婚約を破棄された令嬢は平和を望む

ブクブク茶釜アイランド

文字の大きさ
9 / 14

第七話

しおりを挟む
数時間前・・・
私達は。ロンギヌスに命令を受け、戦争を止めるべく、『山の王』との和平協定を結びに行くことになりました。
もちろんエリック王子らには秘密の交渉であり、必然使う数も少なくする必要があります。
そこで選ばれたのは私を含めた、レインハルト、アルフォンス、ランスロット、自称ロンギヌスの秘書長官(女)の五名です。
自称秘書長官は非常に有能そうで頼もしい御方です、
ロンギヌスと離れる時凄いいやそうな顔しておりましたが・・・
時折親の仇を見るかのように睨んできますが・・・、


ま、まあ、それはいいでしょう。

問題はランスロットを連れてきてよかったのかと言うことですわ・・・

う~ぬ・・・

ロンギヌスが貴重な戦力だ!連れて行った方がいい!と言いますので連れてきましたが、
正直選択を誤ってしまった感が否めないのですわ・・・・

大丈夫ですわよね・・・

ランスロットの起こした前科の数々を思えば、大丈夫では無いのは明らかなのだが、
エリザベータはその記憶を全部ゴミ箱に捨て、心の平穏を選びました。







エリザベータ達を乗せた馬車はアルバート領最西の街。ルルカナの街道を通っていた。

今日はアルバート邸を出てから一日ちょい。
時刻は昼すぎ。
昼食を食べてから一刻ほど経った頃です。

それは突然でした。


「いい加減にしてください!」

「ふぇ・・え、な、何でしょうか?」

叫び声を上げたのはリナリー・エイベンシュタイン。ロンギヌスの遣わした女秘書殿でした。
私は驚き過ぎて変な声を上げていました。

「長官殿・・・何かお気に触れましたでしょうか・・・?」

なるべく下手に出て聞いてみます。
すると長官は・・・

「お気に触れました?じゃないでしょ!何なんですかこの緊張感の無さは!遠足気分ですか!」

そう言われて、馬車内を見て見ると確かに緊張感がない・・・
アルフォンスとランスロットは賭けチェスをしているし、レインハルトに至っては頬付きしながら爆睡している始末。

うん、これは怒るのも当然ですね。

私はパンパンと手を叩き注目を集めます。

「はいはいはい!アル、ランスロット、レインハルト少し聞いてください。まずアルとランスロット。チェスは構いませんが賭けは控えてくださいね。次にレインハルト寝るならバレない様に寝てください。」

と、一応言っておきます。

こう言わないと長官殿が怒ってしまいますからね。

私が満足げに頷き、座りなおすと、・・・・

「え~と・・・あの・・・長官殿・・・?」

目の前に般若が仁王立ちしておりました。

「あ、あの~・・・・。」

「エリザベータ様・・・。色々申し上げたいことはありますが、まず初めに、これだけは言っておきましょう。」

「え、ええ・・・ドンとこいですわ・・・。」

「今この場で、一番緊張感が無いのは貴女ですよ!」

「え・・・。」

「何でそんな心外そうな顔を出来るんですか!どう考えても貴女でしょう!先程からポリポリポリ・・・。休むことなくその珍妙なものを食べているじゃないですか?」

「ち、珍妙なものって失礼ね。我が家では結構普通に食されてるわよ。」

「しょ、正気ですか!信じられない!このようなものを食べるなど・・・」

長官殿は顔を引きつらせていました。
やられて初めて分かりましたが、これって結構傷付きますね・・・・・・
胸がグサッと来ましたよ。

ポリポリ・・・

確かにこの世界には無いものですけどね・・・ポリポリ・・・
結構自信作なんですよ・・・ポリ・・・


さて、今さらですが、
私が食べているのは前世の嗜好品・・・商品名『ポテトチップス・海苔塩味』と言われるものであります。
もちろん無添加、お手製です。

このクオリティーに仕上げるのは苦労したのですよ。

特に、この海苔塩の海苔を出すの!
何回只の塩味ポテチを食べた事でしょうか・・・

ですが、苦労したかいあってアルバートの家臣勢にもかなりの人気を博しているのです!

