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第7章 三つ巴の攻防
新しい関係
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正気か?!とフィオを見れば、フィオの顔には分かりやすく「不本意です」と書いてあった。
「いいですか?ゲイルの同意なしの行為、また挿入は認めません。それがギリギリの妥協点です。正直、非常に腹立たしい。でも…………あなたが居なければこれまでゲイルは無事ではなかったでしょう。これでもあなたのことは脅威だと感じていたくらいには認めているのです。独立したばかりのゲイルがあなたを助けたことは僥倖でした。あなたはギルドの医師としてゲイルを保護し、ゲイルに通す患者の選別を行ってきた。ギルド長の庇護下にあると知らしめてきた。その手腕は敵ながら賞賛に値します」
俄然元気を取り戻したクリスはニヤリと不敵な笑みを見せる。
「そりゃどうも」
「最初に言っておきます。正直、非常に不本意です。それでも妥協する理由三はつ。ゲイルにとってクリスの存在が大きいのを理解していること。そして……私の方が横から攫ったと自覚していること、あなたの力がゲイルを守るのに必要だと判断したことです。妥協する代わりに、役に立ってください。今後ゲイルが聖女であると、さらに婚約者が私であると公表されれば、これまで以上にゲイルに邪な考えを持つものが出るでしょう。聖女の力は害意をはじくそうです。しかし、それが……崇拝なら?狂信的な好意であるならどうでしょう?誰かを盾にされゲイルが意図的に許可せざるを得ない場合は?私は宰相です。常にゲイルを守れるわけではありません。ゲイルは確かに強い。それでも、思いもよらぬ手で来る可能性もあります。これまでゲイルを守ってきたあなたの協力が必要なのです」
するとクリスから強力な怒気が発せられた。
「振られたら俺が何もしないとでも?」
以外にもフィオはすぐにクリスに謝罪した。
「すみません。あなたを見くびったわけではありません。あなたはこれまで通り尽力するでしょう。そして……いつか限界が来る。押さえつけた心にひずみが出る。そうなってからでは……ゲイルが傷つくことになる。私はそれを恐れているのです」
おいおい。守るとか俺が傷つくのが怖いとか、なんだよそれ。
本人抜きに勝手に進む会話に、俺は憮然として無理やり口をはさんだ。
「あのなあ!お前ら、忘れたのか?最強のゲイルだ。俺を守る?俺はお姫様じゃねえんだぞ?当事者の意見はどうなるんだよ。俺の意思は?」
腰に手を当てて胸を逸らし声を張り上げた。
「クリス、とりあえずフィオの提案はおいておけ。今度は俺からの提案、いや、宣言だ。俺はお前の庇護下にあったようだが、医師として貢献してやったんだからそれはチャラだ。
医師としての信念を曲げて、あえて言うぞ。俺はお前の命を救った。つまりお前の命は俺のもんだ。俺がお前の主だ。言ったように、俺から離れることは許さん!」
医師として治療した相手に恩をきせたことのない俺の発言に、唖然とする二人。
俺はそんなこいつらに、不遜な笑みで言い放った。
「妥協?必要ねえ!
親友を失うか夫か選べ?間違えんじゃねえ!
決めるのは俺だ!
