【完結】俺が聖女⁈いや、ねえわ!全力回避!(ゲイルの話)  ※番外編不定期更新

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第五章 ゲイルは聖女

陛下公認

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俺はハルトのところに近寄ると、その身体をそっと抱きしめた。
フィオがビクッと反応するが、目で制す。

「ハルト。ありがとう。俺の親友」

ハルトの手も俺の背に回った。俺の肩に顎を乗せ、拗ねたように言葉を紡ぐ。

「なあ、わざわざ公表しなくていいじゃないか。反対はしないから。どうして困難な道を選ぶんだ?俺の力にも限界がある。俺は……お前に傷ついて欲しくない」

俺に甘えるハルトの態度に兄貴の顎がガクリと落ち、フィオがぎりぎりと奥歯を噛んでいる。

「ゲイル……お前、陛下も落としていたのか!」
「……仕方ありませんよ、ゲイルですから。陛下であろうと渡すつもりはありませんが」

「まあ、こいつだって一人の人間なんだからさ。いろいろあんだって!な、ハルト」
「…………宰相、兄上、この場のことは口外せぬように」

あ。俺の兄貴なのに、兄上って言いやがった!

「……致し方ありませんね」

あーあ、兄貴がほだされたぞ。これでハルトもサフィール家の世話焼き対象として名を連ねることになるな。だけど……

「陛下!兄上はゲイルと私の兄上です!陛下の兄上ではありません!」

ほらな!フィオは焼きもち焼いた!

「良いではないか!私だって、頼れるものが欲しい!」
「ならば私に頼るといい!さあ!ゲイルと兄上はダメです!宰相である私に頼ってください!それが正しくあるべき姿でしょう!」

じいっとフィオを恨めしそうに見たハルトは、残念そうに首を振った。

「いや…………グランディールとサフィールは天と地ほどに違うだろう。無理だ。私はゲイルと兄上が良いのだ」
「わがままを言わないでください!」

二人のやりとりがクソ面白え!なんだよコイツら!息ピッタリじゃねーかよ。

あ!ひらめいた!

「俺とフィオの結婚を正式に認めて、公表してくれたらさ。子が生まれたら遊ばせてやるぜ?ハルトおじちゃんって呼ばせててやる。兄貴だって貸してやる。どうだ?」
「お前はまた勝手なことを!」
「サフィは渡しませんからね!」
「誰だよサフィって!」
「私たちの子です。サフィラス。サフィール家から名を頂きました」
「もう勝手に決めてんのかよ。気が早くねえか?」
「早いにこしたことはないでしょう?」




わちゃわちゃしてる間にハルトは心を決めたようだ。

「わかった。正式に認めよう!だが……単に王家が認めるだけでは弱い。聖獣がゲイルについておること、ゲイルが最強の聖女であること、またゲイルの平穏こそが国の平穏であることも公表しようと思う。そうすれば王家、聖獣すなわち神の後ろ盾が付くことになる。少しはゲイルの安全も守られるだろう?」

兄貴が頷いた。

「それが妥当だろうな」
「そうでしょうね。聖獣の加護を持つものを害するような愚か者は居ないでしょう。もしいても私が返り討ちに致します」

「ってことだ。それで頼む」

「うむ。…………で、サフィが生まれたら必ずここに連れてくるように!ハルトおじさまと呼ばせるからな!
それと私の私室の一角とおぬしらの家の一角に結界を張りゲートを設置すること。それが条件だ」
「陛下!それは認められません!ゲイルは私のものです!」
「たまにおしのびで飲むくらい良いだろうが!大切な親友をとられたのだぞ?それくらい許せ!」
「うちに設置していいから!いいかげん喧嘩はやめなさい!」
「兄上!いいのか?」
「だから、兄上と呼んでいいのかゲイルと私だけです!理解できないのですか、陛下!」
「親友の兄なのだから固いことを言うな!サフィール侯爵、良いな?」
「…………御意…………」




俺は駄々っ子みたいになっちまったハルトに呆れながらこうアドバイスしてやった。

「お前さあ、俺んちに来るんじゃなくって、嫁さんでも貰えよ。お前も家庭を持てば、うちの子と一緒に子供を遊ばせてやれるんだがなあ……」

ハルトの目がギラリと光った。
ヤツの脳が高速で活動しているのがわかる。
近いうちに王家のめでたい話が聞けるかもしれない。

「よくやった、ゲイル」

兄貴にかつてないほど褒められた。

ちなみにルーはいつの間にかすみっこで丸くなって居眠りしていた。のんきな聖獣だ。


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