烙印を背負う少女を『救』うたった一つの方法

朝我桜(あさがおー)

文字の大きさ
33 / 50
第二章 思わぬ『ライバル』登場で、いよいよ二人の間は急接近!? 浮かび上がる彼女のホントのキモチ!!

第三十三話 まかせなさい! 『とっておき』を見せてアゲル!

しおりを挟む
 僕らは走った!

 ただひたすらに!

『PU、PUUUUUUUUUUUUUUUUUUDDDDDDDDDIIIIINNG~~』

 ZZZZZZZZZZZZZZZZZZZZZZZZZZZZZZ!!

 〈グラトニー・プリン〉は岩石をすべて飲みこんで追いかけてくる!

「ハァ! ど、どうしてこんなことに! 」

「ハァ! ハァ! あ、あいつ意外と早いよ! このままだと追いつかれちゃう!」

「……ハァ! ハァ! ムダ口たたいてないで、と、とにかく走るのですわよ!」

「クーン! クーン!」

 そうだよね! キキの言う通り!

 今はみんなのもとに行かなきゃ!

 大きいとは聞いていたけど。

 まさかテーブル台地、『メサ』 ぐらいの大きさがあるなんて。

 たぶん今まで見つからなかったのは、多分ギタイしていたからだと思う。

「みなさん! あそこ!」

 やったぁ! テントが見えてきた。

 これで――。

「リリー姉ぇぇぇ! レヴィン兄ぃぃ!」

「あ、ようやく帰ってきた。もうランチでき……て……え?」

 わぉ!

 すごい青い顔!

 あんな顔、リリー姉さんもするんだね!

「て、テメェら! なにいきなり連れてきてんだっ!」

 アニキの言うことはごもっとも!

「見つかっちゃんだからしょうがないじゃん!」

「と、とにかく! やりますわよ! リュシアン! アリサ! 準備なさい!」

「わ、わかったよ! 姉さん」

「かしこまりました」

 すぐに応戦を開始!

 6人でけん制しながら、リリー姉さんの術で一気にダメージをあたえる。

 そういう手はずだったんだ。

 BANG! BANG! BANG!

 KABOOOOOOOOON!!

「今度こそ! あ……」

 KUNRRRRRRRRRRRRRRRR!

「だめだよ! フィル! すぐにふさがっちゃう!」

「く、これもダメ! くそ、どうしたらダメージをあたえられるんだ!」

 どんな精霊の力をもってしてもすぐに再生してしまう。

 火、風、水、土――全部ためした。

 いったいどうすれば――。

「全員どけ! リリーの術がくるぞ!」

『空は彼女の舞台! 鳴き、わめき、うなりながらやって来る! 竜巻の精霊女フウピリクゥ!』

 GWOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOーーーーーー!!!

 TSCHUMM!! ZOSCHH!! TSCHUMM!! TSCHUMM!! HIUUUーーー!!!

 二本の竜巻が〈グラトニー・プリン〉をゴリゴリと削る!

『PU! PUUUUUUUUUUUUUUUUUUDDDDDDDDDIIIIINNG!!』

「そ、そんなっ! ぐっ……ハァ……ハァ……」

 そう、削るだけで終わってしまう。

 マズイ、リリー姉さんも息が上がってきた。

 二度、三度、こんな調子で、いつまでもつか。

「これじゃラチがあきませんわね! 仕方がありませんわ!」

 いきなりなんだ!?

「特別にわたくしの【才花アクシア】を見せて差し上げます! アリサ! サポートたのみましたよ」

「承知しました!」

「いったい何を!?」

「指の間からのぞいていったい何をしているの!? 左目が白く――あっ! あぶない」

『PU! PUUUUUUUUUUUUUUUUUUDDDDDDDDDIIIIINNG!!』

 無防備になったところへ〈グラトニー・プリン〉の消化液が!

「お嬢様っ! ぐ――っ!」

「アリサさん!!」

 寸でのところでアリサさんがかばいに入って、ジェニファーさんはなんとか無事。

 でも消化液のせいで、服がズタボロ!

 みみみ、みる、みるカゲも――。

「見るなぁ!!」

 DONK!