俺の夫はフィオだ。クリスは俺の親友として傍にいろ。
異論は認めねえ。選択肢なんて与えてやるつもりはない。受け入れろ」
そして、少し迷ったが首を傾げてこう付け足した。
「んで、気が向いたら……あくまでも、気が向いたらだぞ?フィオが言った妥協案については考えてやらなくもねえ、ってことで」
それならいいだろ?同意しろよクリス。
パチパチっと瞬きしたあと、クリスは気が抜けたように掠れた声で呟いた。
「なんだよそれ……俺に選択肢はねえのかよ……」
「ねえな。命を救ってやったんだ。恩に報いろ」
「なにさまだ?!」
「ゲイルさまだな!」
「…………なんだよ……。お前、俺を手放す気なんてさらさらねえんじゃねえか」
「最初からそう言ってるだろうがよ」
「クリス、諦めてください。ゲイルのものになれるなら、形などどうだっていいでしょう?ゲイルにここまで求められたのですから受け入れる以外ありません」
クリスの手が俺に伸びる。無骨で温かな、俺の愛する手だ。愛おし気に頬に触れるその手を、俺は受け入れた。
その目は、俺が愛おしいと。愛おしくて堪らないのだと、雄弁に訴えていた。
ちらりとフィオに目で謝罪すると、フィオが苦笑した。
すまんな、フィオ。
俺はクリスの後頭部をグイっと掴み寄せる。
「!!」
俺の方からクリスにキスし、クリスが我を取り戻す前に素早く離れた。
「これでお前は俺のもんだ。これからもこきつかってやるから覚悟しとけ」
「おまえ……!!」
まるで童貞のように真っ赤になって口元を押さえるクリスに爆笑した。
「ははははは!キスくれえで赤くなんなよ!お前いくつだよ!」
「てめえ!煽るなよ!我慢してやってんだろうが!童貞じゃねえんだ、こんなんで我慢できるか!」
あっという間にクリスに捕まり、腕の中に抱え込まれた。そのまま噛みつくようなキスをされ、ガツンと歯が当たる。
「いってえ!この野郎!ガキじゃねえんだ、落ち着けよ!切れたろうが!」
「うるせえ!ヒールしとけ!邪魔が入る前にって焦ったんだよ!黙って口あけろよ!」
「はあ?!下手くそが!フィオを見習え!」
「ボルゾイの名前をここで出すか⁈」
額突き合わせてなぜか怒鳴りあう俺たちの襟首を、フィオが強引にもって引き剥がした。
「ふたりとも!私がいるのを忘れていませんか?これでも引き剥がしたいのを我慢していたのですが……。確かに許可はしましたが、せめて私のいないところでお願いします」
「「す、すまん」」
「私が婚約者、クリスはギルド長として聖女の後ろ盾となると公表します。よろしいですね?」
「だな。良いよなクリス」
「ああ。異論はねえ」
なにはともあれ、落ち着くところに落ち着いたようだ。
あとは俺がクリスからケツを死守すりゃいいだけだ。……少々不安だが、なるようになるさ!
「いいですか?ゲイルの同意なしの行為、また挿入は認めません。それがギリギリの妥協点です。正直、非常に腹立たしい。でも…………あなたが居なければこれまでゲイルは無事ではなかったでしょう。これでもあなたのことは脅威だと感じていたくらいには認めているのです。独立したばかりのゲイルがあなたを助けたことは僥倖でした。あなたはギルドの医師としてゲイルを保護し、ゲイルに通す患者の選別を行ってきた。ギルド長の庇護下にあると知らしめてきた。その手腕は敵ながら賞賛に値します」
俄然元気を取り戻したクリスはニヤリと不敵な笑みを見せる。
「そりゃどうも」
「最初に言っておきます。正直、非常に不本意です。それでも妥協する理由三はつ。ゲイルにとってクリスの存在が大きいのを理解していること。そして……私の方が横から攫ったと自覚していること、あなたの力がゲイルを守るのに必要だと判断したことです。妥協する代わりに、役に立ってください。今後ゲイルが聖女であると、さらに婚約者が私であると公表されれば、これまで以上にゲイルに邪な考えを持つものが出るでしょう。聖女の力は害意をはじくそうです。しかし、それが……崇拝なら?狂信的な好意であるならどうでしょう?誰かを盾にされゲイルが意図的に許可せざるを得ない場合は?私は宰相です。常にゲイルを守れるわけではありません。ゲイルは確かに強い。それでも、思いもよらぬ手で来る可能性もあります。これまでゲイルを守ってきたあなたの協力が必要なのです」
するとクリスから強力な怒気が発せられた。
「振られたら俺が何もしないとでも?」
以外にもフィオはすぐにクリスに謝罪した。
「すみません。あなたを見くびったわけではありません。あなたはこれまで通り尽力するでしょう。そして……いつか限界が来る。押さえつけた心にひずみが出る。そうなってからでは……ゲイルが傷つくことになる。私はそれを恐れているのです」
おいおい。守るとか俺が傷つくのが怖いとか、なんだよそれ。
本人抜きに勝手に進む会話に、俺は憮然として無理やり口をはさんだ。
「あのなあ!お前ら、忘れたのか?最強のゲイルだ。俺を守る?俺はお姫様じゃねえんだぞ?当事者の意見はどうなるんだよ。俺の意思は?」
腰に手を当てて胸を逸らし声を張り上げた。
「クリス、とりあえずフィオの提案はおいておけ。今度は俺からの提案、いや、宣言だ。俺はお前の庇護下にあったようだが、医師として貢献してやったんだからそれはチャラだ。
医師としての信念を曲げて、あえて言うぞ。俺はお前の命を救った。つまりお前の命は俺のもんだ。俺がお前の主だ。言ったように、俺から離れることは許さん!」
医師として治療した相手に恩をきせたことのない俺の発言に、唖然とする二人。
俺はそんなこいつらに、不遜な笑みで言い放った。
「妥協?必要ねえ!
