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幼年期
50、守神さま
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……な、なんか今さらっとものすごいことを言いませんでしたか?
ボクの気のせい?
「あ、あのう……聞き間違いだったらすみません。この水トカゲさんは水色だから守神さま、ということなのですよね?それは、言い伝えのようなものかもしれませんが、十分理解できるのですけれど。
その後がよくわからないのですが……。
伝説のドラゴンが姿をかえたもの、というのはどういう意味ですか?そもそも、ドラゴンは姿を変えられたのですか?ドラゴンがもし実在したとしても、それはサフィラス様のいらした創世の頃の話なのではないのでしょうか?」
俺の言葉にレインさんは困ったように眉を下げ、頬を掻いた。
「いやあ、何しろ私も専門外でして。祖父から、寝物語として聞かされたものなのです。実際、ここでこの守神様をみるまでは実在しようとは思ってもおりませんでしたし……」
話をしている間も、可愛い守神さまはよちよちてちてちとボクの腕を上り続け、ついには肩までやってきた!
お、落ちたりしないでくださいね?大丈夫ですか?
なるべく肩を動かさないようにして顔だけでちらっと守神様を見ると、なにやらその小さな首を一生懸命伸ばしているところだった。
「?何がしたいのですか?」
と。
ガジ!
「!!!痛いっ!!」
か、噛んだ!このこ、ボクのお耳を噛みましたっ!!!
ビックリして耳を押さえたまま固まったボクの肩から、お兄さまが急いで守神さまをつまみあげた。
「大丈夫か、クリス?!」
その右手には、尻尾を掴まれた守神さまがプラプラと揺れている。
「だ、大丈夫です。びっくりしただけで、そんなに痛くはありませんでしたし。
お兄さまの言う通りでした、水トカゲさんって噛むのですね……。びっくりしました……」
「う、うむ。そこまで痛くないのならば良かった。みせてごらん?」
お兄さまがボクのお耳をチェックすると、小さな小さな歯型のようなものがついていた。
「……少し傷がついてしまったな。だが深くはない。じきに治るだろう」
ほっとしたように息を吐き、プラプラとぶら下げた守神さまを顔の位置に持ち上げ言い聞かせる。
「守神よ。この地を守ってくださっているのには感謝する。だがしかし、我が弟を傷つけたことは許しがたい。
どのような理由があろうとも、クリスを傷つけてはならぬ。理解したか?」
すると守神さま、何故だか必死な様子でジタバタしはじめた。
「ん?む?こ、これ!危ないだろう!大人しくせぬか!」
ジタバタジタバタとまるで振り子のように動き回り、ついに……
ガジ!!
お、お兄さまのお耳まで齧った!
「うわあ!」
「お兄さまっ?!」
ボクはとっさに守神さまをわしっと掴み動けないようにした。
そしてその小さなお顔をボクの顔の前に持ってきて
「こらっ!!人を噛んではいけません!噛んだら痛いでしょっ!どれだけ痛いかわからないから噛むのです!」
ガジっ!
小さなそのホッペに噛みついたのだった。
「クリス?!」
「「クリス様?!」」
「何をするのだーーーっ!」
…………ん?今ひとつ多くなかった?
お兄さま、マーシャとレインはわかる。
最後のロートーンボイスは……誰?
ブラッドさんか誰かかと思って振り返れば、あちらはのんきにシートの上でくつろいでいらっしゃる。
ルナとセルシオは喧々囂々となにか言い争っている。程々にしましょうね、二人とも。
え?
えええ?
きょろきょろするボク。
マーシャは「く、クリス様っ!ペッてしてください!ペッて!!」と手の平を差し出し、レインに「水か何かを持ってきてくださいっ!」と叫んでいる。
うん。大パニックだね。
ところが、一番大騒ぎしそうなお兄さま。
警戒態勢で短剣に手をかけきょろきょろ。
「お、お兄さまにも聞こえましたか?!」
「ああ。聞こえた。
誰だ?!姿を見せよ!」
庇うようにボクを背に隠し、お兄さまが叫ぶ。
すると………
「落ち付くのだ。いや、失礼した。いきなり噛まれたもので少々驚いたのだ」
………は?
ボクとお兄さまの視線がボクの手の中に。
そこには相変らずきゅるんとしたお目目の守神さまが、ホッペにボクの歯型をつけたまま困ったように首をかしげていた。
「い、いま……ここから聞こえませんでしたか?」
「うむ。確かにここから聞こえた気がする」
ボクの気のせい?
