【完結】俺が聖女⁈いや、ねえわ!全力回避!(ゲイルの話)  ※番外編不定期更新

をち。「もう我慢なんて」書籍発売中

文字の大きさ
98 / 111
第10章 結婚式

ルーママの祝い

しおりを挟む
ゲートをくぐった先には沢山の笑顔。

耳が割れそうな程の拍手で俺たちは迎えられた。
おめでとう、の合間に「美しい!」だの「なんと素晴らしい!」だの聞こえるが、俺が美形なのは今更の話だろ?
「あれ、あの冷血公⁈嘘だろ!」の声にはニヤリと笑みを向けておいた。どうだ、俺のフィオは!可愛いだろうがよ!



「遅いぞゲイル!」

クリスが放り投げて来たのをバシッと受け取る。

「?ブーケ?」

「俺からの祝いだ」

白と黄緑のグラデーションが美しい、カラーの花束。
スッキリと纏められており、俺好みだ。

「ゴリラのくせになかなか趣味がいいじゃねえか。
ありがとよ!」

礼を言えば、クリスの横のちびっ子が吠えた。

「おい、クソ嫁!口が悪いぞ!素直に喜べよ!」

「ははは!俺たちはこれでいいんだよ!」
「確かに。素直なゲイルなんぞ鳥肌もんだ」

皆の声援や野次を受けながら正面のステージへ。

本来なら神父の前で愛を誓うのだが、ここには神の使徒である聖獣ルーがいる。
神父より聖獣の方が格上だってんで、神父が遠慮し、ルーに誓うことになった。

ルーがデカいバージョンでものものしく口を開く。

「ゲルリアスとフィオネルは、天の定めた運命の番。しかしながらこの2人は我が何をせずとも、自ら出会いを掴み取り運命をつむいだ」

俺たちを見つめ、その真を問う。

「ゲルリアス、フィオネルを夫とし共に生きることを誓うか?」

「勿論。永遠の愛を誓おう」

「フィオネル、ゲルリアスを夫とし共に生きることを誓うか?」

「はい。未来永劫の愛をゲイルに」

うむ、とルーは満足そうにうなづいた。

「では誓いの口付けを交わすが良い」 

フィオがそっと俺のベールをあげる。
目と目を見交わせ、ほう、と息を漏らした。

「とても…とても綺麗です、ゲイル。ああ、ようやくあなたを手に入れた。今すぐ連れ帰りたい」

言うや否や激しく唇を奪われた。
お、おい!こんなとこで舌を入れるな!こら!

あちこちから「やっちまえー!」だの「お熱いねえ!」だのはヒューヒューと唇を鳴らす音まで聞こえる。

フィオ、人前だぞ!いつまでやってんだ、おい!
足が立たなくなる寸前でようやくフィオが離れた。

「ふふ。うっとりした顔。かわいい…」

愛おしげに頬を撫でられ、慌ててあげられていたベールを下げる。きっと今の俺の顔は真っ赤になっているだろうから。

ベール越しにニヤニヤする冒険者どもが見えた。
お前ら後で覚えてろよ!


「これにて2人の婚姻はなされた。この婚姻は世に平和と安寧をもたらすだろう。
2人の未来に祝福を授けよう」

ルーの声が終わったとたん、空に虹がかかり、空から俺たちに向かって花びらが降り注いだ。
まるで雪のように後から後から途切れることなく、真っ白な花弁が降り注ぐ。

思わず手を伸ばせば、それは触れた先からキラキラと光ってパチンと消えた。

消えることなく降ちた花弁は、地に着いたとたん小さな白い花に変わり、あっという間にあたりは一面真っ白に。まるで雲の上にいるみたいだ。

途方もなく幻想的なく光景に、皆心を奪われ子供のように花弁を追う。

「ルーのママの祝い?」

パチパチ弾けて光る花弁を楽しみながら問えば

「そうだよー。これ、小さな祝福が付与されてるから。みんなちょっとラッキーになるんだよー!」

いつもの省エネモードに戻ったルーが呑気に笑う。
いや、さらりと凄いこと言ったな⁈

「もしかして…ルーのママって、フェンリルじゃなきて神⁈参列者全員に小さな祝福が付与されたって認識であってるのか?」

「うん。そうだよー。ここにいるのはゲイルの大事な仲間でしょ?ママがみんなに『聖女をよろしく頼む』ってさ!ゲイルにも『魔王を因果から解き放ってくれて感謝する』って!」