「食べてみますか?美味しいですわよ?」

アルバートの人間以外にあげるのは初めてですが、今日は特別です。

ポリポリポリ・・・

そう思ってポテチを差し出すと・・・

「け、結構です!これから大事な任務があるので・・・お腹でも下したら洒落になりません!」

と、失礼千万なことを言われました。






王国歴三十八年 六月八日  十三時二十一分


「ここから先は馬車は使えない。騎馬で行きます。」

長官殿の言葉で、皆ぞろぞろと馬車を出ました。
ここはコネール山脈の山下。
ようやくスタートラインに立ったところです。

「それにしても、どこをどう進めばいいんでしょうか?」

前方を見渡しても、
街道らしいものは見当たらない。
全方位が獣道である。

私が皆に意見を聞くと。

「知らん。取り敢えず前に進めばいいんじゃないか?」とランスロットが・・・
「そうですね。時間もありませんし、迷ってる暇はありませんから。」とアルフォンス・・・
「私もここに来るのは初めてですので・・・。長官殿はどうですか?」

とレインハルトが聞き、長官に回ってくる。
長官殿は綺麗な眉をぎゅっと寄せ、

「自信はありませんし、詳しくは分かりませんが、大雑把には記憶しています。」

てな、答えを返した。

他に当ても無いわけですし、
アルの言う通り時間も無いので。長官を先頭にしてずいずい進むことにしました。

馬は四つしかないので、騎乗経験のない私はレインハルトと相乗り。他の三人は一対一での行進です。



~それからしばらく、馬を走らせ、他愛名の無い話に花を咲かせる。そして、成り行きで、話の話題は山の民の事へと変っていた~

話を切り出したのは長官殿。

「今さらですが、貴方達は山の民についてどの程度ご存知ですか?情報は共有しておいた方がいいでしょう。」

「ええ」「まあ」「うん」「そうだな」

私達は各々に相槌を打ちます。

正直なところを言えば、そこまで詳しくは知らないのです。
アルバート領のすぐ西にあるとはいえ、ここ百年近くマジで交流断絶してたわけですから・・・
だから、知ってることと言えば百年前の話・・・・

「家の書庫で読んだ報告書の話だけど・・・・120年くらい前だっけ・・・?・・・ボア王国とココナッツ王国とで、戦争になったことがあったでしょ・・・?」
「たしか、あれはアルバート領の北平原でしたか?」

レインハルトの相槌に私は首肯で答える。

「うん、その北平原でね、王国軍が公国軍に苦戦・・・いや、負けそうになっていたんだけど・・・その時、援軍五百を引きつれた山の民がやってきて、三千の公国軍を蹂躙したらしいわ。」
「「じゅ、蹂躙!?」」

アルと長官の声が重なった。
まあ、気持ちは分かるわ。
子供のころの私でも分かるほどあり得ないことですものね・・・
でも、事実なのです。

うんうんと、二人の反応に共感している私に背後から声が掛けられた。

「それで、どんな奇策を使ったんですか?」

レインハルトだ。
私はまたまた共感した。

「そう思いますわよね。・・・・でも、奇策なんて何も使っていないの。正面から、ただ純粋に圧倒的な戦闘力を持って殴殺して回ったのよ。」


「「「「・・・・・・」」」」


数秒の沈黙が流れた。
ようやく自分達が地獄の門をたたいてることに気付いたのでしょう。


長官殿なんて世界の終わりのような顔をしています・・・・
斯く言う私も・・・・

うー・・・だから行きたくないっていたんですよ。

怨念吐くのが精いっぱい。
自分で言っといて何なのですが、メッチャ怖くなってきました。
しおりを挟む
感想 8

あなたにおすすめの小説

主人公の恋敵として夫に処刑される王妃として転生した私は夫になる男との結婚を阻止します

白雪の雫
ファンタジー
突然ですが質問です。 あなたは【真実の愛】を信じますか? そう聞かれたら私は『いいえ!』『No!』と答える。 だって・・・そうでしょ? ジュリアーノ王太子の(名目上の)父親である若かりし頃の陛下曰く「私と彼女は真実の愛で結ばれている」という何が何だか訳の分からない理屈で、婚約者だった大臣の姫ではなく平民の女を妃にしたのよ!? それだけではない。 何と平民から王妃になった女は庭師と不倫して不義の子を儲け、その不義の子ことジュリアーノは陛下が側室にも成れない身分の低い女が産んだ息子のユーリアを後宮に入れて妃のように扱っているのよーーーっ!!! 私とジュリアーノの結婚は王太子の後見になって欲しいと陛下から土下座をされてまで請われたもの。 それなのに・・・ジュリアーノは私を後宮の片隅に追いやりユーリアと毎晩「アッー!」をしている。 しかも! ジュリアーノはユーリアと「アッー!」をするにしてもベルフィーネという存在が邪魔という理由だけで、正式な王太子妃である私を車裂きの刑にしやがるのよ!!! マジかーーーっ!!! 前世は腐女子であるが会社では働く女性向けの商品開発に携わっていた私は【夢色の恋人達】というBLゲームの、悪役と位置づけられている王太子妃のベルフィーネに転生していたのよーーーっ!!! 思い付きで書いたので、ガバガバ設定+矛盾がある+ご都合主義。 世界観、建築物や衣装等は古代ギリシャ・ローマ神話、古代バビロニアをベースにしたファンタジー、ベルフィーネの一人称は『私』と書いて『わたくし』です。

