初の挑戦になる内容のため、至らぬところもあると思いますが、温めで見守って下さいませ。 会話の「」前に人物の名称入れてみることにしました。 余計読みにくいかなぁ?と思いつつ。 会話がわからない!となるよりは・・ 試みですね。 誤字・脱字・文章修正 随時行います。 短編タグが長編に変更になることがございます。 *タイトルの「神々の寵愛者」→「神々の愛し子」に変更しました。

エリクサーは不老不死の薬ではありません。~完成したエリクサーのせいで追放されましたが、隣国で色々助けてたら聖人に……ただの草使いですよ~

シロ鼬
ファンタジー
エリクサー……それは生命あるものすべてを癒し、治す薬――そう、それだけだ。 主人公、リッツはスキル『草』と持ち前の知識でついにエリクサーを完成させるが、なぜか王様に偽物と判断されてしまう。 追放され行く当てもなくなったリッツは、とりあえず大好きな草を集めていると怪我をした神獣の子に出会う。 さらには倒れた少女と出会い、疫病が発生したという隣国へ向かった。 疫病? これ飲めば治りますよ? これは自前の薬とエリクサーを使い、聖人と呼ばれてしまった男の物語。

処理中です...