うーん。マジかー!
神の祝福……こりゃ知られたらヤベエな。
まあ「小さな」がついてるから、そこまで大事にはならねえだろ!
それにこのルーママの祝いのおかげで、みんなフィオの熱烈な「誓いの口付け」を忘れてくれたから二重の意味でありがたい。

驚いた衝撃で顔が赤いのも落ち着いたしな。



精霊も出てきて花びらを追いかけ飛び回っている。
みんなには見えないだろう、と思ったら兄貴とエリアナとエリアスがガン見していた。
ありゃあ見えてる。
一斉に俺を見て眉をぐわりと上げて見せるのに、肩をすくめ手を合わせて「すまん」と口パク。
あの様子では精霊はここを新しい棲家と決めたようだ。
何しろ、元々聖獣の守護のおかげか清廉な場所だったサフィール邸。今日の祝福のおかげで、文字通りの「聖場」になっちまったから、精霊にとっては最高の環境なんだろう。
この庭は文字通り「神に祝福された場所」ってわけだ。




一応結婚式だってえのに、キスの後からみんな祝福に度肝抜かれてあちこちをフラフラ彷徨っている。
おい、クリスと冒険者ども!お前ら花びらを追いかけるようなキャラじゃねえだろうが!

もうなあ!楽しんでくれて何よりだ!

「よーし!みんな聞いてくれ!」

パンパンと手を叩いて注目を集める。

「これで俺とフィオは正式な夫夫となった!俺は今日からゲルリアス・G・グランディールだ。よろしくたのむ!」

「私はゲイルのもの、ゲイルは私のものですので!よろしくお願いしますね?」

どこ見て言ってんだ、と思ったら、セルゲイだった。
誤解してきた詫びも含め、式に招待したんだ。

セルゲイは苦笑してうなずく。
あの思い詰めたような色は鳴りを顰めいい顔になった。
エリアナと話がはずんでいたようだし、もうこいつは大丈夫だろう。

ちなみに、セルゲイは名産のワインを10樽も寄越してきた。空にする勢いで既に冒険者が群がっている。




しおりを挟む
感想 107

あなたにおすすめの小説

転生したようだけど?流れに身を任せていたら悪役令息?として断罪されていた――分からないまま生きる。

星乃シキ
BL
発作の後に目覚めたら、公爵家嫡男の身体だった。 前世の記憶だけを抱えたまま生きるレイは、ある夜、男の聖女への嫌がらせの罪で断罪される。 だが図書室の記録が冤罪を覆す。 そしてレイは知る。 聖女ディーンの本当の名はアキラ。 同じ日本から来た存在だった。 帰りたい聖女と、この身体で生きるレイ。 秘密を共有した二人は、友達になる。 人との関わりを避けてきたレイの人間関係が、少しずつ動き始める。

私の息子を“愛人の子の下”にすると言った夫へ──その瞬間、正妻の役目は終わりました

放浪人
恋愛
政略結婚で伯爵家に嫁いだ侯爵令嬢リディアは、愛のない夫婦関係を「正妻の務め」と割り切り、赤字だらけの領地を立て直してきた。帳簿を整え、税の徴収を正し、交易路を広げ、収穫が不安定な年には備蓄を回す――伯爵家の体裁を保ってきたのは、いつも彼女の実務だった。 だがある日、夫オスヴァルドが屋敷に連れ帰ったのは“幼馴染”の女とその息子。 「彼女は可哀想なんだ」 「この子を跡取りにする」 そして人前で、平然と言い放つ。 ――「君の息子は、愛人の子の“下”で学べばいい」 その瞬間、リディアの中で何かが静かに終わった。怒鳴らない。泣かない。微笑みすら崩さない。 「承知しました。では――正妻の役目は終わりましたね」

大根令嬢の雑学無双、王弟殿下を添えて。~ 前世を思い出したので、許婚をほったらかして人助けしまくります!!