わがままな婚約者はお嫌いらしいので婚約解消を提案してあげたのに、反応が思っていたのと違うんですが

水谷繭
恋愛
公爵令嬢のリリアーヌは、婚約者のジェラール王子を追いかけてはいつも冷たくあしらわれていた。 王子の態度に落ち込んだリリアーヌが公園を散策していると、転んで頭を打ってしまう。 数日間寝込むはめになったリリアーヌ。眠っている間に前世の記憶が流れ込み、リリアーヌは今自分がいるのは前世で読んでいたWeb漫画の世界だったことに気づく。 記憶を思い出してみると冷静になり、あれだけ執着していた王子をどうしてそこまで好きだったのかわからなくなる。 リリアーヌは王子と婚約解消して、新しい人生を歩むことを決意するが…… ◆表紙はGirly Drop様からお借りしました ◇小説家になろうにも掲載しています

はじめまして、私の知らない婚約者様

有木珠乃@『ヒロ弟』コミカライズ配信中
ファンタジー
ミルドレッド・カーマイン公爵令嬢は突然、学園の食堂で話しかけられる。 見覚えのない男性。傍らには豊満な体型の女性がいる。 けれどその女性から発せられた男性の名前には、聞き覚えがあった。 ミルドレッドの婚約者であるブルーノ王子であることを。 けれどミルドレッドの反応は薄い。なぜなら彼女は……。 この世界を乙女ゲームだと知った人々による、悪役令嬢とヒロイン、魔女の入れ替え話です。 悪役令嬢を救いたかったはずなのに、どうしてこんなことに? ※他サイトにも掲載しています。

幼馴染みの婚約者が「学生時代は愛する恋人と過ごさせてくれ」と言ってきたので、秒で婚約解消を宣言した令嬢の前世が、社畜のおっさんだった件。

灯乃
ファンタジー
子爵家の総領娘である令嬢の前に、巨乳美少女と腕を組んだ婚約者がやってきた。 曰く、「学生時代くらいは、心から愛する恋人と自由に過ごしたい。それくらい、黙って許容しろ」と。 婚約者を甘やかし過ぎていたことに気付いた彼女は、その場で婚約解消を宣言する。 前半はたぶん普通の令嬢もの、後半はおっさんコメディーです。

婚約破棄された翌日、兄が王太子を廃嫡させました

由香
ファンタジー
婚約破棄の場で「悪役令嬢」と断罪された伯爵令嬢エミリア。 彼女は何も言わずにその場を去った。 ――それが、王太子の終わりだった。 翌日、王国を揺るがす不正が次々と暴かれる。 裏で糸を引いていたのは、エミリアの兄。 王国最強の権力者であり、妹至上主義の男だった。 「妹を泣かせた代償は、すべて払ってもらう」 ざまぁは、静かに、そして確実に進んでいく。

わたくしがお父様に疎まれている?いいえ、目に入れても痛くない程溺愛されております。

織り子
ファンタジー
王国貴族院の卒業記念パーティーの場で、大公家の令嬢ルクレツィア・アーヴェントは王太子エドワードから突然の婚約破棄を告げられる。 父であるアーヴェント大公に疎まれている―― 噂を知った王太子は、彼女を公衆の面前で侮辱する。

夫から『お前を愛することはない』と言われたので、お返しついでに彼のお友達をお招きした結果。

古森真朝
ファンタジー
 「クラリッサ・ベル・グレイヴィア伯爵令嬢、あらかじめ言っておく。  俺がお前を愛することは、この先決してない。期待など一切するな!」  新婚初日、花嫁に真っ向から言い放った新郎アドルフ。それに対して、クラリッサが返したのは―― ※ぬるいですがホラー要素があります。苦手な方はご注意ください。

〖完結〗死にかけて前世の記憶が戻りました。側妃? 贅沢出来るなんて最高! と思っていたら、陛下が甘やかしてくるのですが?

藍川みいな
恋愛
私は死んだはずだった。 目を覚ましたら、そこは見知らぬ世界。しかも、国王陛下の側妃になっていた。 前世の記憶が戻る前は、冷遇されていたらしい。そして池に身を投げた。死にかけたことで、私は前世の記憶を思い出した。 前世では借金取りに捕まり、お金を返す為にキャバ嬢をしていた。給料は全部持っていかれ、食べ物にも困り、ガリガリに痩せ細った私は路地裏に捨てられて死んだ。そんな私が、側妃? 冷遇なんて構わない! こんな贅沢が出来るなんて幸せ過ぎるじゃない! そう思っていたのに、いつの間にか陛下が甘やかして来るのですが? 設定ゆるゆるの、架空の世界のお話です。

処理中です...