親友を失うか夫か選べ?間違えんじゃねえ!
決めるのは俺だ!
俺の夫はフィオだ。クリスは俺の親友として傍にいろ。
異論は認めねえ。選択肢なんて与えてやるつもりはない。受け入れろ」
そして、少し迷ったが首を傾げてこう付け足した。
「んで、気が向いたら……あくまでも、気が向いたらだぞ?フィオが言った妥協案については考えてやらなくもねえ、ってことで」
それならいいだろ?同意しろよクリス。
パチパチっと瞬きしたあと、クリスは気が抜けたように掠れた声で呟いた。
「なんだよそれ……俺に選択肢はねえのかよ……」
「ねえな。命を救ってやったんだ。恩に報いろ」
「なにさまだ?!」
「ゲイルさまだな!」
「…………なんだよ……。お前、俺を手放す気なんてさらさらねえんじゃねえか」
「最初からそう言ってるだろうがよ」
「クリス、諦めてください。ゲイルのものになれるなら、形などどうだっていいでしょう?ゲイルにここまで求められたのですから受け入れる以外ありません」
クリスの手が俺に伸びる。無骨で温かな、俺の愛する手だ。愛おし気に頬に触れるその手を、俺は受け入れた。
その目は、俺が愛おしいと。愛おしくて堪らないのだと、雄弁に訴えていた。
ちらりとフィオに目で謝罪すると、フィオが苦笑した。
すまんな、フィオ。
俺はクリスの後頭部をグイっと掴み寄せる。
「!!」
俺の方からクリスにキスし、クリスが我を取り戻す前に素早く離れた。
「これでお前は俺のもんだ。これからもこきつかってやるから覚悟しとけ」
「おまえ……!!」
まるで童貞のように真っ赤になって口元を押さえるクリスに爆笑した。
「ははははは!キスくれえで赤くなんなよ!お前いくつだよ!」
「てめえ!煽るなよ!我慢してやってんだろうが!童貞じゃねえんだ、こんなんで我慢できるか!」
あっという間にクリスに捕まり、腕の中に抱え込まれた。そのまま噛みつくようなキスをされ、ガツンと歯が当たる。
「いってえ!この野郎!ガキじゃねえんだ、落ち着けよ!切れたろうが!」
「うるせえ!ヒールしとけ!邪魔が入る前にって焦ったんだよ!黙って口あけろよ!」
「はあ?!下手くそが!フィオを見習え!」
「ボルゾイの名前をここで出すか⁈」
額突き合わせてなぜか怒鳴りあう俺たちの襟首を、フィオが強引にもって引き剥がした。
「ふたりとも!私がいるのを忘れていませんか?これでも引き剥がしたいのを我慢していたのですが……。確かに許可はしましたが、せめて私のいないところでお願いします」
「「す、すまん」」
「私が婚約者、クリスはギルド長として聖女の後ろ盾となると公表します。よろしいですね?」
「だな。良いよなクリス」
「ああ。異論はねえ」
なにはともあれ、落ち着くところに落ち着いたようだ。
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