古森真朝
恋愛
気弱な伯爵令嬢のカレンは、自分勝手な婚約者レナートに振り回されていた。耐え続けていたある日、舞踏会で何者かに突き飛ばされ、階段から落ちてしまう。 その傷が元で儚く……なるかと思いきや。衝撃で前世を思い出したカレンは一転、かの『ド根性大根』みたいな超・ポジティブ人間になっていた。 『モラハラ婚約者の思惑なんぞ知るか!! 今度こそ好きなことやって、目いっぱい幸せに長生きするんだから!!!』 昔ひたすら読書に耽って身に着けた『雑学』を武器に、うっかり採れ過ぎた作物や、開墾しようとすると不幸に見舞われる土地、不治の病にかかった王族、等々の問題をどんどん解決。 領地の内外で心強い友人が出来たり、いつの間にかものすごく有名になっていたり、何かと協力してくれる王弟ヴィクトルから好意を寄せられたり(注:気付いてない)する中、温かい家族と共に仕事に励んでいく。 一方、前世から因縁のある人々もまた、こちらに転生していて――

【完結】辺境に飛ばされた子爵令嬢、前世の経営知識で大商会を作ったら王都がひれ伏したし、隣国のハイスペ王子とも結婚できました

いっぺいちゃん
ファンタジー
婚約破棄、そして辺境送り――。 子爵令嬢マリエールの運命は、結婚式直前に無惨にも断ち切られた。 「辺境の館で余生を送れ。もうお前は必要ない」 冷酷に告げた婚約者により、社交界から追放された彼女。 しかし、マリエールには秘密があった。 ――前世の彼女は、一流企業で辣腕を振るった経営コンサルタント。 未開拓の農産物、眠る鉱山資源、誠実で働き者の人々。 「必要ない」と切り捨てられた辺境には、未来を切り拓く力があった。 物流網を整え、作物をブランド化し、やがて「大商会」を設立! 数年で辺境は“商業帝国”と呼ばれるまでに発展していく。 さらに隣国の完璧王子から熱烈な求婚を受け、愛も手に入れるマリエール。 一方で、税収激減に苦しむ王都は彼女に救いを求めて―― 「必要ないとおっしゃったのは、そちらでしょう?」 これは、追放令嬢が“経営知識”で国を動かし、 ざまぁと恋と繁栄を手に入れる逆転サクセスストーリー! ※表紙のイラストは画像生成AIによって作られたものです。

【WEB版】監視が厳しすぎた嫁入り生活から解放されました~冷徹無慈悲と呼ばれた隻眼の伯爵様と呪いの首輪~【BL・オメガバース】

古森きり
BL
【書籍化決定しました!】 詳細が決まりましたら改めてお知らせにあがります! たくさんの閲覧、お気に入り、しおり、感想ありがとうございました! アルファポリス様の規約に従い発売日にURL登録に変更、こちらは引き下げ削除させていただきます。 政略結婚で嫁いだ先は、女狂いの伯爵家。 男のΩである僕には一切興味を示さず、しかし不貞をさせまいと常に監視される生活。 自分ではどうすることもできない生活に疲れ果てて諦めた時、夫の不正が暴かれて失脚した。 行く当てがなくなった僕を保護してくれたのは、元夫が口を開けば罵っていた政敵ヘルムート・カウフマン。 冷徹無慈悲と呼び声高い彼だが、共に食事を摂ってくれたりやりたいことを応援してくれたり、決して冷たいだけの人ではなさそうで――。 カクヨムに書き溜め。 小説家になろう、アルファポリス、BLoveにそのうち掲載します。

