64 / 111
第六章 ゲイルの狩り
クリスの素朴な疑問
しおりを挟む
ビーフシチューは最高に美味かった。とにかく特筆すべきは肉だ。デカいのに柔らかい。
城下一番のシチューを出す店の2倍は肉が入っているのだ。
「食い過ぎた……」
「や、ヤベエ。今馬に揺られたら、吐くぞ」
「マジか!しょうがねえなあ……ヒール」
正確にいえば、「消化」なのかもしれんが。まあ、胃の中のものを強制的に細かく分解して、容積を縮めてやるんだ。
「お、おお!なんだこりゃ!腹が凹んだぞ!すげえなあ。便利なもんだ」
「治療にはあんま使わねえんだけどな。多用すると自然治癒力がサボりだすから。今のは食ったもんの容量減らしただけ」
クリスが腹を撫でながらしみじみと呟いた。
「お前、やっぱヒールにしても規格外だよな。聖女だからか?」
「いや、これは元からじゃね?実際に聖女の力に覚醒したの、フィオに会ったかららしいしな」
「は?」
「聖女の力に『害意を弾く』ってあるだろ?あれはつまり毒や薬を盛られても効果ねえ、て事なんだよ。触れたとたん弾くっての?そんな感じらしい。とするとだ。ほら、昔俺に薬盛ったやついたろ?」
「ああ。あのいけすかねえ顔がいいだけのクソ貴族か」
「ははは!そいつ。あんとき、普通に媚薬効いたんだよ、実は。即ヒールして分解したけどな。それにそいつも弾かなかった。物理でブチのめしただけだし」
「確かに!そのあとも付き纏ってやがったな」
「だろ?つまり、そんときは聖女の力は覚醒してなかったんだよ。そっからフィオに会った。んで、フィオがいねえ時、俺のケツを触ろうとした流れの冒険者が弾き飛ばされたから、今は覚醒してるんだと思う」
「ギルドでか?すまん。俺の落ち度だ」
「いや、大したことねえ。てわけで、聖女パワーはそのへんからだな。ちゃんと作動してる証拠に、魔物も寄って来なかったろ?」
「ああ。俺は襲われたけどな!」
「サンダーで倒してやったろうが!お前はいい囮だな。楽でいいわ。おかげで稼げた」
「お前金持ちの癖にセコイぞ。これでも俺、ギルド長だぞ?囮にするか普通」
「しょうがねえだろ。俺は避けられるんだから。野生の本能ってすげえよなー。まあ、お前のおかげで美味い魔物を狩れた。肉は保存してあるからさ。野営で食おうぜ!」
「ま、まさか、俺が連れてこられたのって……」
「そりゃ、俺だけだと魔物が出てこねえからだろ」
ガクリと崩れ落ちるクリス。
「親友の扱い……肉寄せか……」
「大丈夫だ!いざって時には必ず助けてやる!」
「そりゃそうだろうが、そうじゃねえんだわ!」
ごちゃごちゃ煩いクリスを急かし、次の街を目指す。
フィオが待ってるからな。
俺とクリスの旅は続く。
城下一番のシチューを出す店の2倍は肉が入っているのだ。
「食い過ぎた……」
「や、ヤベエ。今馬に揺られたら、吐くぞ」
「マジか!しょうがねえなあ……ヒール」
正確にいえば、「消化」なのかもしれんが。まあ、胃の中のものを強制的に細かく分解して、容積を縮めてやるんだ。
「お、おお!なんだこりゃ!腹が凹んだぞ!すげえなあ。便利なもんだ」
「治療にはあんま使わねえんだけどな。多用すると自然治癒力がサボりだすから。今のは食ったもんの容量減らしただけ」
クリスが腹を撫でながらしみじみと呟いた。
「お前、やっぱヒールにしても規格外だよな。聖女だからか?」
「いや、これは元からじゃね?実際に聖女の力に覚醒したの、フィオに会ったかららしいしな」
「は?」
「聖女の力に『害意を弾く』ってあるだろ?あれはつまり毒や薬を盛られても効果ねえ、て事なんだよ。触れたとたん弾くっての?そんな感じらしい。とするとだ。ほら、昔俺に薬盛ったやついたろ?」
「ああ。あのいけすかねえ顔がいいだけのクソ貴族か」
「ははは!そいつ。あんとき、普通に媚薬効いたんだよ、実は。即ヒールして分解したけどな。それにそいつも弾かなかった。物理でブチのめしただけだし」
「確かに!そのあとも付き纏ってやがったな」
「だろ?つまり、そんときは聖女の力は覚醒してなかったんだよ。そっからフィオに会った。んで、フィオがいねえ時、俺のケツを触ろうとした流れの冒険者が弾き飛ばされたから、今は覚醒してるんだと思う」
「ギルドでか?すまん。俺の落ち度だ」
「いや、大したことねえ。てわけで、聖女パワーはそのへんからだな。ちゃんと作動してる証拠に、魔物も寄って来なかったろ?」
