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都立冨澤大学附属高校 

俺の隣人 湊side

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《高校1年生 ・4月》

入学式当日 

少し早めに起床した湊は
ゆっくり身支度を整えていた

もしかしたら、今日、晴臣くんに会えるかもしれない!そう思うと
ドキドキが止まらなかった

7時50分
もうすぐ寮を出なくてはと
ネクタイを必死に締める

🎵ピンポーン

部屋にチャイム音が響く
誰だろう…?

俺は恐る恐る玄関の覗き穴に目を当てる

「れ、廉くん!」

湊がガチャっと勢いよくドアを開けると
そこには相変わらず派手なピンク色の髪色をした廉くんがニコニコしながら手を振っていた

「おはよう、湊。
良かったら、一緒に行かない?」

嬉しさのあまり、少し飛び跳ねると
うんうんと首を縦に振り返事をした

慌てて部屋にある通学バックを手に取り廉くんの元に駆け寄った

「ふふ、急がなくて大丈夫だよ~」

そう言って俺の頭を撫でる廉くんは本当に優しい人だと思う
 俺の頭の方を見ていた廉くんの視線がスッと下に降りていく
ちょうど胸元の辺りをじっと見つめている
暫しの沈黙に耐えられない俺が口を開こうとした時に

「ネクタイ、可愛くなってるから、少し直してもいいかな?」

廉くんは自身のネクタイに軽く触れながら、俺のネクタイを指差しながら
触る前に許可を取ってくれている

可愛くっていうのは変になってるって、事なのか…?

中学は学ランだったこともあり、
ネクタイに慣れない俺は今朝も苦戦していた

恥ずかしさに顔に熱が集中するものの今直してもらえた方が助かる…
俺は恥を忍んでお願いすことにする

「ご、ごめん。俺、下手で。おねがい」

できるだけ結びやすいようにと
身体を廉くんに向けて
顎を上に突き上げ、胸元を広く見せようとした
恥ずかしさに廉くんの顔が見れず
思わず目をグッと瞑って耐える

…暫くしても触れてこない廉くんに違和感を感じて目を開けると

少し赤らめた顔をした廉くんが

「湊、それは良くない。本当に良くない。僕じゃなきゃ本当にしちゃうよ」

と良くわからない事を必死に訴えていた
俺は何か気分を悪くさせたのかと思い
少し反省していた

シュルッ キュッ

いつの間にか俺の首元にあった廉くんの手は
慣れた手つきで俺のネクタイを締める

「はい、完成」

廉はパッと自身の顔の前で両手を、広げてみせる

「れ、れんくん!ありがとう!」

俺は廉くんの両手を握りしめて
ブンブンと振った

そして、やっと時刻が遅刻ギリギリだと気が付いた2人は慌てて本校舎に向かって走るのだった




















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