「ぐふっ! ウィ、ウィン! い、いきなり、なにすんの!?」

「なに? まだオシオキがほしいの!?」

 ウィンの久しぶりのグーパンを食らった。

 ってそんなことしている場合じゃない!

「姉さんの【才花】は〈鑑定アプレイズ〉なんです」

 BANG! BANG!

 リュシアンくんの話では、あの白い左目で、弱点などをみやぶることができるらしい!

「あれはもともとは盗品かどうかを見やぶる〈故買フェンシング〉の【烙印スティグマ】持ちだったものが変化したんです」

「でも、なんでアリサさんがかばって!?」

「アリサの【才花】は〈守護ガード〉、服はキズついても、その身には一切キズつかない。だから心配いりません」

「リュシアンくん! 鼻血! 鼻血!」

「おっと、これは見苦しいものを――」

 見苦しいと思うなら、そのスケベ心をなんとかしようか。

 そういえばうちにもスケベ大王がいたな。

 なっ!?  僕じゃないよ!?

「なに! ぼさっとしてやがる! オレたちでやつをひきつけんだろ!」

「あ、うん! そうだね!」

 あれ? 意外。

 てっきり鼻の下のばしてるかと――思ったら。

「レヴィン兄ぃ後でオシオキだからね!」

 しっかりのばしていました!

 説得力ない!

 ん、ちょっとまて。

「ねぇ!? さっき『も』って言った!? ウィン!? ねぇ!?」

 BANG! BANG! BANG!

 KABOOOOOOOOOOOOOOOOOOOON!!

 絶えまなく引き金を引き続け、とにかく時間をかせぐ!

「見えましたわ! こいつは【火】、【水】、【風】、【土】どの属性も、ほぼ無効にしますわ! だからそれ以外の属性で!」

「そ、そんな! だってリリー姉ぇは!?」

「そうだ! リリーはそれ以外の精霊と対話したことがねぇ!」

 なんだって!?

 それじゃぁ、まさか――たおせない!?

 だとしたら、ここはやっぱり

「どうする!? 一度にげて体制を立て直す!?」

「それしかありませんわね。援護えんごしますわ」

「待ってっ!!」

 びっくりしたぁ。

 いつになくリリーさんが大声を張り上げて、みんな視線が集まる。

「――やってみるわ」

しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

相続した畑で拾ったエルフがいつの間にか嫁になっていた件 ~魔法で快適!田舎で農業スローライフ~

ちくでん
ファンタジー
山科啓介28歳。祖父の畑を相続した彼は、脱サラして農業者になるためにとある田舎町にやってきた。 休耕地を畑に戻そうとして草刈りをしていたところで発見したのは、倒れた美少女エルフ。 啓介はそのエルフを家に連れ帰ったのだった。 異世界からこちらの世界に迷い込んだエルフの魔法使いと初心者農業者の主人公は、畑をおこして田舎に馴染んでいく。 これは生活を共にする二人が、やがて好き合うことになり、付き合ったり結婚したり作物を育てたり、日々を生活していくお話です。

ラストアタック!〜御者のオッサン、棚ぼたで最強になる〜

KeyBow
ファンタジー
第18回ファンタジー小説大賞奨励賞受賞 ディノッゾ、36歳。職業、馬車の御者。 諸国を旅するのを生き甲斐としながらも、その実態は、酒と女が好きで、いつかは楽して暮らしたいと願う、どこにでもいる平凡なオッサンだ。 そんな男が、ある日、傲慢なSランクパーティーが挑むドラゴンの討伐に、くじ引きによって理不尽な捨て駒として巻き込まれる。 捨て駒として先行させられたディノッゾの馬車。竜との遭遇地点として聞かされていた場所より、遥か手前でそれは起こった。天を覆う巨大な影―――ドラゴンの襲撃。馬車は木っ端微塵に砕け散り、ディノッゾは、同乗していたメイドの少女リリアと共に、死の淵へと叩き落された―――はずだった。 腕には、守るべきメイドの少女。 眼下には、Sランクパーティーさえも圧倒する、伝説のドラゴン。 ―――それは、ただの不運な落下のはずだった。 崩れ落ちる崖から転落する際、杖代わりにしていただけの槍が、本当に、ただ偶然にも、ドラゴンのたった一つの弱点である『逆鱗』を貫いた。 その、あまりにも幸運な事故こそが、竜の命を絶つ『最後の一撃(ラストアタック)』となったことを、彼はまだ知らない。 死の淵から生還した彼が手に入れたのは、神の如き規格外の力と、彼を「師」と慕う、新たな仲間たちだった。 だが、その力の代償は、あまりにも大きい。 彼が何よりも愛していた“酒と女と気楽な旅”―― つまり平和で自堕落な生活そのものだった。 これは、英雄になるつもりのなかった「ただのオッサン」が、 守るべき者たちのため、そして亡き友との誓いのために、 いつしか、世界を救う伝説へと祭り上げられていく物語。 ―――その勘違いと優しさが、やがて世界を揺るがす。