過労死転生した公務員、魔力がないだけで辺境に追放されたので、忠犬騎士と知識チートでざまぁしながら領地経営はじめます

水凪しおん
BL
過労死した元公務員の俺が転生したのは、魔法と剣が存在する異世界の、どうしようもない貧乏貴族の三男だった。 家族からは能無しと蔑まれ、与えられたのは「ゴミ捨て場」と揶揄される荒れ果てた辺境の領地。これは、事実上の追放だ。 絶望的な状況の中、俺に付き従ったのは、無口で無骨だが、その瞳に確かな忠誠を宿す一人の護衛騎士だけだった。 「大丈夫だ。俺がいる」 彼の言葉を胸に、俺は決意する。公務員として培った知識と経験、そして持ち前のしぶとさで、この最悪な領地を最高の楽園に変えてみせると。 これは、不遇な貴族と忠実な騎士が織りなす、絶望の淵から始まる領地改革ファンタジー。そして、固い絆で結ばれた二人が、やがて王国を揺るがす運命に立ち向かう物語。 無能と罵った家族に、見て見ぬふりをした者たちに、最高の「ざまぁ」をお見舞いしてやろうじゃないか!

【大賞・完結】地味スキル《お片付け》は最強です!社畜OL、異世界でうっかり国を改革しちゃったら、騎士団長と皇帝陛下に溺愛されてるんですが!?

旅する書斎(☆ほしい)
ファンタジー
【第18回ファンタジー小説大賞で大賞をいただきました】→【規約変更で書籍化&コミカライズ「確約」は取り消しになりました。】 佐藤美佳子(サトウ・ミカコ)、享年28歳。死因は、過労。連日の徹夜と休日出勤の果てに、ブラック企業のオフィスで静かに息を引き取った彼女が次に目覚めたのは、剣と魔法のファンタジー世界だった。 新たな生を受けたのは、田舎のしがない貧乏貴族の娘、ミカ・アシュフィールド、16歳。神様がくれた転生特典は、なんと《完璧なる整理整頓》という、とんでもなく地味なスキルだった。 「せめて回復魔法とかが良かった……」 戦闘にも生産にも役立たないスキルに落胆し、今度こそは静かに、穏やかに生きたいと願うミカ。しかし、そんな彼女のささやかな望みは、王家からの突然の徴収命令によって打ち砕かれる。 「特殊技能持ちは、王宮へ出仕せよ」 家族を守るため、どうせ役立たずと追い返されるだろうと高をくくって王都へ向かったミカに与えられた任務は、あまりにも無謀なものだった。 「この『開かずの倉庫』を、整理せよ」 そこは、数百年分の備品や資材が山と積まれ、あまりの混沌ぶりに探検隊が遭難したとまで噂される、王家最大の禁足地。 絶望的な光景を前に、ミカが覚悟を決めてスキルを発動した瞬間――世界は、彼女の「お片付け」が持つ真の力に震撼することになる。 これは、地味スキルでうっかり国のすべてを最適化してしまった元社畜令嬢が、カタブツな騎士団長や有能すぎる皇帝陛下にその価値を見出され、なぜか過保護に甘やかされてしまう、お仕事改革ファンタジー。

伝説のS級おじさん、俺の「匂い」がないと発狂して国を滅ぼすらしいい

マンスーン
BL
ギルドの事務職員・三上薫は、ある日、ギルドロビーで発作を起こしかけていた英雄ガルド・ベルンシュタインから抱きしめられ、首筋を猛烈に吸引。「見つけた……俺の酸素……!」と叫び、離れなくなってしまう。 最強おじさん(変態)×ギルドの事務職員(平凡) 世界観が現代日本、異世界ごちゃ混ぜ設定になっております。

処理中です...