「ああ。俺は襲われたけどな!」
「サンダーで倒してやったろうが!お前はいい囮だな。楽でいいわ。おかげで稼げた」
「お前金持ちの癖にセコイぞ。これでも俺、ギルド長だぞ?囮にするか普通」
「しょうがねえだろ。俺は避けられるんだから。野生の本能ってすげえよなー。まあ、お前のおかげで美味い魔物を狩れた。肉は保存してあるからさ。野営で食おうぜ!」
「ま、まさか、俺が連れてこられたのって……」
「そりゃ、俺だけだと魔物が出てこねえからだろ」
ガクリと崩れ落ちるクリス。
「親友の扱い……肉寄せか……」
「大丈夫だ!いざって時には必ず助けてやる!」
「そりゃそうだろうが、そうじゃねえんだわ!」
ごちゃごちゃ煩いクリスを急かし、次の街を目指す。
フィオが待ってるからな。
俺とクリスの旅は続く。
463
あなたにおすすめの小説
記憶を無くしたら家族に愛されました
レン
BL
リオンは第三王子で横暴で傲慢で侍女や執事が少しでも気に入らなかったら物を投げたり怒鳴ったりする。家族の前でも態度はあまり変わらない…
家族からも煩わしく思われたていて嫌われていた… そんなある日階段から落ちて意識をなくした…数日後目を覚ましたらリオンの様子がいつもと違くて…
マリオネットが、糸を断つ時。
せんぷう
BL
異世界に転生したが、かなり不遇な第二の人生待ったなし。
オレの前世は地球は日本国、先進国の裕福な場所に産まれたおかげで何不自由なく育った。確かその終わりは何かの事故だった気がするが、よく覚えていない。若くして死んだはずが……気付けばそこはビックリ、異世界だった。
第二生は前世とは正反対。魔法というとんでもない歴史によって構築され、貧富の差がアホみたいに激しい世界。オレを産んだせいで母は体調を崩して亡くなったらしくその後は孤児院にいたが、あまりに酷い暮らしに嫌気がさして逃亡。スラムで前世では絶対やらなかったような悪さもしながら、なんとか生きていた。
そんな暮らしの終わりは、とある富裕層らしき連中の騒ぎに関わってしまったこと。不敬罪でとっ捕まらないために背を向けて逃げ出したオレに、彼はこう叫んだ。
『待て、そこの下民っ!! そうだ、そこの少し小綺麗な黒い容姿の、お前だお前!』
金髪縦ロールにド派手な紫色の服。装飾品をジャラジャラと身に付け、靴なんて全然汚れてないし擦り減ってもいない。まさにお貴族様……そう、貴族やら王族がこの世界にも存在した。
『貴様のような虫ケラ、本来なら僕に背を向けるなどと斬首ものだ。しかし、僕は寛大だ!!
許す。喜べ、貴様を今日から王族である僕の傍に置いてやろう!』
そいつはバカだった。しかし、なんと王族でもあった。
王族という権力を振り翳し、盾にするヤバい奴。嫌味ったらしい口調に人をすぐにバカにする。気に入らない奴は全員斬首。
『ぼ、僕に向かってなんたる失礼な態度っ……!! 今すぐ首をっ』
『殿下ったら大変です、向こうで殿下のお好きな竜種が飛んでいた気がします。すぐに外に出て見に行きませんとー』
『なにっ!? 本当か、タタラ! こうしては居られぬ、すぐに連れて行け!』
しかし、オレは彼に拾われた。
どんなに嫌な奴でも、どんなに周りに嫌われていっても、彼はどうしようもない恩人だった。だからせめて多少の恩を返してから逃げ出そうと思っていたのに、事態はどんどん最悪な展開を迎えて行く。
気に入らなければ即断罪。意中の騎士に全く好かれずよく暴走するバカ王子。果ては王都にまで及ぶ危険。命の危機など日常的に!
しかし、一緒にいればいるほど惹かれてしまう気持ちは……ただの忠誠心なのか?
スラム出身、第十一王子の守護魔導師。
これは運命によってもたらされた出会い。唯一の魔法を駆使しながら、タタラは今日も今日とてワガママ王子の手綱を引きながら平凡な生活に焦がれている。
※BL作品
恋愛要素は前半皆無。戦闘描写等多数。健全すぎる、健全すぎて怪しいけどこれはBLです。
.
【完結】だから俺は主人公じゃない!
美兎
BL
ある日通り魔に殺された岬りおが、次に目を覚ましたら別の世界の人間になっていた。
しかもそれは腐男子な自分が好きなキャラクターがいるゲームの世界!?
でも自分は名前も聞いた事もないモブキャラ。
そんなモブな自分に話しかけてきてくれた相手とは……。
主人公がいるはずなのに、攻略対象がことごとく自分に言い寄ってきて大混乱!
だから、…俺は主人公じゃないんだってば!