「あ、あのう……聞き間違いだったらすみません。この水トカゲさんは水色だから守神さま、ということなのですよね?それは、言い伝えのようなものかもしれませんが、十分理解できるのですけれど。
その後がよくわからないのですが……。
伝説のドラゴンが姿をかえたもの、というのはどういう意味ですか?そもそも、ドラゴンは姿を変えられたのですか?ドラゴンがもし実在したとしても、それはサフィラス様のいらした創世の頃の話なのではないのでしょうか?」
俺の言葉にレインさんは困ったように眉を下げ、頬を掻いた。
「いやあ、何しろ私も専門外でして。祖父から、寝物語として聞かされたものなのです。実際、ここでこの守神様をみるまでは実在しようとは思ってもおりませんでしたし……」
話をしている間も、可愛い守神さまはよちよちてちてちとボクの腕を上り続け、ついには肩までやってきた!
お、落ちたりしないでくださいね?大丈夫ですか?
なるべく肩を動かさないようにして顔だけでちらっと守神様を見ると、なにやらその小さな首を一生懸命伸ばしているところだった。
「?何がしたいのですか?」
と。
ガジ!
「!!!痛いっ!!」
か、噛んだ!このこ、ボクのお耳を噛みましたっ!!!
ビックリして耳を押さえたまま固まったボクの肩から、お兄さまが急いで守神さまをつまみあげた。
「大丈夫か、クリス?!」
その右手には、尻尾を掴まれた守神さまがプラプラと揺れている。
「だ、大丈夫です。びっくりしただけで、そんなに痛くはありませんでしたし。
お兄さまの言う通りでした、水トカゲさんって噛むのですね……。びっくりしました……」
「う、うむ。そこまで痛くないのならば良かった。みせてごらん?」
お兄さまがボクのお耳をチェックすると、小さな小さな歯型のようなものがついていた。
「……少し傷がついてしまったな。だが深くはない。じきに治るだろう」
ほっとしたように息を吐き、プラプラとぶら下げた守神さまを顔の位置に持ち上げ言い聞かせる。
「守神よ。この地を守ってくださっているのには感謝する。だがしかし、我が弟を傷つけたことは許しがたい。
どのような理由があろうとも、クリスを傷つけてはならぬ。理解したか?」
すると守神さま、何故だか必死な様子でジタバタしはじめた。
「ん?む?こ、これ!危ないだろう!大人しくせぬか!」
ジタバタジタバタとまるで振り子のように動き回り、ついに……
ガジ!!
お、お兄さまのお耳まで齧った!
「うわあ!」
「お兄さまっ?!」
ボクはとっさに守神さまをわしっと掴み動けないようにした。
そしてその小さなお顔をボクの顔の前に持ってきて
「こらっ!!人を噛んではいけません!噛んだら痛いでしょっ!どれだけ痛いかわからないから噛むのです!」
ガジっ!
小さなそのホッペに噛みついたのだった。
「クリス?!」
「「クリス様?!」」
「何をするのだーーーっ!」
…………ん?今ひとつ多くなかった?
お兄さま、マーシャとレインはわかる。
最後のロートーンボイスは……誰?
ブラッドさんか誰かかと思って振り返れば、あちらはのんきにシートの上でくつろいでいらっしゃる。
ルナとセルシオは喧々囂々となにか言い争っている。程々にしましょうね、二人とも。
え?
えええ?
きょろきょろするボク。
マーシャは「く、クリス様っ!ペッてしてください!ペッて!!」と手の平を差し出し、レインに「水か何かを持ってきてくださいっ!」と叫んでいる。
うん。大パニックだね。
ところが、一番大騒ぎしそうなお兄さま。
警戒態勢で短剣に手をかけきょろきょろ。
「お、お兄さまにも聞こえましたか?!」
「ああ。聞こえた。
誰だ?!姿を見せよ!」
庇うようにボクを背に隠し、お兄さまが叫ぶ。
すると………
「落ち付くのだ。いや、失礼した。いきなり噛まれたもので少々驚いたのだ」
………は?
ボクとお兄さまの視線がボクの手の中に。
そこには相変らずきゅるんとしたお目目の守神さまが、ホッペにボクの歯型をつけたまま困ったように首をかしげていた。
「い、いま……ここから聞こえませんでしたか?」
「うむ。確かにここから聞こえた気がする」
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