チート魅了スキルで始まる、美少女たちとの異世界ハーレム生活

仙道
ファンタジー
 ごく普通の会社員だった佐々木健太は、異世界へ転移してして、あらゆる女性を無条件に魅了するチート能力を手にする。  彼はこの能力で、女騎士セシリア、ギルド受付嬢リリア、幼女ルナ、踊り子エリスといった魅力的な女性たちと出会い、絆を深めていく。

クラス転移したら種族が変化してたけどとりあえず生きる

あっとさん
ファンタジー
16歳になったばかりの高校2年の主人公。 でも、主人公は昔から体が弱くなかなか学校に通えなかった。 でも学校には、行っても俺に声をかけてくれる親友はいた。 その日も体の調子が良くなり、親友と久しぶりの学校に行きHRが終わり先生が出ていったとき、クラスが眩しい光に包まれた。 そして僕は一人、違う場所に飛ばされいた。

私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。

MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。

猫好きのぼっちおじさん、招かれた異世界で気ままに【亜空間倉庫】で移動販売を始める

遥風 かずら
ファンタジー
【HOTランキング1位作品(9月2週目)】 猫好きを公言する独身おじさん麦山湯治(49)は商売で使っているキッチンカーを車検に出し、常連カードの更新も兼ねていつもの猫カフェに来ていた。猫カフェの一番人気かつ美人トラ猫のコムギに特に好かれており、湯治が声をかけなくても、自発的に膝に乗ってきては抱っこを要求されるほどの猫好き上級者でもあった。 そんないつものもふもふタイム中、スタッフに信頼されている湯治は他の客がいないこともあって、数分ほど猫たちの見守りを頼まれる。二つ返事で猫たちに温かい眼差しを向ける湯治。そんな時、コムギに手招きをされた湯治は細長い廊下をついて歩く。おかしいと感じながら延々と続く長い廊下を進んだ湯治だったが、コムギが突然湯治の顔をめがけて引き返してくる。怒ることのない湯治がコムギを顔から離して目を開けると、そこは猫カフェではなくのどかな厩舎の中。 まるで招かれるように異世界に降り立った湯治は、好きな猫と一緒に生きることを目指して外に向かうのだった。

出来損ないと追放された俺、神様から貰った『絶対農域』スキルで農業始めたら、奇跡の作物が育ちすぎて聖女様や女騎士、王族まで押しかけてきた

黒崎隼人
ファンタジー
★☆★完結保証★☆☆ 毎日朝7時更新! 「お前のような魔力無しの出来損ないは、もはや我が家の者ではない!」 過労死した俺が転生したのは、魔力が全ての貴族社会で『出来損ない』と蔑まれる三男、カイ。実家から追放され、与えられたのは魔物も寄り付かない不毛の荒れ地だった。 絶望の淵で手にしたのは、神様からの贈り物『絶対農域(ゴッド・フィールド)』というチートスキル! どんな作物も一瞬で育ち、その実は奇跡の効果を発揮する!? 伝説のもふもふ聖獣を相棒に、気ままな農業スローライフを始めようとしただけなのに…「このトマト、聖水以上の治癒効果が!?」「彼の作る小麦を食べたらレベルが上がった!」なんて噂が広まって、聖女様や女騎士、果ては王族までが俺の畑に押しかけてきて――!? 追放した実家が手のひらを返してきても、もう遅い! 最強農業スキルで辺境から世界を救う!? 爽快成り上がりファンタジー、ここに開幕!

処理中です...