異世界で猫獣人と恋をする

透明透子

文字の大きさ
2 / 4

第二話 猫獣人リオンとの出会い①

しおりを挟む
拓也が全力で猫と戯れていると、にゃにゃ鳴いて他の猫もぞろぞろ現れて猫ハーレム状態になる。
「猫ちゃんいっぱい。皆んな一緒に遊ぼうね。どれがいいかな。こっちかな」
猫に話しかけておもちゃを見せていると
「……人間、ここで何をしている?」
森から突然声がして振り返ると
猫の耳とモフモフ毛並みを持った猫獣人。漆黒の毛並みに所々に銀色の毛が風になびき、
細身だが筋肉が引き締まった体つき。
緑の目が冷静に、鋭く拓也を見つめていた。
その瞳には明らかに警戒心が浮かんでいたが
「うわ~、大きい黒猫ちゃんだ。モフモフだ」
拓也は場違いなテンションで叫んでいた。
猫というには大きい。クロヒョウみたいだ。
「うわーすごい。猫が立ってる。しゃべってる。モフモフふわふわ可愛い」
拓也は触ろうとして、手を伸ばすが
「オレは、猫じゃない。猫獣人だ」
彼は低く静かな声で、ピンと張り詰めた空気を生み出した。
言葉とともに、鋭い眼差しが拓也を射抜き
緑色の瞳は、どこか冷たさを帯びていた。
拓也は無意識に手を引っ込め、少し後ずさりした。
「え、そ、そうなの……でも、猫獣人も猫だよね。……耳とか、すごくかわいいから、つい……」
「……かわいい?」
彼の声が変わる。その声のトーンに気づいた拓也は、内心焦りながらも、
どうにか場を和らげようと笑みを浮かべる。
「いや、あの、その……猫好きにはたまらないっていうか。君の耳とか毛並みとか、すごく綺麗で、触りたくなっちゃうんだよね……」
彼はその言葉を聞くと、さらに一歩前に踏み出した。近づいたことで、拓也は彼の息遣いを感じるほどだった。
そして、その鋭い目でじっと拓也を見つめたまま、冷ややかに問いかける。
「……お前、正気か?」
「え……?」
「俺は冒険者であり、戦士だ。強者と戦うことを生業にしているんだ。……お前のような、ふざけた奴に『かわいい』などと言われる覚えはない」
声には明らかな怒りを感じる。その表情と目つきからは緊張感が伝わってきた。
彼は、自分が単なる「猫」扱いされることを極端に嫌っているのだろう。
それに気づいた拓也は、さらに焦りを覚えた。
「ご、ごめんなさい! 怒らすつもりじゃなくてさ、…猫が好きすぎて……
なんていうか……君も俺にとってかわいい猫だし……」
「俺は、猫獣人だと言ったはずだ。……猫とは別の生き物だ」
彼は冷静にそう言い切ったが、拓也は彼の言葉の端々に、微妙な違和感を感じ取った。
確かに彼は強く否定しているものの、どこか、自分の「猫的」な部分を意識しているような雰囲気もある。
もしかしたら、彼自身もそのことを気にしているのかもしれない――そんな風に感じた。
「そうだよな、わかってる。君は猫獣人で、猫とは違う……でも、俺にとっては、どっちも大好きなんだ
君のことをもっと知りたい。好きだよ。愛している」
拓也は、どうしても、この猫耳や毛並みに手を伸ばしたい衝動を抑えることができない。
それに、こんなに綺麗で堂々とした姿なのに、やっぱり猫耳と毛並みを見てしまうと、
自然と愛おしさが溢れてしまうのだ。
「ふざけるな」
リオンは短く言い放ち、拓也に近づいた。彼の背筋がピンと伸び、威圧感が漂っている。
拓也は身動きが取れないほどの緊張を感じ、彼の瞳には明確な拒絶の色が浮かんでいた。
「お前みたいな軽薄な奴に、俺の耳や毛並みに触れさせるつもりはない」

しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

過保護な父の歪んだ愛着。旅立ちを控えた俺の身体は、夜ごとに父の形で塗り潰される

中山(ほ)
BL
「パックの中、僕の形になっちゃったね」 夢か現か。耳元で囁かれる甘い声と、内側を執拗に掻き回す熱。翌朝、自室で目覚めたパックに、昨夜の記憶はない。ただ、疼くような下腹部の熱だけが残っていた。 相談しようと向かった相手こそが、自分を侵食している張本人だとも知らずに、パックは父の部屋の扉を開く。 このお話はムーンライトでも投稿してます〜

落としたのは化粧じゃなく、みんなの心でした

444
BL
『醜い顔…汚らしい』 幼い頃、実母が病気によって早くに亡くなった数年後に新しい義母からそう言われたシリルは、その言葉が耳に残って16歳となった今も引きずっていた。 だが、義母のその言葉は真っ赤な嘘でシリルはとても美しかった。ただ前妻の息子であるシリルに嫉妬した結果こぼした八つ当たりの言葉であったのをシリルは知らずに、義母のいう醜い顔を隠すために化粧をする。 その結果、彼は化粧によって本当に醜い顔になってしまった。そんな彼が虐げられながらも徐々に周囲を絆す話 暴力表現があるところには※をつけております

寂しいを分け与えた

こじらせた処女
BL
 いつものように家に帰ったら、母さんが居なかった。最初は何か厄介ごとに巻き込まれたのかと思ったが、部屋が荒れた形跡もないからそうではないらしい。米も、味噌も、指輪も着物も全部が綺麗になくなっていて、代わりに手紙が置いてあった。  昔の恋人が帰ってきた、だからその人の故郷に行く、と。いくらガキの俺でも分かる。俺は捨てられたってことだ。

身代わり召喚された俺は四人の支配者に溺愛される〜囲い込まれて逃げられません〜

たら昆布
BL
間違って異世界召喚された青年が4人の男に愛される話

追放されたおまけの聖女♂は冷徹王太子の腕の中から離してもらえない〜今さら戻れと言われても、もうこの人の魔力しか受け付けません!〜

たら昆布
BL
聖女のおまけで召喚されたと思われて追放された不憫受けが拾われて愛される話

冤罪で堕とされた最強騎士、狂信的な男たちに包囲される

マンスーン
BL
​王国最強の聖騎士団長から一転、冤罪で生存率0%の懲罰部隊へと叩き落とされたレオン。 泥にまみれてもなお気高く、圧倒的な強さを振るう彼に、狂った執着を抱く男たちが集結する。

龍は精霊の愛し子を愛でる

林 業
BL
竜人族の騎士団団長サンムーンは人の子を嫁にしている。 その子は精霊に愛されているが、人族からは嫌われた子供だった。 王族の養子として、騎士団長の嫁として今日も楽しく自由に生きていく。

【完結】僕の異世界転生先は卵で生まれて捨てられた竜でした

エウラ
BL
どうしてこうなったのか。 僕は今、卵の中。ここに生まれる前の記憶がある。 なんとなく異世界転生したんだと思うけど、捨てられたっぽい? 孵る前に死んじゃうよ!と思ったら誰かに助けられたみたい。 僕、頑張って大きくなって恩返しするからね! 天然記念物的な竜に転生した僕が、助けて育ててくれたエルフなお兄さんと旅をしながらのんびり過ごす話になる予定。 突発的に書き出したので先は分かりませんが短い予定です。 不定期投稿です。 本編完結で、番外編を更新予定です。不定期です。

処理中です...