白い結婚の末、離婚を選んだ公爵夫人は二度と戻らない』
鍛高譚
恋愛
白い結婚の末、「白い結婚」の末、私は冷遇され、夫は愛人を溺愛していた――ならば、もう要らないわ」
公爵令嬢 ジェニファー・ランカスター は、王弟 エドワード・クラレンス公爵 のもとへ政略結婚として嫁ぐ。
だが、その結婚生活は冷たく空虚なものだった。夫は愛人 ローザ・フィッツジェラルド に夢中になり、公爵夫人であるジェニファーは侮辱され、無視され続ける日々。
――それでも、貴族の娘は耐えなければならないの?
何の愛もなく、ただ飾り物として扱われる結婚に見切りをつけたジェニファーは 「離婚」 を決意する。
しかし、王弟であるエドワードとの離婚は容易ではない。実家のランカスター家は猛反対し、王宮の重臣たちも彼女の決断を 「公爵家の恥」 と揶揄する。
それでも、ジェニファーは負けない。弁護士と協力し、着々と準備を進めていく。
そんな折、彼女は北方の大国 ヴォルフ公国の大公、アレクサンダー・ヴォルフ と出会う。
温かく誠実な彼との交流を通じて、ジェニファーは 「本当に大切にされること」 を知る。
そして、彼女の決断は、王都の社交界に大きな波紋を呼ぶこととなる――。
「公爵夫人を手放したことを、いつか後悔しても遅いわ」
「私はもう、あなたたちの飾り人形じゃない」
離婚を巡る策略、愛人の凋落、元夫の後悔――。
そして、新たな地で手にした 「愛される結婚」。
公爵家の五男坊はあきらめない
三矢由巳
BL
ローテンエルデ王国のレームブルック公爵の妾腹の五男グスタフは公爵領で領民と交流し、気ままに日々を過ごしていた。
生母と生き別れ、父に放任されて育った彼は誰にも期待なんかしない、将来のことはあきらめていると乳兄弟のエルンストに語っていた。
冬至の祭の夜に暴漢に襲われ二人の運命は急変する。
負傷し意識のないエルンストの枕元でグスタフは叫ぶ。
「俺はおまえなしでは生きていけないんだ」
都では次の王位をめぐる政争が繰り広げられていた。
知らぬ間に巻き込まれていたことを知るグスタフ。
生き延びるため、グスタフはエルンストとともに都へ向かう。
あきらめたら待つのは死のみ。
分厚いメガネ令息の非日常
餅粉
BL
「こいつは俺の女だ。手を出したらどうなるかわかるよな」
「シノ様……素敵!」
おかしい。おかしすぎる!恥ずかしくないのか?高位貴族が平民の女学生に俺の女ってしかもお前は婚約者いるだろうが!!
その女学生の周りにはお慕いしているであろう貴族数名が立っていた。
「ジュリーが一番素敵だよ」
「そうだよ!ジュリーが一番可愛いし美人だし素敵だよ!!」
「……うん。ジュリーの方が…素敵」
ほんと何この状況、怖い!怖いすぎるぞ!あと妙にキモい
「先輩、私もおかしいと思います」
「だよな!」
これは真面目に学生生活を送ろうとする俺の日常のお話
俺の居場所を探して
夜野
BL
小林響也は炎天下の中辿り着き、自宅のドアを開けた瞬間眩しい光に包まれお約束的に異世界にたどり着いてしまう。
そこには怪しい人達と自分と犬猿の仲の弟の姿があった。
そこで弟は聖女、自分は弟の付き人と決められ、、、
このお話しは響也と弟が対立し、こじれて決別してそれぞれお互い的に幸せを探す話しです。
シリアスで暗めなので読み手を選ぶかもしれません。
遅筆なので不定期に投稿します。
初投稿です。
【WEB版】監視が厳しすぎた嫁入り生活から解放されました~冷徹無慈悲と呼ばれた隻眼の伯爵様と呪いの首輪~【BL・オメガバース】
古森きり
BL
【書籍化決定しました!】
詳細が決まりましたら改めてお知らせにあがります!
たくさんの閲覧、お気に入り、しおり、感想ありがとうございました!
アルファポリス様の規約に従い発売日にURL登録に変更、こちらは引き下げ削除させていただきます。
政略結婚で嫁いだ先は、女狂いの伯爵家。
男のΩである僕には一切興味を示さず、しかし不貞をさせまいと常に監視される生活。
自分ではどうすることもできない生活に疲れ果てて諦めた時、夫の不正が暴かれて失脚した。
行く当てがなくなった僕を保護してくれたのは、元夫が口を開けば罵っていた政敵ヘルムート・カウフマン。
冷徹無慈悲と呼び声高い彼だが、共に食事を摂ってくれたりやりたいことを応援してくれたり、決して冷たいだけの人ではなさそうで――。
カクヨムに書き溜め。
小説家になろう、アルファポリス、BLoveにそのうち掲載します。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる