もう我慢なんてしません!家族からうとまれていた俺は、家を出て冒険者になります!

をち。「もう我慢なんて」書籍発売中

文字の大きさ
189 / 514
いざ帝国!

船長、死す

しおりを挟む
俺の部屋の探検とお兄様の部屋の探検をしていたら、一時間はあっという間だった。
フィガロ船長が「そろそろ船内ツアーに行くか?」とお迎えに来てくれた。

ゲイルはお留守番してるっていうんで、お兄様、ミカミカ、途中でリオとキースを呼んで一緒にいくことに。

まずは俺の部屋のフロアから。

「ちなみに、このフロアの奥にあるのが遊技場です。ダンスホールになっているんですが、ここでダンスをしたり、ボール遊びをしたりといろいろできますよ」
「おおお!ここで訓練と化してもらったりできまするか?」
「ははは!いいですよ。声をかけて頂ければ、手が空いたものをやりましょう」
「やったあ!」

ぴょんぴょんと飛び上がって喜んでいたら、お兄様がひとこと。

「サフィ。訓練の時は私も誘ってくれるかな?鍛えたいんだ」

するとキースも手を挙げた。

「お!俺も誘ってくれ。一緒にコンビネーションの訓練をしよう。海上だし、海に向けてなら魔法も使えるぜ?」
「いいね!S級パーティ目指そう!」

キースと盛り上がっていたら、フィガロ船長が驚いたように俺を止めた。

「おいおい!いくらなんでも、S級と?無理がありすぎるだろう!最初はウチの見習いと、順を追って訓練しな。焦らず一歩一歩だ。基礎が重要なんだぞ?」

俺はきょとん。

「んーと、基礎はありまするよ?」

キースが苦笑して説明してくれた。

「サフィは特別でな。五歳からオルガ団長とギルド長じきじきに鍛えてきたんだ。勿論、時間がある時は俺もな。筋力はないが、センスはあるぞ?」
「10歳になったから冒険者登録もしたよ?特例でC級なの」

フィガロ船長のお口があんぐり空いた。この顔、みんながよくするやつ!

「ちなみに、サフィには二つ名もあるぞ?」
「はあ?二つ名⁈マジか!」
「いっちゃだめーっ!恥ずかしいやつう!」

慌ててキースを止めたのに、代わりにお兄様が笑って言った。

「サンダーエンジェル、だよね?サフィにピッタリだ。サフィは、恐らくこの場の誰よりも強いですよ?」
「まあな。実践経験は足りないが、それさえ身につけばS級レベルだ」

えっへん、と胸を張る。俺、ツエエですのでね!まあエンジェルってとこだけはなんとかして欲しいけど!サンダーヒーローとかに変えてほしい。
俺もキースみたくドラゴン倒したら二つ名も変わるのかなあ?サンダードラゴンとかに。

そしたら、まさかの俺の二つ名、フィガロ船長が知ってた。

「サンダーエンジェルか!嘘だろおい!チビだって噂は聞いてたが、こういうチビかよ!身長かと思ってたぜ!」

頭を抱えてしゃがみ込んじゃった。

大丈夫かな、と近寄ろうとしたら、ミカミカにポンと肩を叩かれた。

「サフィ。ちょっと時間をあげようぜ?俺たちはサフィの規格外に慣れてるけど、フィガロ船長は初めてなんだぞ?今、船長は自分の中の常識と戦ってるんだ」
「そうだね。自分のこれまでの常識を構築し直しているんだよ。帝国にはゲイルやサフィみたいな人はいないからね。大変なことだと思うよ?」

お兄様も首をふりふり。

一方、キースはスタスタと船長のところに。
船長の背を叩き慰めている。

「サフィみたいなのは例外だ。王国にも、ゲイルとサフィくらいだから、安心しろ。船長の常識が普通だから」

それを聞いた船長は、死んだような目をして言った。

「ゲイルというと、先程の伯爵か?貴族で医者なんだろ⁈なのに強いのか⁈」
「……サフィの次くらいかな?あの人も魔法が凄い上に若い頃からギルド長に鍛えられてるからなあ!あ。戦略に長けてるし。王国で一番ヤバいよゲイルが。で、サフィ。その次が俺ね」
「S級が三番目!しかも伯爵親子の次⁈」

あ。死んだ。

「あ、あのね。強いけど、筋肉欲しいですし!筋肉は正義でしょ!だから、帝国式マッスル、教えて欲しいのですがー!!」




しばらくして立ち直った船長は、恐る恐る俺に言った。

「坊ちゃんがサンダーエンジェル?あの、最強揃いの王都ギルド全員を従えているという噂は本当か?」
「はあ?何それ!知らないんですけど?」

とたん、船長は元気になった。

「ワッハッハ!やはり噂は噂か!」
「でも、サフィが俺より強いってのは本当だぜ?」
「やっぱマジじゃねえかよ!!」

元気になったり萎れたり忙しいなあ!

「もう!なんでもいいでしょお!俺は俺!何番とかじゃなくて、ゲイルの息子で、俺ツエエなサフィ!それでいいの!悪い人しかやっつけませんし!ギルドのみんなは仲間!従えるとかじゃないの。助け合いなのです。船長と船員さんだってそうでしょ?」

ビシッと物申せば「確かに!」とようやく納得。

「俺はナージャのお友達として遊びに行く、もとい、学校みせてもらうだけだから、冒険者の俺は関係ありませぬ。そこんとこ、よろしく!」

俺が言ったら、みんなまでノッてきた。

「俺もS級冒険者としてじゃなく、護衛として雇われてるキースだから。よろしく」
「私は…王国の皇太子、ナージャ殿下の友人としてだから変わらないけどね。ふふふ」
「俺も俺も!王子の侍従として。そのまんまだな。ははは!」

船長さんは眉をグイッと上げて、ニヤッと男らしく笑った。

「俺は帝国海軍軍団長、兼 護衛しながらの船旅を任された船長だ。よろしくな!」

「ええ⁈海軍軍団長とか秘密だったんじゃないの?バラしちゃって大丈夫?」

思わず叫んだら、苦笑された。

「いや、このメンツだぞ?戦うつもりもねえし意味もねえ。隠す必要ないだろ」

「確かに!戦ったらウチの圧勝だもんね」
「「「サフィ!言い方!!」」」



しおりを挟む
感想 827

あなたにおすすめの小説

五年後、元夫の後悔が遅すぎる。~娘が「パパ」と呼びそうで困ってます~

放浪人
恋愛
「君との婚姻は無効だ。実家へ帰るがいい」 大聖堂の冷たい石畳の上で、辺境伯ロルフから突然「婚姻は最初から無かった」と宣告された子爵家次女のエリシア。実家にも見放され、身重の体で王都の旧市街へ追放された彼女は、絶望のどん底で愛娘クララを出産する。 生き抜くために針と糸を握ったエリシアは、持ち前の技術で不思議な力を持つ「祝布(しゅくふ)」を織り上げる職人として立ち上がる。施しではなく「仕事」として正当な対価を払い、決して土足で踏み込んでこない救恤院の監督官リュシアンの温かい優しさに触れエリシアは少しずつ人間らしい心と笑顔を取り戻していった。 しかし五年後。辺境を襲った疫病を救うための緊急要請を通じ、エリシアは冷酷だった元夫ロルフと再会してしまう。しかも隣にいる娘の青い瞳は彼と瓜二つだった。 「すまない。私は父としての責任を果たす」 かつての合理主義の塊だった元夫は、自らの過ちを深く悔い、家の権益を捨ててでも母子を守る「強固な盾」になろうとする。娘のクララもまた、危機から救ってくれた彼を「パパ」と呼び始めてしまい……。 だが、どんなに後悔されても、どんなに身を挺して守られても、一度完全に壊された関係が元に戻ることは絶対にない。エリシアが真の伴侶として選ぶのは、凍えた心を溶かし、温かい日常を共に歩んでくれたリュシアンただ一人だった。 これは、全てを奪われた一人の女性が母として力強く成長し誰にも脅かされることのない「本物の家族」と「静かで確かな幸福」を自分の手で選び取るまでの物語。

初夜に暴言を吐いた夫は後悔し続ける──10年後の償い【完結保証】

星森 永羽
恋愛
王命により、辺境伯ロキアのもとへ嫁いだのは、金髪翠眼の美しき公爵令嬢スフィア。 だが、初夜に彼が告げたのは、愛も権限も与えないという冷酷な宣言だった。噂に踊らされ、彼女を「穢れた花嫁」と罵ったロキア。 しかし、わずか一日でスフィアは姿を消し、教会から届いたのは婚姻無効と慰謝料請求の書状──。 王と公爵の怒りを買ったロキアは、爵位も領地も名誉も奪われ、ただの補佐官として生きることに。 そして十年後、運命のいたずらか、彼は被災地で再びスフィアと出会う。 地位も捨て、娘を抱えて生きる彼女の姿に、ロキアの胸に去来するのは、悔恨と赦しを乞う想い──。 ⚠️本作はAIの生成した文章を一部に使用しています。

「君は完璧だから、放っておいても大丈夫」と笑った夫。~王宮から私が去ったあと「愛していた」と泣きついても、もう手遅れです~

水上
恋愛
「君は完璧だから、放っておいても大丈夫だ」 夫である王太子はそう笑い、泣き真似が得意な見習い令嬢ばかりを優先した。 王太子妃セシリアは、怒り狂うこともなく、静かに心を閉ざす。 「左様でございますか」 彼女は夫への期待というノイズを遮断し、離縁の準備を始めた。

あなたへの愛を捨てた日

柴田はつみ
恋愛
公爵夫人エステルは、冷徹な夫レオニスを心から愛していた。彼の好みを調べ、帰宅を待ちわび、献身的に尽くす毎日。 しかし、ある夜会の回廊で、エステルは残酷な真実を知る。 レオニスが、未亡人クラリスの手を取り囁いていたのだ。 「君のような(自立した)女性が、私の隣にいるべきだった」 エステルは悟る。自分の愛は彼にとって「重荷」であり、自分という人間は彼にとって「不足」だったのだと。その瞬間、彼女の中で何かが音を立てて砕け散る。

冷遇夫がお探しの私は、隣にいます

終日ひもの干す紐
恋愛
愛人がいるなら、さっさと言ってくれればいいのに! 妻に駆け落ちされた、傷心の辺境伯ロシェのもとへ嫁いでほしい。 シャノンが王命を受け、嫁いでから一年……とんでもない場面に立ち会ってしまう。 「サフィール……またそんなふうに僕を見つめて、かわいいね」 シャノンには冷たいの夫の、甘ったるい囁き。 扉の向こうの、不貞行為。 これまでの我慢も苦労も全て無駄になり、沸々と湧き上がる怒りを、ロシェの愛猫『アンブル』に愚痴った。 まさかそれが、こんなことになるなんて! 目が覚めると『アンブル』になっていたシャノン。 猫の姿に向けられる夫からの愛情。 夫ロシェの“本当の姿”を垣間見たシャノンは……? * * * 他のサイトにも投稿しています。

私と子供より、夫は幼馴染とその子供のほうが大切でした。

小野 まい
恋愛
結婚記念日のディナーに夫のオスカーは現れない。 「マリアが熱を出したらしい」 駆けつけた先で、オスカーがマリアと息子カイルと楽しげに食事をする姿を妻のエリザが目撃する。 「また裏切られた……」 いつも幼馴染を優先するオスカーに、エリザの不満は限界に達していた。 「あなたは家族よりも幼馴染のほうが大事なのね」 離婚する気持ちが固まっていく。

なぜ、私に関係あるのかしら?

シエル
ファンタジー
「初めまして、アシュフォード公爵家一女、セシリア・アシュフォードと申します」 彼女は、つい先日までこの国の王太子殿下の婚約者だった。 そして今日、このトレヴァント辺境伯家へと嫁いできた。 「…レオンハルト・トレヴァントだ」 非道にも自らの実妹を長年にわたり虐げ、婚約者以外の男との不適切な関係を理由に、王太子妃に不適格とされ、貴族学院の卒業式で婚約破棄を宣告された。 そして、新たな婚約者として、その妹が王太子本人から指名されたのだった。 「私は君と夫婦になるつもりはないし、辺境伯夫人として扱うこともない」 この判断によって、どうなるかなども考えずに… ※ 中世ヨーロッパ風の世界観です。 ※ ご都合主義ですので、ご了承下さい、 ※ 画像はAIにて作成しております

ねえ、今どんな気持ち?

かぜかおる
ファンタジー
アンナという1人の少女によって、私は第三王子の婚約者という地位も聖女の称号も奪われた 彼女はこの世界がゲームの世界と知っていて、裏ルートの攻略のために第三王子とその側近達を落としたみたい。 でも、あなたは真実を知らないみたいね ふんわり設定、口調迷子は許してください・・・

処理中です...
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。

このユーザをミュートしますか?

※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。